【収納】スキルでダンジョン無双 ~地味スキルと馬鹿にされた窓際サラリーマン、実はアイテム無限収納&即時出し入れ可能で最強探索者になる~

夏見ナイ

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第26話 三人目の男

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あれから一週間。健太とシオンは、奇妙な共闘関係を続けていた。
待ち合わせをするわけでもなければ、言葉を交わすわけでもない。健太がいつものように『迷いの森』でソロ活動を始めると、どこからともなくシオンが現れ、自然と二人で狩りをするのが常となっていた。

彼女は健太に何も尋ねず、健太も自分のスキルについて何も語らない。
だが、戦闘における連携は、日を追うごとに洗練されていった。
健太が敵の進路上にトラップを設置すれば、シオンはそれを完璧に理解し、獲物を追い込む。シオンが攻撃の最中に生み出す僅かな隙を、健太は見逃さずに収納からの奇襲でサポートする。

その日も、二人はミノタウロスの群れを相手に、ほとんど芸術の域に達した連携を見せていた。
シオンが一体のミノタウロスの注意を正面から引きつけ、その背後、死角となる空間から、健太が収納していた巨大な金槌を出現させる。不意の一撃に体勢を崩したミノタウロスに、シオンの刃が閃き、首を刎ねた。
残りの二体も、同じような流れ作業で淡々と処理されていく。

「……ふぅ」
最後のミノタウロスが倒れるのを見届け、健太は内心で安堵のため息をついた。シオンは黙って魔石や角の回収作業を始める。健太も手伝いながら、回収した素材を次々と【無限収納】に放り込んでいった。
シオンは、その不可思議な光景を横目で見ていたが、やはり何も口にはしなかった。

全ての作業が終わり、さて今日の業務は終了かと健太が思った、その時だった。
「いやー! お見事っス! まるで長年連れ添った夫婦みたいな阿吽の呼吸!」
突如、背後の木の上から、やけに軽薄で馴れ馴れしい声が降ってきた。

ハッとして振り返ると、そこには枝に腰掛け、にやにやと笑いながらこちらを見下ろす一人の青年がいた。
年の頃は二十代前半。軽装の革鎧を身につけ、あちこちに投げナイフのようなものを忍ばせている。腰には二本の短剣。斥候(シーフ)か、暗殺者(アサシン)系の探索者だろう。

青年は、ひょいと軽やかな身のこなしで木から飛び降りると、無防備に両手を広げながら二人に近づいてきた。
「どうもどうも! 俺、高橋リョウって言います! ご覧の通り、しがない斥候でして。いやあ、お二人の噂はかねがね聞いてたんスけど、まさかこれほどとは!」

その胡散臭い笑顔を見た瞬間、シオンは即座に刀の柄に手をかけ、全身から氷のような殺気を放った。
「……失せなさい」
地を這うような低い声に、普通の人間なら震え上がるだろう。だが、リョウと名乗った青年は、ひょうひょうとした態度を崩さない。

健太は、内心で「面倒なのが来た」と舌打ちしながらも、愛想笑いを浮かべて前に出た。
「これはどうもご丁寧に。ですが、我々はしがない探索者ですので、何か御用でしたらギルドを通してお願いできますか? これから野暮用がありますので、これで失礼……」
早々に切り上げて立ち去ろうとする健太の言葉を、リョウは楽しそうに遮った。

「まあまあ、そう言わずに! あなたが、噂の『見えざる運び屋』さんでしょ? そして、そちらのクールビューティーは、元Sランクパーティーが誇る天才剣士、『黒髪の死神』様ときた。このドリームチームに、俺みたいな一流の斥候が加われば、どんなお宝だって手に入りますって!」

その言葉に、健太は足を止めた。自分の異名だけでなく、シオンの過去まで正確に把握している。ただのチンピラではない。
シオンの殺気が、一段と鋭さを増した。彼女にとって、過去に触れられるのは最も嫌うことだ。
リョウは、そんな二人の反応を面白がるように、悪戯っぽく笑いながら続けた。

「実は、とっておきの儲け話があるんスよ。この森の、地図にも載ってない隠された宝物庫……。どうです? 俺の案内で、一攫千金を狙ってみませんか?」
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