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「すっ、すすす…………す、好きだよ!!」
しおりを挟むオレはぎゅっと目を閉じ、早口で言った。
「あ、あとね!この公園のこと知らなくてさ。オレ、外が嫌とかじゃなくって!……オレたち、流れで付き合い始めただろ?だから、告白に憧れてて……でも自分から言うのは恥ずかしくて……だからねっ……………や、やっちゃんに、ススキって言ってもらって、は、始めのスを、キスで隠しちゃえばいけると思って、公園に誘って……」
すれ違う前までは、やっちゃんを100パーセント信じられていた。けど今は、もしかしたらやっちゃんは怒るかも……そんな考えが過るようになった。
ちょっと怖い……けど、怒られてもいいんだ。やっちゃんの気持ち、ちゃんと知りたいから!
「……ふふふ、ふふ、ふっ、あははははは!スズくんらしいや!」
抱きついている身体が小刻みに揺れ出す。そこから聞こえたやっちゃんの笑い声に堪らず目を開くと、いつものわんこみたいなふんわり笑顔が飛び込んできた。
やっちゃん……
その笑顔を見た瞬間、強張っていたオレの身体から力が抜けていった。
「……んもう、そんなに笑わなくてもいいじゃん!」
いつの間にか溢れた涙が、やっちゃんの服に染み込んでいく。
「僕の方こそ、ごめんね。勘違いしちゃって」
「オレこそ……」
「これからはさ。前よりももっともっと、言葉にしていこうね」
「うん!」
オレたちはどちらともなく唇を寄せ、深く深くキスをした。
ーーーー
やっちゃんはオレを一度ギュッと抱きしめると、すぐ身体を離した。
また秋の風が吹き抜けた……けど、もう寒くない。
やっちゃんにくるりと回転させられ、オレは木の幹に手を付いた。
やっちゃん……
ちゃんと言わなくても伝わるのも嬉しい。けどオレは言葉にすることにした。
「やっちゃん……さっきはね……やっぱ地面はちょっと、って、思ってたんだ」
「そうだったんだ……気づかなくてごめんね」
あとこっちも言葉にすることにした。嬉しかったことも伝わってほしいから!
「でもねでもね!やっちゃんの腕の中は、宇宙一めちゃくちゃ良かったから!!」
「スズくん…!」
ーーーー
「ん」
やっちゃんの熱い舌が、オレの奥まったところにある入口を谷に沿ってしつこくなぞる。
「んぅ…」
その舌の隙間から、ゴツゴツした指が、中を窺うようにゆっくり優しく入ってくる。
「んはっ、やっちゃ、ん、やっちゃん、やっちゃん……」
けれど初めての体勢に、嬉しさと、同時にやっちゃんの顔が見えない不安がやって来た。
「やっちゃん、顔、後で、見せて……」
だけどこの体勢では言ってもどうすることもできないことはわかっている。だから、少し未来の気持ちを言う。言うことが大切なんだ!
「やっちゃん、やっちゃん」
やっちゃんが頷くとすぐ、太い指がオレの一番いいところを見つける。そして一番いい強さで刺激する。
オレがやっちゃんを呼ぶリズムと重なり、それが深く通じ合ってる感があって安心する。
「スズくんは、前と後ろ一緒に触られるの好きだよね」
そう言うとすぐに、やっちゃんの両手が勝手知ったるようにオレを刺激する。
改めて言葉にされると少し恥ずかしいけれど、初めてもいつもの何でも知ってる感もどっちもたまらなく良い。
「ゃぁぁんっ!……やっ、ちゃ…」
ーーーー
いつもの安心感に包まれて快感を追いかけていると、オレの足が震え始めた。いつもより早い気がするけれど、オレはやっちゃんが欲しくて欲しくてもう限界だった。
「やっちゃん……」
いつもならやっちゃんは言わなくてもオレの限界に気づいてくれる。けれど今日はいつもと気分も雰囲気も違う外だ。オレもやっちゃんもいつもと違うことがおきてもおかしくない。
でも、今日は、きちんと口に出して言うことが大切って知ったから…!
「やっちゃ、ん……オレ、もう、やっちゃんが、欲し……」
そう言うとすぐに背後の温かさが離れ、やっちゃんの唾液で湿ったところに秋の風が吹き抜ける。でもそれはもう、これから始まる行為のスパイスにしかならない。
「スズくんいくよ」
風が当たるしやっちゃんがはやく欲しくてしょうがなくて、オレが答える前にヒクヒクして勝手に返事をした。
「ん、あぁぁぁぁっ!」
外気ですら冷やせない熱いところに、同じくらい熱いやっちゃんが一気に入ってくる。
「スズくん…!」
やっちゃんを全部飲み込んだところで、後ろからぎゅっと抱きしめられた。
「やっちゃん!」
やっちゃんはきっと、大っきなわんこみたいにふわりとした笑顔だろう。見えなくても、もう信じられる。
「んっ、あっ、やっちゃ、そこっ、気持ち、いっ」
オレはやっちゃんが同じ熱さを持っていることが嬉しくて、同じ気持ちなのが嬉しくて、何度も何度も名前を呼び続けた。
「んぁっ、やっちゃ、ンっ、んっ、やっちゃ、んぁっ」
「スズくん」
「ぁ、やっ、ちゃ、んぁっ、ア、ん、やっちゃ…やっちゃん、やっちゃんやっちゃんやっちゃんっ」
今日は、オレのバカな作戦から始まり、初めてのすれ違いをした。
オレたちは、言わなくても何でも通じると思っていた。けれど、それは少し違ってて。
通じることも、通じないこともある。
でも、知ってほしいことはきちんと言葉にすることが大切で……そして、言葉にすればするほど、やっちゃんとオレの気持ちが同じだってことがわかるんだ。だからもっと深く繋がることができるんだ。
これからは、伝えたいことはもっともっと言葉にしていくから……!
「んっ、やっちゃんっ」
「スズくん」
「やっちゃ、ぁ、オレっ、やっちゃんと、一緒が、いいっ…!」
「うん、僕も」
「んっ、や、やっちゃ、んっ、やっちゃんやっちゃんっ……」
「スズくん……!」
「やっちゃ、っ、ぁ、も、オレ、ダメぇっ、も、いっ……ちゃ、あァぁぁぁぁぁっ!」
やっちゃんと繋がったところが一番熱くなるのと同時に、オレもやっちゃんの手の中で一番熱いものを放った。
ーーーー
「スズくんはさ。僕の好きが聞きたいって言ってたけど……」
「うん」
「僕だって、聞きたいなぁ……」
「さ、さっき言ったじゃん!!」
「えー、あれは……なんというか、事故?みたいな感じだし……やっぱりちゃんと、スズくんの口から聞きたいな」
「うぅぅ……でも恥ず…か、し……」
「聞かせてほしいな?」
「う………」
「聞かせてほしいなぁ」
「うぅ………」
「じゃあ、一緒に言うのはどう?」
「…そ、それなら……」
「ありがとう。じゃ、いくよ?せーのっ!」
ーーーー
オマケ
「そういえばスズくん、気づいてた?」
「何?」
「あの公園で、ススキの前でキスしてくれたときのこと。」
「ん?」
「ススキの、スを、キスで隠そうとしたこと……」
「ぅあぁぁぁそれはっ!恥ずかし過ぎてあんまり思い出したくないやつ!!」
「そうなの?スズくんが積極的でちょっと嬉しかったんだけど……」
「そ、そうなのか?」
「そうだよ……って、話が反れちゃったね、ごめんね。えーと、ススキのキスのことだったね。あれね、僕あのとき、ススキじゃなくて、スズくんって言おうとしてたんだよね……」
「え!?…………じゃ、オレ……オレのアホな作戦、言わなくてもバレてなかったってこと……?」
「だね」
「ゎあぁぁぁぁぁ恥ずかし過ぎるぅぅっっ!!」
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