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第71話:愛の告白
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夜空を彩っていた花火が最後の一輪を大きく咲かせて、静かに消えていった。
後に残されたのは星々の瞬きと、穏やかな夜の静寂。
アシュレイとリリアーナの舞踏もいつしか止まっていた。しかし、二人は抱き合ったまま離れようとはしなかった。
「……リリアーナ」
アシュレイが囁くような声で彼女の名を呼んだ。その声はいつもより低く、熱を帯びて震えている。
リリアーナは彼の胸に顔をうずめたまま、小さく「はい」と答えた。彼の心臓が、先ほどよりもさらに速く力強く鼓動しているのが伝わってくる。
アシュレイはそっと彼女の体を離すと、その両肩を掴んだ。そして、リリアーナの瞳を真っ直ぐに見つめた。
その青い瞳にはもう氷の冷たさはなかった。
代わりに夜の湖のように深く、そして燃える星のように熱い、抑えきれないほどの愛情が激しく揺らめいていた。
「お前に、伝えなければならないことがある」
彼の真剣な眼差しに、リリアーナは息をのんだ。
これから告げられるであろう言葉を予感し、彼女の心臓もまた大きく高鳴り始める。
アシュレイは一度深く息を吸い込んだ。
十七年間、感情を殺し言葉を飲み込んできた彼にとって、それは人生で最も勇気のいる瞬間だった。
しかし、もう迷いはなかった。
「俺の世界は、ずっと氷に閉ざされていた」
彼は静かに語り始めた。
「色もなく、音もなく、温もりもない。ただ凍てついた灰色だけの世界。呪いの苦痛に耐え、感情を殺し、ただ生きるためだけに生きてきた。それが俺の全てだった」
彼の言葉はリリアー-ナの胸を締め付けた。彼が歩んできた、あまりにも長く孤独な道のり。
「だが、お前が現れた」
アシュレイの瞳がさらに熱を帯びる。
「森で死にかけていた俺の前にお前は現れた。そして、俺の凍てついた世界に初めて光を灯してくれた。お前の優しさが、笑顔が、そしてその温もりが俺の心の氷を少しずつ溶かしていった」
彼はそっと手を伸ばし、リリアーナの頬に触れた。その指先は不器用に震えている。
「お前といると俺は俺でなくなっていく。忘れていたはずの感情が溢れ出し、胸が熱くなりどうにかなってしまいそうになる。最初はそれが怖かった。だが、今は違う」
彼の親指がリリアーナの唇を、慈しむようにそっと撫でた。
「この感情こそが、俺が生きている証なのだと、お前が教えてくれた」
そして、彼はついにその言葉を口にした。
飾り気のない、しかし彼の魂の全てを込めたたった一言。
「愛している、リリアーナ」
その言葉は静かな夜の空気に、深く、そして優しく染み渡っていった。
リリアーナの瞳から大粒の涙が止めどなく溢れ出した。
ずっと聞きたかった言葉。
夢にまで見た愛の告白。
「俺の凍てついた世界を溶かしてくれた唯一の光だ。俺の全てをお前に捧げたい。だから……俺のものになってくれ」
それは問いかけではなかった。
彼の魂からの切実な願いだった。
リリアーナは涙に濡れた笑顔で、何度も、何度も頷いた。
「……はい」
ようやく絞り出した声は、喜びで震えていた。
「私もです、アシュレイ様。わたくしも、あなた様を……愛しております」
彼女は自分の気持ちをはっきりと口にした。
「あなた様がわたくしの生きる世界を教えてくださいました。灰色の牢獄にいたわたくしを光の中へ連れ出してくださった。あなた様こそがわたくしの唯一の光です」
互いの想いが完全に一つになった。
アシュレイはその答えを聞くと安堵したように、そしてたまらないというようにリリアー-ナの体を強く抱きしめた。
「……リリアーナ」
彼は何度も彼女の名を呼んだ。まるでその名を呼ぶことで、この奇跡が現実であることを確かめるかのように。
二人の間にもう言葉は必要なかった。
ただ互いの存在を確かめ合うように、強く、強く抱きしめ合う。
長い、長い夜がようやく明けようとしていた。
凍てついていた皇子の心に、そして虐げられていた令嬢の心に、真実の愛という名の温かい朝日が昇り始めていた。
後に残されたのは星々の瞬きと、穏やかな夜の静寂。
アシュレイとリリアーナの舞踏もいつしか止まっていた。しかし、二人は抱き合ったまま離れようとはしなかった。
「……リリアーナ」
アシュレイが囁くような声で彼女の名を呼んだ。その声はいつもより低く、熱を帯びて震えている。
リリアーナは彼の胸に顔をうずめたまま、小さく「はい」と答えた。彼の心臓が、先ほどよりもさらに速く力強く鼓動しているのが伝わってくる。
アシュレイはそっと彼女の体を離すと、その両肩を掴んだ。そして、リリアーナの瞳を真っ直ぐに見つめた。
その青い瞳にはもう氷の冷たさはなかった。
代わりに夜の湖のように深く、そして燃える星のように熱い、抑えきれないほどの愛情が激しく揺らめいていた。
「お前に、伝えなければならないことがある」
彼の真剣な眼差しに、リリアーナは息をのんだ。
これから告げられるであろう言葉を予感し、彼女の心臓もまた大きく高鳴り始める。
アシュレイは一度深く息を吸い込んだ。
十七年間、感情を殺し言葉を飲み込んできた彼にとって、それは人生で最も勇気のいる瞬間だった。
しかし、もう迷いはなかった。
「俺の世界は、ずっと氷に閉ざされていた」
彼は静かに語り始めた。
「色もなく、音もなく、温もりもない。ただ凍てついた灰色だけの世界。呪いの苦痛に耐え、感情を殺し、ただ生きるためだけに生きてきた。それが俺の全てだった」
彼の言葉はリリアー-ナの胸を締め付けた。彼が歩んできた、あまりにも長く孤独な道のり。
「だが、お前が現れた」
アシュレイの瞳がさらに熱を帯びる。
「森で死にかけていた俺の前にお前は現れた。そして、俺の凍てついた世界に初めて光を灯してくれた。お前の優しさが、笑顔が、そしてその温もりが俺の心の氷を少しずつ溶かしていった」
彼はそっと手を伸ばし、リリアーナの頬に触れた。その指先は不器用に震えている。
「お前といると俺は俺でなくなっていく。忘れていたはずの感情が溢れ出し、胸が熱くなりどうにかなってしまいそうになる。最初はそれが怖かった。だが、今は違う」
彼の親指がリリアーナの唇を、慈しむようにそっと撫でた。
「この感情こそが、俺が生きている証なのだと、お前が教えてくれた」
そして、彼はついにその言葉を口にした。
飾り気のない、しかし彼の魂の全てを込めたたった一言。
「愛している、リリアーナ」
その言葉は静かな夜の空気に、深く、そして優しく染み渡っていった。
リリアーナの瞳から大粒の涙が止めどなく溢れ出した。
ずっと聞きたかった言葉。
夢にまで見た愛の告白。
「俺の凍てついた世界を溶かしてくれた唯一の光だ。俺の全てをお前に捧げたい。だから……俺のものになってくれ」
それは問いかけではなかった。
彼の魂からの切実な願いだった。
リリアーナは涙に濡れた笑顔で、何度も、何度も頷いた。
「……はい」
ようやく絞り出した声は、喜びで震えていた。
「私もです、アシュレイ様。わたくしも、あなた様を……愛しております」
彼女は自分の気持ちをはっきりと口にした。
「あなた様がわたくしの生きる世界を教えてくださいました。灰色の牢獄にいたわたくしを光の中へ連れ出してくださった。あなた様こそがわたくしの唯一の光です」
互いの想いが完全に一つになった。
アシュレイはその答えを聞くと安堵したように、そしてたまらないというようにリリアー-ナの体を強く抱きしめた。
「……リリアーナ」
彼は何度も彼女の名を呼んだ。まるでその名を呼ぶことで、この奇跡が現実であることを確かめるかのように。
二人の間にもう言葉は必要なかった。
ただ互いの存在を確かめ合うように、強く、強く抱きしめ合う。
長い、長い夜がようやく明けようとしていた。
凍てついていた皇子の心に、そして虐げられていた令嬢の心に、真実の愛という名の温かい朝日が昇り始めていた。
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