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第80話 人為的な世界の終焉
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「世界を……意図的に、リセットさせる……」
フィーネが読み上げたその一文は、雷鳴のように、俺たちの脳天を撃ち抜いた。
神聖教団の真の目的。
それは、俺たちが想像していたどんな野望よりも、遥かに狂気じみていて、そして冒涜的だった。
「な、なんのために……」
アリアが、涙で濡れた瞳で、か細く尋ねる。
「世界を無にし、全てを破壊して、彼らに何の得があるというのだ……?」
その問いに答えたのは、リリアだった。彼女は、先ほどの衝撃から立ち直り、その紅い瞳に、冷徹な分析の光を宿していた。
「……おそらく、彼らは、今のこの世界を『失敗作』だと見なしているのだ」
「失敗作?」
「そうだ。神々の創った不完全な駒――我ら人間や、魔族、エルフが、争い、憎しみ合う、醜い世界。彼らは、その全てを一度チャラにして、自分たちの手で、自分たちの理想とする『完璧な世界』を、ゼロから創造したいのではないか」
それは、神に成り代わろうとする、究極の傲慢。
自分たちだけが、リセット後の世界の「選ばれた民」となる。そのために、今ある世界を、そこに生きる何十億という命ごと、消し去ろうとしているのだ。
「……だから、彼らはアストレアを敵視するのか」
俺は、ようやく全ての点と線が繋がったのを感じた。
「人間も、魔族も、エルフも、勇者も、魔王も。あらゆる種族が、それぞれの過去を乗り越えて、手を取り合って暮らしているこの国は……」
「……彼らの言う、『失敗した世界の象徴』そのものなのだろう」
リリアが、俺の言葉を引き継いだ。
「多様性も、混沌も、全てを内包し、それでもなお平和を築こうとしているこの国は、彼らの掲げる『浄化』と『秩序』にとって、最も目障りで、最も許しがたい存在なのだ」
彼らが俺たちを滅ぼしたい理由。
それは、俺たちが、彼らの狂った理想に対する、明確な「アンチテーゼ」だからだ。
俺たちが存在し、繁栄し続ける限り、彼らの正義は、その輝きを失う。
「……では、ゼノン王国を裏で操り、第二次侵攻軍を差し向けようとしているのも……」
フィーネの言葉に、俺は頷いた。
「ああ。おそらく、アストレアとゼノン王国との大規模な戦争を引き起こすことで、世界の『混沌』のパラメータを、意図的に上昇させようとしているんだ。そして、リセットの引き金を、自分たちの手で引こうとしている」
なんと、悍(おぞ)ましい計画。
他国を駒として操り、巨大な戦争という名の儀式によって、世界そのものを贄に捧げようとしている。
俺たちは、とんでもない相手と戦うことになってしまった。
それは、もはや国家間の戦争ではない。
世界を続けようとする者と、世界を終わらせようとする者との、文明の存亡をかけた戦いだ。
「……でも、まだ分からないことがあります」
アリアが、涙を拭い、顔を上げた。その瞳には、か弱さではなく、真実を求める強い光が戻っていた。
「彼らは、どうやって、リセットの引き金を引くつもりなんでしょうか。ただ戦争を起こすだけでは、パラメータが上限に達するとは限りません。何か、もっと決定的な『何か』が必要なはずです」
彼女の指摘は、的確だった。
そうだ。彼らには、リセットを確実に実行するための、「切り札」があるはずだ。
その切り札とは、一体何なのか。
俺たちは、まるで何かに導かれるように、再び【創世の古文書】へと視線を戻した。
まだ、読んでいないページがある。
そのページに、俺たちの最後の希望、あるいは、最後の絶望が記されているような、そんな予感がしていた。
俺は、ゴクリと喉を鳴らし、古文書の、次の一枚を、ゆっくりと、めくった。
フィーネが読み上げたその一文は、雷鳴のように、俺たちの脳天を撃ち抜いた。
神聖教団の真の目的。
それは、俺たちが想像していたどんな野望よりも、遥かに狂気じみていて、そして冒涜的だった。
「な、なんのために……」
アリアが、涙で濡れた瞳で、か細く尋ねる。
「世界を無にし、全てを破壊して、彼らに何の得があるというのだ……?」
その問いに答えたのは、リリアだった。彼女は、先ほどの衝撃から立ち直り、その紅い瞳に、冷徹な分析の光を宿していた。
「……おそらく、彼らは、今のこの世界を『失敗作』だと見なしているのだ」
「失敗作?」
「そうだ。神々の創った不完全な駒――我ら人間や、魔族、エルフが、争い、憎しみ合う、醜い世界。彼らは、その全てを一度チャラにして、自分たちの手で、自分たちの理想とする『完璧な世界』を、ゼロから創造したいのではないか」
それは、神に成り代わろうとする、究極の傲慢。
自分たちだけが、リセット後の世界の「選ばれた民」となる。そのために、今ある世界を、そこに生きる何十億という命ごと、消し去ろうとしているのだ。
「……だから、彼らはアストレアを敵視するのか」
俺は、ようやく全ての点と線が繋がったのを感じた。
「人間も、魔族も、エルフも、勇者も、魔王も。あらゆる種族が、それぞれの過去を乗り越えて、手を取り合って暮らしているこの国は……」
「……彼らの言う、『失敗した世界の象徴』そのものなのだろう」
リリアが、俺の言葉を引き継いだ。
「多様性も、混沌も、全てを内包し、それでもなお平和を築こうとしているこの国は、彼らの掲げる『浄化』と『秩序』にとって、最も目障りで、最も許しがたい存在なのだ」
彼らが俺たちを滅ぼしたい理由。
それは、俺たちが、彼らの狂った理想に対する、明確な「アンチテーゼ」だからだ。
俺たちが存在し、繁栄し続ける限り、彼らの正義は、その輝きを失う。
「……では、ゼノン王国を裏で操り、第二次侵攻軍を差し向けようとしているのも……」
フィーネの言葉に、俺は頷いた。
「ああ。おそらく、アストレアとゼノン王国との大規模な戦争を引き起こすことで、世界の『混沌』のパラメータを、意図的に上昇させようとしているんだ。そして、リセットの引き金を、自分たちの手で引こうとしている」
なんと、悍(おぞ)ましい計画。
他国を駒として操り、巨大な戦争という名の儀式によって、世界そのものを贄に捧げようとしている。
俺たちは、とんでもない相手と戦うことになってしまった。
それは、もはや国家間の戦争ではない。
世界を続けようとする者と、世界を終わらせようとする者との、文明の存亡をかけた戦いだ。
「……でも、まだ分からないことがあります」
アリアが、涙を拭い、顔を上げた。その瞳には、か弱さではなく、真実を求める強い光が戻っていた。
「彼らは、どうやって、リセットの引き金を引くつもりなんでしょうか。ただ戦争を起こすだけでは、パラメータが上限に達するとは限りません。何か、もっと決定的な『何か』が必要なはずです」
彼女の指摘は、的確だった。
そうだ。彼らには、リセットを確実に実行するための、「切り札」があるはずだ。
その切り札とは、一体何なのか。
俺たちは、まるで何かに導かれるように、再び【創世の古文書】へと視線を戻した。
まだ、読んでいないページがある。
そのページに、俺たちの最後の希望、あるいは、最後の絶望が記されているような、そんな予感がしていた。
俺は、ゴクリと喉を鳴らし、古文書の、次の一枚を、ゆっくりと、めくった。
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