好きって言わせてやるぅぅぅ!

曲がる定規

文字の大きさ
1 / 5

作戦開始!

しおりを挟む



「ね……?」


 飲み会帰り。公園の前を通りかかると、オレはやっちゃんの腕を引っ張って言った。


「うん」


 頭一つ高いところにあるやっちゃんの顔が、オレの大好きな笑顔で頷いた。








 やっちゃんとオレは、家は隣同士、物心付く前からの20年以上の付き合いだ。そのうち恋人は約1年だけど。


 だから、大概のことは顔を見るだけでわかる。


 だからオレたちは………好きと言ったことがない。






 恋人となった約1年前。互いに顔を合わせ、そのままの流れで付き合い始めた。


 だけどやっぱり……


 なんやかんや紆余曲折あって壁を乗り越えて『好きだ!』『自分も!』みたいなシチュエーションに憧れる。マンガの読みすぎって言われるかもしれないけれど。


 でも、だからって、自分から言うのは……


 想像しただけで、腹の底から恥ずかしさが湧き出てくる。足をバタバタさせたくなる。


 あぁぁぁぁ!!


 頭の中に浮かんでくるのは、大好きなやっちゃんの、おっきなわんこみたいなふわりとした優しい笑顔。オレはこの笑顔が大好きだ。


 でも……


 いつも穏やかで、ふわんとしてるやっちゃんは、きっとオレが告白してもいつもと変わらずこの笑顔で抱きしめてくれるだろう。


 でも……恥ずかしいもんは恥ずかいぃぃぃ!


 ……と、そんなこんなで約一年経ってしまった。


 しかも、時が経つにつれ、今更感増してくしっ!!


 だから、オレは決めたんだ。


 やっちゃんから好きって言わせてやるぅぅぅ!!







 実はと言うと……
 今日は、オレたちが付き合い初めて1年の記念日だ。けれど、今日はゼミの飲み会が入ってしまったため、こうして帰り道デートとなってしまった。


 どうにかして今日中に、やっちゃんから好きと言ってもらいたい。記念日なんだし。


 ……と、そんなこんなで。
 オレは昨日思いついた作戦を実行すべく、やっちゃんを公園に誘ったのだ。


 その作戦というのは……
 昨日、ゼミの飲み会が行われる店の場所を調べていた。その時に偶然見つけた、ススキがたくさん生えているらしい公園。帰り道のすぐ側にある。
 この場所でとある事をして、やっちゃんに好きと言ってもらうのだ!!










 オレはやっちゃんの手を引っ張り、公園の奥へ進む。
 スマホ上のマップによると、森のエリアを抜けその少し奥にススキの群生地があるらしい。


 ふふふ……


 ススキ、という字を読んで、オレはすぐに思いついた。


 始めの一文字目をキスで隠してしまえば、やっちゃんから好きって言ってもらえる……!


 オレはいつの間にか早足になっていることにも気づかず、公園の奥へと進んだ。


 

 ちなみに。
 昨日の晩ご飯は、偶然にも、すきやきだった。家族ぐるみで付き合いのあるオレたちは、たまにどちらかの家に集まって一緒にご飯を食べる。
昨日はおじさんたちの予定が合わず、やっちゃんだけ我が家に来ていた。
 しかし、さすがに家族の手前、キスする訳にもいかず……オレはその鬱憤を今日に持ち越すことになった。








「わーすごーい!やっちゃんあそこ見てみて~!」

「スズくんどうしたの?」

「あそこあそこ!!あのへんに見えるやつ!あの、えと、あの、もしゃもしゃしてるやつ……えーっと、えーっと、あれの名前、なんだっけ?」

「ちょっと待ってね。えーーーっと……なんだっけ?」

「あれだよあれ!」

「ごめんね、僕もド忘れしちゃったみたい」


 今調べるからと言って、やっちゃんはポケットからスマホを取り出す。
 すぐに飛びついて唇を奪うためこっそり体勢を整えていたオレは、無意識に急かしてしまう。


「はやく!はやくっ!」

「ごめんね、ちょっと待ってね」


 ピロン♪という音の後、やっちゃんはスマホの画面を真剣に見つめる。どうやら写真を撮って画像検索しているらしい。


「スズくん、わかったよ」


 やっちゃんは、にっこりしながらこちらを振り返った。


「ほんと!?」


 今だっ!


「うん。スズんぐぅっ!?」


 しかし、肩をつかんで飛びついたのがコンマ1秒遅かったのか……『キ』の部分をキスで塞いでしまった。


 あぁぁぁ……


 煤って言われても嬉しくないと思いながら唇を離そうとしたが……


「んーっ!?」


 唇を塞がれたまま、何故かオレの身体はやっちゃんにガッツリ抱きしめられていた。



しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

仲良くなったと思った相手は、どうやら友達なんて作りたくないらしい

たけむら
BL
仲良くなった相手は、どうやら友達なんて要らないっぽい 石見陽葵には、大学に入ってから知り合った友人・壬生奏明がいる。少し冷たそうな第一印象から周りの学生に遠巻きにされている奏明に、とある提案をしてみると、衝撃的な一言が返ってきて…?

アプリで都合のいい男になろうとした結果、彼氏がバグりました

あと
BL
「目指せ!都合のいい男!」 穏やか完璧モテ男(理性で執着を押さえつけてる)×親しみやすい人たらし可愛い系イケメン 攻めの両親からの別れろと圧力をかけられた受け。関係は秘密なので、友達に相談もできない。悩んでいる中、どうしても別れたくないため、愛人として、「都合のいい男」になることを決意。人生相談アプリを手に入れ、努力することにする。しかし、攻めに約束を破ったと言われ……?   攻め:深海霧矢 受け:清水奏 前にアンケート取ったら、すれ違い・勘違いものが1位だったのでそれ系です。 ハピエンです。 ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。
批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。 自己判断で消しますので、悪しからず。

君に二度、恋をした。

春夜夢
BL
十年前、初恋の幼なじみ・堂本遥は、何も告げずに春翔の前から突然姿を消した。 あれ以来、恋をすることもなく、淡々と生きてきた春翔。 ――もう二度と会うこともないと思っていたのに。 大手広告代理店で働く春翔の前に、遥は今度は“役員”として現れる。 変わらぬ笑顔。けれど、彼の瞳は、かつてよりずっと強く、熱を帯びていた。 「逃がさないよ、春翔。今度こそ、お前の全部を手に入れるまで」 初恋、すれ違い、再会、そして執着。 “好き”だけでは乗り越えられなかった過去を乗り越えて、ふたりは本当の恋に辿り着けるのか―― すれ違い×再会×俺様攻め 十年越しに交錯する、切なくも甘い溺愛ラブストーリー、開幕。

君の恋人

risashy
BL
朝賀千尋(あさか ちひろ)は一番の親友である茅野怜(かやの れい)に片思いをしていた。 伝えるつもりもなかった気持ちを思い余って告げてしまった朝賀。 もう終わりだ、友達でさえいられない、と思っていたのに、茅野は「付き合おう」と答えてくれて——。 不器用な二人がすれ違いながら心を通わせていくお話。

【8話完結】僕の大切な人はBLゲームの主人公でした。〜モブは主人公の幸せのためなら、この恋も諦められます〜

キノア9g
BL
転生先は、まさかのBLゲームの世界。 モブであるリセルは、恋を自覚した瞬間、幼馴染・セスがこの世界の“主人公”だと気づいてしまう。 このまま一緒にいても、いつか彼は攻略対象に惹かれていく運命——それでも、今だけは傍にいたい。 「諦める覚悟をしたのに、どうしてこんなにも君が愛おしいんだろう」 恋の終わりを知っているモブと、想いを自覚していく主人公。 甘さと切なさが胸を締めつける、すれ違いから始まる運命の物語。 全8話。

【完結】好きな人の待ち受け画像は僕ではありませんでした

鳥居之イチ
BL
———————————————————— 受:久遠 酵汰《くおん こうた》 攻:金城 桜花《かねしろ おうか》 ———————————————————— あることがきっかけで好きな人である金城の待ち受け画像を見てしまった久遠。 その待ち受け画像は久遠ではなく、クラスの別の男子でした。 上北学園高等学校では、今SNSを中心に広がっているお呪いがある。 それは消しゴムに好きな人の前を書いて、使い切ると両想いになれるというお呪いの現代版。 お呪いのルールはたったの二つ。  ■待ち受けを好きな人の写真にして3ヶ月間好きな人にそのことをバレてはいけないこと。  ■待ち受けにする写真は自分しか持っていない写真であること。 つまりそれは、金城は久遠ではなく、そのクラスの別の男子のことが好きであることを意味していた。 久遠は落ち込むも、金城のためにできることを考えた結果、 金城が金城の待ち受けと付き合えるように、協力を持ちかけることになるが… ———————————————————— この作品は他サイトでも投稿しております。

サンタからの贈り物

未瑠
BL
ずっと片思いをしていた冴木光流(さえきひかる)に想いを告げた橘唯人(たちばなゆいと)。でも、彼は出来るビジネスエリートで仕事第一。なかなか会うこともできない日々に、唯人は不安が募る。付き合って初めてのクリスマスも冴木は出張でいない。一人寂しくイブを過ごしていると、玄関チャイムが鳴る。 ※別小説のセルフリメイクです。

なぜか大好きな親友に告白されました

結城なぎ
BL
ずっと好きだった親友、祐也に告白された智佳。祐也はなにか勘違いしてるみたいで…。お互いにお互いを好きだった2人が結ばれるお話。 ムーンライトノベルズのほうで投稿した話を短編にまとめたものになります。初投稿です。ムーンライトノベルズのほうでは攻めsideを投稿中です。

処理中です...