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第97話 最後のざまぁ
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俺の足元にひれ伏し、みっともなく泣きじゃくる三人の男女。
かつて俺が所属していたパーティーの『英雄』たち。
その変わり果てた姿を、俺はただ無表情で見下ろしていた。
ホールは水を打ったように静まり返っている。誰もが俺がどのような『裁き』を下すのか、固唾を呑んで見守っていた。
彼らを罵るのか。
嘲笑うのか。
それとも、慈悲深く赦しを与えるのか。
俺の後ろに立つ仲間たちの間には、ピリピリとした緊張が走っていた。特にルナリエルは今にも剣を抜き放ち、その三人を斬り捨てかねないほどの冷たい殺気を放っていた。
俺はゆっくりと息を吸い込んだ。
そして紡ぎ出した言葉は、その場にいる誰もが予想しなかったものだった。
「……アレク、イリーナ、マルス」
俺は彼らの名前を静かに呼んだ。
それはかつて仲間だった頃と同じ、何の感情も乗せない平坦な声だった。
「顔を上げろ」
その言葉に三人はびくりと肩を震わせた。そして、おそるおそる希望と恐怖が入り混じった目で俺の顔を見上げた。
俺は彼らを一人一人、順番にじっと見つめた。
その瞳にはもはやかつての輝きはない。ただ失われた過去にすがり、他人の力に依存しようとする弱く醜い魂の残滓が揺らめいているだけだった。
俺は彼らに向かって静かに告げた。
「もう、あなたたちの『代償』を俺が肩代わりする気はない」
その一言は、彼らが抱いていた最後の、そして最も甘い希望を容赦なく打ち砕いた。
「なっ……!」
アレクの顔から血の気が引いた。
「そ、そんな……! では、わたくしたちは……!」
イリーナが絶望に声を震わせる。
俺は続けた。
「あなたたちは自分の力で多くのものを手に入れてきたはずだ。栄光も名声も富も。そして、その力には代償が伴う。それは当然のことだ。これからはその代償も自分自身できちんと支払っていけばいい」
俺の言葉はどこまでも正論だった。
そして、どこまでも冷徹だった。
「俺はもうあなたたちとは関係ない。俺には俺の居場所がある。守るべき仲間がいる。あなたたちの人生に、これ以上関わるつもりはない」
俺は最後にこう締めくくった。
「自分の力で生きていけばいい」
それは赦しではなかった。
憎しみでもなかった。
ましてや復讐などでは断じてない。
それは、完全なる『無関心』だった。
彼らがこれからどうなろうと、俺の知ったことではない。
彼らの人生は彼らのものだ。
俺はもうその物語の登場人物ではない。
そのあまりにも残酷な絶対的な拒絶。
それはどんな罵詈雑言よりも、どんな暴力よりも彼らの心を深く、そして永遠に傷つけた。
「……あ……ああ……」
アレクは、その場にへたり込んだ。その瞳から光が完全に消え失せた。彼は理解したのだ。自分たちが本当に取り返しのつかないものを失ってしまったのだということを。
イリーナはその場で声を上げて泣き崩れた。
マルスはフードの奥でただうなだれることしかできなかった。
俺はそんな彼らに、もう一瞥もくれることなく背を向けた。
そして俺は、玉座の前に立つ国王に向かって向き直った。
俺のあまりにも冷徹な裁断を見ていた国王は、一瞬だけその目に畏怖の色を浮かべたが、すぐに王としての威厳を取り戻した。
「……リアム殿。それでよかったのか?」
「はい。俺の、俺たちの戦いはもう終わりました」
俺は静かにそう告げた。
衛兵たちが駆け寄ってきて、もはや何の抵抗も示さない三人の元英雄たちをホールの外へと引きずっていく。
彼らの嗚咽と絶望の呻き声だけが、虚しく後に残った。
祝宴の華やかな空気は完全に冷え切っていた。
だが、俺の心は不思議なほど穏やかだった。
過去との完全なる決別。
俺はようやく本当の意味で自由になれたのかもしれない。
俺は仲間たちの方を振り返った。
彼女たちは皆、何も言わなかった。
ただその目に確かな理解と、そしてどこまでも深い愛情を浮かべて、俺を見つめてくれていた。
最後のざまぁは、こうして静かに、そして残酷なまでに完璧な形で幕を閉じたのだった。
かつて俺が所属していたパーティーの『英雄』たち。
その変わり果てた姿を、俺はただ無表情で見下ろしていた。
ホールは水を打ったように静まり返っている。誰もが俺がどのような『裁き』を下すのか、固唾を呑んで見守っていた。
彼らを罵るのか。
嘲笑うのか。
それとも、慈悲深く赦しを与えるのか。
俺の後ろに立つ仲間たちの間には、ピリピリとした緊張が走っていた。特にルナリエルは今にも剣を抜き放ち、その三人を斬り捨てかねないほどの冷たい殺気を放っていた。
俺はゆっくりと息を吸い込んだ。
そして紡ぎ出した言葉は、その場にいる誰もが予想しなかったものだった。
「……アレク、イリーナ、マルス」
俺は彼らの名前を静かに呼んだ。
それはかつて仲間だった頃と同じ、何の感情も乗せない平坦な声だった。
「顔を上げろ」
その言葉に三人はびくりと肩を震わせた。そして、おそるおそる希望と恐怖が入り混じった目で俺の顔を見上げた。
俺は彼らを一人一人、順番にじっと見つめた。
その瞳にはもはやかつての輝きはない。ただ失われた過去にすがり、他人の力に依存しようとする弱く醜い魂の残滓が揺らめいているだけだった。
俺は彼らに向かって静かに告げた。
「もう、あなたたちの『代償』を俺が肩代わりする気はない」
その一言は、彼らが抱いていた最後の、そして最も甘い希望を容赦なく打ち砕いた。
「なっ……!」
アレクの顔から血の気が引いた。
「そ、そんな……! では、わたくしたちは……!」
イリーナが絶望に声を震わせる。
俺は続けた。
「あなたたちは自分の力で多くのものを手に入れてきたはずだ。栄光も名声も富も。そして、その力には代償が伴う。それは当然のことだ。これからはその代償も自分自身できちんと支払っていけばいい」
俺の言葉はどこまでも正論だった。
そして、どこまでも冷徹だった。
「俺はもうあなたたちとは関係ない。俺には俺の居場所がある。守るべき仲間がいる。あなたたちの人生に、これ以上関わるつもりはない」
俺は最後にこう締めくくった。
「自分の力で生きていけばいい」
それは赦しではなかった。
憎しみでもなかった。
ましてや復讐などでは断じてない。
それは、完全なる『無関心』だった。
彼らがこれからどうなろうと、俺の知ったことではない。
彼らの人生は彼らのものだ。
俺はもうその物語の登場人物ではない。
そのあまりにも残酷な絶対的な拒絶。
それはどんな罵詈雑言よりも、どんな暴力よりも彼らの心を深く、そして永遠に傷つけた。
「……あ……ああ……」
アレクは、その場にへたり込んだ。その瞳から光が完全に消え失せた。彼は理解したのだ。自分たちが本当に取り返しのつかないものを失ってしまったのだということを。
イリーナはその場で声を上げて泣き崩れた。
マルスはフードの奥でただうなだれることしかできなかった。
俺はそんな彼らに、もう一瞥もくれることなく背を向けた。
そして俺は、玉座の前に立つ国王に向かって向き直った。
俺のあまりにも冷徹な裁断を見ていた国王は、一瞬だけその目に畏怖の色を浮かべたが、すぐに王としての威厳を取り戻した。
「……リアム殿。それでよかったのか?」
「はい。俺の、俺たちの戦いはもう終わりました」
俺は静かにそう告げた。
衛兵たちが駆け寄ってきて、もはや何の抵抗も示さない三人の元英雄たちをホールの外へと引きずっていく。
彼らの嗚咽と絶望の呻き声だけが、虚しく後に残った。
祝宴の華やかな空気は完全に冷え切っていた。
だが、俺の心は不思議なほど穏やかだった。
過去との完全なる決別。
俺はようやく本当の意味で自由になれたのかもしれない。
俺は仲間たちの方を振り返った。
彼女たちは皆、何も言わなかった。
ただその目に確かな理解と、そしてどこまでも深い愛情を浮かべて、俺を見つめてくれていた。
最後のざまぁは、こうして静かに、そして残酷なまでに完璧な形で幕を閉じたのだった。
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