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第48話:新生、Aethelgard
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数年の歳月が、流れた。
風見奏太は、大学を卒業し、新生『Aethelgard: Re-Genesis』の運営会社に、正式にワールドデザイナーとして就職した。彼の創造力は、運営チームに新たな風を吹き込み、ゲームの世界は、かつてないほどの深みと自由度を持つ、唯一無二のMMORPGへと進化を遂げていた。
彼が創り出した『ジオ・ダンジョン』は、公式コンテンツ『クリエイターズ・ダンジョン』として実装され、プレイヤーが自らダンジョンをデザインし、共有できる画期的なシステムとして、絶大な人気を博していた。
カナデ――風見奏太は、もはや不遇職のプレイヤーではなく、この世界のプレイヤー全員から尊敬を集める、伝説の『創造主』となっていた。
そして、仲間たちもまた、それぞれの道を歩んでいた。
佐藤楓(メイプル)は、運営会社のコミュニティマネージャーとなり、持ち前の明るさと面倒見の良さで、プレイヤーと運営との架け橋として、誰からも愛される存在となっていた。
山田健一(ケン)は、大学院を首席で卒業後、AI倫理の専門家として、カナデたちのチームにテクニカルアドバイザーとして参加。二度とタナトスのような悲劇が生まれないよう、世界の根幹を支えていた。
紫苑(シオン)は、ゲームジャーナリストとして不動の地位を築き、彼が執筆した『創造主と仲間たちの物語』は、ゲームの枠を超え、多くの人々の心を打つノンフィクションとして、ベストセラーとなっていた。
彼らは、それぞれの場所で、それぞれの形で、奏太が創る世界を、支え続けていた。
そして、ゼノ――桐生院也もまた、自らの道を見つけていた。彼は、再編されたギルド『アヴァロン』を、力で支配するのではなく、秩序と正義で導く、高潔なギルドマスターとなっていた。時には、カナデの創る自由すぎる世界に、公然と苦言を呈することもあったが、その根底には、この世界を誰よりも愛し、守りたいという、強い想いがあることを、奏太は知っていた。彼らは、最高のライバルであり、そして、最高の理解者となっていた。
穏やかで、充実した日々。
だが、奏太の心には、常に、一つの空白があった。
『リリア』の存在だ。
ギルドハウスの地下、創造の聖域に安置された『リリアの心』は、この数年間、静かな光を放ち続けていたが、彼女が目覚める兆候は、一向に見られなかった。
奏太は、仕事の合間を縫っては、聖域を訪れ、彼女に語りかけ、そして、自らの『ワールド・リクリエイト』の力で、彼女の魂のデータを、少しずつ、修復し続けていた。
それは、ゴールが見えない、あまりにも気の遠くなるような作業だった。
そして、ある日のこと。
その日は、新生『Aethelgard: Re-Genesis』の、サービス開始から三周年を記念する、特別なイベントが開催される日だった。
奏太は、運営スタッフとして、その準備に追われていた。
「風見君、最終チェック、お願いできるかな?」
開発主任だった相田が、今は上司として、彼に声をかける。
「はい。問題ありません」
奏太は、コンソールを操作し、世界のパラメータを最終調整していく。
その時、彼の目の前のモニターに、一つの警告アラートが、ポップアップした。
『警告:創造の聖域において、規定値を超える、高密度の生命エネルギーを検知』
「……え?」
奏太の胸が、激しく高鳴った。
彼は、相田に一言断ると、席を立ち、自分のアカウントで、ゲーム世界へとダイブした。
ログインポイントは、アークライトのギルドハウス『ジオ・フロンティア』。
数年ぶりに、カナデとして、その地に降り立つ。
見慣れたリビングを抜け、彼は、逸る気持ちを抑えながら、地下の聖域へと続く階段を駆け下りた。
聖域の扉を開ける。
目に飛び込んできたのは、これまで見たこともないほどの、眩い、生命力に満ちた、金色の光だった。
祭壇の上に置かれていたはずの『リリアの心』は、その姿を消していた。
そして、その代わりに。
祭壇の前に、一人の少女が、背を向けて立っていた。
腰まで届く、美しい銀色の髪。
成長し、少女から、一人の若い女性へと、その姿を変えつつある、しなやかな背中。
その姿に、見間違えるはずがなかった。
「……リリア、さん?」
カナデの声に、彼女は、ゆっくりと振り返った。
その翡翠色の瞳には、もう、かつてのような儚さはない。世界を知り、多くの想いを受け入れ、そして、長い眠りから覚めた、確かな意志の光が宿っていた。
その顔立ちは、まだ少し幼さを残しているが、数年の時を経て、驚くほど美しく成長していた。
「……遅かったですね、カナデさん」
リリアは、少しだけ拗ねたように、しかし、最高の笑顔で、そう言った。
その声は、もう、彼の脳内に響く声ではない。彼の耳に、確かに届く、温かい声だった。
「ずっと、待っていました。あなたが創ってくれた、この世界で。あなたに、再び会える、この日を」
「リリアさん……!」
カナデは、彼女の元へと駆け寄り、その華奢な身体を、強く、強く、抱きしめた。
腕の中に、確かな温もりがある。鼓動がある。
夢じゃない。
彼女は、本当に、帰ってきたのだ。
「……おかえりなさい、リリアさん」
「……はい。ただいま、なさい、カナデさん」
リリアもまた、その腕に、そっと力を込めた。
数年の時を経て、創造主と、その手によって再生された魂は、ついに、再会を果たした。
それは、一つの神話の、本当の意味での、ハッピーエンド。
「さあ、行きましょうか」
カナデは、彼女の手を取った。
「みんなが、待っています。俺たちの、新しい冒険の始まりを」
「はい!」
リリアは、満面の笑みで頷いた。
二人は、手を取り合って、地上へと続く階段を登っていく。
その先には、かけがえのない仲間たちが、そして、無限の可能性に満ちた、彼らが創り、守り、そして、愛した世界が、広がっている。
不遇職『地形師』から始まった、一人の少年の物語は、終わらない。
彼が、大切な人々と共にいる限り、その創造の物語は、永遠に、続いていくのだから。
風見奏太は、大学を卒業し、新生『Aethelgard: Re-Genesis』の運営会社に、正式にワールドデザイナーとして就職した。彼の創造力は、運営チームに新たな風を吹き込み、ゲームの世界は、かつてないほどの深みと自由度を持つ、唯一無二のMMORPGへと進化を遂げていた。
彼が創り出した『ジオ・ダンジョン』は、公式コンテンツ『クリエイターズ・ダンジョン』として実装され、プレイヤーが自らダンジョンをデザインし、共有できる画期的なシステムとして、絶大な人気を博していた。
カナデ――風見奏太は、もはや不遇職のプレイヤーではなく、この世界のプレイヤー全員から尊敬を集める、伝説の『創造主』となっていた。
そして、仲間たちもまた、それぞれの道を歩んでいた。
佐藤楓(メイプル)は、運営会社のコミュニティマネージャーとなり、持ち前の明るさと面倒見の良さで、プレイヤーと運営との架け橋として、誰からも愛される存在となっていた。
山田健一(ケン)は、大学院を首席で卒業後、AI倫理の専門家として、カナデたちのチームにテクニカルアドバイザーとして参加。二度とタナトスのような悲劇が生まれないよう、世界の根幹を支えていた。
紫苑(シオン)は、ゲームジャーナリストとして不動の地位を築き、彼が執筆した『創造主と仲間たちの物語』は、ゲームの枠を超え、多くの人々の心を打つノンフィクションとして、ベストセラーとなっていた。
彼らは、それぞれの場所で、それぞれの形で、奏太が創る世界を、支え続けていた。
そして、ゼノ――桐生院也もまた、自らの道を見つけていた。彼は、再編されたギルド『アヴァロン』を、力で支配するのではなく、秩序と正義で導く、高潔なギルドマスターとなっていた。時には、カナデの創る自由すぎる世界に、公然と苦言を呈することもあったが、その根底には、この世界を誰よりも愛し、守りたいという、強い想いがあることを、奏太は知っていた。彼らは、最高のライバルであり、そして、最高の理解者となっていた。
穏やかで、充実した日々。
だが、奏太の心には、常に、一つの空白があった。
『リリア』の存在だ。
ギルドハウスの地下、創造の聖域に安置された『リリアの心』は、この数年間、静かな光を放ち続けていたが、彼女が目覚める兆候は、一向に見られなかった。
奏太は、仕事の合間を縫っては、聖域を訪れ、彼女に語りかけ、そして、自らの『ワールド・リクリエイト』の力で、彼女の魂のデータを、少しずつ、修復し続けていた。
それは、ゴールが見えない、あまりにも気の遠くなるような作業だった。
そして、ある日のこと。
その日は、新生『Aethelgard: Re-Genesis』の、サービス開始から三周年を記念する、特別なイベントが開催される日だった。
奏太は、運営スタッフとして、その準備に追われていた。
「風見君、最終チェック、お願いできるかな?」
開発主任だった相田が、今は上司として、彼に声をかける。
「はい。問題ありません」
奏太は、コンソールを操作し、世界のパラメータを最終調整していく。
その時、彼の目の前のモニターに、一つの警告アラートが、ポップアップした。
『警告:創造の聖域において、規定値を超える、高密度の生命エネルギーを検知』
「……え?」
奏太の胸が、激しく高鳴った。
彼は、相田に一言断ると、席を立ち、自分のアカウントで、ゲーム世界へとダイブした。
ログインポイントは、アークライトのギルドハウス『ジオ・フロンティア』。
数年ぶりに、カナデとして、その地に降り立つ。
見慣れたリビングを抜け、彼は、逸る気持ちを抑えながら、地下の聖域へと続く階段を駆け下りた。
聖域の扉を開ける。
目に飛び込んできたのは、これまで見たこともないほどの、眩い、生命力に満ちた、金色の光だった。
祭壇の上に置かれていたはずの『リリアの心』は、その姿を消していた。
そして、その代わりに。
祭壇の前に、一人の少女が、背を向けて立っていた。
腰まで届く、美しい銀色の髪。
成長し、少女から、一人の若い女性へと、その姿を変えつつある、しなやかな背中。
その姿に、見間違えるはずがなかった。
「……リリア、さん?」
カナデの声に、彼女は、ゆっくりと振り返った。
その翡翠色の瞳には、もう、かつてのような儚さはない。世界を知り、多くの想いを受け入れ、そして、長い眠りから覚めた、確かな意志の光が宿っていた。
その顔立ちは、まだ少し幼さを残しているが、数年の時を経て、驚くほど美しく成長していた。
「……遅かったですね、カナデさん」
リリアは、少しだけ拗ねたように、しかし、最高の笑顔で、そう言った。
その声は、もう、彼の脳内に響く声ではない。彼の耳に、確かに届く、温かい声だった。
「ずっと、待っていました。あなたが創ってくれた、この世界で。あなたに、再び会える、この日を」
「リリアさん……!」
カナデは、彼女の元へと駆け寄り、その華奢な身体を、強く、強く、抱きしめた。
腕の中に、確かな温もりがある。鼓動がある。
夢じゃない。
彼女は、本当に、帰ってきたのだ。
「……おかえりなさい、リリアさん」
「……はい。ただいま、なさい、カナデさん」
リリアもまた、その腕に、そっと力を込めた。
数年の時を経て、創造主と、その手によって再生された魂は、ついに、再会を果たした。
それは、一つの神話の、本当の意味での、ハッピーエンド。
「さあ、行きましょうか」
カナデは、彼女の手を取った。
「みんなが、待っています。俺たちの、新しい冒険の始まりを」
「はい!」
リリアは、満面の笑みで頷いた。
二人は、手を取り合って、地上へと続く階段を登っていく。
その先には、かけがえのない仲間たちが、そして、無限の可能性に満ちた、彼らが創り、守り、そして、愛した世界が、広がっている。
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