ログインしたら人外でした。 ~VRMMOで最恐の魔物になる~

夏見ナイ

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第四十三話 深淵より成りし者

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深淵の祭壇、その中央に広がる暗黒の穴から溢れ出す原初の混沌。それはオブシディアンの存在そのものを呑み込み、再構築していく奔流だった。アビス・スライムとしての形は失われ、意識は純粋なエネルギーと情報の渦の中で拡散し、そして再び収束していく。核(コア)が激しく脈打ち、深淵の力と完全に同化し、新たな存在として生まれ変わろうとしていた。

『警告:存在限界を超えたエネルギー流入を確認』
『種族テンプレートによる再定義限界を突破』
『ユニーク進化プロセスを開始します…』
『対象:Obsidian の存在情報を再構築…完了』

『種族が アビス・スライム から カオス・アビス へと進化しました』
『ユニーク種族への進化ボーナスとして、全能力値が大幅に上昇します』
『レベルが20に到達しました』
『称号【深淵との契約者】が【深淵の使徒】に進化しました』
『スキル統合・進化が発生しました』
『スキル【深淵の核 Lv.1】が【深淵の心臓 Lv.1】に進化しました』(MP自動回復超強化、深淵エネルギー操作、自己進化促進)
『スキル【万象擬態 Lv.1】が【混沌変異 Lv.1】に進化しました』(あらゆる存在への擬態、身体構造の部分的・全体的変異)
『スキル【捕食吸収 Lv.3】が【虚無捕食 Lv.1】に進化しました』(吸収効率極大化、対象の概念・情報吸収強化、空間ごと捕食可能)
『スキル【物質生成(初級) Lv.1】が【万物創造(初級) Lv.1】に進化しました』(生成物質の多様化・複雑化、一時的な生命体生成の可能性)
『固有スキル【深淵領域 Lv.1】を獲得しました』(周囲の空間を深淵エネルギーで侵食・支配するフィールドスキル)
『固有スキル【因果歪曲(微) Lv.1】を獲得しました』(確率・運命への微細な干渉)

眩い光と混沌の渦が収まった時、そこにいたのはもはやアビス・スライムではなかった。基本的な不定形のシルエットは残しつつも、その身体は深淵の闇そのものを凝縮したかのような、絶対的な漆黒となっていた。体表には、星空のように無数の微細な光点が明滅し、時折、紫色の稲妻のようなエネルギーが奔流のように駆け巡る。核(コア)は、まるで小さなブラックホールのように静かに、しかし圧倒的な存在感を放っていた。

(これが…カオス・アビス…俺の新たな姿か…)

オブシディアンは、自身の内側から湧き上がる、計り知れないほどの力を感じていた。ステータスを確認すると、レベルは20に到達し、全ての能力値がこれまでの成長とは比較にならないほど跳ね上がっている。

そして、スキル。主力スキルの多くが進化・統合され、明らかに規格外と思われる新たな固有スキルまで獲得している。【深淵の心臓】はMP回復だけでなく、深淵エネルギーの操作や自己進化まで促すという。【混沌変異】は擬態能力を遥かに超え、身体構造すら自在に変えられるらしい。【虚無捕食】は、もはや単なる吸収ではなく、概念や空間すら喰らう可能性を示唆している。【万物創造】は、物質生成からさらに踏み込み、生命創造の領域にまで片足を突っ込んでいるかのようだ。そして、固有スキル【深淵領域】と【因果歪曲】。これらのスキルがもたらす力は、まだ未知数だが、その名前からして尋常なものではないだろう。

(これが…深淵の力…試練を乗り越えた報酬か)

オブシディアンは、自身の変化を冷静に受け止め、分析する。この力は、使い方次第で世界すら揺るがしかねない。しかし、同時に、制御を誤れば自滅しかねない危うさも秘めている。

(だが、俺は誓った。この力の先に何があるのか、見届けると)

オブシディアンは、インベントリから「真・竜呼びの角笛(資格の証)」を取り出した。それは、以前の角笛とは異なり、まるで生きた竜の鱗のように滑らかで、内部から微かな温もりと脈動を感じる。オブシディアンが角笛に意識を向けると、古代竜の巣穴へと繋がる空間座標が、より明確に示された。それは、この海底神殿のさらに奥深く、特殊な次元の狭間のような場所に存在するらしい。

(行くか…古き竜の叡智を求めて)

オブシディアンが角笛を構え、巣穴への道を開こうとした、その時だった。【蟲の共鳴】と、進化した核(コア)の感知能力が、海底神殿の入り口付近で、複数の強力な気配が衝突しているのを捉えた。一つは、オブシディアンを追ってきたであろうプレイヤーたち。そして、もう一つは…何か巨大で、圧倒的な力を持つ存在。

(追手のプレイヤーと、遺跡の深部に潜んでいた何かが接触したのか?)

オブシディアンは【混沌変異 Lv.1】を発動し、自身の姿を深海の闇そのものへと変化させ、気配を完全に消し去った。そして、核(コア)を通じて、遠く離れた場所の状況を「観測」することを試みる。【深淵の心臓】と【因果歪曲】の力が、それを可能にしたのかもしれない。

オブシディアンの意識は、時空を超えたかのように、海底神殿入り口付近の光景を捉えた。そこでは、銀翼騎士団を含む、複数のトップギルドから派遣されたと思われる精鋭プレイヤーたちの連合部隊が、一体の巨大な怪物と死闘を繰り広げていた。

その怪物は、クラーケンともヒュドラともつかない、無数の触手と複数の頭部を持つ、まさに深淵から這い出てきたかのような混沌とした姿をしていた。レベルは表示されていないが、その力はエリアボス級を遥かに超え、レイドボス級、あるいはそれ以上かもしれない。

『…深淵の番人…目覚めたか…』
オブシディアンの核(コア)が、その怪物の正体を認識する。古代種族が深淵の力を制御するために生み出し、そして制御できずに封印した存在。オブシディアンが深淵の祭壇で試練を達成し、深淵の力を解放したことが、その目覚めのトリガーとなったのかもしれない。

プレイヤー連合は、果敢に深淵の番人に挑むが、その圧倒的な力の前に次々と倒れていく。トッププレイヤーたちの連携も、規格外の再生能力と広範囲攻撃の前には通用しない。

(俺が…呼び覚ましてしまったのか…?)

オブシディアンは、その光景を静かに観測していた。彼らを助ける義理はない。むしろ、彼らはオブシディアンを追ってきた敵でもある。しかし、このまま放置すれば、深淵の番人は神殿を抜け出し、外の世界にまで影響を及ぼすかもしれない。それは、オブシディアン自身の探求の旅にとっても、望ましい状況ではないだろう。

(…仕方ない。少しだけ、干渉するか)

オブシディアンは、【因果歪曲(微) Lv.1】を発動した。MPを大きく消費し、核(コア)に負荷がかかる。そして、プレイヤー連合が放った、起死回生の一撃――おそらく、切り札となるような連携攻撃――の「命中確率」と「クリティカル発生確率」に、ほんのわずかだけ、干渉した。

結果、通常ならば回避されるか、あるいは効果が薄かったであろう一撃が、深淵の番人の弱点と思われる部位に、奇跡的にクリティカルヒットした。番人は凄まじい咆哮を上げ、その動きが一瞬だけ止まる。

プレイヤー連合は、その千載一遇のチャンスを逃さなかった。残存する全ての戦力を集中させ、番人に追撃を加える。

(これで、しばらくは時間を稼げるだろう)

オブシディアンは観測を終え、自身の目的へと意識を戻した。深淵の番人の問題は、いずれ解決する必要があるかもしれないが、今は古代竜の巣穴が優先だ。

オブシディアンは「真・竜呼びの角笛」を構え、その力を解放した。角笛から放たれた音にならない響きが、周囲の空間を歪ませ、目の前に次元の亀裂のようなものが現れる。亀裂の向こう側には、計り知れないほどの古代の魔力と、竜の気配が満ちている。

オブシディアンは、躊躇なくその亀裂へと足を踏み入れた。カオス・アビスとしての新たな力、深淵との契約、そして古代竜の叡智への渇望を胸に。彼の存在は、もはや単なるプレイヤーやモンスターではなく、世界の理(ことわり)そのものに干渉しうる、特異点となりつつあった。その名は「オブシディアン」。恐怖と共に、畏敬と共に、そして数多の謎と共に、EROの世界に刻まれていく伝説の始まりだった。

名前: オブシディアン
種族: カオス・アビス (ユニーク種族)
称号: 影に潜む者 (効果向上), 墓守殺し, 深淵の使徒, 竜殺し, 風を征す者, 炎心を識る者, ヒュドラ・ベイン
所属: 未定義

【能力値】
体力: 40
魔力容量: 55
物理攻撃力: 12
物理防御力: 25
魔法攻撃力: 20
魔法防御力: 35
素早さ: 28

【スキル】
・虚無捕食 Lv.1 (捕食吸収Lv.3より進化)
・混沌変異 Lv.1 (万象擬態Lv.1より進化)
・生物発光 Lv.1
・闇視 Lv.1
・噛みつき耐性(微) Lv.1
・跳躍 Lv.1
・嗅覚強化 Lv.1
・糸生成 Lv.2
・毒耐性(大) Lv.1
・金剛鱗 Lv.1
・爪撃 Lv.2
・腐食溶解液 Lv.1
・物理耐性(小) Lv.1
・万物創造(初級) Lv.1 (物質生成(初級)Lv.1より進化)
・アンデッド耐性(微) Lv.1
・死霊魔術(初級) Lv.1
・精神耐性(中) Lv.1
・ブレス耐性(大) Lv.1
・怨念耐性(小) Lv.1
・深淵の心臓 Lv.1 (深淵の核 Lv.1より進化)
・統率力(微) Lv.1
・水中浮遊機動 Lv.1
・粘液噴射 Lv.1
・麻痺耐性(小) Lv.1
・壁面歩行(小) Lv.1
・鎌鼬 Lv.1
・蟲の共鳴 Lv.1
・威圧 Lv.1
・猛禽の目 Lv.1
・古代言語解読(初級) Lv.1 -> Lv.3
・魅了耐性(微) Lv.1
・突風耐性(小) Lv.1
・風操作(小) Lv.1
・火炎耐性(極) Lv.1
・熱源感知 Lv.1
・エレメンタル知識(風) Lv.1
・エレメンタル知識(炎) Lv.1 -> Lv.2
・自己再生(小) Lv.1
・火炎ブレス Lv.1
・墨噴射 Lv.1
・三叉槍術(初級) Lv.1
・古代魔術耐性(微) Lv.1
・見張り Lv.1
・電撃耐性(小) Lv.1
・固有スキル【深淵領域 Lv.1】
・固有スキル【因果歪曲(微) Lv.1】
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