死闘を求めた戦闘狂、異世界で最強スキル【闘神】を授かる 〜強敵と戦うほど無限に強くなるので、神だろうが殴りに行きます〜

夏見ナイ

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第五十話 階層の主、エンシェントドラゴン

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灼熱地獄での日々が始まった。
俺たちはファイアドレイクとの戦いを繰り返した。
最初の遭遇では死の淵を彷徨ったが、二度目、三度目と戦いを重ねるうちに、俺たちはその戦い方を完全にマスターしていった。

ガロウはもはやドレイクのブレスを脅威と感じていなかった。彼は炎の流れを読み大盾で受け流し、時にはあえて体の一部で受けてダメージを最小限に抑えながらカウンターのウォーハンマーを叩き込む。
リリアナはこの灼熱地獄を自らの庭に変えていた。世界樹の杖は周囲の熱エネルギーを無尽蔵の魔力へと変換し、彼女は水と風の精霊魔法を自在に操って戦場を支配した。炎を水蒸気爆発で相殺し、熱風を刃として敵を切り裂く。
そして俺は、闘気のコントロールを新たな領域へと昇華させていた。拳に闘気を纏わせ刃のように鋭く。足に集中させ溶岩の上を走る。俺の体術はこの極限環境の中でさらに洗練されていった。

俺たちは狩り続けた。
一体、また一体と強力な竜種を屠っていく。
その度に俺たちのステータスは上昇し、連携は研ぎ澄まされ、魂はより強固になっていった。
敗北の傷跡はもはや俺の中にはなかった。それは新たな強さを手に入れるための確かな礎となっていた。

どれくらいの日数が経っただろうか。
俺たちはこの広大な火山地帯の中心部へとたどり着いていた。
そこには巨大なカルデラが口を開けていた。直径数キロはあろうかという巨大な円形の窪地。その底には真っ赤な溶岩が湖のように静かに、しかし禍々しく広がっている。
そして、これまで感じていたどの魔物とも比較にならない圧倒的なプレッシャーが、その溶岩の湖の中心から放たれていた。

「……いるな」
俺が呟くと、ガロウとリリアナはゴクリと喉を鳴らした。
「ああ。ファイアドレイクの群れがまるで赤子のように思えるぜ……」

俺たちの目の前で、溶岩の湖がゆっくりと盛り上がり始めた。
まるで湖の底から巨大な島が浮上してくるかのように。
だが、それは島ではなかった。

最初に現れたのは、溶岩そのものが固まったかのような巨大な二本の角。
次に、山脈のように隆起した黒曜石の如き光沢を放つ背中。
そして、俺たちの全てを見下ろす巨大な頭部。
その瞳は星々が燃え盛る深淵そのものだった。

山のようだと形容されたタイタンですら子供に見える。
全長は数百メートルか、あるいはそれ以上か。もはやスケール感が麻痺していた。
全身を覆う鱗は一枚一枚が城壁のように分厚く、虹色の複雑な光を放っている。
その口から漏れる息は周囲の空気を歪ませ、岩を溶かした。

第三階層『竜の巣』の番人。
全てのドラゴンの始祖にして、神話の時代から生き続けるという生ける伝説。
エンシェントドラゴン。

『……我が眠りを妨げる、矮小なる者どもよ』
その声は咆哮ではなかった。
ただ静かに、俺たちの脳内に直接響き渡った。
だが、その響きだけで周囲の火山が共鳴するように噴火を始める。天変地異。
『我が名はイグニール。この灼熱の揺り籠の主である。汝ら、死ぬ覚悟はできたか』

ガロウの膝がわずかに震えていた。
リリアナの顔からは完全に血の気が失せている。
本能的な恐怖。
生命として格が違いすぎる。
ワイバーンが蟻なら、こいつは神だ。

だが。
俺は笑っていた。
心の底から歓喜の笑みが込み上げてくるのを抑えることができなかった。
これだ。
これこそが俺が求めていたもの。
俺の全てを、魂の最後の欠片まで燃え尽くさなければ決して届かないであろう絶対的な強者。

スキル【闘神】がこれまで経験したことのないレベルで活性化し、俺の全身の血管を駆け巡る。
敗北の記憶? そんなものはこの圧倒的な存在感を前に完全に吹き飛んでいた。

「……ようやく会えたな」
俺は静かに構えた。
その目は神話の竜を、ただの「獲物」として捉えていた。

俺の目に宿る狂気にも似た光を見て、ガロウとリリアナははっと我に返った。
そうだ。俺たちはこの男と共にここまで来たのだ。
今更、恐怖に震えている場合ではない。

「……へっ。でけえ的は殴り甲斐があるってもんだぜ!」
ガロウが大盾とウォーハンマーを構え直す。
「ええ。私たちの全てをぶつけましょう!」
リリアナもまた世界樹の杖を強く握りしめた。

俺たちの覚悟を感じ取ったのか、エンシェントドラゴン・イグニールは、その巨大な口をゆっくりと開いた。
その奥に収束していくのはもはや炎ではない。
世界そのものを消し飛ばさんとする純粋な破壊のエネルギー。
終末のブレス。

俺たちの神々への挑戦。
その最大の試練が今、始まろうとしていた。
俺は迫り来る絶対的な死を前に、ただ不敵に笑い続けた。
最高の死闘がここにある。
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