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第37話:最強の後ろ盾
皇太后ヴィクトリア様が奇跡的な回復を遂げた。
そのニュースはまるで一陣の風のように、瞬く間に王城ヴァイスフレアを駆け巡った。そして、その風はもう一つの信じがたい噂を運んでいた。
――皇太后様を回復させたのは、病を癒す薬でも神への祈りでもない。リンドブルムから来た、名もなき人質王女が作った、たった数皿の料理だった、と。
宮廷内は騒然となった。
役人たちは眉をひそめ、そんな馬鹿なことがあるものかと一笑に付した。貴族たちはどこの馬の骨とも知れぬ娘が皇太后様に取り入ったと、嫉妬と侮蔑の声を上げた。宮廷の料理人たちは自分たちの面子を潰されたと、苦虫を噛み潰したような顔をした。
しかし、彼らが何を言おうと事実は揺るがない。皇太后様が日に日に壮健になられているのは、誰の目にも明らかだった。
そして、その噂が真実であることを帝国全土に知らしめる出来事が起きた。
あの日から一週間後。私の元に皇太后様付きの侍女長が、一通の招待状を携えてやってきた。それは皇太后様が主催する、内々のお茶会への招待状だった。
「アリア様。皇太后陛下が、ぜひ主賓としてお越しいただきたい、と」
侍女長は以前の私を見る値踏みするような視線ではなく、深い敬意のこもった眼差しで私にそう告げた。
その知らせはすぐにレオン様の耳にも入った。その日の朝、厨房にやってきた彼はいつになく上機聞だった。
「母上がお前を公式の場に呼ばれたそうだな」
彼は私が作ったばかりのパンケーキを頬張りながら、嬉しそうに言った。
「ええ……でも、私のような者が主賓だなんて。どうしたらよいか…」
不安を隠せない私に、彼は力強く頷いた。
「何も心配することはない。堂々としていればいい。母上がお前を認めたという証だ。これからは、誰もお前を『ただの人質』だなどと侮ることはできなくなる」
彼の言葉は私の不安を優しく取り除いてくれた。そうだ。私は皇太后様にご招待いただいたのだ。胸を張っていけばいい。
お茶会当日。私はマルタや侍女たちに手伝ってもらい、リンドブルムから持ってきた数少ないドレスの中で一番上等なものに袖を通した。淡い水色のシンプルなドレス。それでも、今の私の心にはどんな宝石よりも輝いて見えた。
会場である皇太后様の私室に隣接したサンルームは、明るい陽光と美しい花々で満たされていた。そこには帝国内でも特に家柄の良い、十数名の貴婦人たちが集まっている。彼女たちは私の姿を認めると扇で口元を隠し、ひそひそと何かを囁き合った。好奇と嫉妬と侮蔑が入り混じった、無数の視線が私に突き刺さる。
居心地の悪さに私は思わず身を縮こませた。
その時だった。
「アリア。こちらへ」
凛とした声が響いた。声の主は部屋の上座に座る、ヴィクトリア皇太后様だった。彼女は病み上がりとは到底思えないほど、力強い輝きを放っていた。
私が彼女の隣に腰掛けると、貴婦人たちの間にさざ波のようなどよめきが広がった。主賓とはいえ、人質である私を自らの隣に座らせる。それがどれほどの厚遇であるか、ここにいる誰もが理解していた。
「皆様、ご紹介します。こちらが私の命の恩人、アリア姫です」
皇太后様の静かだがよく通る声が、サンルームに響き渡る。
「この娘の作る料理がなければ、今の私はなかったでしょう。彼女はただの料理人ではありません。その一皿一皿に、人の心と体を癒す不思議な力が宿っています」
貴婦人たちは半信半疑の顔で私を見ている。そんな彼女たちの空気を皇太后様は全て見透かしていた。
「アリア姫。今日は皆様のために、貴女の特別な『お茶菓子』を用意してくださったそうですね」
「は、はい。お口に合うか分かりませんが…」
私が合図をすると、侍女たちが私が今朝焼き上げたばかりのスコーンと、数種類の自家製ジャム、そしてたっぷりのクリームをテーブルに並べていった。
温かいスコーンを割ると、ふわりと小麦の甘い香りが立ち上る。貴婦人たちは訝しげな顔をしながらも、おそるおそるそれを一口、口に運んだ。
次の瞬間。サンルームのあちこちから、小さな、しかし抑えきれない感嘆の声が漏れた。
「まあ……! なんて、サクサクで中はしっとりとして…」
「この赤いジャム…! 甘酸っぱくて、初めていただくお味ですわ」
「この白いクリームも、ただ甘いだけではなくてとてもコクがあって…」
彼女たちの表情が驚きと、そして純粋な感動へと変わっていく。美味しいものは人の心を解きほぐす。身分も立場も関係なく。
一人の侯爵夫人が、それでもまだ私を試すように嫌味な口調で言った。
「それにしても、人質の方が皇太后様のお側に侍るなど前代未聞ですわね。何か、特別な『魔法』でもお使いになったのかしら?」
その言葉にサンルームの空気が一瞬で凍りついた。
しかし、皇太后様は動じなかった。彼女はその侯爵夫人を氷のように冷たい一瞥で射抜いた。
「ええ、そうですわ、侯爵夫人」
その声には絶対的な威厳が宿っていた。
「彼女の使う魔法は『愛情』という名の最高の魔法です。今の貴女には到底理解できないでしょうけれど」
その一言で侯爵夫人は顔を真っ赤にして、完全に沈黙した。
そして皇太后様は、集まった全員に聞こえるようにはっきりと宣言した。
「皆様、よくお聞きなさい。アリア姫は人質などではありません。彼女は私が、そして皇帝が認めた、我がガルディナ帝国の『至宝』です。今後、彼女に対していささかでも無礼な振る舞いをする者は、この私、ヴィクトリアが許しません」
それは絶対的な権力者からの最終通告だった。
もう誰も私を侮ることはできない。皇太后ヴィクトリア。彼女という帝国で最も強力で、そして揺るぎない後ろ盾を私はこの日、手に入れたのだ。
お茶会が終わった後、皇太后様は私を一人、部屋に呼び止めた。
「アリア。褒美を授けましょう」
「滅相もございません! 私にはもったいないお言葉です」
私が恐縮して首を振ると、彼女は優しく微笑んだ。
「貴女は何も欲しがらないでしょうからね。ですから、私が勝手に決めました」
彼女が私に与えてくれた褒美はドレスでも、宝石でもなかった。
「これからは王城にあるどの厨房でも自由にお使いなさい。そして、帝国中から最高の食材を取り寄せなさい。全て私の名において許可します」
その言葉に私は息を呑んだ。
私の活動の舞台が、あの小さな離宮の厨房からこの王城全体へと大きく広がった瞬間だった。
その日の夕方。私は厨房で一人、今日の出来事を反芻していた。自分の周りの世界が、あまりにも大きくそして急速に変わり始めている。その変化に少しだけ戸惑いを覚えていた。
そこにレオン様が穏やかな笑みを浮かべてやってきた。
「母上のお茶会、見事だったそうだな」
「……聞いておられたのですか」
「ああ。俺の母が、あんなにも誰かを気に入られるのは本当に久しぶりのことだ。誇らしいよ、アリア」
彼はまるで自分のことのように嬉しそうに言った。そして、私のそばに立つと私の髪にそっと触れた。
「君は君の力で自らの立場を勝ち取った。君にはその価値がある」
彼の真っ直ぐな言葉と優しい眼差しに、私の心臓が大きく高鳴る。
「ありがとうございます、レオン様」
私は変わり始めたこの世界で、しっかりと前を向こうと決意した。
私には私の料理がある。そして、私を信じ支えてくれる人たちがいる。
もう何も怖くない。
私の新たな舞台は、この王城。これから、どんな『美味しい』でこの国の人々を驚かせてあげようか。
私の胸は不安ではなく、未来への大きな希望と尽きることのない料理への情熱で満たされていた。
そのニュースはまるで一陣の風のように、瞬く間に王城ヴァイスフレアを駆け巡った。そして、その風はもう一つの信じがたい噂を運んでいた。
――皇太后様を回復させたのは、病を癒す薬でも神への祈りでもない。リンドブルムから来た、名もなき人質王女が作った、たった数皿の料理だった、と。
宮廷内は騒然となった。
役人たちは眉をひそめ、そんな馬鹿なことがあるものかと一笑に付した。貴族たちはどこの馬の骨とも知れぬ娘が皇太后様に取り入ったと、嫉妬と侮蔑の声を上げた。宮廷の料理人たちは自分たちの面子を潰されたと、苦虫を噛み潰したような顔をした。
しかし、彼らが何を言おうと事実は揺るがない。皇太后様が日に日に壮健になられているのは、誰の目にも明らかだった。
そして、その噂が真実であることを帝国全土に知らしめる出来事が起きた。
あの日から一週間後。私の元に皇太后様付きの侍女長が、一通の招待状を携えてやってきた。それは皇太后様が主催する、内々のお茶会への招待状だった。
「アリア様。皇太后陛下が、ぜひ主賓としてお越しいただきたい、と」
侍女長は以前の私を見る値踏みするような視線ではなく、深い敬意のこもった眼差しで私にそう告げた。
その知らせはすぐにレオン様の耳にも入った。その日の朝、厨房にやってきた彼はいつになく上機聞だった。
「母上がお前を公式の場に呼ばれたそうだな」
彼は私が作ったばかりのパンケーキを頬張りながら、嬉しそうに言った。
「ええ……でも、私のような者が主賓だなんて。どうしたらよいか…」
不安を隠せない私に、彼は力強く頷いた。
「何も心配することはない。堂々としていればいい。母上がお前を認めたという証だ。これからは、誰もお前を『ただの人質』だなどと侮ることはできなくなる」
彼の言葉は私の不安を優しく取り除いてくれた。そうだ。私は皇太后様にご招待いただいたのだ。胸を張っていけばいい。
お茶会当日。私はマルタや侍女たちに手伝ってもらい、リンドブルムから持ってきた数少ないドレスの中で一番上等なものに袖を通した。淡い水色のシンプルなドレス。それでも、今の私の心にはどんな宝石よりも輝いて見えた。
会場である皇太后様の私室に隣接したサンルームは、明るい陽光と美しい花々で満たされていた。そこには帝国内でも特に家柄の良い、十数名の貴婦人たちが集まっている。彼女たちは私の姿を認めると扇で口元を隠し、ひそひそと何かを囁き合った。好奇と嫉妬と侮蔑が入り混じった、無数の視線が私に突き刺さる。
居心地の悪さに私は思わず身を縮こませた。
その時だった。
「アリア。こちらへ」
凛とした声が響いた。声の主は部屋の上座に座る、ヴィクトリア皇太后様だった。彼女は病み上がりとは到底思えないほど、力強い輝きを放っていた。
私が彼女の隣に腰掛けると、貴婦人たちの間にさざ波のようなどよめきが広がった。主賓とはいえ、人質である私を自らの隣に座らせる。それがどれほどの厚遇であるか、ここにいる誰もが理解していた。
「皆様、ご紹介します。こちらが私の命の恩人、アリア姫です」
皇太后様の静かだがよく通る声が、サンルームに響き渡る。
「この娘の作る料理がなければ、今の私はなかったでしょう。彼女はただの料理人ではありません。その一皿一皿に、人の心と体を癒す不思議な力が宿っています」
貴婦人たちは半信半疑の顔で私を見ている。そんな彼女たちの空気を皇太后様は全て見透かしていた。
「アリア姫。今日は皆様のために、貴女の特別な『お茶菓子』を用意してくださったそうですね」
「は、はい。お口に合うか分かりませんが…」
私が合図をすると、侍女たちが私が今朝焼き上げたばかりのスコーンと、数種類の自家製ジャム、そしてたっぷりのクリームをテーブルに並べていった。
温かいスコーンを割ると、ふわりと小麦の甘い香りが立ち上る。貴婦人たちは訝しげな顔をしながらも、おそるおそるそれを一口、口に運んだ。
次の瞬間。サンルームのあちこちから、小さな、しかし抑えきれない感嘆の声が漏れた。
「まあ……! なんて、サクサクで中はしっとりとして…」
「この赤いジャム…! 甘酸っぱくて、初めていただくお味ですわ」
「この白いクリームも、ただ甘いだけではなくてとてもコクがあって…」
彼女たちの表情が驚きと、そして純粋な感動へと変わっていく。美味しいものは人の心を解きほぐす。身分も立場も関係なく。
一人の侯爵夫人が、それでもまだ私を試すように嫌味な口調で言った。
「それにしても、人質の方が皇太后様のお側に侍るなど前代未聞ですわね。何か、特別な『魔法』でもお使いになったのかしら?」
その言葉にサンルームの空気が一瞬で凍りついた。
しかし、皇太后様は動じなかった。彼女はその侯爵夫人を氷のように冷たい一瞥で射抜いた。
「ええ、そうですわ、侯爵夫人」
その声には絶対的な威厳が宿っていた。
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その一言で侯爵夫人は顔を真っ赤にして、完全に沈黙した。
そして皇太后様は、集まった全員に聞こえるようにはっきりと宣言した。
「皆様、よくお聞きなさい。アリア姫は人質などではありません。彼女は私が、そして皇帝が認めた、我がガルディナ帝国の『至宝』です。今後、彼女に対していささかでも無礼な振る舞いをする者は、この私、ヴィクトリアが許しません」
それは絶対的な権力者からの最終通告だった。
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お茶会が終わった後、皇太后様は私を一人、部屋に呼び止めた。
「アリア。褒美を授けましょう」
「滅相もございません! 私にはもったいないお言葉です」
私が恐縮して首を振ると、彼女は優しく微笑んだ。
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「ああ。俺の母が、あんなにも誰かを気に入られるのは本当に久しぶりのことだ。誇らしいよ、アリア」
彼はまるで自分のことのように嬉しそうに言った。そして、私のそばに立つと私の髪にそっと触れた。
「君は君の力で自らの立場を勝ち取った。君にはその価値がある」
彼の真っ直ぐな言葉と優しい眼差しに、私の心臓が大きく高鳴る。
「ありがとうございます、レオン様」
私は変わり始めたこの世界で、しっかりと前を向こうと決意した。
私には私の料理がある。そして、私を信じ支えてくれる人たちがいる。
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