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第73話:遺跡への挑戦
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グレイヘム村での数日間の滞在は、旅の準備を整えるための貴重な時間となった。
騎士たちはギルバート様の号令の下、来るべき遺跡での戦いに備え、武具の手入れと訓練に余念がなかった。その顔には未知への不安よりも、帝国の呪いを解くという大義に燃える強い意志がみなぎっている。
そして、私は。
私の戦場は厨房だ。彼らが最高のパフォーマンスを発揮できるよう、最高の食事で彼らを支える。それが私の役目だった。
村人たちの協力も心強かった。彼らは私の力によって生命力を取り戻した畑から採れた、僅かながらも味の濃い野菜や森で捕れた小動物などを、感謝の印として毎日届けてくれた。
私はそれらの食材を使い、栄養バランスを考え抜いた料理を騎士たちに振る舞った。
「うおお! 姫様の飯を食うと、力がみなぎるぜ!」
「もう、帝都の飯には戻れねえな…!」
彼らの飾り気のない賛辞が、私の何よりの力となった。
そして出発の前夜。私は遺跡での戦いに備え、ある特別な『戦場飯』の準備に取り掛かっていた。
それは軽くて持ち運びやすく、そして何よりもすぐにエネルギーに変わる究極の携帯食料。
「アリア様、それは何でございますか?」
手伝ってくれていた村の女性が不思議そうに尋ねる。
私が作っていたのは炊き立ての白米もどきを塩水で湿らせた手で三角形に固く握りしめた、おむすびだった。
「これは『おむすび』という私の故郷の食べ物です。シンプルですが、とても力が出るんですよ」
私はただの塩むすびだけではなく、いくつかバリエーションも加えた。香ばしく焼いた干し肉を細かく刻んで混ぜ込んだもの。ピリリとした辛さが食欲をそそる薬味を和えたもの。そして、甘酸っぱい梅もどきを中に隠したもの。
「そして、こちらも」
私は薄切りにした猪肉を醤油もどきと蜜、そして生姜もどきを混ぜたタレに漬け込み、燻製器でじっくりと燻していた。水分が飛び旨味が凝縮された特製の『干し肉』だ。これなら数日間は腐る心配もない。
これらの携帯食料を騎士一人一人に、麻の袋に詰めて渡していく。
「姫様、ありがとうございます!」
「こんな美味そうなもん、戦場で食えるなんて幸せだ!」
彼らの子供のようにはしゃぐ姿に、私は思わず笑みがこぼれた。
出発の日の朝。夜明けと共に私たちはグレイヘム村を後にした。村人たちが涙ながらにいつまでも見送ってくれていた。
「聖女様、どうかご無事で…!」
その声援を背に、私たちの馬車は未踏の地『嘆きの谷』へと駒を進めた。
道は長老の話通り険しかった。もはや道と呼べるようなものはなく、獣道のような険しい山道を馬車はゆっくりと進んでいく。
谷に近づくにつれて、周囲の空気は明らかにその様相を変えていった。
生命の気配が希薄になっていく。木々は奇怪な形にねじ曲がり、黒く枯れている。鳥の声一つ聞こえない。ただ不気味な風の音だけが、谷の間を吹き抜けていく。
「……すごい、瘴気だ」
馬車の中でレオン様が低い声で呟いた。彼の顔にも緊張の色が浮かんでいる。
私の体もこの邪悪な気に敏感に反応していた。肌がピリピリとし、胸が苦しくなる。しかし、それと同時に私の内なる【生命賛歌】の力が、まるで外敵を威嚇するように体の中から温かい光となって溢れ出し、私自身を守る結界となっているのを感じていた。
半日ほど進んだ頃だろうか。
鬱蒼とした森を抜けた瞬間、私たちの目の前に信じられない光景が広がった。
巨大な谷。
その谷底にまるで巨人が積み上げたかのような巨大な石造りの建造物が、静かに、しかし圧倒的な存在感を放って鎮座していた。
古代遺跡。
そのあまりのスケールに誰もが言葉を失う。遺跡全体が禍々しい紫色の瘴気に薄く覆われていた。
「……あれが」
「ああ。呪いの発生源だ」
レオン様の静かな声が響いた。
私たちは馬を降り、徒歩で遺跡へと近づいていった。入口は巨大な一枚岩で塞がれていたが、ギルバート様と数人の騎士が渾身の力でそれを押し開けると、闇へと続く大きな口が現れた。
その闇の奥からひやりとした黴臭い空気が、瘴気と共に流れ出してくる。
「これより遺跡内部へと侵入する」
レオン様が静かに、しかし力強く宣言した。
「ギルバート、先陣を。油断するな。何が出てきてもおかしくない」
「はっ!」
騎士たちが松明に火を灯し、剣を抜く。その顔には決死の覚悟が滲んでいた。
「アリア。君は俺の後ろを決して離れるな」
レオン様の力強い腕が私の体をそっと引き寄せた。彼の背中が何よりも頼もしい盾のように私の前に立ちはだかる。
私たちは一列になってゆっくりと遺跡の闇の中へと足を踏み入れた。
中はひんやりとして湿っていた。壁には見たこともない古代の文字や、奇妙な動植物の絵がびっしりと刻まれている。
しばらく進むと広いホールのような場所に出た。その中央に最初の試練が私たちを待ち構えていた。
「……来るぞ!」
ギルバート様の鋭い声。
ゴゴゴゴゴゴ……。
地響きと共にホールの奥の壁が動き出した。壁だと思っていたそれは、岩でできた巨大な人型の怪物だった。
『石の巨人』。
その身長は五メートルはあろうか。苔むした岩肌の体。頭があるべき場所にはただ不気味な赤い光を放つ二つの眼窩が空いているだけ。
「グオオオオオ……」
その咆哮は岩石が擦れ合うような不快な音だった。
「怯むなッ! 全員、散開! 奴の動きは鈍い! 足元を狙え!」
ギルバート様の号令一下、騎士たちは一斉に巨人へと斬りかかった。
カン! カン!
しかし、彼らの鋼の剣は巨人の岩の体を傷つけることができない。それどころか刃の方が火花を散らして欠けていく。
「馬鹿な! 剣が通じないだと!?」
騎士たちの間に動揺が走る。
その隙を突き、巨人は巨大な腕を薙ぎ払うように振り下ろした。
「危ないッ!」
騎士の一人が仲間を突き飛ばし、その一撃をまともに受けてしまった。
「ぐはあっ!」
鎧ごと壁に叩きつけられ、彼は動かなくなった。
「くそっ!」
ギルバート様が悪態をつく。
私はその光景をレオン様の背後からただ震えながら見つめることしかできなかった。
私のせいだ。
私の力がこの呪いを呼び覚ましてしまったのかもしれない。
私の無力さに唇を噛み締めた、その時。
私の隣でレオン様が静かに剣を抜いた。
その剣は他の騎士たちのものとは明らかに違っていた。白銀に輝く刀身には青い魔力の光が龍のようにとぐろを巻いている。
「……アリア。見ていろ」
彼は私にだけ聞こえるような低い声でそう呟いた。
「俺が、君を守る」
そして次の瞬間。彼の姿は閃光となって巨人へと突進していった。
騎士たちはギルバート様の号令の下、来るべき遺跡での戦いに備え、武具の手入れと訓練に余念がなかった。その顔には未知への不安よりも、帝国の呪いを解くという大義に燃える強い意志がみなぎっている。
そして、私は。
私の戦場は厨房だ。彼らが最高のパフォーマンスを発揮できるよう、最高の食事で彼らを支える。それが私の役目だった。
村人たちの協力も心強かった。彼らは私の力によって生命力を取り戻した畑から採れた、僅かながらも味の濃い野菜や森で捕れた小動物などを、感謝の印として毎日届けてくれた。
私はそれらの食材を使い、栄養バランスを考え抜いた料理を騎士たちに振る舞った。
「うおお! 姫様の飯を食うと、力がみなぎるぜ!」
「もう、帝都の飯には戻れねえな…!」
彼らの飾り気のない賛辞が、私の何よりの力となった。
そして出発の前夜。私は遺跡での戦いに備え、ある特別な『戦場飯』の準備に取り掛かっていた。
それは軽くて持ち運びやすく、そして何よりもすぐにエネルギーに変わる究極の携帯食料。
「アリア様、それは何でございますか?」
手伝ってくれていた村の女性が不思議そうに尋ねる。
私が作っていたのは炊き立ての白米もどきを塩水で湿らせた手で三角形に固く握りしめた、おむすびだった。
「これは『おむすび』という私の故郷の食べ物です。シンプルですが、とても力が出るんですよ」
私はただの塩むすびだけではなく、いくつかバリエーションも加えた。香ばしく焼いた干し肉を細かく刻んで混ぜ込んだもの。ピリリとした辛さが食欲をそそる薬味を和えたもの。そして、甘酸っぱい梅もどきを中に隠したもの。
「そして、こちらも」
私は薄切りにした猪肉を醤油もどきと蜜、そして生姜もどきを混ぜたタレに漬け込み、燻製器でじっくりと燻していた。水分が飛び旨味が凝縮された特製の『干し肉』だ。これなら数日間は腐る心配もない。
これらの携帯食料を騎士一人一人に、麻の袋に詰めて渡していく。
「姫様、ありがとうございます!」
「こんな美味そうなもん、戦場で食えるなんて幸せだ!」
彼らの子供のようにはしゃぐ姿に、私は思わず笑みがこぼれた。
出発の日の朝。夜明けと共に私たちはグレイヘム村を後にした。村人たちが涙ながらにいつまでも見送ってくれていた。
「聖女様、どうかご無事で…!」
その声援を背に、私たちの馬車は未踏の地『嘆きの谷』へと駒を進めた。
道は長老の話通り険しかった。もはや道と呼べるようなものはなく、獣道のような険しい山道を馬車はゆっくりと進んでいく。
谷に近づくにつれて、周囲の空気は明らかにその様相を変えていった。
生命の気配が希薄になっていく。木々は奇怪な形にねじ曲がり、黒く枯れている。鳥の声一つ聞こえない。ただ不気味な風の音だけが、谷の間を吹き抜けていく。
「……すごい、瘴気だ」
馬車の中でレオン様が低い声で呟いた。彼の顔にも緊張の色が浮かんでいる。
私の体もこの邪悪な気に敏感に反応していた。肌がピリピリとし、胸が苦しくなる。しかし、それと同時に私の内なる【生命賛歌】の力が、まるで外敵を威嚇するように体の中から温かい光となって溢れ出し、私自身を守る結界となっているのを感じていた。
半日ほど進んだ頃だろうか。
鬱蒼とした森を抜けた瞬間、私たちの目の前に信じられない光景が広がった。
巨大な谷。
その谷底にまるで巨人が積み上げたかのような巨大な石造りの建造物が、静かに、しかし圧倒的な存在感を放って鎮座していた。
古代遺跡。
そのあまりのスケールに誰もが言葉を失う。遺跡全体が禍々しい紫色の瘴気に薄く覆われていた。
「……あれが」
「ああ。呪いの発生源だ」
レオン様の静かな声が響いた。
私たちは馬を降り、徒歩で遺跡へと近づいていった。入口は巨大な一枚岩で塞がれていたが、ギルバート様と数人の騎士が渾身の力でそれを押し開けると、闇へと続く大きな口が現れた。
その闇の奥からひやりとした黴臭い空気が、瘴気と共に流れ出してくる。
「これより遺跡内部へと侵入する」
レオン様が静かに、しかし力強く宣言した。
「ギルバート、先陣を。油断するな。何が出てきてもおかしくない」
「はっ!」
騎士たちが松明に火を灯し、剣を抜く。その顔には決死の覚悟が滲んでいた。
「アリア。君は俺の後ろを決して離れるな」
レオン様の力強い腕が私の体をそっと引き寄せた。彼の背中が何よりも頼もしい盾のように私の前に立ちはだかる。
私たちは一列になってゆっくりと遺跡の闇の中へと足を踏み入れた。
中はひんやりとして湿っていた。壁には見たこともない古代の文字や、奇妙な動植物の絵がびっしりと刻まれている。
しばらく進むと広いホールのような場所に出た。その中央に最初の試練が私たちを待ち構えていた。
「……来るぞ!」
ギルバート様の鋭い声。
ゴゴゴゴゴゴ……。
地響きと共にホールの奥の壁が動き出した。壁だと思っていたそれは、岩でできた巨大な人型の怪物だった。
『石の巨人』。
その身長は五メートルはあろうか。苔むした岩肌の体。頭があるべき場所にはただ不気味な赤い光を放つ二つの眼窩が空いているだけ。
「グオオオオオ……」
その咆哮は岩石が擦れ合うような不快な音だった。
「怯むなッ! 全員、散開! 奴の動きは鈍い! 足元を狙え!」
ギルバート様の号令一下、騎士たちは一斉に巨人へと斬りかかった。
カン! カン!
しかし、彼らの鋼の剣は巨人の岩の体を傷つけることができない。それどころか刃の方が火花を散らして欠けていく。
「馬鹿な! 剣が通じないだと!?」
騎士たちの間に動揺が走る。
その隙を突き、巨人は巨大な腕を薙ぎ払うように振り下ろした。
「危ないッ!」
騎士の一人が仲間を突き飛ばし、その一撃をまともに受けてしまった。
「ぐはあっ!」
鎧ごと壁に叩きつけられ、彼は動かなくなった。
「くそっ!」
ギルバート様が悪態をつく。
私はその光景をレオン様の背後からただ震えながら見つめることしかできなかった。
私のせいだ。
私の力がこの呪いを呼び覚ましてしまったのかもしれない。
私の無力さに唇を噛み締めた、その時。
私の隣でレオン様が静かに剣を抜いた。
その剣は他の騎士たちのものとは明らかに違っていた。白銀に輝く刀身には青い魔力の光が龍のようにとぐろを巻いている。
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