死闘を求めた戦闘狂、異世界で最強スキル【闘神】を授かる 〜強敵と戦うほど無限に強くなるので、神だろうが殴りに行きます〜

夏見ナイ

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第四十四話 タイタン撃破

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『愚かなる定命よ、神々の庭で塵と化すがいい』
エンシェント・タイタン、ガイア・ポロスの地響きのような声が神殿全体を揺るがした。
その山のような巨体がゆっくりと腕を振り上げる。目標は俺たちの前で盾を構えるガロウただ一人。

それはもはや拳ではなかった。
一つの山脈が天から降り注いでくるかのような、絶対的な質量を持った一撃。
神殿の床がその予備動作だけでミシリと悲鳴を上げた。

「……来やがれ、デカブツがァァァッ!!」
ガロウが全身全霊で吠えた。
彼の足元から獣の闘気が渦を巻いて立ち上り、神砕の大盾『不動』に集約していく。
盾の表面に刻まれたドワーフのルーン文字が眩い光を放ち始めた。

そして、激突。
轟音。
俺の鼓膜が破れんばかりの衝撃音が神殿を揺るがした。
タイタンの拳とガロウの盾がぶつかった一点から凄まじい衝撃波が放射状に広がり、神殿の壁に深い亀裂を走らせる。

「ぐ……おおおおおおおおっ!」
ガロウの巨体が膝まで地面にめり込んだ。その口からおびただしい量の血が噴き出す。
彼の自慢の大盾『不動』には巨大な拳の跡が深く刻まれ、そこから蜘蛛の巣のような亀裂が広がっていた。
だが、彼は倒れなかった。
獅子の戦士は、その一撃を確かに受け止めてみせたのだ。

「……な、に……?」
タイタンの感情のない声に、初めて純粋な驚愕の色が浮かんだ。
神々の番人が放った一撃を定命の者が受け止める。それは数千年の彼の歴史の中でもありえない出来事だった。

そのコンマ数秒の硬直。
俺たちにとっては永遠にも等しい好機だった。

「今です! 雷の精霊よ、神罰の鉄槌となりて彼の者を穿て!」
リリアナの詠唱が完了した。
彼女が掲げた世界樹の杖の先端に、天上の偽りの太陽よりも眩しい雷の光が収束していく。
そして、一条の巨大な雷槍となって無防備なタイタンの胸元へと放たれた。

ギャアアアアアアン!!!
耳を劈く炸裂音。
雷槍はタイタンの岩石の皮膚を貫き、その巨体に深々と突き刺さった。
弱点属性による完璧な一撃。

『グ……オオオオオオオオオッ!?』
タイタンが初めて苦悶の咆哮を上げた。
その巨体が大きくよろめき、後ずさる。
胸に突き刺さった雷槍の傷口から溶岩のような体液が流れ出し、地面をジュウジュウと焼いていった。

だが、これでもまだ致命傷には至らない。
神話級の存在はそれほどまでに頑強だった。

そして、俺の出番だった。
【闘神】のスキルはタイタンの威圧感によって、既に第三段階へと突入していた。
俺の体からは赤黒い闘気が陽炎のように立ち上り、周囲の空間を歪ませている。
今の俺ならやれる。

俺は床を蹴った。
目標はタイタンがよろめいたことで、わずかに体勢が崩れたその膝。
俺は銃弾のようにその一点へと突っ込み、全体重と全ての闘気を乗せた回し蹴りを叩き込んだ。

ドゴォォォォォン!!!
ガロウの一撃とはまた違う、内側から爆ぜるような衝撃。
タイタンの巨大な膝の関節が嫌な音を立てて砕け散った。

『グオッ!?』
片膝の自由を奪われたタイタンの巨体が大きく傾いだ。
そして、地響きを立ててその場に膝をつく。
山が俺たちの前に跪いたのだ。

だが、まだだ。
こいつの核は頭部にあるはず。
俺は膝をついたタイタンの体を、まるで駆け上がれる階段のように利用した。
その腕を駆け上がり、肩を飛び越え、巨大な顔面へと肉薄する。

タイタンは残った片腕で俺を薙ぎ払おうとする。
だが、その動きは先ほどまでとは比較にならないほど鈍い。
俺はその腕を軽々とかわし、ついにその顔の前までたどり着いた。

目はない。鼻もない。
ただ巨大な口だけがある、その顔。
俺はその口の中へと躊躇なく飛び込んだ。

タイタンの体内は灼熱の溶岩が渦巻く地獄のような空間だった。
だが、俺の闘気はその熱から俺の体を完璧に守っていた。
そして、その空間の中心。
巨大な心臓のように眩い光を放つ巨大な魔石が脈打っていた。
あれがこの番人の生命の源。核だ。

俺はその核の前で構えた。
これまで培ってきた全ての力。
大神流の技。
【闘神】のスキル。
そして、仲間との絆。

その全てを、この右拳に。

「これで、終わりだァァァァァァァッ!!」

俺の渾身の一撃が核のど真ん中に突き刺さった。

世界から音が消えた。
次の瞬間、核は内側から凄まじい光を放って爆発した。

俺は爆発の衝撃波に乗ってタイタンの口から弾丸のように射出された。
空中で体勢を立て直し、ガロウとリリアナの前に着地する。

俺の後ろで、エンシェント・タイタンの巨体がゆっくりと崩れ始めた。
その体は内側からの光によって、まるで砂の城のようにサラサラと崩壊していく。
やがてその巨体は完全に光の粒子となって掻き消え、後には静寂だけが残された。

『……見事だ、定命の者よ』
荘厳な声が神殿に響き渡った。
『汝らの力、覚悟、そして絆。確かに神々の試練を乗り越えるに値する。第一階層の突破を認めよう』

その声と共に、タイタンが座っていた玉座の背後の壁が音もなく開かれた。
その先にはさらに地下へと続く新たな階段が現れていた。

俺たちは勝ったのだ。
神々の墓場、第一階層の番人に。
Sランクパーティですら到達できなかった未知の領域への扉を、俺たちはこじ開けたのだ。

「……やったのか」
ガロウが血塗れの顔で、信じられないといった表情で呟いた。
「ええ……やりました……私たちが!」
リリアナもまた涙を浮かべてその場にへたり込んでいる。

俺は天を仰いだ。
疲労感は凄まじい。全身の骨が軋むようだ。
だが、それ以上に圧倒的な達成感が俺の心をみたしていた。
これだ。
これこそが俺が求めていた本物の死闘。

俺は膝をつく二人に手を差し伸べた。
「……行くぞ。俺たちの戦いはまだ始まったばかりだ」

二人は俺の手を取り、力強く立ち上がった。
その顔には満身創痍でありながらも揺ぎない自信と仲間への信頼が満ち溢れていた。

俺たちは新たな階段へと一歩を踏み出した。
この先にどんな試練が待っていようとも、もはや恐れるものはない。
俺たちは神々の試練を乗り越え、さらに強くなったのだから。
そして、この勝利があの仮面の剣士へと続く確かな一歩であることを、俺は確信していた。
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