御伽の国

燐夜(りんや)の国編

第11話

お母さんはまだ仕事で帰ってきてなかった。
桐をリビングに案内して、この3ヶ月何があったかを話した。
「へぇ…。大変だったね。」
「うん…、けど楽しかったよ？」
「戻るの？」
「悩んでる、この国が良いのかあっちの国で人助けをするか。」
「そっか…。悩みなよ、悩んで答え出して来い！」
頭を思いっきり撫でられた。
「雑！」
「良いんだよ！3ヶ月連絡もしてこなかったお礼だよ！」
「酷い！！」
楽しい時間は、すぐ過ぎてしまう。
「あっちの国に戻る？」
「戻り方分からないよ」
「なら、ここに居てくれるんだね！」
「戻り方分かったら戻るけど…」
「姫様！」
「え…？」
振り向くと、黒羽が立っていた。
「く…ろは？」
「お迎えにあがりました。」
「もう？」
「はい。一刻を争う事態なので」
「桐…」
「行って来なよ、お姫様。また帰って来てよね？」
「うんっ！行ってきます！」
桐に抱きついて、離れた。
黒羽の横に行って、振り向くと桐は泣きそうな顔を無理やり笑顔に変えた。
胸がズキズキと痛む。
「黒羽…」
「行きましょう」
ユズハの手を引き、玄関から外に出た。
玄関の扉を開けて外に出ると、燐夜の国についた。


「ユズハッ」
桐は、慌てて追いかけるもユズハの姿は無かった。
「本当に帰ったんだ…」
玄関の扉を開けても、誰も居なくて。
膝から崩れ落ちた。
「ユズハッー！！」
泣きながらユズハの名を呼ぶも、ユズハは帰ってこなかった。
「帰ろう…、夢でも見たんだ」
桐は涙を拭きながら、歩いて家に帰った。


「燐夜、波羅。遅れてゴメン！！」
「おせぇよ。」
「大丈夫だった？」
「うん！全然大丈夫だよ。」
「良かった～！」
波羅は、ユズハに抱き付いた。
「わわっ！？」
「おい、白雪王子っ！！何してんだよっ」
勢いよく引き離された。
「り、燐夜？」
「行くぞ」
無視して、そのまま先を歩いた。
「フフッ」
波羅は楽しそうに笑った