ログインしたら人外でした。 ~VRMMOで最恐の魔物になる~

夏見ナイ

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第十話 古代遺跡の守護者

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ゴゴゴゴ…!
石と瓦礫が集まって形成されたエンシェント・ガーディアンLv.8は、その巨体をゆっくりと動かし、空虚な眼窩(がんか)をオブシディアンに向けた。青白く光る古代の文様が、不気味な魔力を放っている。それは明確な敵意であり、この聖域を侵す者への警告だった。

(レベル8…シャドウ・パンサーよりもさらに格上か。しかも、見るからに物理防御が高そうだ)

オブシディアンは冷静に分析する。シャドウ・スライムに進化したとはいえ、油断はできない相手だ。オブシディアンは【隠密】スキルを発動し、自身の気配を希薄にしながら、【影走】で距離を取る。まずは相手の攻撃パターンを見極める必要があった。

「グォ…!」

ガーディアンは低い唸り声を上げると、巨大な石の腕を振り上げた。その動きはオールド・トレントほど鈍重ではないが、それでもオブシディアンの【影走】の前では捉えきれない。オブシディアンは影から影へと飛び移るように回避する。

ドゴォォン!

石の拳が叩きつけられた地面が陥没し、衝撃波が周囲に広がる。直撃すればただでは済まない威力だ。さらに、ガーディアンはもう片方の腕を地面に突き刺した。すると、オブシディアンの足元の石畳が突如として隆起し、鋭い石の槍となって襲いかかってきた。

(地面操作まで!?)

オブシディアンは咄嗟に【跳躍】で回避するが、石槍は次々と生み出され、オブシディアンの逃げ場を塞ごうとする。これは厄介だ。

(接近して攻撃するしかないか!)

オブシディアンは石槍を掻い潜りながら、【影走】で一気にガーディアンの懐へ飛び込んだ。そして、身体の一部を鋭利な爪に変化させ、【爪撃】を叩き込む。狙いは、比較的動きが少ない脚部の関節あたりだ。

ガキンッ! ガシュッ!

硬い感触。シャドウ・パンサーの爪をも弾いた【影殻】よりもさらに硬い石の装甲に、【爪撃】は浅い傷をつけるのが精一杯だった。ガーディアンのHPゲージは、ほんのわずかしか減っていない。

(やはり、物理攻撃はほとんど通らないか…!)

ならば、とオブシディアンは別の手段を試す。ガーディアンが振り下ろしてきた腕を【影殻】で受け止めながら、その腕に粘着質な身体を絡みつかせ、【捕食吸収】を発動した。

(喰えるか…!?)

じわり、とオブシディアンの身体がガーディアンの石の表面に浸透していく感覚がある。捕食は可能だ! しかし、次の瞬間、ガーディアンの身体に刻まれた古代文様が激しく明滅し、オブシディアンの身体に直接的な衝撃が走った。

「グッ…!?」

まるで内部から弾かれるような感覚。捕食は強制的に中断させられ、オブシディアンはガーディアンから引き剥がされた。HPもわずかに減少している。

(魔法的な抵抗か…? それとも、あの文様に何か秘密が?)

オブシディアンは距離を取り、再びガーディアンを観察する。あの青白い文様が、捕食に対する防御機構になっている可能性が高い。そして、おそらくはあの文様こそが、このガーディアンの動力源、あるいは弱点なのではないか?

(あの文様を直接狙えば…!)

オブシディアンは再び【影擬態】で周囲の瓦礫の影に溶け込んだ。ガーディアンはオブシディアンの姿を見失い、巨体を揺らしながら周囲を警戒している。オブシディアンは、擬態したままゆっくりとガーディアンの背後に回り込んだ。

そして、ガーディアンが油断した瞬間を狙い、【影擬態】を解除すると同時に【跳躍】で飛び上がり、ガーディアンの背中にある一際大きく光る文様目掛けて飛びついた。

(【捕食吸収】!)

再びスキルを発動。オブシディアンの身体が、光る文様に直接接触し、そのエネルギーを吸い上げようとする。

「グゴゴゴゴォォォッ!!」

ガーディアンが苦悶の叫びを上げた。やはり、ここが弱点だった! 文様の光が急速に弱まっていくのが分かる。しかし、ガーディアンも抵抗する。全身の文様が一斉に明滅し、周囲の瓦礫がオブシディアン目掛けて飛来してきた。さらに、背中から直接的な魔力衝撃波が放たれる。

(耐えろ…【影殻】!)

オブシディアンは【影殻】で防御を固め、瓦礫の直撃と衝撃波に耐える。HPがみるみる削れていくが、同時に捕食によって吸収されるエネルギーがそれを補う。ギリギリの攻防だ。

(もう少し…!)

オブシディアンは捕食に全意識を集中する。ガーディアンの抵抗が徐々に弱まっていく。青白い文様の光は、もはや風前の灯火だ。

そして、ついに。

『エンシェント・ガーディアン Lv.8を捕食しました』
『経験値を60獲得しました』
『レベルが7に上がりました』
『体力+2、物理防御力+1、魔法防御力+2、素早さ+1』
『スキル【魔法耐性(微) Lv.1】を獲得しました』
『スキル【石材操作(微) Lv.1】を獲得しました』
『スキル【自己修復】がLv.3に上がりました』
『素材「ゴーレムコアの欠片」「古代の魔石(中)」「破損した石版」を獲得しました』

ガーディアンは完全に形を失い、オブシディアンの体内に吸収された。レベルアップと共にHP・MPが全快し、新たなスキルと素材が手に入る。特に【魔法耐性(微)】は大きい。これまで魔法防御力はステータス依存だったが、これでスキルによる底上げも可能になる。【石材操作(微)】は、あの石槍のような攻撃ができるのだろうか? 【自己修復】のレベルアップも地味に嬉しい。

戦闘が終わり、静寂が戻った神殿跡。オブシディアンは、まず素材を確認した。「ゴーレムコアの欠片」と「古代の魔石(中)」は、何らかの生産や強化に使うのだろう。「破損した石版」…これは?

インベントリから石版を取り出してみる(イメージする)。それは手のひらほどの大きさの、欠けた石の板だった。表面には、ガーディアンに刻まれていたものと同じような、複雑な文様が刻まれている。文様の一部は、どうやら文字のようにも見えるが、オブシディアンには読めない古代の言語のようだ。

(これが…手がかりか?)

オブシディアンは、この石版を注意深くインベントリにしまい込んだ。いつか解読できる日が来るかもしれない。

次に、ガーディアンが出現した祭壇を調べる。祭壇自体には特に仕掛けはないようだが、その表面にも、石版と同じような古代文字がびっしりと刻まれていた。内容は分からないが、何か重要な情報が記されているのかもしれない。

(この遺跡、やはり何かあるな…)

ガーディアンを倒したことで、このエリアが安全になったわけではないだろう。他にもガーディアンや、遺跡に潜むモンスターがいる可能性は高い。しかし、それは同時に、この遺跡が格好の狩り場であり、情報収集の場でもあることを意味していた。

(ここでしばらくレベルを上げながら、遺跡の探索を進めよう)

オブシディアンは方針を固めた。ソロで活動する自分にとって、人間プレイヤーの目を気にせず、集中してレベリングと探索ができる場所は貴重だ。【影擬態】と【隠密】を駆使すれば、効率的に狩りを進められるだろう。

オブシディアンは、祭壇に刻まれた古代文字を目に焼き付けながら、遺跡のさらに奥へと足を踏み入れた。崩れた回廊、半壊した塔、謎めいた地下への入り口。この古代遺跡には、まだ多くの秘密が眠っているに違いない。そして、それらを解き明かすことが、オブシディアン自身の更なる進化へと繋がるのかもしれない。

黒曜石の影は、古代の謎と次なる力を求めて、静かに遺跡の闇の中へと進んでいく。その探求の旅は、新たな章を迎えようとしていた。

名前: オブシディアン
種族: シャドウ・スライム
称号: 影に潜む者 (効果向上)
所属: 未定義

【能力値】
体力: 11
魔力容量: 13
物理攻撃力: 2
物理防御力: 7
魔法攻撃力: 2
魔法防御力: 9
素早さ: 7

【スキル】
・捕食 Lv.2
・自己修復 Lv.3
・影擬態 Lv.1
・微光 Lv.1
・闇視 Lv.1
・噛みつき耐性(微) Lv.1
・跳躍 Lv.1
・影走 Lv.1
・嗅覚強化 Lv.1
・木材生成 Lv.1
・糸生成 Lv.1
・毒耐性(小) Lv.1
・影殻 Lv.1
・隠密 Lv.1
・爪撃 Lv.1
・毒液噴射 Lv.1
・斬撃耐性(微) Lv.1
・魔法耐性(微) Lv.1
・石材操作(微) Lv.1
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