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作戦開始!
しおりを挟む「ね……?」
飲み会帰り。公園の前を通りかかると、オレはやっちゃんの腕を引っ張って言った。
「うん」
頭一つ高いところにあるやっちゃんの顔が、オレの大好きな笑顔で頷いた。
やっちゃんとオレは、家は隣同士、物心付く前からの20年以上の付き合いだ。そのうち恋人は約1年だけど。
だから、大概のことは顔を見るだけでわかる。
だからオレたちは………好きと言ったことがない。
恋人となった約1年前。互いに顔を合わせ、そのままの流れで付き合い始めた。
だけどやっぱり……
なんやかんや紆余曲折あって壁を乗り越えて『好きだ!』『自分も!』みたいなシチュエーションに憧れる。マンガの読みすぎって言われるかもしれないけれど。
でも、だからって、自分から言うのは……
想像しただけで、腹の底から恥ずかしさが湧き出てくる。足をバタバタさせたくなる。
あぁぁぁぁ!!
頭の中に浮かんでくるのは、大好きなやっちゃんの、おっきなわんこみたいなふわりとした優しい笑顔。オレはこの笑顔が大好きだ。
でも……
いつも穏やかで、ふわんとしてるやっちゃんは、きっとオレが告白してもいつもと変わらずこの笑顔で抱きしめてくれるだろう。
でも……恥ずかしいもんは恥ずかいぃぃぃ!
……と、そんなこんなで約一年経ってしまった。
しかも、時が経つにつれ、今更感増してくしっ!!
だから、オレは決めたんだ。
やっちゃんから好きって言わせてやるぅぅぅ!!
実はと言うと……
今日は、オレたちが付き合い初めて1年の記念日だ。けれど、今日はゼミの飲み会が入ってしまったため、こうして帰り道デートとなってしまった。
どうにかして今日中に、やっちゃんから好きと言ってもらいたい。記念日なんだし。
……と、そんなこんなで。
オレは昨日思いついた作戦を実行すべく、やっちゃんを公園に誘ったのだ。
その作戦というのは……
昨日、ゼミの飲み会が行われる店の場所を調べていた。その時に偶然見つけた、ススキがたくさん生えているらしい公園。帰り道のすぐ側にある。
この場所でとある事をして、やっちゃんに好きと言ってもらうのだ!!
オレはやっちゃんの手を引っ張り、公園の奥へ進む。
スマホ上のマップによると、森のエリアを抜けその少し奥にススキの群生地があるらしい。
ふふふ……
ススキ、という字を読んで、オレはすぐに思いついた。
始めの一文字目をキスで隠してしまえば、やっちゃんから好きって言ってもらえる……!
オレはいつの間にか早足になっていることにも気づかず、公園の奥へと進んだ。
ちなみに。
昨日の晩ご飯は、偶然にも、すきやきだった。家族ぐるみで付き合いのあるオレたちは、たまにどちらかの家に集まって一緒にご飯を食べる。
昨日はおじさんたちの予定が合わず、やっちゃんだけ我が家に来ていた。
しかし、さすがに家族の手前、キスする訳にもいかず……オレはその鬱憤を今日に持ち越すことになった。
「わーすごーい!やっちゃんあそこ見てみて~!」
「スズくんどうしたの?」
「あそこあそこ!!あのへんに見えるやつ!あの、えと、あの、もしゃもしゃしてるやつ……えーっと、えーっと、あれの名前、なんだっけ?」
「ちょっと待ってね。えーーーっと……なんだっけ?」
「あれだよあれ!」
「ごめんね、僕もド忘れしちゃったみたい」
今調べるからと言って、やっちゃんはポケットからスマホを取り出す。
すぐに飛びついて唇を奪うためこっそり体勢を整えていたオレは、無意識に急かしてしまう。
「はやく!はやくっ!」
「ごめんね、ちょっと待ってね」
ピロン♪という音の後、やっちゃんはスマホの画面を真剣に見つめる。どうやら写真を撮って画像検索しているらしい。
「スズくん、わかったよ」
やっちゃんは、にっこりしながらこちらを振り返った。
「ほんと!?」
今だっ!
「うん。スズんぐぅっ!?」
しかし、肩をつかんで飛びついたのがコンマ1秒遅かったのか……『キ』の部分をキスで塞いでしまった。
あぁぁぁ……
煤って言われても嬉しくないと思いながら唇を離そうとしたが……
「んーっ!?」
唇を塞がれたまま、何故かオレの身体はやっちゃんにガッツリ抱きしめられていた。
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