死闘を求めた戦闘狂、異世界で最強スキル【闘神】を授かる 〜強敵と戦うほど無限に強くなるので、神だろうが殴りに行きます〜

夏見ナイ

文字の大きさ
26 / 71

第二十五話 初のダンジョン依頼

しおりを挟む
謁見の間を出た俺たちは、再び文官に先導され、城内の別室へと通された。
国王からの勅命は、ギルドを介した正式な依頼という形を取るらしい。

その部屋で俺たちを待っていたのは、意外な人物だった。
「よう、小僧ども。王都中央ギルドのマスター代理、バルガスだ。お前らがデカい仕事をやらかすってんで、わざわざ俺がお目付け役として出てきてやったぜ」
スタートニアにいるはずの男が、熊のような巨体を椅子に沈めて不敵に笑っている。どうやら彼は、元々こちらの大物だったらしい。

バルガスは、分厚い資料の束をテーブルに叩きつけた。
「これが『嘆きの坑道』の資料だ。騎士団が持ち帰った、血塗れの報告書だがな」

俺たちはその資料に目を通した。
内容は、凄惨の一言に尽きる。
坑道内部は、強い負の魔力、いわゆる瘴気に満ちている。出現する魔物は、スケルトンやゾンビといった低級アンデッドから、レイスやデュラハンといった高位アンデッドまで多岐にわたる。
そして、騎士団を半壊させたのは、坑道の深部に潜む「何か」だ。生き残った者の証言は曖昧で、ただ「絶望的な影を見た」としか記録されていない。

「通常のアンデッドなら、騎士団の聖騎士どもが苦戦するはずがねえ。だが、ここの奴らは違う。瘴気の影響で異常に強化されてやがる。並の浄化魔法は弾かれ、物理攻撃への耐性も高い。おまけに、倒してもすぐに再生しやがるらしい」
バルガスの説明は、この依頼の異常な難易度を物語っていた。
推奨ランクはB。だが、内容だけ見ればAランクに匹敵するだろう。

「……面白い」
俺の口から、無意識に言葉が漏れた。
再生するアンデッド。絶望的な影。
血が騒ぐ。魂が、戦いを求めて疼いていた。

「面白い、じゃねえよ」
ガロウが、呆れたようにため息をついた。
「こりゃあ、正面から突っ込んでもジリ貧になるだけだぜ。何か対策が必要だな」
「ええ。アンデッドに有効なのは、聖属性の攻撃か、あるいは核となる部分を完全に破壊することです。私の治癒魔法には聖属性が含まれていますが、攻撃に転用するには限界があります」
リリアナが、真剣な表情で分析する。

「準備に三日やる」
バルガスが言った。
「その間に、必要な装備を揃えろ。金はギルドが前貸ししてやる。ただし、失敗すればお前らの首は王の物だと思え。成功すりゃあ、Bランクへの昇格と、一生遊んで暮らせるだけの報酬が手に入るがな」

俺たちは依頼を正式に受諾し、王城を後にした。
宿に戻る道すがら、ガロウがリリアナに話しかけた。
「しかし、嬢ちゃんが王女様だったとはなあ。俺、なんか失礼なことしなかったか?」
「ふふっ。いいえ。ガロウ様は、いつも通り接してくださって、私は嬉しかったですよ」
リリアナは、悪戯っぽく笑った。正体を明かしたことで、彼女の肩の荷が少し下りたのかもしれない。

その日から、俺たちは準備に奔走した。
ガロウは、バルガスの紹介で王都一と名高いドワーフの鍛冶師の元を訪れ、対アンデッド用の銀メッキを施した新しい大盾と、破城槌のような巨大なウォーハンマーを注文した。
リリアナは、王宮の書庫への立ち入りを特別に許可され、坑道の瘴気やアンデッドに関する古い文献を読み漁っていた。さらに、高価な聖水や、聖属性魔法を増幅させる銀の杖を買い揃えていた。

俺は、いつも通りだった。
特別な準備はしない。俺の武器は、この肉体だけだ。
ただ、二人が準備に奔走する姿を、黙って見守っていた。仲間というものが、これほど頼もしく、そして心地よいものだとは、この世界に来るまで知らなかった。

約束の三日後。
俺たちは、万全の準備を整え、王都の西門に立っていた。
嘆きの坑道は、ここから馬車で半日ほどの距離にあるという。

ギルドが用意した馬車に乗り込み、俺たちは目的地へと向かった。
坑道に近づくにつれて、周囲の景色は徐々に生気を失っていく。木々は枯れ、地面はひび割れ、空には不吉な色の雲が垂れ込めていた。

やがて、馬車が止まった。
目の前に、巨大な岩山がそびえ立っている。その中腹に、ぽっかりと空いた巨大な穴。
あれが、嘆きの坑道の入口だ。

入口の周囲には、騎士団が築いたであろう粗末な砦の残骸が残っていた。
そして、穴からは、冷たく、不気味な風が吹き出してくる。それは、死と腐敗の匂いを運んでいた。
瘴気が、目に見えるほど濃い。

「……こいつは、ひでえな」
ガロウが、思わず顔をしかめる。
リリアナも、眉をひそめ、銀の杖を強く握りしめた。

俺は、馬車から飛び降り、穴の前に立った。
奥から感じるのは、無数の死者の気配。そして、そのさらに奥底で眠る、巨大で邪悪な何か。
俺の全身が、武者震いした。

「行くぞ」
俺は、振り返らずに言った。
「ああ」
「はい!」
ガロウとリリアナの、力強い返事が続いた。

俺たちは、一列になって、その闇へと足を踏み入れた。
王の試練。初のダンジョン攻略。
この先に待つのが絶望的な影であろうと、俺たちの歩みを止めることはできない。

闘神旅団の新たな戦いが、今、幕を開けた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

チートスキルより女神様に告白したら、僕のステータスは最弱Fランクだけど、女神様の無限の祝福で最強になりました

Gaku
ファンタジー
平凡なフリーター、佐藤悠樹。その人生は、ソシャゲのガチャに夢中になった末の、あまりにも情けない感電死で幕を閉じた。……はずだった! 死後の世界で彼を待っていたのは、絶世の美女、女神ソフィア。「どんなチート能力でも与えましょう」という甘い誘惑に、彼が願ったのは、たった一つ。「貴方と一緒に、旅がしたい!」。これは、最強の能力の代わりに、女神様本人をパートナーに選んだ男の、前代未聞の異世界冒険譚である! 主人公ユウキに、剣や魔法の才能はない。ステータスは、どこをどう見ても一般人以下。だが、彼には、誰にも負けない最強の力があった。それは、女神ソフィアが側にいるだけで、あらゆる奇跡が彼の味方をする『女神の祝福』という名の究極チート! 彼の原動力はただ一つ、ソフィアへの一途すぎる愛。そんな彼の真っ直ぐな想いに、最初は呆れ、戸惑っていたソフィアも、次第に心を動かされていく。完璧で、常に品行方正だった女神が、初めて見せるヤキモチ、戸惑い、そして恋する乙女の顔。二人の甘く、もどかしい関係性の変化から、目が離せない! 旅の仲間になるのは、いずれも大陸屈指の実力者、そして、揃いも揃って絶世の美女たち。しかし、彼女たちは全員、致命的な欠点を抱えていた! 方向音痴すぎて地図が読めない女剣士、肝心なところで必ず魔法が暴発する天才魔導士、女神への信仰が熱心すぎて根本的にズレているクルセイダー、優しすぎてアンデッドをパワーアップさせてしまう神官僧侶……。凄腕なのに、全員がどこかポンコツ! 彼女たちが集まれば、簡単なスライム退治も、国を揺るがす大騒動へと発展する。息つく暇もないドタバタ劇が、あなたを爆笑の渦に巻き込む! 基本は腹を抱えて笑えるコメディだが、物語は時に、世界の運命を賭けた、手に汗握るシリアスな戦いへと突入する。絶体絶命の状況の中、試されるのは仲間たちとの絆。そして、主人公が示すのは、愛する人を、仲間を守りたいという想いこそが、どんなチート能力にも勝る「最強の力」であるという、熱い魂の輝きだ。笑いと涙、その緩急が、物語をさらに深く、感動的に彩っていく。 王道の異世界転生、ハーレム、そして最高のドタバタコメディが、ここにある。最強の力は、一途な愛! 個性豊かすぎる仲間たちと共に、あなたも、最高に賑やかで、心温まる異世界を旅してみませんか? 笑って、泣けて、最後には必ず幸せな気持ちになれることを、お約束します。

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編

レベルアップは異世界がおすすめ!

まったりー
ファンタジー
レベルの上がらない世界にダンジョンが出現し、誰もが装備や技術を鍛えて攻略していました。 そんな中、異世界ではレベルが上がることを記憶で知っていた主人公は、手芸スキルと言う生産スキルで異世界に行ける手段を作り、自分たちだけレベルを上げてダンジョンに挑むお話です。

S級スキル『剣聖』を授かった俺はスキルを奪われてから人生が一変しました

白崎なまず
ファンタジー
この世界の人間の多くは生まれてきたときにスキルを持っている。スキルの力は強大で、強力なスキルを持つ者が貧弱なスキルしか持たない者を支配する。 そんな世界に生まれた主人公アレスは大昔の英雄が所持していたとされるSランク『剣聖』を持っていたことが明らかになり一気に成り上がっていく。 王族になり、裕福な暮らしをし、将来は王女との結婚も約束され盤石な人生を歩むアレス。 しかし物事がうまくいっている時こそ人生の落とし穴には気付けないものだ。 突如現れた謎の老人に剣聖のスキルを奪われてしまったアレス。 スキルのおかげで手に入れた立場は当然スキルがなければ維持することが出来ない。 王族から下民へと落ちたアレスはこの世に絶望し、生きる気力を失いかけてしまう。 そんなアレスに手を差し伸べたのはとある教会のシスターだった。 Sランクスキルを失い、この世はスキルが全てじゃないと知ったアレス。 スキルがない自分でも前向きに生きていこうと冒険者の道へ進むことになったアレスだったのだが―― なんと、そんなアレスの元に剣聖のスキルが舞い戻ってきたのだ。 スキルを奪われたと王族から追放されたアレスが剣聖のスキルが戻ったことを隠しながら冒険者になるために学園に通う。 スキルの優劣がものを言う世界でのアレスと仲間たちの学園ファンタジー物語。 この作品は小説家になろうに投稿されている作品の重複投稿になります

詠唱? それ、気合を入れるためのおまじないですよね? ~勘違い貴族の規格外魔法譚~

Gaku
ファンタジー
「次の人生は、自由に走り回れる丈夫な体が欲しい」 病室で短い生涯を終えた僕、ガクの切実な願いは、神様のちょっとした(?)サービスで、とんでもなく盛大な形で叶えられた。 気がつけば、そこは剣と魔法が息づく異世界。貴族の三男として、念願の健康な体と、ついでに規格外の魔力を手に入れていた! これでようやく、平和で自堕落なスローライフが送れる――はずだった。 だが、僕には一つ、致命的な欠点があった。それは、この世界の魔法に関する常識が、綺麗さっぱりゼロだったこと。 皆が必死に唱える「詠唱」を、僕は「気合を入れるためのおまじない」だと勘違い。僕の魔法理論は、いつだって「体内のエネルギーを、ぐわーっと集めて、どーん!」。 その結果、 うっかり放った火の玉で、屋敷の壁に風穴を開けてしまう。 慌てて土魔法で修復すれば、なぜか元の壁より遥かに豪華絢爛な『匠の壁』が爆誕し、屋敷の新たな観光名所に。 「友達が欲しいな」と軽い気持ちで召喚魔法を使えば、天変地異の末に伝説の魔獣フェンリル(ただし、手のひらサイズの超絶可愛い子犬)を呼び出してしまう始末。 僕はただ、健康な体でのんびり暮らしたいだけなのに! 行く先々で無自覚に「やりすぎ」てしまい、気づけば周囲からは「無詠唱の暴君」「歩く災害」など、実に不名誉なあだ名で呼ばれるようになっていた……。 そんな僕が、ついに魔法学園へ入学! 当然のように入学試験では的を“消滅”させて試験官を絶句させ、「関わってはいけないヤバい奴」として輝かしい孤立生活をスタート! しかし、そんな規格外な僕に興味を持つ、二人の変わり者が現れた。 魔法の真理を探求する理論オタクの「レオ」と、強者との戦いを求める猪突猛進な武闘派女子の「アンナ」。 この二人との出会いが、モノクロだった僕の世界を、一気に鮮やかな色に変えていく――! 勘違いと無自覚チートで、知らず知らずのうちに世界を震撼させる! 腹筋崩壊のドタバタコメディを軸に、個性的な仲間たちとの友情、そして、世界の謎に迫る大冒険が、今、始まる!

転生先は上位貴族で土属性のスキルを手に入れ雑魚扱いだったものの職業は最強だった英雄異世界転生譚

熊虎屋
ファンタジー
現世で一度死んでしまったバスケットボール最強中学生の主人公「神崎 凪」は異世界転生をして上位貴族となったが魔法が土属性というハズレ属性に。 しかし職業は最強!? 自分なりの生活を楽しもうとするがいつの間にか世界の英雄に!? ハズレ属性と最強の職業で英雄となった異世界転生譚。

クラスまるごと異世界転移

八神
ファンタジー
二年生に進級してもうすぐ5月になろうとしていたある日。 ソレは突然訪れた。 『君たちに力を授けよう。その力で世界を救うのだ』 そんな自分勝手な事を言うと自称『神』は俺を含めたクラス全員を異世界へと放り込んだ。 …そして俺たちが神に与えられた力とやらは『固有スキル』なるものだった。 どうやらその能力については本人以外には分からないようになっているらしい。 …大した情報を与えられてもいないのに世界を救えと言われても… そんな突然異世界へと送られた高校生達の物語。

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

処理中です...