レベル1の死に戻り英雄譚 ~追放された俺の【やりなおし】スキルは、死ぬほど強くなる~

夏見ナイ

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第12話:オークの森へ

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冒険者ギルドでオーク討伐の依頼書を受け取った俺は、その足でグレイヴ大森林へと向かった。かつてアランたちと共に歩いた、因縁の場所だ。

森の入り口に立った時、様々な記憶が蘇ってきた。重い荷物を背負って、必死にパーティの背中を追いかけたこと。アランの罵声に耐え、エリナの優しさに救われたこと。そして、レナを助けるために岩の下敷きになった、あの日のこと。

「……変わったな、俺も」

ぽつりと呟く。あの頃の無力な俺は、もういない。今の俺は、自らの意思でこの森に戻ってきた。強くなるために。そして、過去の自分と完全に決別するために。

森の中は相変わらず薄暗く、湿った土の匂いが立ち込めていた。だが、以前感じたような不気味さや恐怖は微塵も感じない。むしろ、狩場に足を踏み入れた狩人のような高揚感があった。

しばらく進むと、前方の茂みが大きく揺れた。そして、野太い雄叫びと共に、緑色の巨体が姿を現す。

「グルオォッ!」

オークだ。木の幹ほどもある棍棒を肩に担ぎ、血走った目でこちらを睨みつけている。以前、パーティ四人がかりでようやく倒した相手。

だが、俺は動じなかった。ロングソードをゆっくりと抜き放ち、静かにオークと対峙する。

オークは、俺が人間一人であることを見て侮ったのだろう。何の警戒もなく、真正面から突進してきた。振り上げられた棍棒が、風を唸らせて俺の頭上へと迫る。

以前の俺なら、この一撃で終わりだった。だが今は違う。

俺は棍棒の軌道を冷静に見極め、避けることすらせずに左腕のチェインメイルで受け止めた。

ガギンッ!

金属と木がぶつかる甲高い音。凄まじい衝撃が腕を伝わるが、ホブゴブリンの攻撃に耐え抜いた俺の体は、びくともしない。骨が軋むこともなく、痺れが走る程度だ。

「……その程度か」

俺の腕に弾かれた棍棒を見て、オークの動きが明らかに止まった。その目に、驚愕と混乱の色が浮かぶ。

その隙を、俺が見逃すはずがない。

「終わりだ」

俺は踏み込み、ロングソードを水平に薙いだ。剣はオークの分厚い脂肪と筋肉を切り裂き、その胴体に深い傷を刻む。

「グギャアアッ!」

オークは苦痛の叫びを上げ、後ずさった。だが、俺の追撃は止まらない。返す刃で、今度は奴の足の腱を断ち切る。巨体がバランスを崩し、膝から崩れ落ちた。

勝負は決した。俺は無防備になったオークの首筋に、ロングソードを深々と突き立てた。

断末魔の叫びを上げることもなく、オークは絶命した。返り血を浴びた俺は、剣を振るって血糊を払う。

あっけない。あれほど脅威だったオークが、こうも簡単に倒せるとは。これも全て、幾度とない死がもたらしたステータスの賜物だ。

単独のオークでは、もはや俺の成長の糧にはならない。ホブゴブリンと同じだ。より効率的に、より確実に死ぬためには、奴らの巣……集落を叩くしかない。

俺はかつての斥候役の経験を活かし、オークの痕跡を辿り始めた。巨大な足跡、食い散らかされた獣の死骸、そして縄張りを示すかのように木に刻まれた傷跡。それらを頼りに、森のさらに奥深くへと進んでいく。

半日ほど探索を続けた頃、視界が開け、谷間のようになっている場所に粗末な木と石で組まれた砦が見えた。オークの集落だ。見張り台がいくつか設置され、その上には弓を持ったオークの姿も見える。砦の中からは、複数のオークの雄叫びや、金属を打ち鳴らす音が聞こえてきた。

その数、ざっと見積もっても二十体は下らないだろう。

「……最高だ」

自然と口角が上がる。これだけの数がいるのなら、嫌でも殺してくれるはずだ。俺はロングソードを握り直し、身を隠すのもやめて、堂々と砦の正面ゲートへと歩みを進めた。

俺の存在に、すぐに見張り台のオークが気づいた。けたたましい警告の角笛が鳴り響く。

ギギギ……と音を立てて砦の門が開き、中から屈強なオークたちが棍棒や斧を手に、次々と姿を現した。その数は、あっという間に十体を超えた。

俺を取り囲むように、じりじりと距離を詰めてくる。その目は貪欲な光を宿し、俺を新鮮な獲物として品定めしていた。

「さあ、始めようか。俺を殺してみせろ」

俺の挑発的な言葉が、戦いの火蓋を切った。

「グオオオオッ!」

一番近くにいたオークが、雄叫びを上げて棍棒を振りかぶる。それを合図に、周囲のオークたちも一斉に襲いかかってきた。四方八方から、死の嵐が吹き荒れる。

俺はまず、正面のオークの攻撃をかいくぐり、その懐に潜り込む。そして、一体を盾にするようにして、後方からの攻撃を防いだ。だが、それは一時しのぎにしかならない。

横から振り抜かれた斧が、俺の脇腹を浅く切り裂いた。チェインメイルがなければ、致命傷だっただろう。

「くっ……!」

一体一体の力は、今の俺の敵ではない。だが、数が違う。ホブゴブリンの時のように、単純な力押しだけではない。囲んで叩くという、原始的だが効果的な集団戦術。それが俺の動きを確実に封じていく。

見張り台からの弓矢も厄介だった。常に死角から飛んでくる矢を警戒しなければならず、目の前の敵に集中できない。

数分間の攻防。俺は三体のオークを斬り伏せたが、俺の体もまた無数の傷を負っていた。

そして、ついに限界が訪れる。

一体のオークの棍棒をロングソードで受け止めた瞬間、背後から別のオークの斧が振り下ろされた。回避が間に合わない。

背中に、背骨が砕けるほどの強烈な衝撃。

「があっ……!」

前のめりに崩れ落ちた俺に、容赦なく追撃が加えられる。棍棒が、斧が、俺の体を何度も何度も叩き潰していく。

肉が潰れ、骨が砕ける音を聞きながら、俺の意識は闇に飲まれた。これが、オークの集落での最初の死だった。

木賃宿のベッドで目覚める。全身に走る幻の激痛。
だが、俺の心は歓喜に満ちていた。

ステータスウィンドウを確認する。筋力、耐久力、敏捷性。その全てが、ホブゴブリンの時とは比べ物にならないほど上昇している。特に耐久力の上昇値が大きい。

「はは……いいぞ。実にいい」

俺はすぐに体を起こし、装備を整えた。
一度死んだことで、奴らの攻撃パターンと連携の癖は、ある程度頭に入った。次はもっとうまくやれる。

再びオークの森へ。砦の前には、俺が倒した三体のオークの死体が転がっていた。他のオークたちは、すでに砦の中に戻っているようだ。

俺は深呼吸を一つすると、再び砦の中へと突入した。

二度目の戦い。今度の俺は、前回とは違う。
まず、一直線に見張り台へと駆け上った。奇襲に驚く弓オークの心臓を、一突きで貫く。厄介な射手を、最初に排除した。

そして、地上に飛び降り、オークの群れへと突っ込む。今度は、囲まれる前に動く。一体を斬りつけたら、すぐに距離を取る。ヒットアンドアウェイ戦法だ。敏捷性で勝る俺だからこそできる戦術。

オークたちは、俺の素早い動きに翻弄され、思うように連携が取れていない。

「グオオ! 小賢しい!」

一体が苛立ち紛れに棍棒を投げつけてくる。俺はそれを紙一重でかわし、カウンターの突きを叩き込んだ。

一体、また一体と、オークの死体が増えていく。

だが、敵の数もまた、尽きることがない。砦の奥から、次々と新たなオークが湧いて出てくる。

十体目を倒したところで、俺のスタミナが切れ始めた。動きが、わずかに鈍る。その一瞬の隙を、奴らは見逃さなかった。

三方向から同時に繰り出された棍棒。回避不能の必殺の連携。
俺は再び、肉塊となって二度目の死を迎えた。

復活。そして、再挑戦。
死ぬたびに、俺は強くなる。死ぬたびに、俺は奴らの戦術を学ぶ。

囲まれた際の脱出方法。複数の敵を同時に相手にする立ち回り。敵の攻撃を利用して、別の敵を倒すための位置取り。

それは、もはや単なるステータス上げではなかった。死に戻りを繰り返すことで、俺は実戦的な対集団戦闘の技術を、その体に直接刻み込んでいたのだ。

死の回数が、この森だけで三十回を超えた頃。
俺は、砦にいたオークのほとんどを殲滅していた。広場は、緑色の死体の山で埋め尽くされている。

俺は死体の山の上に立ち、荒い息を整えた。全身は返り血と汗でぐっしょりと濡れている。

「……これで、終わりか?」

そう呟いた、その時だった。

砦の一番奥。ひときわ大きな建物の扉が、ギイ、と音を立てて開いた。

そこから現れたのは、これまで相手にしてきたオークとは、明らかに格の違う一体だった。

身長は三メートル近くあり、その体は傷だらけの黒い鎧で覆われている。手には、俺の胴体ほどもある巨大な戦斧。そして、その目に宿る光は、ただの獣のそれではない。紛れもない、知性と狡猾さ、そして圧倒的な王者の風格を漂わせていた。

(あれが……オークジェネラル……!)

奴が放つ威圧感は、周囲の空気を震わせ、俺の肌をピリピリと刺した。
これまでのオークが、ただの兵隊だとしたら、目の前のこいつは歴戦の将軍だ。

俺の本能が、警鐘を鳴らしていた。

あれは、死ぬ。

だが、俺の口元には、自然と笑みが浮かんでいた。
最高の獲物が、ようやく姿を現したのだから。
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