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第37話 手繋ぎ登校と周囲の反応
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シルフィード公爵邸での盛大な祝宴から一夜が明けた。
昨夜の喧騒が嘘のように俺のアパートの朝は静かだった。だがその静けさは以前の孤独なものとは全く違う。胸の奥に確かな温もりと幸福感が満ちていた。
鏡に映る自分の顔がどこか締まりなく緩んでいることに気づき、俺は慌てて頬を叩いた。
「よし」
気合を入れ直し、俺はアパートの扉を開けた。
恋人として迎える初めての朝。
その事実に足取りは自然と軽くなる。
いつものように校門の前には彼女がいた。
桜の木の下に立つ銀色の髪の天使。
俺の姿を認めると、ルナリアはぱあっと顔を輝かせて駆け寄ってきた。
その笑顔は昨日よりもさらに一層輝きを増しているように見えた。
「おはようございます、ユウキさん」
「おはよう、ルナリア。今日も早いな」
交わす言葉はいつもと同じ。だがその響きは全く違って聞こえる。
彼女の声には隠しきれない喜びと愛情が蜂蜜のように溶け込んでいた。
いつもならここで彼女は俺の腕に自分の腕を絡めてくる。
だが今日は違った。
俺は彼女が腕を伸ばすよりも早く、一歩前に出た。
そして少しだけ勇気を振り絞って、彼女の小さな手をそっと自分の手で包み込んだ。
「え…?」
ルナリアが驚いたように目を見開く。
俺は照れくささをごまかすように、少しだけ早口で言った。
「その…これからはこうしないか? 恋人なんだから」
俺の指を彼女の指の間にそっと滑り込ませる。
いわゆる恋人繋ぎというやつだ。
俺の生まれて初めての、精一杯の積極的な行動だった。
その意味を理解した瞬間、ルナリアの顔がぼんっと音を立てるかのように真っ赤に染まった。
その空色の瞳は驚きと、信じられないほどの幸福感でうるうると潤んでいる。
彼女は何も言えずに、ただこく、こくと何度も力強く頷いた。
そして俺の手を、壊れ物を扱うかのように優しく、そして力強く握り返してきた。
繋いだ手から伝わる温かいぬくもり。
指が絡み合う感触がなんだか無性に恥ずかしくて、でもそれ以上にどうしようもなく嬉しかった。
俺たちはどちらからともなく歩き始めた。
手を繋いで校門をくぐる。
その瞬間、俺たちに向けられる視線が昨日までとは全く違うことに気がついた。
好奇や嫉妬、畏怖といった色はもうどこにもない。
そこにあるのはただひたすらに温かく、そしてどこか微笑ましげな祝福の視線だった。
「おい、見ろよ…」
「ついに、手ぇ繋いでる…!」
「公式発表ってやつか…!」
すれ違う生徒たちの囁き声が俺たちの耳に届く。
だがその声には棘がなかった。
「まあ、知ってたけどな」
「うん、知ってた」
「でも、やっぱり…尊い…」
「本当、お幸せにって感じだよね」
女子生徒たちのグループがうっとりとした表情でこちらを見ながら、そんな会話を交わしている。
男子生徒たちも嫉妬するどころか、どこか諦めたように、そして清々しい顔で俺たちに手を振ってきたりする。
それは学園全体が俺たちの恋を、一つの美しい物語として受け入れ、祝福してくれているかのようだった。
教室までの道のりは祝福のシャワーを浴びる道のりだった。
その全てが少しだけ気恥ずかしくて、でも誇らしかった。
隣を歩くルナリアは顔を真っ赤にしたまま俯いているが、繋いだ手に込められた力と、その口元に浮かんだ幸せそうな笑みが彼女の気持ちを雄弁に物語っていた。
教室の扉を開けると、そこにはさらに直接的な祝福が待っていた。
俺たちの姿を認めた瞬間、クラリスがぱんと手を叩いた。
「皆様! 我らが伝説のカップルのご登校ですわよ!」
その言葉を皮切りに、クラスメイトたちが一斉に拍手をし、口笛を鳴らした。
「よっ! 幸せカップル!」
「ユウキ、隅に置けないな!」
ブラウンたちがからかうように、しかし満面の笑みで声をかけてくる。
俺は「やめろよ」と照れ笑いを返すことしかできない。
クラリスは俺たちの繋がれた手を見ると、感極まった様子でハンチで目頭を押さえた。
「素晴らしいですわ…! なんて美しい光景なのでしょう…! これでこそわたくしが応援するにふさわしいお二人ですわ!」
彼女の瞳は本気で感動の涙に潤んでいた。
本当に彼女は俺たちの幸せを自分のことのように喜んでくれているのだ。
俺たちはクラスメイトたちの温かい(というより生暖かい)祝福の視線の中を通り抜け、自分たちの席に着いた。
席に着いても繋いだ手を離すのがなんだか名残惜しかった。
その気持ちはルナリアも同じだったらしい。
彼女は机の下でそっと俺の小指に自分の小指を絡めてきた。
誰にも見えない二人だけの秘密の繋がり。
そのささやかなイチャつきに、俺の心臓は甘く跳ねた。
恋人同士としての初めての朝。
それは世界中からの祝福を受けているかのような、どこまでも甘く、そして幸せな時間の始まりだった。
もう俺の胃が痛むことはないのかもしれない。
いや、これから始まるであろうさらに甘い日常に、別の意味で胃がもたれることになるのかもしれないが。
俺は机の下で感じる彼女の指の温もりに、そんな未来への期待を膨らませるのだった。
昨夜の喧騒が嘘のように俺のアパートの朝は静かだった。だがその静けさは以前の孤独なものとは全く違う。胸の奥に確かな温もりと幸福感が満ちていた。
鏡に映る自分の顔がどこか締まりなく緩んでいることに気づき、俺は慌てて頬を叩いた。
「よし」
気合を入れ直し、俺はアパートの扉を開けた。
恋人として迎える初めての朝。
その事実に足取りは自然と軽くなる。
いつものように校門の前には彼女がいた。
桜の木の下に立つ銀色の髪の天使。
俺の姿を認めると、ルナリアはぱあっと顔を輝かせて駆け寄ってきた。
その笑顔は昨日よりもさらに一層輝きを増しているように見えた。
「おはようございます、ユウキさん」
「おはよう、ルナリア。今日も早いな」
交わす言葉はいつもと同じ。だがその響きは全く違って聞こえる。
彼女の声には隠しきれない喜びと愛情が蜂蜜のように溶け込んでいた。
いつもならここで彼女は俺の腕に自分の腕を絡めてくる。
だが今日は違った。
俺は彼女が腕を伸ばすよりも早く、一歩前に出た。
そして少しだけ勇気を振り絞って、彼女の小さな手をそっと自分の手で包み込んだ。
「え…?」
ルナリアが驚いたように目を見開く。
俺は照れくささをごまかすように、少しだけ早口で言った。
「その…これからはこうしないか? 恋人なんだから」
俺の指を彼女の指の間にそっと滑り込ませる。
いわゆる恋人繋ぎというやつだ。
俺の生まれて初めての、精一杯の積極的な行動だった。
その意味を理解した瞬間、ルナリアの顔がぼんっと音を立てるかのように真っ赤に染まった。
その空色の瞳は驚きと、信じられないほどの幸福感でうるうると潤んでいる。
彼女は何も言えずに、ただこく、こくと何度も力強く頷いた。
そして俺の手を、壊れ物を扱うかのように優しく、そして力強く握り返してきた。
繋いだ手から伝わる温かいぬくもり。
指が絡み合う感触がなんだか無性に恥ずかしくて、でもそれ以上にどうしようもなく嬉しかった。
俺たちはどちらからともなく歩き始めた。
手を繋いで校門をくぐる。
その瞬間、俺たちに向けられる視線が昨日までとは全く違うことに気がついた。
好奇や嫉妬、畏怖といった色はもうどこにもない。
そこにあるのはただひたすらに温かく、そしてどこか微笑ましげな祝福の視線だった。
「おい、見ろよ…」
「ついに、手ぇ繋いでる…!」
「公式発表ってやつか…!」
すれ違う生徒たちの囁き声が俺たちの耳に届く。
だがその声には棘がなかった。
「まあ、知ってたけどな」
「うん、知ってた」
「でも、やっぱり…尊い…」
「本当、お幸せにって感じだよね」
女子生徒たちのグループがうっとりとした表情でこちらを見ながら、そんな会話を交わしている。
男子生徒たちも嫉妬するどころか、どこか諦めたように、そして清々しい顔で俺たちに手を振ってきたりする。
それは学園全体が俺たちの恋を、一つの美しい物語として受け入れ、祝福してくれているかのようだった。
教室までの道のりは祝福のシャワーを浴びる道のりだった。
その全てが少しだけ気恥ずかしくて、でも誇らしかった。
隣を歩くルナリアは顔を真っ赤にしたまま俯いているが、繋いだ手に込められた力と、その口元に浮かんだ幸せそうな笑みが彼女の気持ちを雄弁に物語っていた。
教室の扉を開けると、そこにはさらに直接的な祝福が待っていた。
俺たちの姿を認めた瞬間、クラリスがぱんと手を叩いた。
「皆様! 我らが伝説のカップルのご登校ですわよ!」
その言葉を皮切りに、クラスメイトたちが一斉に拍手をし、口笛を鳴らした。
「よっ! 幸せカップル!」
「ユウキ、隅に置けないな!」
ブラウンたちがからかうように、しかし満面の笑みで声をかけてくる。
俺は「やめろよ」と照れ笑いを返すことしかできない。
クラリスは俺たちの繋がれた手を見ると、感極まった様子でハンチで目頭を押さえた。
「素晴らしいですわ…! なんて美しい光景なのでしょう…! これでこそわたくしが応援するにふさわしいお二人ですわ!」
彼女の瞳は本気で感動の涙に潤んでいた。
本当に彼女は俺たちの幸せを自分のことのように喜んでくれているのだ。
俺たちはクラスメイトたちの温かい(というより生暖かい)祝福の視線の中を通り抜け、自分たちの席に着いた。
席に着いても繋いだ手を離すのがなんだか名残惜しかった。
その気持ちはルナリアも同じだったらしい。
彼女は机の下でそっと俺の小指に自分の小指を絡めてきた。
誰にも見えない二人だけの秘密の繋がり。
そのささやかなイチャつきに、俺の心臓は甘く跳ねた。
恋人同士としての初めての朝。
それは世界中からの祝福を受けているかのような、どこまでも甘く、そして幸せな時間の始まりだった。
もう俺の胃が痛むことはないのかもしれない。
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