46 / 53
第46話 学園祭の夜
しおりを挟む
創星祭の当日、学園は夜明けと共に、かつてないほどの熱気と喧騒に包まれた。
校門には朝早くから着飾った王都の人々が詰めかけ、生徒たちの手による様々な模擬店や催し物を楽しんでいる。あちこちから、楽しげな音楽と人々の弾むような笑い声が聞こえてきた。
まるで学園全体が巨大な宝石箱のように、きらきらと輝いている。
私たちのクラスのカフェも開店と同時に大盛況だった。
アンナの『全自動おかわり君』は子供たちに大人気で、カインは給仕係としてその腕っぷしを発揮し、一度に十人分のお盆を運んで周囲を驚かせている。
私がブレンドしたハーブティーは、「飲むだけで心が安らぐ奇跡のお茶」として瞬く間に評判を呼び、長い行列ができていた。
「すごいね、リリアーナさん!もう茶葉がなくなりそうだよ!」
「嬉しい悲鳴ですわね」
忙しさに追われながらも、クラスメイトたちと協力して一つのことを成し遂げる喜びは、私の心を温かく満たした。
この平和な光景。この輝くような笑顔。
その裏で得体の知れない悪意が蠢いていることなど、誰も想像すらしていない。その事実が私の胸をちりちりと焦がした。
『リリアーナ。気を抜くな』
喧騒の中でも、ルークの声はクリアに私の心に届く。
『敵は、この熱気が最高潮に達する瞬間を待っている。最も人が油断し、最も多くの魔力がこの地に満ちる時……おそらく、夜だ』
彼の予測通り日が傾き、学園が夕闇に包まれ始めると、祭りの雰囲気はさらに熱を帯びていった。
夜の部のメインイベントである、中庭でのキャンプファイヤーとダンスパーティーが始まろうとしているのだ。色とりどりの魔法灯が学園の至る所を照らし、幻想的な光景を作り出している。
私もクラスの仕事を終え、アンナとカインと共に中庭へと向かっていた。
人混みをかき分けながら進む途中、私はふと言いようのない違和感に足を止めた。
空気が重い。
魔力の流れが明らかに淀んでいる。昨日ルークが指摘した『杭』が、学園中に満ちた人々の魔力に共鳴し、活性化を始めているのだ。
「二人とも、気をつけて」
「ああ、分かっている」
「うん……!」
カインは腰の模擬剣の柄に手をかけ、アンナも懐の魔道具を確かめるように触った。
私たちの間には、言葉にしなくとも分かる極度の緊張感が漂っていた。
やがて学園長が高らかに夜の部の開始を宣言し、中庭の中央に組まれた巨大な薪の山に魔法の火が灯された。
パチパチと音を立てて燃え上がる炎が、集まった人々の顔を明るく照らし出す。歓声が夜空に響き渡った。
楽しいダンス音楽が流れ始め、生徒たちが次々と輪になって踊り始める。
その瞬間だった。
私の足元の大地が、ごく微かに、しかし確かに脈動するのを感じた。
『――来たぞ!』
ルークの鋭い声と同時に、異変は起こった。
学園の敷地の四隅――東の鐘楼、西の森、南の旧校舎、そして北の大門。その四つの地点から、禍々しい紫黒色の光の柱が天を突くように立ち上ったのだ。
光の柱は上空で一つに繋がり、巨大なドーム状の結界を形成していく。
「な、なんだ、あれは!?」
「きれい……花火かしら?」
何も知らない生徒や客たちは、突然の光景を祭りの演出だと思い、歓声を上げている。
だが、私たちには分かっていた。
あれは、祝福の光などではない。
学園全体を外部から完全に隔離し、中にいる人間を閉じ込めるための巨大な監獄。
結界が完成した瞬間、キャンプファイヤーの炎が不気味な紫黒色へと変わった。
楽しげだったダンス音楽は、まるで悪夢の旋律のように歪み、不協和音を奏始める。
学園中に灯されていた美しい魔法灯は次々とその光を失い、代わりに地面に描かれた巨大な魔法陣の紋様が禍々しい光を放ち始めた。
「きゃあああっ!」
「な、何が起こったの!?」
ようやく事態の異常さに気づいた人々が、パニックに陥り始めた。
そして彼らの身に、さらなる異変が襲いかかる。
「あ……あれ……?」
「身体から、力が抜けていく……」
生徒や魔力を持つ客たちが、次々とその場に膝をつき始めた。
彼らの身体から、キラキラとした光の粒子――魔力が強制的に吸い出され、地面の魔法陣へと流れ込んでいく。
「これは……!学園中の人間の魔力を生贄にするつもりか!」
カインが絶叫した。
敵の目的はこれだったのだ。創星祭に集まった何千という人間の膨大な魔力を根こそぎ奪い取り、何か恐ろしい儀式を完成させようとしている。
私とアンナ、カインは咄嗟に自分の魔力を体内で固く閉ざし、抵抗した。だが、魔法陣から発せられる吸引力はあまりにも強力で、じわじわと体内の力が削られていくのが分かる。
『リリアーナ!このままでは皆、魔力を吸い尽くされて廃人になってしまう!』
(どうすれば……!)
『儀式の中心は、あそこだ!』
ルークが指し示したのは、紫黒色の炎が燃え盛るキャンプファイヤー。その炎の中心に、浮かび上がるようにして一つの人影が現れた。
黒いローブを深く被り、禍々しい魔力の杖を携えた、仮面の魔術師。
「ククク……。素晴らしい……。素晴らしいぞ、この力は……!」
仮面の奥から聞こえてくる声は、魔法で変えられているのか、男とも女ともつかない不気味な響きを持っていた。
「さあ、愚かなる子羊たちよ。お前たちの未来も希望も、全て我が主の糧となるがいい!」
仮面の魔術師が杖を高く掲げると、魔力の吸引力がさらに強まった。
あちこちで完全に魔力を吸い尽くされた生徒たちが、白目を剥いて倒れていく。
「やめろぉぉぉっ!」
カインが怒りの雄叫びを上げて、仮面の魔術師へと突進しようとする。
だが、彼の前に炎の中から生まれた数体の炎の魔物が立ちはだかった。
「カインさん!」
「くそっ、こいつら……!」
カインが魔物にてこずっている。
アンナも魔道具を使おうとするが、魔力が不安定でうまく起動できない。
このままでは、全滅だ。
(わたくしが、やるしかない……!)
私は覚悟を決めた。
私の聖なる力ならば、この邪悪な儀式を止められるかもしれない。
私は自分の内なる力に意識を集中させた。
だが、敵も私の存在には気づいていた。
仮面の魔術師の視線が、正確に私を捉える。
「ほう……。あれが噂の『聖女の器』か。その清浄な魂は儀式の仕上げに、極上の贄として捧げてやろう」
仮面の魔術師が、私に向かって杖を突き出した。
その先端から凝縮された闇の魔力が、漆黒の槍となって私へと放たれる。
速い。避けられない。
絶体絶命。
そう思った瞬間、私の前に赤い影が割り込んだ。
「リリアーナァァッ!」
カインだった。
彼は炎の魔物を振り切り、私を庇うようにしてその身を盾にした。
漆黒の槍は、カインの右肩を容赦なく貫いた。
「――がっ……!?」
カインの口から苦悶の呻きが漏れる。
彼の身体から、どっと鮮血が噴き出した。
そして彼は糸が切れた人形のように、ゆっくりと私の腕の中へと崩れ落ちていった。
「カインさん……?カインさんッ!!」
私の悲鳴が、悪夢に包まれた学園の夜空に虚しく響き渡った。
彼の身体から急速に温もりが失われていく。
私の目の前で、大切な友人の命の灯が消えかけていた。
校門には朝早くから着飾った王都の人々が詰めかけ、生徒たちの手による様々な模擬店や催し物を楽しんでいる。あちこちから、楽しげな音楽と人々の弾むような笑い声が聞こえてきた。
まるで学園全体が巨大な宝石箱のように、きらきらと輝いている。
私たちのクラスのカフェも開店と同時に大盛況だった。
アンナの『全自動おかわり君』は子供たちに大人気で、カインは給仕係としてその腕っぷしを発揮し、一度に十人分のお盆を運んで周囲を驚かせている。
私がブレンドしたハーブティーは、「飲むだけで心が安らぐ奇跡のお茶」として瞬く間に評判を呼び、長い行列ができていた。
「すごいね、リリアーナさん!もう茶葉がなくなりそうだよ!」
「嬉しい悲鳴ですわね」
忙しさに追われながらも、クラスメイトたちと協力して一つのことを成し遂げる喜びは、私の心を温かく満たした。
この平和な光景。この輝くような笑顔。
その裏で得体の知れない悪意が蠢いていることなど、誰も想像すらしていない。その事実が私の胸をちりちりと焦がした。
『リリアーナ。気を抜くな』
喧騒の中でも、ルークの声はクリアに私の心に届く。
『敵は、この熱気が最高潮に達する瞬間を待っている。最も人が油断し、最も多くの魔力がこの地に満ちる時……おそらく、夜だ』
彼の予測通り日が傾き、学園が夕闇に包まれ始めると、祭りの雰囲気はさらに熱を帯びていった。
夜の部のメインイベントである、中庭でのキャンプファイヤーとダンスパーティーが始まろうとしているのだ。色とりどりの魔法灯が学園の至る所を照らし、幻想的な光景を作り出している。
私もクラスの仕事を終え、アンナとカインと共に中庭へと向かっていた。
人混みをかき分けながら進む途中、私はふと言いようのない違和感に足を止めた。
空気が重い。
魔力の流れが明らかに淀んでいる。昨日ルークが指摘した『杭』が、学園中に満ちた人々の魔力に共鳴し、活性化を始めているのだ。
「二人とも、気をつけて」
「ああ、分かっている」
「うん……!」
カインは腰の模擬剣の柄に手をかけ、アンナも懐の魔道具を確かめるように触った。
私たちの間には、言葉にしなくとも分かる極度の緊張感が漂っていた。
やがて学園長が高らかに夜の部の開始を宣言し、中庭の中央に組まれた巨大な薪の山に魔法の火が灯された。
パチパチと音を立てて燃え上がる炎が、集まった人々の顔を明るく照らし出す。歓声が夜空に響き渡った。
楽しいダンス音楽が流れ始め、生徒たちが次々と輪になって踊り始める。
その瞬間だった。
私の足元の大地が、ごく微かに、しかし確かに脈動するのを感じた。
『――来たぞ!』
ルークの鋭い声と同時に、異変は起こった。
学園の敷地の四隅――東の鐘楼、西の森、南の旧校舎、そして北の大門。その四つの地点から、禍々しい紫黒色の光の柱が天を突くように立ち上ったのだ。
光の柱は上空で一つに繋がり、巨大なドーム状の結界を形成していく。
「な、なんだ、あれは!?」
「きれい……花火かしら?」
何も知らない生徒や客たちは、突然の光景を祭りの演出だと思い、歓声を上げている。
だが、私たちには分かっていた。
あれは、祝福の光などではない。
学園全体を外部から完全に隔離し、中にいる人間を閉じ込めるための巨大な監獄。
結界が完成した瞬間、キャンプファイヤーの炎が不気味な紫黒色へと変わった。
楽しげだったダンス音楽は、まるで悪夢の旋律のように歪み、不協和音を奏始める。
学園中に灯されていた美しい魔法灯は次々とその光を失い、代わりに地面に描かれた巨大な魔法陣の紋様が禍々しい光を放ち始めた。
「きゃあああっ!」
「な、何が起こったの!?」
ようやく事態の異常さに気づいた人々が、パニックに陥り始めた。
そして彼らの身に、さらなる異変が襲いかかる。
「あ……あれ……?」
「身体から、力が抜けていく……」
生徒や魔力を持つ客たちが、次々とその場に膝をつき始めた。
彼らの身体から、キラキラとした光の粒子――魔力が強制的に吸い出され、地面の魔法陣へと流れ込んでいく。
「これは……!学園中の人間の魔力を生贄にするつもりか!」
カインが絶叫した。
敵の目的はこれだったのだ。創星祭に集まった何千という人間の膨大な魔力を根こそぎ奪い取り、何か恐ろしい儀式を完成させようとしている。
私とアンナ、カインは咄嗟に自分の魔力を体内で固く閉ざし、抵抗した。だが、魔法陣から発せられる吸引力はあまりにも強力で、じわじわと体内の力が削られていくのが分かる。
『リリアーナ!このままでは皆、魔力を吸い尽くされて廃人になってしまう!』
(どうすれば……!)
『儀式の中心は、あそこだ!』
ルークが指し示したのは、紫黒色の炎が燃え盛るキャンプファイヤー。その炎の中心に、浮かび上がるようにして一つの人影が現れた。
黒いローブを深く被り、禍々しい魔力の杖を携えた、仮面の魔術師。
「ククク……。素晴らしい……。素晴らしいぞ、この力は……!」
仮面の奥から聞こえてくる声は、魔法で変えられているのか、男とも女ともつかない不気味な響きを持っていた。
「さあ、愚かなる子羊たちよ。お前たちの未来も希望も、全て我が主の糧となるがいい!」
仮面の魔術師が杖を高く掲げると、魔力の吸引力がさらに強まった。
あちこちで完全に魔力を吸い尽くされた生徒たちが、白目を剥いて倒れていく。
「やめろぉぉぉっ!」
カインが怒りの雄叫びを上げて、仮面の魔術師へと突進しようとする。
だが、彼の前に炎の中から生まれた数体の炎の魔物が立ちはだかった。
「カインさん!」
「くそっ、こいつら……!」
カインが魔物にてこずっている。
アンナも魔道具を使おうとするが、魔力が不安定でうまく起動できない。
このままでは、全滅だ。
(わたくしが、やるしかない……!)
私は覚悟を決めた。
私の聖なる力ならば、この邪悪な儀式を止められるかもしれない。
私は自分の内なる力に意識を集中させた。
だが、敵も私の存在には気づいていた。
仮面の魔術師の視線が、正確に私を捉える。
「ほう……。あれが噂の『聖女の器』か。その清浄な魂は儀式の仕上げに、極上の贄として捧げてやろう」
仮面の魔術師が、私に向かって杖を突き出した。
その先端から凝縮された闇の魔力が、漆黒の槍となって私へと放たれる。
速い。避けられない。
絶体絶命。
そう思った瞬間、私の前に赤い影が割り込んだ。
「リリアーナァァッ!」
カインだった。
彼は炎の魔物を振り切り、私を庇うようにしてその身を盾にした。
漆黒の槍は、カインの右肩を容赦なく貫いた。
「――がっ……!?」
カインの口から苦悶の呻きが漏れる。
彼の身体から、どっと鮮血が噴き出した。
そして彼は糸が切れた人形のように、ゆっくりと私の腕の中へと崩れ落ちていった。
「カインさん……?カインさんッ!!」
私の悲鳴が、悪夢に包まれた学園の夜空に虚しく響き渡った。
彼の身体から急速に温もりが失われていく。
私の目の前で、大切な友人の命の灯が消えかけていた。
0
あなたにおすすめの小説
白い結婚に、猶予を。――冷徹公爵と選び続ける夫婦の話
鷹 綾
恋愛
婚約者である王子から「有能すぎる」と切り捨てられた令嬢エテルナ。
彼女が選んだ新たな居場所は、冷徹と噂される公爵セーブルとの白い結婚だった。
干渉しない。触れない。期待しない。
それは、互いを守るための合理的な選択だったはずなのに――
静かな日常の中で、二人は少しずつ「選び続けている関係」へと変わっていく。
越えない一線に名前を付け、それを“猶予”と呼ぶ二人。
壊すより、急ぐより、今日も隣にいることを選ぶ。
これは、激情ではなく、
確かな意思で育つ夫婦の物語。
最愛の亡き母に父そっくりな子息と婚約させられ、実は嫌われていたのかも知れないと思うだけで気が変になりそうです
珠宮さくら
恋愛
留学生に選ばれることを目標にして頑張っていたヨランダ・アポリネール。それを知っているはずで、応援してくれていたはずなのにヨランダのために父にそっくりな子息と婚約させた母。
そんな母が亡くなり、義母と義姉のよって、使用人の仕事まですることになり、婚約者まで奪われることになって、母が何をしたいのかをヨランダが突き詰めたら、嫌われていた気がし始めてしまうのだが……。
メイド令嬢は毎日磨いていた石像(救国の英雄)に求婚されていますが、粗大ゴミの回収は明日です
有沢楓花
恋愛
エセル・エヴァット男爵令嬢は、二つの意味で名が知られている。
ひとつめは、金遣いの荒い実家から追い出された可哀想な令嬢として。ふたつめは、何でも綺麗にしてしまう凄腕メイドとして。
高給を求めるエセルの次の職場は、郊外にある老伯爵の汚屋敷。
モノに溢れる家の終活を手伝って欲しいとの依頼だが――彼の偉大な魔法使いのご先祖様が残した、屋敷のガラクタは一筋縄ではいかないものばかり。
高価な絵画は勝手に話し出し、鎧はくすぐったがって身よじるし……ご先祖様の石像は、エセルに求婚までしてくるのだ。
「毎日磨いてくれてありがとう。結婚してほしい」
「石像と結婚できません。それに伯爵は、あなたを魔法資源局の粗大ゴミに申し込み済みです」
そんな時、エセルを後妻に貰いにきた、という男たちが現れて連れ去ろうとし……。
――かつての救国の英雄は、埃まみれでひとりぼっちなのでした。
この作品は他サイトにも掲載しています。
私を陥れたつもりのようですが、責任を取らされるのは上司である聖女様ですよ。本当に大丈夫なんですか?
木山楽斗
恋愛
平民であるため、類稀なる魔法の才を持つアルエリアは聖女になれなかった。
しかしその実力は多くの者達に伝わっており、聖女の部下となってからも一目置かれていた。
その事実は、聖女に選ばれた伯爵令嬢エムリーナにとって気に入らないものだった。
彼女は、アルエリアを排除する計画を立てた。王都を守る結界をアルエリアが崩壊させるように仕向けたのだ。
だが、エムリーナは理解していなかった。
部下であるアルエリアの失敗の責任を取るのは、自分自身であるということを。
ある時、アルエリアはエムリーナにそれを指摘した。
それに彼女は、ただただ狼狽えるのだった。
さらにエムリーナの計画は、第二王子ゼルフォンに見抜かれていた。
こうして彼女の歪んだ計画は、打ち砕かれたのである。
答えられません、国家機密ですから
ととせ
恋愛
フェルディ男爵は「国家機密」を継承する特別な家だ。その後継であるジェシカは、伯爵邸のガゼボで令息セイルと向き合っていた。彼はジェシカを愛してると言うが、本当に欲しているのは「国家機密」であるのは明白。全てに疲れ果てていたジェシカは、一つの決断を彼に迫る。
【完結】僻地の修道院に入りたいので、断罪の場にしれーっと混ざってみました。
櫻野くるみ
恋愛
王太子による独裁で、貴族が息を潜めながら生きているある日。
夜会で王太子が勝手な言いがかりだけで3人の令嬢達に断罪を始めた。
ひっそりと空気になっていたテレサだったが、ふと気付く。
あれ?これって修道院に入れるチャンスなんじゃ?
子爵令嬢のテレサは、神父をしている初恋の相手の元へ行ける絶好の機会だととっさに考え、しれーっと断罪の列に加わり叫んだ。
「わたくしが代表して修道院へ参ります!」
野次馬から急に現れたテレサに、その場の全員が思った。
この娘、誰!?
王太子による恐怖政治の中、地味に生きてきた子爵令嬢のテレサが、初恋の元伯爵令息に会いたい一心で断罪劇に飛び込むお話。
主人公は猫を被っているだけでお転婆です。
完結しました。
小説家になろう様にも投稿しています。
“足りない”令嬢だと思われていた私は、彼らの愛が偽物だと知っている。
ぽんぽこ狸
恋愛
レーナは、婚約者であるアーベルと妹のマイリスから書類にサインを求められていた。
その書類は見る限り婚約解消と罪の自白が目的に見える。
ただの婚約解消ならばまだしも、後者は意味がわからない。覚えもないし、やってもいない。
しかし彼らは「名前すら書けないわけじゃないだろう?」とおちょくってくる。
それを今までは当然のこととして受け入れていたが、レーナはこうして歳を重ねて変わった。
彼らに馬鹿にされていることもちゃんとわかる。しかし、変わったということを示す方法がわからないので、一般貴族に解放されている図書館に向かうことにしたのだった。
見捨ててくれてありがとうございます。あとはご勝手に。
有賀冬馬
恋愛
「君のような女は俺の格を下げる」――そう言って、侯爵家嫡男の婚約者は、わたしを社交界で公然と捨てた。
選んだのは、華やかで高慢な伯爵令嬢。
涙に暮れるわたしを慰めてくれたのは、王国最強の騎士団副団長だった。
彼に守られ、真実の愛を知ったとき、地味で陰気だったわたしは、もういなかった。
やがて、彼は新妻の悪行によって失脚。復縁を求めて縋りつく元婚約者に、わたしは冷たく告げる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる