アルフレッドは平穏に過ごしたい 〜追放されたけど謎のスキル【合成】で生き抜く〜

芍薬甘草湯

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新居編

幽霊退治

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「アタイは入らないからな! 門のところまで行くだけだかんな!」
 なんだかんだ言いながらも付いてきたルーナ。

「ここか! 確かに鬱蒼としてる雰囲気だな」
 ザ空き家って感じの寂れ具合だな。サイズ的にお屋敷なのでまさにお化け屋敷だ。

 門の鍵を開けて庭に入る。

「‥‥‥確かにいますね」
 ミリアは何か感じ取れるようだ。さすがはエルフだ。
 ルーナは門の所に一人で居られなくてついてきた。俺の服にしがみついている。
「‥‥‥やだやだやだ!! もう帰ろうぜ!」

「でも幽霊ではないですね。精霊です。家憑きの‥‥‥」
「家憑きの精霊?」

 聞いたことあるな。気に入られなかったら住めないってやつだった気がする。

「ワタシが対話してみます。‥‥‥」
 ミリアが不思議な言葉、いや音?で対話を試みているようだ。

 ルーナの方は震えがなくなっていた。幽霊ではなく精霊だと聞けば現金なものだ。

「‥‥‥‥‥‥。わかりました。住むためには条件があるそうです」
「条件?」

「家は出来るだけ綺麗に使う事、週に一度は必ず魔力の供給をする事、ムーの決めた人以外は住まわせない事、だそうです」
「ムーと言うのは?」

「この家憑き精霊の名前です。‥‥‥あー、うん。アル様、ムーが実体化して直接お話ししたいそうです。よろしいですか?」

 おお! そんな事出来るのか。
 ミリアに通訳してもらうよりスムーズだから反対する理由がない。

「もちろんだ。やってくれ」
「えっ!? ちょ、待っ‥‥‥」
 えっ!? あ、ルーナ的にダメだった? 

ボワンッ!!!!

 何もない所から女の子が現れた。ゴシックなメイド服に身を包んだ身長150センチくらいで黒髪でセミロングヘアの可愛い女の子だ。

「あなたが『アル様』です? 『家精霊』のムーです」
「アルフレッドだ。『アル』でいいよ。条件については聞いた」

 ムーがニコッと微笑む。
「アル様の魔力を試食したいです。良いです?」
「試食? どうやるんだ?」

「ムーの手を握るです」
 そっと差し出してくる。俺はその小さめの手を取る。

「いただきますです」
 ムーに魔力が吸われていくのがわかる。

「!! いろんな味がして美味しいです! もっと欲しいです」
「あー、俺は六属性の魔力持ちだからな。でも残念。魔力はそんなに多くないんだ」

「えぇーです。残念です」
「ごめんな」
 ムーがほっぺたを膨らませている。

「ここに住む人はムーが決めるです。お仲間を全員連れてくるのです」
「わかった。それじゃ出直して来るよ」

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