11 / 101
第11話:醤油もどき開発計画
レオン様との秘密の朝食会が始まってから、二週間が過ぎた。
私の日常は、驚くほど色鮮やかなものに変わっていた。朝、厨房に立つこと。彼の「腹が減った」という言葉を聞くこと。そして、空になったお皿を見ること。その一つ一つが、私の心を温かい光で満たしてくれた。
もう、私は孤独な人質ではなかった。私には待っていてくれる人がいる。私の料理を、心から美味しいと言ってくれる人がいる。その事実が、私に生きるための確かな力を与えてくれていた。
マルタとの関係も、少しずつ変化していた。相変わらず無表情で口数は少ないけれど、彼女は毎日、私が厨房に立つのを黙って見守ってくれるようになった。時には、どこからか珍しいハーブや、少しだけ新鮮な野菜を手に入れてきてくれることもあった。それは彼女なりの、不器用な優しさなのだと私は感じていた。
離宮での生活は、穏やかで満ち足りていた。
しかし、人間とは欲深い生き物らしい。心が満たされてくると、今度は別の欲求が顔を出す。
私の場合は、それが食欲だった。それも、極めて限定的な。
「……お醤油が、恋しい」
ある日の午後、厨房で一人、ぽつりと呟いてしまった。
レオン様のために作る朝食は、基本的にパンと卵、芋が中心だ。いわば、前世で言うところの洋食に近い。それはそれで美味しいし、作るのも楽しい。
だが、私の魂の半分は、やはり『佐藤葵』なのだ。日本人としての二十八年間の記憶が、私の味覚の根底には深く刻み込まれている。
炊き立ての白いご飯。湯気の立つお味噌汁。そして、あの香ばしくて旨味の塊のような、魔法の液体。
醤油。
あの味を思い出してしまうと、もう駄目だった。脳裏に、ありとあらゆる和食が洪水のように押し寄せてくる。
――照り焼きチキンの甘辛い香り。
――きつねうどんの、出汁と醤油が混じり合った優しいスープ。
――卵かけご飯に、たらりと一筋落とした時の、あの背徳的なまでの幸福感。
「うぅ……食べたい……」
私は調理台に突っ伏した。禁断症状とは、きっとこういうことを言うのだろう。ここ数日、私の頭の中は醤油と味噌のことでいっぱいだった。
レオン様にも、この味を教えてあげたい。彼がもし、初めて醤油の味を知ったら、どんな顔をするだろう。きっと、目を丸くして驚くに違いない。そして、いつものように「美味い」と、心の底から言ってくれるはずだ。
そう思うと、いてもたってもいられなくなった。
作れないだろうか。この世界で。
醤油と味噌を。
私は勢いよく顔を上げた。そうだ。諦めるのはまだ早い。私には、希望の種があるのだから。
私は急いで自室に戻ると、ベッドの下から母の形見の小箱を取り出した。蓋を開け、中に入っている小さな布袋を、祈るような気持ちで開く。
そこには、私が前世の記憶を頼りに選別しておいた、数種類の種が大切に保管されていた。
一つは、大豆によく似た、丸くて少し黄色味がかった豆の種。
もう一つは、米にそっくりな、白く艶のある穀物の種。
これがあれば、できるかもしれない。
醤油の主原料は大豆と小麦、塩。味噌は大豆と米、塩。小麦も米もないが、この穀物が代わりになってくれるはずだ。塩は、岩塩が手に入る。
問題は、発酵に不可欠な『麹菌』だった。前世の日本では、種麹として専門の店で売られていたものだ。もちろん、この世界にそんな便利なものはない。
「どうしよう……」
私は腕を組んで考え込んだ。麹菌は、カビの一種だ。自然界にも存在するはず。ならば、原始的な方法で培養するしかない。
前世で読んだ本の内容を、必死に思い出す。確か、蒸した米や麦を暖かい場所に置いておくと、自然に空気中の麹菌が付着して、繁殖することがあると書かれていたはずだ。成功するかどうかは、運次第。だが、やってみる価値はあった。
計画は決まった。私はすぐに行動を開始した。
まずは、マルタへの交渉だ。醸造には、それなりの大きさの壺や樽が必要になる。
私は厨房でマルタを捕まえると、真剣な顔で切り出した。
「マルタさん。お願いがあります。新しい保存食の研究をしたいのです」
「保存食、ですか?」
マルタは訝しげに眉をひそめた。
「はい。この国の冬は、とても厳しいと聞きました。冬の間も栄養を摂れるように、豆や穀物を発酵させて、長期保存できる調味料のようなものを作れないかと思いまして」
嘘ではない。醤油も味噌も、元々は保存食だ。そして、彼女を説得するには、これが一番の理由になると思った。
私の真剣な眼差しと、理にかなった説明に、マルタはしばらく考え込んでいた。彼女も、この国の厳しい冬と、それに伴う食糧事情の悪化は身に染みて分かっているのだろう。
「……分かりました。離宮の物置に、昔使われていた古い壺がいくつかあったはずです。使えるかどうかは分かりませんが、見てみましょう」
やった! 私は心の中でガッツポーズをした。
マルタに案内されて向かった物置は、厨房と同じくらい埃っぽかった。しかし、その奥に、私が必要としていたものが眠っていた。大小様々な大きさの、頑丈そうな陶器の壺。これを綺麗に洗って煮沸消毒すれば、十分に使えるだろう。
「ありがとうございます、マルタさん!」
「いえ……。もし本当に、冬を越すための助けになるのなら」
彼女はそう言って、少しだけ誇らしそうな顔をした。
道具は揃った。次は、いよいよ仕込みだ。
私はまず、母の形見の種の中から、穀物の種を少量だけ取り出し、離宮の庭の片隅にこっそりと蒔いた。アリアの体には魔力はない。しかし、前世の記憶からくる農業の知識が少しだけあった。それに、不思議なことに、私が世話をした植物は、なぜか驚くほど元気に育つのだ。
数週間後、穀物は見事に実った。量は少ないが、麹を作るには十分だった。
私は収穫した穀物を丁寧に脱穀し、大きな蒸し器でふっくらと蒸し上げる。厨房には、甘くてもちもちとした、まるで炊き立てのご飯のような香りが満ち満ちた。
蒸し上がった穀物を、清潔な木の板の上に広げて冷ます。そして、その上から濡らした麻の布をふわりとかけた。
「どうか、良い菌がついてくれますように……」
私は祈るような気持ちで、その板を厨房の隅の、比較的暖かくて薄暗い場所に置いた。ここから数日間、温度と湿度を管理しながら、麹菌が自然に生えてくるのを待つのだ。成功するかどうかは、神のみぞ知る。
麹もどきを仕込んでいる間に、醤油と味噌の本体となる豆の準備も進める。
これも庭で育てた豆を、たっぷりの水で一晩ふやかす。翌日、ふっくらと水を吸った豆を、大きな鍋で指で潰せるくらい柔らかくなるまで、コトコトと何時間も煮続けた。厨房は、大豆を煮る時特有の、甘く優しい香りでいっぱいになった。
レオン様は、このいつもと違う匂いに気づいたようだった。
「今日は、何を作っているんだ?」
朝食のパンを頬張りながら、彼は不思議そうに尋ねた。
「未来の、美味しいものですよ」
私が悪戯っぽく笑うと、彼は少しだけ不満そうな顔をしたが、それ以上は聞いてこなかった。彼も、私が厨房で何か新しいことに挑戦しているのを、面白がってくれているようだった。
そして、麹を仕込んでから三日目の朝。
私は恐る恐る、麻の布をめくった。
「……あ!」
思わず、小さな歓声が漏れた。
蒸した穀物の表面が、うっすらと白い綿のようなもので覆われている。所々に、緑色の胞子も見えた。これは、まさしく麹カビだ。変な色のカビや、嫌な匂いもない。大成功だった。
私の無自覚な力が、良い菌だけを呼び寄せてくれたのかもしれない。理由は分からないが、とにかく、最大の難関は突破した。
私は喜び勇んで、最後の工程に取り掛かった。
味噌用には、柔らかく煮た豆を熱いうちにすり潰し、塩と完成した麹もどきを混ぜ合わせる。それを丸めて団子状にし、壺の底に叩きつけるようにして詰めていく。空気を抜くことが、雑菌の繁殖を防ぐコツだ。
醤油用には、炒って砕いた穀物と麹もどき、そして煮た豆を混ぜ合わせ、濃い塩水と共に壺に入れる。
全ての仕込みが終わる頃には、私は汗だくになっていた。しかし、その顔は達成感で輝いていた。
厨房の片隅に、五つの壺が静かに並んでいる。まだ、中身はただの豆と穀物の塊だ。しかし、これから数ヶ月、あるいは一年という時間をかけて、この中で微生物たちが懸命に働き、あの魔法の調味料を生み出してくれる。
私はその壺を、我が子のように愛おしい目で見つめた。
この壺の中には、未来の味が詰まっている。私の、そしてレオン様の食卓を、もっと豊かに、もっと楽しくしてくれる、希望の味が。
「待っていてくださいね、レオン様」
私は壺にそっと語りかけた。
「今度は、もっともっと、びっくりするくらい美味しいものを作ってあげますから」
静かな厨房で、私の新たな挑戦が始まった。完成の日を夢見て、ゆっくりと、しかし確実に、美味しくなれと願いを込めて。
私の日常は、驚くほど色鮮やかなものに変わっていた。朝、厨房に立つこと。彼の「腹が減った」という言葉を聞くこと。そして、空になったお皿を見ること。その一つ一つが、私の心を温かい光で満たしてくれた。
もう、私は孤独な人質ではなかった。私には待っていてくれる人がいる。私の料理を、心から美味しいと言ってくれる人がいる。その事実が、私に生きるための確かな力を与えてくれていた。
マルタとの関係も、少しずつ変化していた。相変わらず無表情で口数は少ないけれど、彼女は毎日、私が厨房に立つのを黙って見守ってくれるようになった。時には、どこからか珍しいハーブや、少しだけ新鮮な野菜を手に入れてきてくれることもあった。それは彼女なりの、不器用な優しさなのだと私は感じていた。
離宮での生活は、穏やかで満ち足りていた。
しかし、人間とは欲深い生き物らしい。心が満たされてくると、今度は別の欲求が顔を出す。
私の場合は、それが食欲だった。それも、極めて限定的な。
「……お醤油が、恋しい」
ある日の午後、厨房で一人、ぽつりと呟いてしまった。
レオン様のために作る朝食は、基本的にパンと卵、芋が中心だ。いわば、前世で言うところの洋食に近い。それはそれで美味しいし、作るのも楽しい。
だが、私の魂の半分は、やはり『佐藤葵』なのだ。日本人としての二十八年間の記憶が、私の味覚の根底には深く刻み込まれている。
炊き立ての白いご飯。湯気の立つお味噌汁。そして、あの香ばしくて旨味の塊のような、魔法の液体。
醤油。
あの味を思い出してしまうと、もう駄目だった。脳裏に、ありとあらゆる和食が洪水のように押し寄せてくる。
――照り焼きチキンの甘辛い香り。
――きつねうどんの、出汁と醤油が混じり合った優しいスープ。
――卵かけご飯に、たらりと一筋落とした時の、あの背徳的なまでの幸福感。
「うぅ……食べたい……」
私は調理台に突っ伏した。禁断症状とは、きっとこういうことを言うのだろう。ここ数日、私の頭の中は醤油と味噌のことでいっぱいだった。
レオン様にも、この味を教えてあげたい。彼がもし、初めて醤油の味を知ったら、どんな顔をするだろう。きっと、目を丸くして驚くに違いない。そして、いつものように「美味い」と、心の底から言ってくれるはずだ。
そう思うと、いてもたってもいられなくなった。
作れないだろうか。この世界で。
醤油と味噌を。
私は勢いよく顔を上げた。そうだ。諦めるのはまだ早い。私には、希望の種があるのだから。
私は急いで自室に戻ると、ベッドの下から母の形見の小箱を取り出した。蓋を開け、中に入っている小さな布袋を、祈るような気持ちで開く。
そこには、私が前世の記憶を頼りに選別しておいた、数種類の種が大切に保管されていた。
一つは、大豆によく似た、丸くて少し黄色味がかった豆の種。
もう一つは、米にそっくりな、白く艶のある穀物の種。
これがあれば、できるかもしれない。
醤油の主原料は大豆と小麦、塩。味噌は大豆と米、塩。小麦も米もないが、この穀物が代わりになってくれるはずだ。塩は、岩塩が手に入る。
問題は、発酵に不可欠な『麹菌』だった。前世の日本では、種麹として専門の店で売られていたものだ。もちろん、この世界にそんな便利なものはない。
「どうしよう……」
私は腕を組んで考え込んだ。麹菌は、カビの一種だ。自然界にも存在するはず。ならば、原始的な方法で培養するしかない。
前世で読んだ本の内容を、必死に思い出す。確か、蒸した米や麦を暖かい場所に置いておくと、自然に空気中の麹菌が付着して、繁殖することがあると書かれていたはずだ。成功するかどうかは、運次第。だが、やってみる価値はあった。
計画は決まった。私はすぐに行動を開始した。
まずは、マルタへの交渉だ。醸造には、それなりの大きさの壺や樽が必要になる。
私は厨房でマルタを捕まえると、真剣な顔で切り出した。
「マルタさん。お願いがあります。新しい保存食の研究をしたいのです」
「保存食、ですか?」
マルタは訝しげに眉をひそめた。
「はい。この国の冬は、とても厳しいと聞きました。冬の間も栄養を摂れるように、豆や穀物を発酵させて、長期保存できる調味料のようなものを作れないかと思いまして」
嘘ではない。醤油も味噌も、元々は保存食だ。そして、彼女を説得するには、これが一番の理由になると思った。
私の真剣な眼差しと、理にかなった説明に、マルタはしばらく考え込んでいた。彼女も、この国の厳しい冬と、それに伴う食糧事情の悪化は身に染みて分かっているのだろう。
「……分かりました。離宮の物置に、昔使われていた古い壺がいくつかあったはずです。使えるかどうかは分かりませんが、見てみましょう」
やった! 私は心の中でガッツポーズをした。
マルタに案内されて向かった物置は、厨房と同じくらい埃っぽかった。しかし、その奥に、私が必要としていたものが眠っていた。大小様々な大きさの、頑丈そうな陶器の壺。これを綺麗に洗って煮沸消毒すれば、十分に使えるだろう。
「ありがとうございます、マルタさん!」
「いえ……。もし本当に、冬を越すための助けになるのなら」
彼女はそう言って、少しだけ誇らしそうな顔をした。
道具は揃った。次は、いよいよ仕込みだ。
私はまず、母の形見の種の中から、穀物の種を少量だけ取り出し、離宮の庭の片隅にこっそりと蒔いた。アリアの体には魔力はない。しかし、前世の記憶からくる農業の知識が少しだけあった。それに、不思議なことに、私が世話をした植物は、なぜか驚くほど元気に育つのだ。
数週間後、穀物は見事に実った。量は少ないが、麹を作るには十分だった。
私は収穫した穀物を丁寧に脱穀し、大きな蒸し器でふっくらと蒸し上げる。厨房には、甘くてもちもちとした、まるで炊き立てのご飯のような香りが満ち満ちた。
蒸し上がった穀物を、清潔な木の板の上に広げて冷ます。そして、その上から濡らした麻の布をふわりとかけた。
「どうか、良い菌がついてくれますように……」
私は祈るような気持ちで、その板を厨房の隅の、比較的暖かくて薄暗い場所に置いた。ここから数日間、温度と湿度を管理しながら、麹菌が自然に生えてくるのを待つのだ。成功するかどうかは、神のみぞ知る。
麹もどきを仕込んでいる間に、醤油と味噌の本体となる豆の準備も進める。
これも庭で育てた豆を、たっぷりの水で一晩ふやかす。翌日、ふっくらと水を吸った豆を、大きな鍋で指で潰せるくらい柔らかくなるまで、コトコトと何時間も煮続けた。厨房は、大豆を煮る時特有の、甘く優しい香りでいっぱいになった。
レオン様は、このいつもと違う匂いに気づいたようだった。
「今日は、何を作っているんだ?」
朝食のパンを頬張りながら、彼は不思議そうに尋ねた。
「未来の、美味しいものですよ」
私が悪戯っぽく笑うと、彼は少しだけ不満そうな顔をしたが、それ以上は聞いてこなかった。彼も、私が厨房で何か新しいことに挑戦しているのを、面白がってくれているようだった。
そして、麹を仕込んでから三日目の朝。
私は恐る恐る、麻の布をめくった。
「……あ!」
思わず、小さな歓声が漏れた。
蒸した穀物の表面が、うっすらと白い綿のようなもので覆われている。所々に、緑色の胞子も見えた。これは、まさしく麹カビだ。変な色のカビや、嫌な匂いもない。大成功だった。
私の無自覚な力が、良い菌だけを呼び寄せてくれたのかもしれない。理由は分からないが、とにかく、最大の難関は突破した。
私は喜び勇んで、最後の工程に取り掛かった。
味噌用には、柔らかく煮た豆を熱いうちにすり潰し、塩と完成した麹もどきを混ぜ合わせる。それを丸めて団子状にし、壺の底に叩きつけるようにして詰めていく。空気を抜くことが、雑菌の繁殖を防ぐコツだ。
醤油用には、炒って砕いた穀物と麹もどき、そして煮た豆を混ぜ合わせ、濃い塩水と共に壺に入れる。
全ての仕込みが終わる頃には、私は汗だくになっていた。しかし、その顔は達成感で輝いていた。
厨房の片隅に、五つの壺が静かに並んでいる。まだ、中身はただの豆と穀物の塊だ。しかし、これから数ヶ月、あるいは一年という時間をかけて、この中で微生物たちが懸命に働き、あの魔法の調味料を生み出してくれる。
私はその壺を、我が子のように愛おしい目で見つめた。
この壺の中には、未来の味が詰まっている。私の、そしてレオン様の食卓を、もっと豊かに、もっと楽しくしてくれる、希望の味が。
「待っていてくださいね、レオン様」
私は壺にそっと語りかけた。
「今度は、もっともっと、びっくりするくらい美味しいものを作ってあげますから」
静かな厨房で、私の新たな挑戦が始まった。完成の日を夢見て、ゆっくりと、しかし確実に、美味しくなれと願いを込めて。
あなたにおすすめの小説
【完結】『飯炊き女』と呼ばれている騎士団の寮母ですが、実は最高位の聖女です
葉桜鹿乃
恋愛
ルーシーが『飯炊き女』と、呼ばれてそろそろ3年が経とうとしている。
王宮内に兵舎がある王立騎士団【鷹の爪】の寮母を担っているルーシー。
孤児院の出で、働き口を探してここに配置された事になっているが、実はこの国の最も高貴な存在とされる『金剛の聖女』である。
王宮という国で一番安全な場所で、更には周囲に常に複数人の騎士が控えている場所に、本人と王族、宰相が話し合って所属することになったものの、存在を秘する為に扱いは『飯炊き女』である。
働くのは苦では無いし、顔を隠すための不細工な丸眼鏡にソバカスと眉を太くする化粧、粗末な服。これを襲いに来るような輩は男所帯の騎士団にも居ないし、聖女の力で存在感を常に薄めるようにしている。
何故このような擬態をしているかというと、隣国から聖女を狙って何者かが間者として侵入していると言われているためだ。
隣国は既に瘴気で汚れた土地が多くなり、作物もまともに育たないと聞いて、ルーシーはしばらく隣国に行ってもいいと思っているのだが、長く冷戦状態にある隣国に行かせるのは命が危ないのでは、と躊躇いを見せる国王たちをルーシーは説得する教養もなく……。
そんな折、ある日の月夜に、明日の雨を予見して変装をせずに水汲みをしている時に「見つけた」と言われて振り向いたそこにいたのは、騎士団の中でもルーシーに優しい一人の騎士だった。
※感想の取り扱いは近況ボードを参照してください。
※小説家になろう様でも掲載予定です。
愛を知らない「頭巾被り」の令嬢は最強の騎士、「氷の辺境伯」に溺愛される
守次 奏
恋愛
「わたしは、このお方に出会えて、初めてこの世に産まれることができた」
貴族の間では忌み子の象徴である赤銅色の髪を持って生まれてきた少女、リリアーヌは常に家族から、妹であるマリアンヌからすらも蔑まれ、その髪を隠すように頭巾を被って生きてきた。
そんなリリアーヌは十五歳を迎えた折に、辺境領を収める「氷の辺境伯」「血まみれ辺境伯」の二つ名で呼ばれる、スターク・フォン・ピースレイヤーの元に嫁がされてしまう。
厄介払いのような結婚だったが、それは幸せという言葉を知らない、「頭巾被り」のリリアーヌの運命を変える、そして世界の運命をも揺るがしていく出会いの始まりに過ぎなかった。
これは、一人の少女が生まれた意味を探すために駆け抜けた日々の記録であり、とある幸せな夫婦の物語である。
※この作品は「小説家になろう」「カクヨム」様にも短編という形で掲載しています。
女の子がほとんど産まれない国に転生しました。
さくらもち
恋愛
何番煎じかのお話です。
100人に3~5人しか産まれない女の子は大切にされ一妻多夫制の国に産まれたのは前世の記憶、日本で亭主関白の旦那に嫁いびりと男尊女卑な家に嫁いで挙句栄養失調と過労死と言う令和になってもまだ昭和な家庭!でありえない最後を迎えてしまった清水 理央、享年44歳
そんな彼女を不憫に思った女神が自身の世界の女性至上主義な国に転生させたお話。
当面は2日に1話更新予定!
聖女の任期終了後、婚活を始めてみたら六歳の可愛い男児が立候補してきた!
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
23歳のメルリラは、聖女の任期を終えたばかり。結婚適齢期を少し過ぎた彼女は、幸せな結婚を夢見て婚活に励むが、なかなか相手が見つからない。原因は「元聖女」という肩書にあった。聖女を務めた女性は慣例として専属聖騎士と結婚することが多く、メルリラもまた、かつての専属聖騎士フェイビアンと結ばれるものと世間から思われているのだ。しかし、メルリラとフェイビアンは口げんかが絶えない関係で、恋愛感情など皆無。彼を結婚相手として考えたことなどなかった。それでも世間の誤解は解けず、婚活は難航する。そんなある日、聖女を辞めて半年が経った頃、メルリラの婚活を知った公爵子息ハリソン(6歳)がやって来て――。
実家を追放された地味令嬢、呪われた『氷の騎士』様の元へ身代わり婚。枯れた庭を癒やしていたら、旦那様の呪いも解いてしまい溺愛ルート突入です!
黒崎隼人
恋愛
「貴方の庭を、救わせてください」
実家で空気のように扱われてきた地味な伯爵令嬢リゼット。
彼女は、妹の身代わりとして「氷の騎士」と恐れられる呪われた侯爵、ギルバートの元へ厄介払いされる。
待っていたのは、荒れ果てた屋敷と、死に絶えた庭園。
そして、呪いに蝕まれ、心を閉ざした孤独な騎士だった。
しかし、リゼットには秘密があった。
触れるだけで植物を蘇らせる「癒やしの力」。
彼女がこっそりと庭を再生させていくうちに、頑なだったギルバートの心も次第に溶かされていき――?
「リゼット、君は俺の誇りだ」
これは、虐げられた令嬢が荒野を緑の楽園に変え、最強の騎士に溺愛される、再生と幸福の物語。
【完結】偽物聖女は冷血騎士団長様と白い結婚をしたはずでした。
雨宮羽那
恋愛
聖女補佐官であるレティノアは、補佐官であるにも関わらず、祈りをささげる日々を送っていた。
というのも、本来聖女であるはずの妹が、役目を放棄して遊び歩いていたからだ。
そんなある日、妹が「真実の愛に気づいたの」と言って恋人と駆け落ちしてしまう。
残されたのは、聖女の役目と――王命によって決められた聖騎士団長様との婚姻!?
レティノアは、妹の代わりとして聖女の立場と聖騎士団長との結婚を押し付けられることに。
相手のクラウスは、「血も涙もない冷血な悪魔」と噂される聖騎士団長。クラウスから「俺はあなたに触れるつもりはない」と言い放たれたレティノアは、「これは白い結婚なのだ」と理解する。
しかし、クラウスの態度は噂とは異なり、レティノアを愛しているようにしか思えなくて……?
これは、今まで妹の代わりの「偽物」として扱われてきた令嬢が「本物」として幸せをつかむ物語。
◇◇◇◇
お気に入り登録、♡、感想などいただければ、作者が大変喜びます!
モチベになるので良ければ応援していただければ嬉しいです♪
※いつも通りざまぁ要素は中盤以降。
※完結まで執筆済み
※表紙はAIイラストです
※小説内容にはAI不使用です。
※「小説家になろう」「エブリスタ」「カクヨム」様にも掲載しております。
虐げられていた次期公爵の四歳児の契約母になります!~幼子を幸せにしたいのに、未来の旦那様である王太子が私を溺愛してきます~
八重
恋愛
伯爵令嬢フローラは、公爵令息ディーターの婚約者。
しかし、そんな日々の裏で心を痛めていることが一つあった。
それはディーターの異母弟、四歳のルイトが兄に虐げられていること。
幼い彼を救いたいと思った彼女は、「ある計画」の準備を進めることにする。
それは、ルイトを救い出すための唯一の方法──。
そんな時、フローラはディーターから突然婚約破棄される。
婚約破棄宣言を受けた彼女は「今しかない」と計画を実行した。
彼女の計画、それは自らが代理母となること。
だが、この代理母には国との間で結ばれた「ある契約」が存在して……。
こうして始まったフローラの代理母としての生活。
しかし、ルイトの無邪気な笑顔と可愛さが、フローラの苦労を温かい喜びに変えていく。
さらに、見目麗しいながら策士として有名な第一王子ヴィルが、フローラに興味を持ち始めて……。
ほのぼの心温まる、子育て溺愛ストーリーです。
※ヒロインが序盤くじけがちな部分ありますが、それをバネに強くなります
※「小説家になろう」が先行公開です(第二章開始しました)
【完結】番としか子供が産まれない世界で
さくらもち
恋愛
番との間にしか子供が産まれない世界に産まれたニーナ。
何故か親から要らない子扱いされる不遇な子供時代に番と言う概念すら知らないまま育った。
そんなニーナが番に出会うまで
4話完結
出会えたところで話は終わってます。