【収納】スキルでダンジョン無双 ~地味スキルと馬鹿にされた窓際サラリーマン、実はアイテム無限収納&即時出し入れ可能で最強探索者になる~

夏見ナイ

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第12話 ソロ攻略開始

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昨日とはまるで違う足取りで、健太は「ゴブリンの洞窟」の入り口に立っていた。ひんやりとした湿った空気は同じだが、もはや不気味さは感じない。そこは未知の恐怖が渦巻く場所ではなく、計画を遂行するための「現場」に変わっていた。

「さて、業務開始としますか」
健太は小さく呟くと、一歩、洞窟の中へ足を踏み入れた。

内部の構造は、昨日の記憶でほぼ頭に入っている。最初のゴブリンが出現するであろう、最初のカーブまで慎重に進む。案の定、岩陰から二匹のゴブリンが棍棒を振り回しながら飛び出してきた。昨日、田中たちが軽々とあしらった相手だ。だが、今の健太には剣も盾もない。

ゴブリンたちは、丸腰の人間を見つけ、獲物だと確信したように奇声をあげて突進してくる。
健太は慌てない。後ずさりしながら、天井の一点を睨みつける。
そして、心の中で命令した。

――鉄クズのシャワーを、あいつらの頭上に。

次の瞬間、ゴブリンたちの真上の空間がぐにゃりと歪み、そこから滝のように大量の鉄クズが降り注いだ。錆びた鉄パイプ、歪んだ鉄板、拳大の金属塊。総重量にして数百キロはあろうかという質量の暴力が、ゴブリンたちを押し潰す。
「ギッ!?」
悲鳴を上げる間もなかった。鈍い音が二度響き、後にはひしゃげた肉塊と、床に散らばる鉄のガラクタだけが残されていた。

健太は、その光景をただ冷静に見つめていた。罪悪感はない。むしろ、計画書通りにタスクが完了した時のような、静かな達成感があった。これが、自分の戦い方だ。
健太は死体に近づき、心臓があった場所から現れた小さな魔石を二つ拾い上げると、何事もなかったかのように【無限収納】にしまった。

さらに奥へ進むと、昨日のパーティーが苦戦した広間が見えてきた。そこには、案の定十数匹のゴブリンの群れがうろついている。
健太はニヤリと笑うと、彼らにわざと姿を見せた。
「ギギギ!」
餌を見つけたゴブリンたちが、一斉に健太めがけて殺到してくる。健太はすぐさま踵を返し、今来た狭い通路へと駆け込んだ。

ゴブリンたちは、まんまと罠にかかった。獲物を追って、我先にと狭い通路になだれ込んでくる。健太は、あらかじめ目星をつけていた地点まで彼らを引きつけると、振り返りざまにスキルを発動させた。

――通路全体に、廃油を散布!

健太の背後から、霧状になった大量の油が噴射され、通路の床と壁、そして追いかけてくるゴブリンたちをベットリと濡らした。
「ギィ!?」
足元を滑らせ転倒するゴブリンたち。だが、もう遅い。健太は懐からライターを取り出すと、油の染みた布切れに火をつけ、それを通路に投げ込んだ。

「グギャアアア!」

一瞬で炎が燃え広がり、通路は灼熱の地獄と化した。阿鼻叫喚の悲鳴が洞窟に木霊するが、健太はただ無表情にそれを見守る。逃げようと入口に戻るゴブリンもいたが、健太が収納しておいた巨大な岩で通路を塞ぎ、退路は完全に断たれていた。

数分後、断末魔が完全に途絶えたのを確認し、健太は発煙筒を一つ、通路の奥に投げ込んだ。もうもうと立ち込める煙が、わずかに残っていた生存者の息の根を完全に止める。
完璧な業務遂行だった。

健太は炎が収まるのを待ってから、黒焦げになった死体の山から魔石を一つ一つ回収していく。その手つきは、まるで工場で製品を検品する作業員のようだった。
昨日、あれだけ苦労して手に入れた銀貨五枚。今、彼の収納の中には、その何十倍もの価値を持つ魔石が、すでに溜まっていた。

「さて、ボスは……今日はやめておこう」
健太は冷静にリスクを判断し、深追いはしなかった。今日の目標は達成した。無理をする必要はない。
彼は、まだ魔物の気配が残る洞窟の奥を一瞥すると、静かに踵を返し、入り口へと向かった。たった一人で、
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