不人気職【地質学者】で始めたら、ダンジョン構造を改変できる唯一のプレイヤーになっていた件。~掘って埋めて、ダンジョンごとボスを圧殺します~

夏見ナイ

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第七十七話:最後のアンカーポイント

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 三つの大陸プレートに、僕が与えた膨大なエネルギーは、もはや、この世界の地殻が、かろうじて抑え込める、限界ギリギリのレベルにまで、達していた。
 エリュシオン・テラの、全土で、群発的な、小規模地震が、頻発し、空には、オーロラのような、不気味な、光のカーテンが、揺らめいている。
 プレイヤーたちは、何が起きているのか、理解できずに、ただ、この、世界の、終末を、思わせる、光景に、怯えていた。

 僕たちは、最後の、第四アンカーポイントへと、到達していた。
 そこは、大陸の、へそ。
 全ての、プレートの力が、収束し、そして、せめぎ合う、地質学的な、特異点。

 目の前に広がっていたのは、巨大な、結晶体が、まるで、森のように、林立する、広大な盆地だった。
 一つ一つの結晶は、高層ビルほどの、高さを誇り、内側から、淡い、七色の光を、放っている。
 ここは、この惑星の、マントルに含まれる、膨大な魔力と、ケイ酸塩鉱物が、超高圧下で、長い年月をかけて、結晶化した、奇跡の場所。
 この、巨大な結晶体――僕が、『アンカークリスタル』と名付けた、それこそが、この大陸全体の、地殻のバランスを、かろうじて、保っている、巨大な「楔(くさび)」だった。

「……ここが、最後か」
 ゴードンが、息を呑んで、その、幻想的な、光景を、見つめている。
 僕が、ここで、やるべきこと。
 それは、この、楔を、破壊することではない。
 この、結晶体を、「触媒」として、利用するのだ。
 僕が、これまで、三つのプレートに、蓄積させてきた、膨大な、歪みのエネルギー。
 その、全ての、周波数を、この、クリスタルの、共振周波数と、同調(シンクロ)させる。
 そうすれば、全てのエネルギーは、増幅され、そして、ただ一点――《アビス・コア》の、封印へと、向かうはずだ。

 僕が、アンカークリスタルへと、歩みを進めようとした、その時。
 僕たちの、最後の戦いを、阻むように、空間が、歪んだ。

『――来たか、破壊者よ』

 カイザーの、声が、響き渡る。
 その声は、もはや、憎悪というよりも、冷たい、絶対的な、拒絶の、意思に、満ちていた。
『貴様が、やろうとしていることは、救済ではない。ただの、破壊だ。この、完璧な、俺の世界を、混沌へと、引き戻す、愚かな、行為に過ぎん』

 結晶の、森の、影から、最後の、神の軍勢が、姿を現した。
 その数、千は、下らないだろう。
 そして、その、軍勢の、先頭に立つ、一体は、僕たちを、絶句させた。
 それは、巨大な、人型の、ゴーレム。
 その、身体は、僕が、これまで、使ってきた、全ての、地形――岩、泥、溶岩、砂、そして、結晶――それらが、禍々しく、混じり合った、キメラのような、姿をしていた。
 アンチ・リク・プログラム、最終形態。僕の、全てを、喰らった、怪物。

「……上等じゃねえか」
 ゴードンが、盾を構えた。
 彼の、身体は、これまでの、連戦で、ボロボロだ。
 ミモリさんの、MPも、もはや、尽きかけている。
 生き残った、連合の、仲間たちも、満身創痍。
 だが、誰一人として、その瞳から、闘志の光は、消えていなかった。

「リク!」
 ゴードンが、僕を、振り返った。
「ここは、俺たちに、任せろ! お前は、お前の、やるべきことを、やれ!」
「リクさん!」
 ミモリさんが、僕に、最後の、回復魔法と、補助魔法を、かけてくれた。
「私たちを、信じて!」

 僕は、二人の、そして、全ての、仲間たちの、瞳を、見つめ、力強く、頷いた。
「……お願いします!」

 僕は、彼らに、背を向けた。
 そして、僕の、最後の、仕事に、取り掛かる。
 背後で、最後の、総力戦の、火蓋が、切って落とされる、その、轟音を、聞きながら。

 僕は、最も、巨大な、アンカークリスタルの、根元に、立った。
 つるはし【ジオ・ブレイカー】を、構え、その、内部構造を、解析していく。
 共振周波数、結晶格子、エネルギーの、流れ。
 その、全てを、読み解き、そして、僕が、これまで、三つのプレートに、与えてきた、エネルギーの、周波数と、同調させるための、最適な、介入ポイントを、探し出す。

 それは、何百、何千という、膨大な、パラメータを、同時に、処理する、神業的な、計算だった。
 僕の、額から、汗が、噴き出す。
 集中力が、切れれば、全てが、終わる。

 背後では、仲間たちが、文字通り、その身を、盾として、僕を、守ってくれている。
 ゴードンの、雄叫び。
 ミモリさんの、祈りの声。
 仲間たちの、断末魔。
 その、全てが、僕の、心を、締め付ける。

(――まだだ。まだ、終われない!)

 僕は、歯を、食いしばった。
 そして、ついに、その、ただ一点の、解を、見つけ出した。
 全ての、エネルギーを、解放し、そして、収束させるための、最後の、引き金。

「――皆さん!」
 僕は、叫んだ。
 僕の、声が、届いているのか、わからない。
 だが、僕は、信じていた。
「今まで、本当に、ありがとうございました!」

 僕は、解析した、クリスタルの、特異点に、つるはしを、突き立てた。
 そして、僕の、最後の、スキルを、放つ。

「――第四アンカーポイント、起動!」
「【地形編集】――《シンクロナイズ・ブレイク》!」

 僕の、新しい、つるはしが、もたらしてくれた、新たな、奥義。
 それは、ただ、破壊するだけではない。
 複数の、異なる、エネルギーの、周波数を、強制的に、同調させ、そして、解放する、究極の、調律。

 僕の、スキルが、発動した、その瞬間。
 世界が、悲鳴を、上げた。
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