不人気職【地質学者】で始めたら、ダンジョン構造を改変できる唯一のプレイヤーになっていた件。~掘って埋めて、ダンジョンごとボスを圧殺します~

夏見ナイ

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第七十八話:世界の叫び

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 僕の、最後のスキル《シンクロナイズ・ブレイク》が、アンカークリスタルを、撃ち抜いた。
 その瞬間、時間そのものが、一瞬だけ、停止したかのような、絶対的な、静寂が、訪れた。
 僕の背後で、繰り広げられていた、死闘の音も、カイザーの、嘲笑も、全てが、消え失せる。
 世界から、音が、消えた。

 そして、次に訪れたのは、音ではない。
 ――振動。
 僕の、足元から、そして、この世界の、あらゆる、物質から、放たれる、純粋な、エネルギーの、共振。
 世界そのものが、一つの、巨大な、鐘となって、鳴り響いている。

 僕が、起動させた、四つの、アンカーポイント。
 海溝の、プレートの沈み込み。
 火山の、マグマの上昇。
 断層の、滑り。
 それら、全ての、惑星規模のエネルギーが、僕のスキルによって、完全に、同調(シンクロ)させられ、そして、解放されたのだ。

 キィィィィィン……!

 耳を、貫くような、超高周波の、共鳴音が、僕たちの、頭蓋を、揺るがす。
 目の前の、巨大な、結晶の森が、その、内部から、七色の光を、放ち始め、まるで、巨大な、プリズムのように、空間に、虹色の、光の、スペクトルを、描き出した。

 僕の、背後で、戦っていた、仲間たちも、敵である、アンチ・リク・プログラムたちも、その、あまりにも、荘厳で、そして、恐ろしい、光景に、動きを、止めていた。
 誰もが、これから、何が、起きるのか、理解できずに、ただ、天を、仰いでいる。

 そして、その「揺れ」は、始まった。

 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……!

 それは、もはや、地震という、言葉では、表現できない、現象だった。
 大地が、裂ける。
 僕たちが、立っていた、結晶の盆地が、巨大な、亀裂と共に、二つに、割れていく。
 その、裂け目の、奥からは、深紅色の、マグマが、間欠泉のように、噴き上がった。

 空が、歪む。
 空間そのものが、まるで、水面のように、波打ち、景色が、ぐにゃぐにゃに、歪んで見える。
 テクスチャの、剥がれた、ワイヤーフレームの、亀裂が、空の、あちこちに、走り、そこから、この世界の、裏側にある、システムの、深淵が、覗いていた。

 世界が、叫んでいる。
 僕が、解き放った、あまりにも、巨大すぎる、エネルギーに、この、仮想の世界の、プログラムが、耐えきれずに、悲鳴を上げているのだ。

『――愚かな!』

 カイザーの、声が、初めて、焦りの色を、帯びて、響き渡った。
『貴様は、自分が、何をしたのか、わかっているのか!? この世界、そのものを、破壊する気か!』

「破壊では、ありません!」
 僕は、崩壊していく、大地の上に、仁王立ちになり、天に向かって、叫び返した。
「これは、『創造』のための、破壊だ!」

 僕が、解き放った、この、惑星規模の、エネルギー。
 その、全ては、無秩序に、拡散しているのではない。
 僕の、最後の、スキルによって、その、全ての、ベクトルは、ただ一点へと、収束するように、プログラムされている。

 その、目的地。
 それは、ガイアが、教えてくれた、あの、座標。
 カイザーによって、概念レベルで、封鎖された、世界の心臓《アビス・コア》の、入り口。

 僕の、視線の先。
 歪んだ、空間の、遥か、彼方。
 何もない、はずの、虚空に、全ての、エネルギーが、まるで、ブラックホールに、吸い込まれるかのように、集束していくのが、見えた。

 大地の、裂け目から、噴き出した、マグマも。
 空を、走る、雷のような、空間の、亀裂も。
 この、世界を、満たす、全ての、破壊の、エネルギーが、螺旋を描きながら、その、一点へと、向かっていく。

 その、光景は、もはや、神話の世界だった。
 一人の、地質学者が、引き起こした、惑星創世の、奇跡。
 あるいは、終末の、光景。

「……リク」
 僕の、隣に、いつの間にか、ゴードンと、ミモリさんが、立っていた。
 彼らは、この、世界の、終わりを、思わせる、光景を、僕と、共に、見届けるために、来てくれたのだ。
「……すげえ、もんを、見せてもらったぜ」
 ゴードンが、静かに、言った。
「ああ。最高に、イカした、地質学だった」

「リクさん……」
 ミモリさんが、僕の、手を、そっと、握りしめた。
 その、温かい、感触が、僕に、最後の、勇気を、与えてくれる。

 僕たちは、見た。
 全ての、エネルギーが、収束した、その、一点。
 空間が、まるで、ガラス細工のように、その、形を、保てなくなり、ピシリ、と、音を立てて、砕け散る、その瞬間を。
 そして、その、砕け散った、空間の、向こう側に、新たな、道が、開かれる、その、奇跡を。
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