御伽の国

万里(ばんり)の国編

第9話

「おい、相棒。帰ったぞ、いねぇのか？」
隠れ家について、さっと扉を閉めて中に入った。
王宮よりは狭いが、結構住みやすい家だった。
「チッ、出かけてんのか…」
「相棒さん、居ないの？」
「みたいだな。ま、適当にくつろいでくれ」
「あ、はい。」

万里は、ローブを脱ぎ椅子にかけた。
そしてキッチンに入って行った。
くつろいでくれ。と言われたけれど、どうくつろげば良いのか分からずとりあえず、椅子に座った。

「紅茶飲めるよな？」
「あ、一応。」
万里は、慣れた手つきで紅茶をサーブしてくれた。
「この紅茶は何？」
「何だったけ…、ダージリンだったな」
「ダージリン？」
「あぁ、相棒が紅茶好きで結構種類集めてるからよ。俺様もだいぶ覚えたからな。」
香りや色が綺麗で、見惚れてしまう。
「ん、どーぞ。菓子は、コレで良いか」
パッと取ったのは、マカロンが入っている入れ物だった。
「どれが、何の味が知らねぇが。一応美味しいはずだ。」
「じゃあ、いただきます。」
アムッと口の中に、黄色のマカロンを放り込む。
「ん！美味しい！」
「それ、何の味だ？」
「えーと。多分シトロン・ポンムだと思う」
「シトロン…何だって？」
「シトロン・ポンム！レモン特有の酸味と風味を生かして作られてるって！中心に青リンゴのジュレを入れて酸っぱさを抑えてるからあんまり酸っぱく無いって！」
「何で知っている？」
「缶の中に、マカロンの種類の紙が入ってたから。」
「ん、本当だ…。気付かなかった。」
「万里はどれが良いー？」
「俺はー」
「万ちゃーん、帰ってきたの？」
「ば…、万ちゃん？」
「相棒！その名を呼ぶなと何度も言ってるだろう！！」
「ゴメン、ついねー。って、万ちゃん彼女連れてきたの！？」
「ちが！彼女じゃ…」
相棒が、帰宅したのでこれから作戦を練る事になった。