ログインしたら人外でした。 ~VRMMOで最恐の魔物になる~

夏見ナイ

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第五十七話 砂塵の彼方、蠢く大地

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銀翼騎士団の追手を退け、大地を喰らう巨獣「テラ・ヴォルス」の出現予測地点――アストライア大陸南西部に広がる巨大砂漠地帯――へと到達したオブシディアン。そこは、これまでの緑豊かな平原や険しい山岳地帯とは全く異なる、荒涼とした世界だった。

見渡す限り続く、赤茶けた砂の海。太陽が容赦なく照りつけ、陽炎(かげろう)が大地を歪ませている。空気は極度に乾燥し、時折吹き付ける熱風が砂塵(さじん)を巻き上げる。植物はほとんど見当たらず、動物の気配も希薄だ。生命にとっては過酷極まりない環境。

(暑さと乾燥…これは、アビス・スライムの身体には堪えるな)

オブシディアンは、体表の水分(のようなもの)が急速に奪われていくのを感じた。【自己再生(中) Lv.1】が常にそれを補ってはいるが、じわじわと体力が削られていく感覚がある。【火炎耐性(極)】は熱気に対しては有効だが、乾燥そのものを防ぐわけではない。

(まずは、この環境に適応するためのスキルが欲しい)

オブシディアンは【混沌変異 Lv.2】を発動し、自身の体表を砂漠の砂と同じ色と質感に変化させた。そして、身体を平たく伸ばし、砂の中に浅く潜るようにして移動を開始した。直射日光を避け、体表からの水分蒸発を最小限に抑えるためだ。

【蟲の共鳴 Lv.1】で砂の中に潜む生物の気配を探る。いる。数は少ないが、この過酷な環境に適応した独自の生態系が存在しているようだ。巨大なサソリ、硬い甲殻を持つ甲虫、そして…砂の中を高速で移動する巨大な何かの気配。

(サンドワームか…?)

オブシディアンは、その巨大な気配に狙いを定めた。サンドワームならば、砂の中での生存能力や、乾燥への耐性を持っている可能性が高い。

オブシディアンは砂の中を静かに移動し、サンドワームの気配へと近づいていく。そして、相手の進行方向を予測し、待ち伏せることにした。

やがて、地面が盛り上がり、巨大な円錐形の口が砂の中から突き出してきた。口の内側には、何重にもなった鋭い歯がびっしりと並んでいる。体長は数十メートルに及ぶだろうか。

『デザート・デバウラー Lv.28』

レベルは28。オブシディアンよりも低いが、その巨体と、砂の中からの奇襲は脅威だ。デザート・デバウラーは、オブシディアンの魔力を感知したのか、巨大な口を開けて砂ごと飲み込もうとしてきた。

(喰われる前に、喰らう!)

オブシディアンは【影潜行】(混沌変異の機能)で砂の中を高速移動し、デバウラーの吸引から逃れる。そして、相手の巨体の側面へと回り込み、【万物創造(中級) Lv.1】で巨大な黒曜石の杭を複数生成し、デバウラーの身体に打ち込んだ。杭は硬い外皮に阻まれるが、動きを一瞬だけ止めることには成功した。

その隙に、オブシディアンはデバウラーの身体に飛びつき、【虚無捕食 Lv.3】を発動。外皮の上からだが、構わずエネルギーと物質を吸収し始める。

「グシャアアアアアッ!」

デバウラーは苦痛に身を捩り、砂の中に潜って逃れようとする。しかし、オブシディアンは【混沌変異】で身体を流体化させ、デバウラーの身体に絡みつきながら、砂の中へと引きずり込まれていく。

砂の中での戦闘。視界は完全に奪われ、身動きも取りづらい。しかし、オブシディアンには【蟲の共鳴】による索敵と、【深淵の心臓】による安定したエネルギー供給がある。彼はデバウラーの体表に張り付いたまま、ひたすら捕食を続けた。デバウラーも必死に抵抗し、体内で砂を巻き上げたり、強力な消化液を分泌したりしてくるが、オブシディアンの【金剛鱗】と【腐食溶解液】への耐性(毒耐性(大)で代用)の前には効果が薄い。

やがて、デザート・デバウラーの抵抗が弱まり、その巨大な身体はオブシディアンの中へと完全に吸収された。

『デザート・デバウラー Lv.28を捕食しました』
『経験値を2500獲得しました』
『レベルが31に上がりました』
『体力+1, 魔力容量+1, 物理攻撃力+1, 物理防御力+1, 素早さ+1』
『スキル【砂中潜行 Lv.1】を獲得しました』
『スキル【乾燥耐性(中) Lv.1】を獲得しました』
『スキル【振動感知 Lv.1】を獲得しました』 (【蟲の共鳴】に統合・強化)
『素材「デバウラーの外皮」「巨大な砂袋」「消化液嚢」を獲得しました』

レベルアップ! そして、砂漠環境に適応するための重要なスキルを獲得できた。【砂中潜行】は、文字通り砂の中を自在に移動できる能力だろう。【乾燥耐性(中)】は、この環境での体力消耗を大幅に軽減してくれるはずだ。【振動感知】は【蟲の共鳴】と統合され、索敵能力がさらに向上した。

オブシディアンは早速【砂中潜行 Lv.1】を試してみた。身体が砂と一体化するような感覚と共に、まるで水中を泳ぐかのように、砂の中を自由自在に移動できる。これならば、砂漠での移動や奇襲は格段に容易になるだろう。

砂漠環境への適応を終えたオブシディアンは、銀翼騎士団の女騎士から得た情報を元に、テラ・ヴォルスの出現が予測されるエリアへと向かった。そこは、砂漠の中でも特に広大で、巨大な岩山が点在する盆地のような場所だった。

(この辺りのはずだが…気配はないな)

オブシディアンは【砂中潜行】で砂の中に身を隠しながら、【蟲の共鳴】と【振動感知】で広範囲を探る。しかし、テラ・ヴォルスほどの巨大な存在の気配は、まだ感じられない。

(移動しているなら、いつ現れてもおかしくない。気長に待つか…)

オブシディアンは、その場で待機しつつ、周囲に生息する他の砂漠モンスターを狩ることにした。硬い甲羅を持つ巨大な亀『デザート・トータス Lv.25』、幻覚を見せる毒を持つ蛇『ミラージュ・ヴァイパー Lv.26』などを捕食し、経験値とスキル(【幻覚耐性(微)】など)を獲得していく。

数時間が経過しただろうか。オブシディアンが砂の中で休息を取っていると、突如、大地が揺れた。最初は微かな振動だったが、それは徐々に大きくなり、やがて地響きと呼べるほどの激しい揺れへと変わっていった。

ゴゴゴゴゴゴゴゴ……!

遠くの地平線が、盛り上がっている。巨大な何かが、こちらへ向かって移動してきているのだ。砂塵が舞い上がり、空の色が変わるほどの、圧倒的なスケール。

(来たか…!)

オブシディアンは【猛禽の目 Lv.1】を最大限に活用し、その姿を捉えようとする。陽炎と砂塵の向こうに、ゆっくりと、しかし確実に近づいてくる、巨大な影。それは、もはや山脈と見紛うほどの大きさだった。

全長、数キロメートル…いや、それ以上かもしれない。亀のような甲羅を持ち、大地を削りながら進む、文字通りの「動く大地」。その背中には、岩山や森、さらには小さな湖のようなものまで形成されており、独自の生態系が息づいているのが遠目にも分かった。

大地を喰らい、大地を背負い、悠久の時を移動し続ける伝説の巨獣。

『テラ・ヴォルス Lv.?? (World Class Entity)』

レベルは表示されず、「World Class Entity(世界級存在)」という規格外のカテゴリが表示されている。その存在感は、これまで遭遇したどのボスモンスターとも比較にならない、まさに世界そのものの一部であるかのような、絶対的なものだった。

(あれが…テラ・ヴォルス…! なんて巨大さだ…)

オブシディアンは、その圧倒的なスケールに、畏敬の念すら抱いていた。同時に、その巨獣の腹の中に眠るという、最後の始原の石板の欠片への渇望が、彼の核(コア)を激しく脈打たせる。

問題は、どうやってあの巨獣の体内に入るかだ。正面から近づけば、踏み潰されるか、あるいは砂ごと飲み込まれるのが関の山だろう。

(飛行して背中に降り立つか? いや、あの背中の上にも独自の生態系と防衛機構があるはずだ。危険すぎる)
(ならば、やはり…喰らうか? 外殻を【虚無捕食】で抉り、内部へ侵入する?)

オブシディアンは、テラ・ヴォルスがゆっくりと、しかし確実にこちらへ近づいてくるのを見ながら、侵入方法を模索し始めた。伝説の巨獣への挑戦が、今、始まろうとしていた。その巨体の中に、世界の秘密へと繋がる最後の鍵が眠っているのだ。

名前: オブシディアン
種族: カオス・アビス (ユニーク種族)
称号: 影に潜む者 (効果向上), 墓守殺し, 深淵の使徒, 竜殺し, 風を征す者, 炎心を識る者, ヒュドラ・ベイン, 叡智を探求する者, 英雄殺し, 聖域侵犯者, 天門を破りし者
所属: 未定義

【能力値】
体力: 56
魔力容量: 79
物理攻撃力: 20
物理防御力: 36
魔法攻撃力: 28
魔法防御力: 48
素早さ: 39

【スキル】
・虚無捕食 Lv.3
・混沌変異 Lv.2
・生物発光 Lv.1
・闇視 Lv.1
・噛みつき耐性(微) Lv.1
・跳躍 Lv.1
・嗅覚強化 Lv.1
・糸生成 Lv.2
・毒耐性(大) Lv.1
・金剛鱗 Lv.1
・爪撃 Lv.2
・腐食溶解液 Lv.1
・物理耐性(小) Lv.1
・万物創造(中級) Lv.1
・アンデッド耐性(微) Lv.1
・死霊魔術(初級) Lv.1
・精神耐性(中) Lv.1
・ブレス耐性(大) Lv.1
・怨念耐性(小) Lv.1
・深淵の心臓 Lv.1
・軍団指揮 Lv.1
・水中浮遊機動 Lv.1
・粘液噴射 Lv.1
・麻痺耐性(小) Lv.1
・壁面歩行(小) Lv.1
・鎌鼬 Lv.1
・蟲の共鳴 Lv.1 (振動感知 Lv.1を統合・強化)
・王者のカリスマ Lv.1
・猛禽の目 Lv.1
・古代言語完全解読
・魅了耐性(微) Lv.1
・突風耐性(小) Lv.1
・風操作(大) Lv.1
・火炎耐性(極) Lv.1
・熱源感知 Lv.1
・エレメンタル知識(五大) Lv.1
・自己再生(中) Lv.1
・火炎ブレス Lv.1
・墨噴射 Lv.1
・三叉槍術(初級) Lv.1
・古代魔術耐性(微) Lv.1
・見張り Lv.1
・電撃耐性(中) Lv.1
・聖属性耐性(小) Lv.1
・光学兵器制御 Lv.1
・古代戦略知識 Lv.1
・固有スキル【深淵領域 Lv.2】
・固有スキル【因果歪曲(微) Lv.2】
・光合成(微) Lv.1
・聖光 Lv.1
・森との同調 Lv.1
・魅了の花粉 Lv.1
・天翔ける翼 Lv.1
・電撃ブレス Lv.1
・エレメンタル知識(雷) Lv.1
・空気抵抗軽減 Lv.1
・古代魔法技術知識 Lv.1 -> Lv.2
・砂中潜行 Lv.1
・乾燥耐性(中) Lv.1
・幻覚耐性(微) Lv.1
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