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第19話:ゴブリンの脅威、連携戦闘
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「妙な気配……ゴブリンとは違う、だと?」
グレイは眉をひそめ、リオの言葉を反芻した。彼の鋭い目が、ゴブリン集落の奥、木々が鬱蒼と茂る方角へと向けられる。
「はい。まだはっきりとは分かりませんが……何か、古く、強い……魔力のようなものを感じます。ゴブリンたちが、それを祀っているのか、あるいは利用しているのか……」
「あるいは、囚われているのかもね……」
リリアナが付け加えた。彼女も精霊魔法を通じて、集落の奥から発せられる微弱ながらも異質な波動を感じ取っているようだった。
「どちらにせよ、まずは目の前のゴブリンどもを片付けるのが先決だ」グレイは結論付けた。「正面突破は避け、奇襲をかける。俺が前に出て奴らの注意を引きつけ、数を減らす。リオ、お前は後方から【言語魔法】で敵の位置や動きを知らせろ。可能なら、魔法で援護しろ。リリアナ、お前はリオの護衛と、俺への補助を頼む」
グレイの指示は的確で、無駄がなかった。彼は即座に三人の能力を把握し、最も効率的な役割分担を導き出したのだ。
「了解しました」
「分かったわ」
リオとリリアナは頷いた。
「よし、行くぞ。音を立てるな」
グレイを先頭に、三人は音もなく集落へと近づいていく。茂みや木の陰を利用し、ゴブリンたちの視界から巧みに身を隠しながら。リオは【言語魔法】でゴブリンたちの思考や視線の動きを読み取り、最適な潜入経路をグレイに小声で伝える。
『見張り……二人……東側……油断』
『焚き火……囲む……五匹……食事中』
『ホブゴブリン……小屋の中……居眠り……?』
リオの情報は、グレイにとって非常に有効だったようだ。彼は一度だけ後ろを振り返り、リオに小さく頷いて見せた。それは、彼の能力を認めた、という合図のように思えた。
集落の柵の近くまで到達した。見張りのゴブリンは、リオの情報通り、退屈そうにあくびをしている。
「……今だ」
グレイが囁くと同時に、彼は疾風のように茂みから飛び出した。その動きはあまりにも速く、見張りのゴブリンたちは反応することすらできない。グレイのロングソードが閃き、峰打ちで二匹の見張りを一瞬で沈黙させた。
「な、何だ!?」
「侵入者だ!」
焚き火を囲んでいたゴブリンたちが、異変に気づき、慌てて武器を手に取る。しかし、すでに遅かった。グレイはそのまま集落の中心へと突入し、驚くべき速さと正確さでゴブリンたちを次々と打ち倒していく。峰打ちとはいえ、その威力はゴブリンを一撃で気絶させるには十分だった。
「グルァァァ!」
小屋の中から、怒りの咆哮と共に、ひときわ大きな影が現れた。ホブゴブリンだ。身長はリオよりも高く、筋骨隆々とした体に、巨大な鉄製の棍棒を握りしめている。その目は血走り、明らかな敵意を剥き出しにしてグレイを睨みつけた。
「リオさん、来るわ!」
リリアナが警告し、杖を構える。
ホブゴブリンは、その巨体に見合わぬ俊敏さでグレイに襲いかかった。棍棒が風を切り、轟音と共に振り下ろされる。グレイはそれを紙一重でかわし、ロングソードで反撃を試みるが、ホブゴブリンの皮膚は硬く、峰打ちでは有効なダメージを与えられないようだ。
「チッ、硬いな……!」
グレイが舌打ちする。ホブゴブリンは棍棒を横薙ぎに振るい、グレイを吹き飛ばそうとする。
「【プロテクト・ウォール】!」
リオが咄嗟に防御魔法を展開する。光の壁がグレイの背後に出現し、棍棒の衝撃を受け止めた。壁は激しく震え、大きな音を立てるが、なんとか持ちこたえている。
「助かった、リオ!」
グレイが体勢を立て直しながら叫んだ。
「風よ、彼の動きを鈍らせて! 【ウィンド・バインド】!」
リリアナが精霊魔法を放つ。風の渦がホブゴブリンの足元に絡みつき、その動きをわずかに鈍らせた。
(今が好機だ! でも、峰打ちじゃ倒せない……かといって、斬りつければ……いや、待てよ)
リオは【言語魔法】でホブゴブリンの思考を探った。痛みへの恐怖、リーダーとしてのプライド、そして……
(棍棒を持つ右腕……古傷があるのか? 動きが少し鈍い……!)
ホブゴブリンの思考の断片から、右腕に古傷を抱えていることを読み取った。そこが弱点かもしれない。
「グレイさん! 右腕です! 古傷があるはず!」
リオは叫んだ。
「右腕だと!?」
グレイは一瞬驚いた表情を見せたが、すぐにリオの言葉を信じたようだ。彼はホブゴブリンの注意を正面に引きつけながら、巧みなステップでその右側へと回り込む。リリアナの【ウィンド・バインド】で動きが鈍っているホブゴブリンは、グレイの素早い動きに対応できない。
グレイのロングソードが閃く。今度は峰打ちではない。狙いは正確に、ホブゴブリンの右腕の付け根。剣先が硬い皮膚を切り裂き、緑色の血がわずかに飛び散った。
「グギャァァァ!!」
ホブゴブリンは、古傷を的確に突かれ、激痛に顔を歪めて絶叫した。棍棒を持つ力が抜け、武器が手から滑り落ちる。
グレイはその隙を逃さなかった。彼は即座に剣の柄でホブゴブリンの顎を打ち上げ、さらに続け様に胴体に強烈な蹴りを叩き込んだ。巨体がバランスを崩し、轟音と共に地面に倒れ伏す。そのまま動かなくなった。おそらく、気絶したのだろう。
「……やった!」
リオは安堵の息をついた。三人の連携が、見事に強敵を打ち倒したのだ。
残りのゴブリンたちは、リーダーであるホブゴブリンが倒されたのを見て、完全に戦意を喪失したようだった。蜘蛛の子を散らすように逃げ出そうとする。
「逃がすな!」
グレイが指示を飛ばす。リオは逃げるゴブリンたちの足元に【リペア・フラグメント】の応用で地面を一時的に粘つかせ、動きを鈍らせた。リリアナは風の魔法で彼らを転ばせ、グレイが峰打ちで確実に気絶させていく。
数分後、集落にいたゴブリンたちは、一匹残らず無力化されていた。死者は出さずに、討伐依頼の目的は達成されたと言えるだろう。
「……ふぅ。終わったか」
グレイは剣についた土を払いながら、息をついた。彼の額にも、わずかに汗が滲んでいる。
「お疲れ様です、グレイさん。見事な剣技でした」
「あなたたちのおかげよ、グレイさん。それに、リオさんの機転も素晴らしかったわ」
リオとリリアナが、互いの健闘を称え合う。グレイは、そんな二人を少しだけ意外そうな顔で見ていたが、やがて、ふっと口元に微かな笑みを浮かべたように見えた。それはすぐに消えてしまったが、リオは見逃さなかった。
「……まあ、悪くない連携だったな」
グレイはぶっきらぼうに言ったが、その声には、以前のような刺々しさは少し和らいでいるように感じられた。
「さて、問題は……」リオは集落の奥へと視線を向けた。「あの妙な気配だ」
戦闘の興奮が冷めると、集落の奥から漂ってくる異質な気配が、より一層強く感じられるようになっていた。それは、明らかにゴブリンたちのものではない。もっと古く、重く、そしてどこか悲しげな気配だった。
「確かめに行きましょう」
リリアナが頷いた。
三人は、気絶したゴブリンたちをロープで縛り上げ(後でギルドに報告し、引き渡しが必要だ)、集落の奥へと足を踏み入れた。小屋がまばらになり、木々がより深く生い茂っている。地面には苔が生え、空気はひんやりと湿り気を帯びていた。
やがて、三人は開けた場所にたどり着いた。そこは、集落の他の場所とは明らかに雰囲気が異なっていた。地面には奇妙な模様が描かれ、いくつかの石柱が不規則に立てられている。そして、その中央には……。
「これは……祭壇?」
リリアナが息を呑んだ。そこには、粗末ながらも明らかに人工的に作られた石の祭壇があった。祭壇の上には、動物の骨や、奇妙な護符のようなものが散乱している。ゴブリンたちが、ここで何らかの儀式を行っていたのだろうか。
しかし、リオの注意を引いたのは、祭壇そのものではなかった。祭壇の後ろ、苔むした岩壁の一部。そこだけが、他とは明らかに違う質感を持っている。まるで、取ってつけたように滑らかな石材が嵌め込まれており、その表面には微かに古代文字のようなものが刻まれているのが見えた。
「……まさか」
リオは祭壇に近づき、その岩壁に触れた。【言語魔法】で、そこに込められた情報を読み取る。
『……封印……古き……眠り……』
『……穢れ……近づく……目覚め……近い……』
『……守り手……失われ……嘆き……響く……』
(封印!? やはり、ここにも……! しかも、穢れ……ゴブリンたちのことか? 彼らがここに住み着いたことで、封印が弱まっている……?)
そして、リオは気づいた。この岩壁から、あの古く、強く、そして悲しげな気配が発せられていることに。
「リリアナさん、グレイさん、見てください! この壁……!」
リオが二人を呼ぶ。リリアナは駆け寄り、壁に刻まれた文字を見て目を見開いた。
「古代文字……! しかも、あの遺跡で見た『星詠みの民』のものと酷似しているわ! ここは、もしかして……!」
「古代遺跡の一部……ということか?」
グレイも、事態の異常さに気づき、険しい表情で壁を見つめている。
ゴブリン討伐の依頼は、予期せぬ形で、新たな謎へと繋がろうとしていた。この壁の向こうに、一体何が封印されているのか? そして、「目覚めが近い」とは何を意味するのか?
三人は、古代の秘密が眠る可能性のある壁の前で、言葉を失っていた。フロンティアの森の奥深くで、彼らはまたしても、世界の根幹に関わるかもしれない大きな謎の入り口に立ってしまったのだ。
グレイは眉をひそめ、リオの言葉を反芻した。彼の鋭い目が、ゴブリン集落の奥、木々が鬱蒼と茂る方角へと向けられる。
「はい。まだはっきりとは分かりませんが……何か、古く、強い……魔力のようなものを感じます。ゴブリンたちが、それを祀っているのか、あるいは利用しているのか……」
「あるいは、囚われているのかもね……」
リリアナが付け加えた。彼女も精霊魔法を通じて、集落の奥から発せられる微弱ながらも異質な波動を感じ取っているようだった。
「どちらにせよ、まずは目の前のゴブリンどもを片付けるのが先決だ」グレイは結論付けた。「正面突破は避け、奇襲をかける。俺が前に出て奴らの注意を引きつけ、数を減らす。リオ、お前は後方から【言語魔法】で敵の位置や動きを知らせろ。可能なら、魔法で援護しろ。リリアナ、お前はリオの護衛と、俺への補助を頼む」
グレイの指示は的確で、無駄がなかった。彼は即座に三人の能力を把握し、最も効率的な役割分担を導き出したのだ。
「了解しました」
「分かったわ」
リオとリリアナは頷いた。
「よし、行くぞ。音を立てるな」
グレイを先頭に、三人は音もなく集落へと近づいていく。茂みや木の陰を利用し、ゴブリンたちの視界から巧みに身を隠しながら。リオは【言語魔法】でゴブリンたちの思考や視線の動きを読み取り、最適な潜入経路をグレイに小声で伝える。
『見張り……二人……東側……油断』
『焚き火……囲む……五匹……食事中』
『ホブゴブリン……小屋の中……居眠り……?』
リオの情報は、グレイにとって非常に有効だったようだ。彼は一度だけ後ろを振り返り、リオに小さく頷いて見せた。それは、彼の能力を認めた、という合図のように思えた。
集落の柵の近くまで到達した。見張りのゴブリンは、リオの情報通り、退屈そうにあくびをしている。
「……今だ」
グレイが囁くと同時に、彼は疾風のように茂みから飛び出した。その動きはあまりにも速く、見張りのゴブリンたちは反応することすらできない。グレイのロングソードが閃き、峰打ちで二匹の見張りを一瞬で沈黙させた。
「な、何だ!?」
「侵入者だ!」
焚き火を囲んでいたゴブリンたちが、異変に気づき、慌てて武器を手に取る。しかし、すでに遅かった。グレイはそのまま集落の中心へと突入し、驚くべき速さと正確さでゴブリンたちを次々と打ち倒していく。峰打ちとはいえ、その威力はゴブリンを一撃で気絶させるには十分だった。
「グルァァァ!」
小屋の中から、怒りの咆哮と共に、ひときわ大きな影が現れた。ホブゴブリンだ。身長はリオよりも高く、筋骨隆々とした体に、巨大な鉄製の棍棒を握りしめている。その目は血走り、明らかな敵意を剥き出しにしてグレイを睨みつけた。
「リオさん、来るわ!」
リリアナが警告し、杖を構える。
ホブゴブリンは、その巨体に見合わぬ俊敏さでグレイに襲いかかった。棍棒が風を切り、轟音と共に振り下ろされる。グレイはそれを紙一重でかわし、ロングソードで反撃を試みるが、ホブゴブリンの皮膚は硬く、峰打ちでは有効なダメージを与えられないようだ。
「チッ、硬いな……!」
グレイが舌打ちする。ホブゴブリンは棍棒を横薙ぎに振るい、グレイを吹き飛ばそうとする。
「【プロテクト・ウォール】!」
リオが咄嗟に防御魔法を展開する。光の壁がグレイの背後に出現し、棍棒の衝撃を受け止めた。壁は激しく震え、大きな音を立てるが、なんとか持ちこたえている。
「助かった、リオ!」
グレイが体勢を立て直しながら叫んだ。
「風よ、彼の動きを鈍らせて! 【ウィンド・バインド】!」
リリアナが精霊魔法を放つ。風の渦がホブゴブリンの足元に絡みつき、その動きをわずかに鈍らせた。
(今が好機だ! でも、峰打ちじゃ倒せない……かといって、斬りつければ……いや、待てよ)
リオは【言語魔法】でホブゴブリンの思考を探った。痛みへの恐怖、リーダーとしてのプライド、そして……
(棍棒を持つ右腕……古傷があるのか? 動きが少し鈍い……!)
ホブゴブリンの思考の断片から、右腕に古傷を抱えていることを読み取った。そこが弱点かもしれない。
「グレイさん! 右腕です! 古傷があるはず!」
リオは叫んだ。
「右腕だと!?」
グレイは一瞬驚いた表情を見せたが、すぐにリオの言葉を信じたようだ。彼はホブゴブリンの注意を正面に引きつけながら、巧みなステップでその右側へと回り込む。リリアナの【ウィンド・バインド】で動きが鈍っているホブゴブリンは、グレイの素早い動きに対応できない。
グレイのロングソードが閃く。今度は峰打ちではない。狙いは正確に、ホブゴブリンの右腕の付け根。剣先が硬い皮膚を切り裂き、緑色の血がわずかに飛び散った。
「グギャァァァ!!」
ホブゴブリンは、古傷を的確に突かれ、激痛に顔を歪めて絶叫した。棍棒を持つ力が抜け、武器が手から滑り落ちる。
グレイはその隙を逃さなかった。彼は即座に剣の柄でホブゴブリンの顎を打ち上げ、さらに続け様に胴体に強烈な蹴りを叩き込んだ。巨体がバランスを崩し、轟音と共に地面に倒れ伏す。そのまま動かなくなった。おそらく、気絶したのだろう。
「……やった!」
リオは安堵の息をついた。三人の連携が、見事に強敵を打ち倒したのだ。
残りのゴブリンたちは、リーダーであるホブゴブリンが倒されたのを見て、完全に戦意を喪失したようだった。蜘蛛の子を散らすように逃げ出そうとする。
「逃がすな!」
グレイが指示を飛ばす。リオは逃げるゴブリンたちの足元に【リペア・フラグメント】の応用で地面を一時的に粘つかせ、動きを鈍らせた。リリアナは風の魔法で彼らを転ばせ、グレイが峰打ちで確実に気絶させていく。
数分後、集落にいたゴブリンたちは、一匹残らず無力化されていた。死者は出さずに、討伐依頼の目的は達成されたと言えるだろう。
「……ふぅ。終わったか」
グレイは剣についた土を払いながら、息をついた。彼の額にも、わずかに汗が滲んでいる。
「お疲れ様です、グレイさん。見事な剣技でした」
「あなたたちのおかげよ、グレイさん。それに、リオさんの機転も素晴らしかったわ」
リオとリリアナが、互いの健闘を称え合う。グレイは、そんな二人を少しだけ意外そうな顔で見ていたが、やがて、ふっと口元に微かな笑みを浮かべたように見えた。それはすぐに消えてしまったが、リオは見逃さなかった。
「……まあ、悪くない連携だったな」
グレイはぶっきらぼうに言ったが、その声には、以前のような刺々しさは少し和らいでいるように感じられた。
「さて、問題は……」リオは集落の奥へと視線を向けた。「あの妙な気配だ」
戦闘の興奮が冷めると、集落の奥から漂ってくる異質な気配が、より一層強く感じられるようになっていた。それは、明らかにゴブリンたちのものではない。もっと古く、重く、そしてどこか悲しげな気配だった。
「確かめに行きましょう」
リリアナが頷いた。
三人は、気絶したゴブリンたちをロープで縛り上げ(後でギルドに報告し、引き渡しが必要だ)、集落の奥へと足を踏み入れた。小屋がまばらになり、木々がより深く生い茂っている。地面には苔が生え、空気はひんやりと湿り気を帯びていた。
やがて、三人は開けた場所にたどり着いた。そこは、集落の他の場所とは明らかに雰囲気が異なっていた。地面には奇妙な模様が描かれ、いくつかの石柱が不規則に立てられている。そして、その中央には……。
「これは……祭壇?」
リリアナが息を呑んだ。そこには、粗末ながらも明らかに人工的に作られた石の祭壇があった。祭壇の上には、動物の骨や、奇妙な護符のようなものが散乱している。ゴブリンたちが、ここで何らかの儀式を行っていたのだろうか。
しかし、リオの注意を引いたのは、祭壇そのものではなかった。祭壇の後ろ、苔むした岩壁の一部。そこだけが、他とは明らかに違う質感を持っている。まるで、取ってつけたように滑らかな石材が嵌め込まれており、その表面には微かに古代文字のようなものが刻まれているのが見えた。
「……まさか」
リオは祭壇に近づき、その岩壁に触れた。【言語魔法】で、そこに込められた情報を読み取る。
『……封印……古き……眠り……』
『……穢れ……近づく……目覚め……近い……』
『……守り手……失われ……嘆き……響く……』
(封印!? やはり、ここにも……! しかも、穢れ……ゴブリンたちのことか? 彼らがここに住み着いたことで、封印が弱まっている……?)
そして、リオは気づいた。この岩壁から、あの古く、強く、そして悲しげな気配が発せられていることに。
「リリアナさん、グレイさん、見てください! この壁……!」
リオが二人を呼ぶ。リリアナは駆け寄り、壁に刻まれた文字を見て目を見開いた。
「古代文字……! しかも、あの遺跡で見た『星詠みの民』のものと酷似しているわ! ここは、もしかして……!」
「古代遺跡の一部……ということか?」
グレイも、事態の異常さに気づき、険しい表情で壁を見つめている。
ゴブリン討伐の依頼は、予期せぬ形で、新たな謎へと繋がろうとしていた。この壁の向こうに、一体何が封印されているのか? そして、「目覚めが近い」とは何を意味するのか?
三人は、古代の秘密が眠る可能性のある壁の前で、言葉を失っていた。フロンティアの森の奥深くで、彼らはまたしても、世界の根幹に関わるかもしれない大きな謎の入り口に立ってしまったのだ。
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