ログインしたら人外でした。 ~VRMMOで最恐の魔物になる~

夏見ナイ

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第六十二話 観測者の塔、世界の理

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観測塔の最上階、星図盤のようなコンソールパネルとオブシディアンの核(コア)は直接リンクし、膨大な情報が光の奔流となって両者の間を行き交っていた。それは、単なるデータのダウンロードやアップロードではない。世界の法則、歴史、魔力の流れ、生命の記録、そしてこの塔を管理する「調律者」の思考パターンの一部までもが、オブシディアンの存在情報と混ざり合い、解析され、そして再構築されていくような、高度で複雑なプロセスだった。

オブシディアンの核(コア)は、【深淵の心臓 Lv.1】の能力を最大限に発揮し、この情報奔流を処理していく。【古代言語完全解読】スキルが言語の壁を取り払い、【エレメンタル知識(五大) Lv.1】や【古代魔法技術知識 Lv.2】が技術や法則への理解を助け、【虚無捕食 Lv.3】の概念吸収能力が、抽象的な情報や意味そのものを捉えることを可能にしていた。

システム音声(あるいはより高次の存在からの声)が、断続的にオブシディアンの問いに応答していく。

『…世界の真実。この世界「エリュシオン」は、「星の船」によって創造された巨大な演算領域であり、生命進化の可能性を観測・シミュレートするための実験場である』
『創造主の意図。それは、多様な環境と法則の下で生命が如何に適応し、進化し、そしてどのような「可能性」=新たな世界の法則や存在形態を生み出すかを見極めることにある』
『人間と魔物。それらは、異なる進化のベクトルを持つ「可能性の種子」として対等に配置された。現在の対立は、シミュレーションの一つの過程に過ぎない』
『汝、Obsidian。カオス・アビス。その存在は、我々「調律者」の想定を超えたイレギュラーであり、同時に、新たな「可能性」を示す特異点でもある』
『汝の存在理由は、汝自身が見出すもの。しかし、汝の行動が、この世界の「選択」に、良くも悪くも大きな影響を与えることは避けられないだろう』

(実験場…可能性の種子…特異点…)

オブシディアンは、与えられた情報を咀嚼(そしゃく)する。この世界が作られたものであることは予想していたが、その目的が生命進化のシミュレーションであり、自分自身がその想定外の結果であるという事実は、彼の存在意義に新たな問いを投げかけた。

『…観測者とは?』
オブシディアンは、さらに問いかける。

『観測者とは、世界の理(ことわり)を理解し、その上で世界の「選択」の方向性を見定める役割を持つ存在。始原の石板を集めし者は、その候補となる資格を得る』
『候補者は、世界の現状を正しく認識し、自らが信じる「可能性」を世界に示す必要がある。その結果が、調律者によって評価され、次なる時代の法則へと反映される』
『ただし、観測者としての権能の行使――例えば、始原の石板の力の解放や、【因果歪曲】のようなスキルによる大規模な事象への干渉――は、世界のバランスを大きく崩す危険性を伴う。慎重な判断が求められる』

(世界の選択を見定める…か。俺に、そんな役割を担えと?)

オブシディアンは、自身の本質――孤独な探求者であり、混沌の捕食者――とその役割とのギャップに、わずかな戸惑いを覚えた。しかし、同時に、それは彼の渇望を満たす道でもあるのかもしれない。世界の理を知り、その選択に関わる。それは、究極の知識探求と言えるのではないか?

情報交換と解析のプロセスは、オブシディアン自身にも更なる変化をもたらしていた。

『スキル【古代戦略知識 Lv.1】がLv.2に進化しました』
『スキル【エレメンタル知識(五大) Lv.1】がLv.2に進化しました』
『スキル【古代魔法技術知識 Lv.2】がLv.3に進化しました』
『称号【理を識る者】を獲得しました』

知識系スキルが軒並みレベルアップし、新たな称号も得た。核(コア)の情報処理能力も向上しているのを感じる。

コンソールパネルとのリンクが解除され、情報奔流が収まる。オブシディアンは、静寂を取り戻した観測塔の最上階で、得られた知識と自身の変化を整理した。

(世界の構造、目的、俺の立ち位置…おぼろげながら見えてきた。だが、まだ核心には遠い。「調律者」とは何者なのか? 「星の船」とは? そして、俺が進むべき道は…)

コンソールパネルのスクリーンには、依然としてEROの世界全体のリアルタイム情報が表示されている。特に、「創世戦争」の戦況は刻一刻と変化していた。オブシディアンが総指揮官を排除したことで混乱していた秩序陣営は、新たな指揮官(おそらく高レベルプレイヤーか有力NPC)の下で体制を立て直し、反撃を開始しているようだ。混沌陣営も、オブシディアンへの警戒感を抱きつつ、境界門の確保を目指して攻勢を強めている。戦線は膠着し、消耗戦の様相を呈し始めていた。

(この戦争も、世界の「可能性」を探るための実験の一つ…か)

オブシディアンは、戦場の無数の光点を見つめながら、冷徹に分析する。どちらが勝とうが、それはシミュレーションの一つの結果に過ぎない。しかし、その過程で失われる命(データ)や、生まれる憎しみは、仮想とはいえリアルなものだ。

(俺は、どう関わるべきか…)

傍観者として見守るか? 混沌の使徒として戦争を掻き乱すか? あるいは、観測者候補として、何らかの「選択」を示すか?

答えはすぐには出なかった。しかし、オブシディアンは、まず行動することを選んだ。観測塔で得た情報の中に、アストライア大陸の特定の古代遺跡に、調律者に関するさらに詳しい情報、あるいは彼らと接触するための鍵が存在する可能性が示唆されていたのだ。

(まずは、そこへ行ってみよう。そこで何を知り、何を感じるか…それから考えても遅くない)

オブシディアンは、コンソールパネルに背を向け、昇降装置へと向かった。案内役のドローンたちが、静かに道を開ける。

塔を下り、再び微睡みの森の深奥、結界の内側へと戻る。外の世界の喧騒が嘘のような、静謐(せいひつ)な空間。オブシディアンは、結界を抜ける前に、ふと空を見上げた。

(観測者…か。面白い)

カオス・アビスとしての彼の唇(のような部分)に、微かな、しかし確かな笑みが浮かんだ気がした。世界の理を知り、その選択に関わる。それは、彼が求めていた探求の、新たな地平線なのかもしれない。

黒曜石の影は、森の結界を抜け、再び世界の表舞台へと戻っていく。手にした知識と力を武器に、そして自らの存在意義を問いながら。彼の次なる一歩が、この仮想世界の運命に、どのような波紋を広げるのか。それはまだ、調律者ですら予測できないのかもしれない。

名前: オブシディアン
種族: カオス・アビス (ユニーク種族)
称号: 影に潜む者 (効果向上), 墓守殺し, 深淵の使徒, 竜殺し, 風を征す者, 炎心を識る者, ヒュドラ・ベイン, 叡智を探求する者, 英雄殺し, 聖域侵犯者, 天門を破りし者, 巨獣を制す者, 星読みの民の記憶, 理を識る者
所属: 未定義

【能力値】
体力: 60
魔力容量: 85
物理攻撃力: 22
物理防御力: 39
魔法攻撃力: 30
魔法防御力: 50
素早さ: 42

【スキル】
・虚無捕食 Lv.3
・混沌変異 Lv.3
・生物発光 Lv.1
・闇視 Lv.1
・噛みつき耐性(微) Lv.1
・跳躍 Lv.1
・嗅覚強化 Lv.1
・糸生成 Lv.2
・毒耐性(大) Lv.1
・金剛鱗 Lv.1
・爪撃 Lv.2
・腐食溶解液 Lv.1
・物理耐性(小) Lv.1
・万物創造(中級) Lv.2
・アンデッド耐性(微) Lv.1
・死霊魔術(初級) Lv.1
・精神耐性(中) Lv.1
・ブレス耐性(大) Lv.1
・怨念耐性(小) Lv.1
・深淵の心臓 Lv.1
・軍団指揮 Lv.1
・水中浮遊機動 Lv.1
・粘液噴射 Lv.1
・麻痺耐性(小) Lv.1
・壁面歩行(小) Lv.1
・鎌鼬 Lv.1
・蟲の共鳴 Lv.1
・王者のカリスマ Lv.1
・猛禽の目 Lv.1
・古代言語完全解読
・魅了耐性(微) Lv.1
・突風耐性(小) Lv.1
・風操作(大) Lv.1
・火炎耐性(極) Lv.1
・熱源感知 Lv.1
・エレメンタル知識(五大) Lv.2 (エレメンタル知識(四大)Lv.1より進化)
・超再生(小) Lv.1
・火炎ブレス Lv.1
・墨噴射 Lv.1
・三叉槍術(初級) Lv.1
・古代魔術耐性(微) Lv.1
・見張り Lv.1
・電撃耐性(中) Lv.1
・聖属性耐性(小) Lv.1
・光学兵器制御 Lv.1
・古代戦略知識 Lv.1 -> Lv.2
・固有スキル【深淵領域 Lv.2】
・固有スキル【因果歪曲(微) Lv.2】
・光合成(微) Lv.1
・聖光 Lv.1
・森との同調 Lv.1
・魅了の花粉 Lv.1
・天翔ける翼 Lv.1
・電撃ブレス Lv.1
・エレメンタル知識(雷) Lv.1
・空気抵抗軽減 Lv.1
・古代魔法技術知識 Lv.2 -> Lv.3
・砂中潜行 Lv.1
・乾燥耐性(中) Lv.1
・幻覚耐性(微) Lv.1
・消化液分泌 Lv.1
・強酸耐性(中) Lv.1
・無機物捕食 Lv.1
・生体制御(小) Lv.1
・自然エネルギー同調 Lv.1
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