毎日無料10連ガチャスキルでスローライフのはずが、排出率0.0001%の【建国】スキルを引いてしまい、美少女魔王やポンコツ勇者が集まってきた

夏見ナイ

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第81話 狙われたスキル

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古文書の、次のページ。
そこに書かれていたのは、これまでの壮大な神々の物語とは、明らかに趣の異なる記述だった。
それは、ある一つの「力」についての、詳細な解説文のようだった。

『神々の箱庭創造の際、混沌と秩序の狭間に、彼らの意図せざる力が生まれた。それは、無から有を生み出し、世界の因果律そのものを歪める、極めて不安定で、しかし強大なエネルギーの塊』

『神々はこの力を「創世の遺物」と呼び、その危険性故に、箱庭から切り離そうと試みた。しかし、遺物は世界の理と深く結びつきすぎており、完全な消去は不可能であった。故に、神々はそれを「スキル」という形で偽装し、無数の駒の中に紛れ込ませることで、その存在を希釈し、隠蔽した』

その、小難しい説明文を読み進めていた俺の目が、ある一点で、完全に固まった。
文章の最後に、その「スキル」の正式名称が、カギ括弧で記されていたのだ。
その文字列を、俺は、俺だけは、知っていた。
毎日、毎日、この世界に来てから、一日も欠かさずに使ってきた、俺の、唯一の力。

「……【毎日無料10連ガチャ】」

俺が、かすれた声でその名を呟くと、リリア、アリア、フィーネの三人が、一斉に俺の顔を見た。

「ユウト、今、何と……?」
「王よ、それは、あなたのスキルのお名前では……?」

俺は、声も出せずに、ただ古文書の一点を指さした。
三人も、その文字列を認め、絶句する。
なぜ、俺のスキル名が、こんな創世の秘密を記した古文書に、書かれているのか。

俺たちは、まるで何かに導かれるように、その続きを、息を詰めて読んだ。

『このスキルは、表向きには、所有者の望む物をランダムに排出するだけの、便利な力に見える。しかし、その本質は違う。これは、所有者の「願い」をエネルギーとし、世界の構成要素を原子レベルで組み替え、望む「結果」を強制的に現実世界に召喚する、因果律操作能力である』

『所有者が「食料が欲しい」と願えば、世界に存在する食料の概念を元に、それを再構成して生み出す。「仲間が欲しい」と願えば、運命の糸をたぐり寄せ、出会うはずのなかった魂を、強制的に引き合わせる』

『そして、もし所有者が、「世界の破滅」を望み、スキルにその願いを込めたならば……』

そこまで読んだ瞬間、俺たちの脳裏に、雷が落ちたかのような衝撃が走った。
全ての謎が、繋がった。
神聖教団が、リセットの引き金を引くための、「切り札」。

「……まさか」

リリアが、信じられないというように、震える声で言った。
「神聖教団の、真の狙いは……ゼノン王国でも、アストレアでもない。ユウト、お前の……そのスキルそのものだったというのか……?」

そうだ。
彼らは、ただ戦争を引き起こし、混沌のパラメータを上げるだけでは、リセットが確実に起こるとは考えていなかった。
彼らは、そのための、もっと確実で、もっと強力な「起爆装置」を探していた。
それが、俺のスキル。
世界の理そのものに干渉する、膨大なエネルギーを秘めた、「創世の遺物」。
これを奪い、その力を暴走させることで、世界の均衡を司る天秤を、強制的に、そして完全に、破壊する。
それが、彼らの描いた、世界終焉のシナリオだった。

俺は、その場に、へなへなと座り込みそうになった。
なんだ、それ。
俺は、ただ、働きたくなくて、のんびりスローライフが送りたくて、このスキルを授かっただけなのに。
その、俺のささやかな願いのための力が、いつの間にか、世界の運命そのものを左右する、とんでもない代物になっていた。

俺が、世界の中心?
俺が、世界の鍵?

冗談じゃない。
俺は、ただの、元サラリーマンだぞ。

俺は、自分の両手を見つめた。
この手が、毎日引いてきたガチャ。その一回一回が、世界の因果律を歪める、神々の遊び盤を荒らす、禁断の行為だったというのか。
仲間たちが、信じられないという顔で、そして、どこか憐れむような目で、俺を見ている。
その視線が、今の俺には、何よりも重かった。
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