鑑定スキルで万物を見抜く俺、実は女の子の好感度も丸見えです

夏見ナイ

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第50話:仲間たちの壁

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アレンの明確な拒絶は、その場を凍りつかせた。特に勇者レオの顔は怒りと屈辱で見るも無惨に歪んでいた。彼は、自分の権威が、かつて見下していた男によって完全に否定されたという事実を受け入れられずにいた。
「貴様……! 少し辺境でチヤホヤされたからといって、増長しおって!」
レオが、ついに腰の聖剣の柄に手をかけた。その目には理性を失った獣のような光が宿っている。
「そのふざけた口が二度と利けなくしてやろうか!」
殺気。本物の殺気がレオから放たれる。リリアが「勇者様、おやめください!」と悲鳴のような声を上げた。
だが、レオが剣を抜き放つよりも早く、一つの小さな影がアレンの前に飛び出していた。
「それ以上、アレン様を侮辱する人は私が許しません!」
ルナだった。彼女は自分よりも遥かに大きな勇者を前にして、一歩も引かずに睨みつけている。その小さな体は怒りでわなわなと震え、普段は愛らしい猫の耳は警戒心からぴんと張り詰めていた。
「なんだ、この獣人の小娘は! どけ!」
レオが怒鳴りつける。だが、ルナは動かない。

そのルナの隣に、もう一つの影が音もなく立った。
「借りがあるのは、お前たちの方だろう」
シルフィだった。彼女は冷たい氷のような視線でレオを射抜きながら、静かに告げた。
「彼の才能を見抜けず、その価値を理解しようともせず、一方的に切り捨てたのはお前たちだ。今更どの面を下げて彼に助けを乞う? 恥を知れ」
その言葉は、どんな罵倒よりも鋭くレオの心を抉った。
「なっ……!」
レオが言葉を失う。

そして、屋敷の中からもう一人。
「先生の偉大さが分からないような方々に、先生を連れて行く資格など万に一つもございませんわ」
フィオナが凛とした態度で、アレンの隣に立った。彼女の瞳には以前のような怯えの色はなく、師を侮辱されたことに対する、静かだが確固たる怒りが燃えていた。
ルナが、シルフィが、そしてフィオナが。
三人の少女たちが、まるでアレンを守る壁のように勇者パーティーの前に立ちはだかったのだ。
アレンは自分の前に立つ三人の小さな背中を、驚きと、そしてこみ上げてくる温かい感情と共に見つめていた。
(……みんな)
自分が追放された時、誰一人として自分を守ってはくれなかった。あの時の孤独と絶望を、彼は決して忘れないだろう。
だが、今は違う。
自分のために本気で怒ってくれる仲間がいる。自分を信じ、自分のために強大な勇者にさえも立ち向かってくれる仲間がいる。
アレンは胸の奥が熱くなるのを感じた。ここが俺の本当の居場所なのだ。この仲間たちこそが、俺の本当のパーティーなのだ。

勇者パーティーの面々は、その光景に完全に圧倒されていた。
レオは、自分に向けられる三人の少女たちの純粋な敵意と軽蔑の眼差しに、完全に言葉を失っている。
リリアは、アレンが自分ではない美しい少女たちにこれほどまでに慕われ、守られているという現実を目の当たりにし、顔面蒼白になって立ち尽くしていた。嫉妬と絶望が、彼女の心を完全に破壊していく。
ガストンとサラは、もはや自分たちに勝ち目がないことを完全に悟っていた。彼らが対峙しているのは、もはやアレン一人ではない。『アルカディア』という、揺るぎない絆で結ばれた一個の強固なパーティーそのものなのだ。
「アレン様は私たちのリーダーです! あなたたちのような人に、指一本触れさせません!」
ルナの力強い宣言が、その場に響き渡った。
「この人を侮辱する者は、私がこの剣で斬り捨てる」
シルフィの魔剣が静かに鞘から抜かれ、不気味な光を放つ。
「先生は私たちの光です。その光を汚すことは、この私が許しませんわ」
フィオナの杖の先から膨大な魔力が溢れ出し、空気がビリビリと震えた。
三人の少女たちの、揺るぎない決意。それは、勇者パーティーがとうの昔に失ってしまったものだった。
彼らは、アレンという一人の男だけでなく、彼が築き上げた温かく、そして何よりも強い『仲間』という名の壁の前に、完全に敗北したのだった。
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