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第76話 一縷の望みを賭けて
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玉座の間には、張り詰めたような静寂が満ちていた。
俺の前に浮かぶのは、見慣れた半透明のスクリーン。だが、今、このスクリーンが持つ意味は、いつもの日課とは全く違う。
この10連ガチャに、この国の、いや、この世界の未来さえも懸かっているのかもしれない。
「……ユウト」
背後から、リリアのかすれた声が聞こえた。彼女も、俺がこれからやろうとしていることの重大さを理解しているのだ。
俺は、何も言わずに頷き、スクリーンに向き直った。
神聖教団。仮面の大司教。混沌の浄化。
得体の知れない敵を前にして、我々には情報が圧倒的に不足している。通常の手段では、もはや手遅れだ。
だから、賭けるしかない。
この、理不尽で、ご都合主義で、しかし、これまで何度も俺たちを救ってくれた、奇跡の力に。
俺は、目を閉じた。
脳裏に浮かぶのは、仲間たちの顔。国民たちの笑顔。
(守りたい。ただ、それだけなんだ)
心の底からの、純粋な願い。
それだけを胸に、俺は【10連を引く】のボタンへと、指を伸ばした。
指が触れた瞬間、世界から音が消えたような錯覚に陥った。
スクリーンに、眩い光がほとばしる。
目の前に、十個の光の玉が、ゆっくりと、しかし確実に姿を現した。
一つ目、白。
二つ目、白。
三つ目、銀。
【N:丈夫なロープ】、【N:乾パン】、【R:砥石】……。
表示されるのは、ありふれた、しかし今の状況では何の役にも立たないアイテムばかり。
俺の額に、冷たい汗が伝う。後ろにいる仲間たちの、息を呑む気配が痛いほど伝わってくる。
四つ目、白。
五つ目、金色。SRだ。だが、表示されたのは【SR:豪華な絨毯】。今じゃない。今、欲しいのはそれじゃないんだ。
六つ目、七つ目、八つ目、九つ目……全てが、白い光だった。
(……駄目、なのか)
諦めの色が、俺の心を黒く塗りつぶそうとした、その時だった。
最後、十個目に現れた光の玉が、これまでとは比較にならない、異質な輝きを放った。
それは、金色でも、虹色でもない。
UR【奇跡の温泉郷】を引いた時と同じ、オーロラのように揺らめく、幻想的な光。
だが、その輝きは、温泉郷の時よりも、さらに深く、荘厳で、そしてどこか物悲しい色合いを帯びていた。
まるで、何万年もの時を経てきた、古えの魂そのものが輝いているかのようだった。
「……UR」
誰かが、そう呟いた。
玉座の間にいる全員が、その圧倒的な存在感を放つ光の玉に、釘付けになっていた。
やがて、そのオーロラの光が、ゆっくりと、まるで歴史のページをめくるように、収束していく。
光が完全に消えた時、スクリーンに表示されていたのは、一枚のカード。
そこに描かれていたのは、豪華な装飾もない、ただ古びて、表紙が擦り切れた、一冊の分厚い書物だった。
そのカードから、物理的なプレッシャーは感じない。
だが、俺たちは、その場にいた全員が、感じていた。
その古びた書物から放たれる、計り知れないほどの、情報の重みと、時間の深さを。
俺は、震える指で、そのカードの名を、声に出して読み上げた。
「――UR……【創世の古文書】」
その古文書が、この世界の、そして俺たちの運命を、根底から覆すことになる始まりの鍵であることを、俺たちはまだ、知らなかった。
俺の前に浮かぶのは、見慣れた半透明のスクリーン。だが、今、このスクリーンが持つ意味は、いつもの日課とは全く違う。
この10連ガチャに、この国の、いや、この世界の未来さえも懸かっているのかもしれない。
「……ユウト」
背後から、リリアのかすれた声が聞こえた。彼女も、俺がこれからやろうとしていることの重大さを理解しているのだ。
俺は、何も言わずに頷き、スクリーンに向き直った。
神聖教団。仮面の大司教。混沌の浄化。
得体の知れない敵を前にして、我々には情報が圧倒的に不足している。通常の手段では、もはや手遅れだ。
だから、賭けるしかない。
この、理不尽で、ご都合主義で、しかし、これまで何度も俺たちを救ってくれた、奇跡の力に。
俺は、目を閉じた。
脳裏に浮かぶのは、仲間たちの顔。国民たちの笑顔。
(守りたい。ただ、それだけなんだ)
心の底からの、純粋な願い。
それだけを胸に、俺は【10連を引く】のボタンへと、指を伸ばした。
指が触れた瞬間、世界から音が消えたような錯覚に陥った。
スクリーンに、眩い光がほとばしる。
目の前に、十個の光の玉が、ゆっくりと、しかし確実に姿を現した。
一つ目、白。
二つ目、白。
三つ目、銀。
【N:丈夫なロープ】、【N:乾パン】、【R:砥石】……。
表示されるのは、ありふれた、しかし今の状況では何の役にも立たないアイテムばかり。
俺の額に、冷たい汗が伝う。後ろにいる仲間たちの、息を呑む気配が痛いほど伝わってくる。
四つ目、白。
五つ目、金色。SRだ。だが、表示されたのは【SR:豪華な絨毯】。今じゃない。今、欲しいのはそれじゃないんだ。
六つ目、七つ目、八つ目、九つ目……全てが、白い光だった。
(……駄目、なのか)
諦めの色が、俺の心を黒く塗りつぶそうとした、その時だった。
最後、十個目に現れた光の玉が、これまでとは比較にならない、異質な輝きを放った。
それは、金色でも、虹色でもない。
UR【奇跡の温泉郷】を引いた時と同じ、オーロラのように揺らめく、幻想的な光。
だが、その輝きは、温泉郷の時よりも、さらに深く、荘厳で、そしてどこか物悲しい色合いを帯びていた。
まるで、何万年もの時を経てきた、古えの魂そのものが輝いているかのようだった。
「……UR」
誰かが、そう呟いた。
玉座の間にいる全員が、その圧倒的な存在感を放つ光の玉に、釘付けになっていた。
やがて、そのオーロラの光が、ゆっくりと、まるで歴史のページをめくるように、収束していく。
光が完全に消えた時、スクリーンに表示されていたのは、一枚のカード。
そこに描かれていたのは、豪華な装飾もない、ただ古びて、表紙が擦り切れた、一冊の分厚い書物だった。
そのカードから、物理的なプレッシャーは感じない。
だが、俺たちは、その場にいた全員が、感じていた。
その古びた書物から放たれる、計り知れないほどの、情報の重みと、時間の深さを。
俺は、震える指で、そのカードの名を、声に出して読み上げた。
「――UR……【創世の古文書】」
その古文書が、この世界の、そして俺たちの運命を、根底から覆すことになる始まりの鍵であることを、俺たちはまだ、知らなかった。
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