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第一章 エルフの少女
45話 「ドライアドの森の戦い」その4
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「よし!こんなモンだろ!そろそろ引くぞ!」
さすがに数の暴力に厳しくなったエルフの戦士団が後退を始める。
「ふざけんな!こんだけ好き勝手にやりやがって気持ち良く後退させるかよ!」
猛然と追撃して来るゴルド軍、しかし彼らはエルフの脳筋攻撃で甚大な被害を受けていて頭に血が昇り大事な事を忘れていた。
ここから先は「森の中」エルフの領域だと言う事に・・・
逃げるエルフの戦士達を追う内にゴルドの戦士は後方の魔導士と弓兵との間に距離が生じていた。
「クソ!蔓がウザいぜ・・・」ゴルドの兵士達の足元にどこからとも無く蔓が伸びて来て足に絡まる、当然エルフの魔導士の魔法だ。
それを避ける為に森の中を左右に動く。
もうお分かりかと思うが森でそんな事をしたら迷子確定だ。
知らない森を進むには目印を付けるか直線的な移動が基本なのだ。
結果、4000人以上の兵士がバラバラに森の中で迷子になると言う珍しい現象が起こる。
「森の中ではキルゾーンに気をつけろ!必ず5人以上で行動しろ!」
この常識を充分に考慮していたはずなのに結局はキルゾーンに入り込んでしまう。
ヒュン!グサ!「がっ?!」また1人の迷子がエルフの矢の餌食になる。
索敵や部隊間の連絡を担当している魔導士と逸れたからだ。
森の中を行軍する時は怪しい場所には魔導士が魔法を撃ち込み安全を確保して5人以上の分隊行動をしなければ狙撃手の餌食になるだけなのだ。
ちなみに魔導士はこの時まだ森の入り口で結界破壊に苦戦していた。
彼らが破壊に成功したのは「物理防御結界」だけで「魔法防御結界」の破壊はまだ終わってなかったのだ。
その為に強い魔力を持つ魔導士だけが森の入り口で立ち往生しているのだ。
その為にドンドンと戦士と魔導士の距離は広がって行く。
こうなると今度は狙撃手のヒャッハータイムだ、面白い様に屈強な戦士達が倒されて行った。
やっと「魔法防御結界」を破壊して索敵魔法を使用可能になった魔導士達は唖然とする。
森の中でとんでもない広範囲に戦士と弓兵がバラバラに存在していたのだ。
「お前ら動くなぁーー!!その場で待機しろーー!!」
ようやく通信が可能になって魔導士が怒鳴った時は森に侵入した4500名の三分の一の戦士と弓兵が倒された後だった。
魔導士達が迷子を回収する間にも狙撃手は迷子のゴルド兵を始末し続けた。
その魔導士も苦境に立たされる。護衛してくれるはずの戦士達が居ないのだ。
「うわ?!」「ひいっ!」
逃げたはずの筋骨隆々エルフの戦士がバトルアックスを構えて、前衛が居ないひ弱な魔導士の前に立ち塞がる。
「ぎゃあああああ!!!」森の中に魔導士達の悲鳴が響いた。
この攻撃で迷子の回収作業は更に遅れて狙撃手の始末は続いた・・・
もはや攻撃続行不可能なゴルド軍が撤退完了したのは夕暮れも近い頃だった。
第二次ドライアドの森の戦いもゴルド軍の大惨敗で終わった。
この敗戦でドライアドの森、フィジー方面の戦線は完全な膠着状態になりゴルド王国は全ての戦線での再編成を追われる事になる。
それはエルフ達に時間を与える結果になって現状対応不能な龍騎士イリスの回復を許す事になるのだ。
第三次ドライアドの森の戦い。今度はエルフ側の攻勢が始まる。
「まだ敵は引かないんですか?しつこい!!」
完全回復のイリスが心底鬱陶しそうに言い放つ。
「しつこさだけは驚異的な連中だからのう。連中は女にもモテぬだろうて」
「本当に人間は嫌いです!」イリスの人間嫌いにも拍車がかかる。
「フィジーやピアツェンツェアはエルフの味方じゃ、あまり嫌うもので無い」
「嫌いなモノは嫌いです!」
嗜める師匠クレアにブスーと不貞腐れるイリス。
「さてどうしたモノかのう・・・」
これ以上、イリスの人間嫌いを放置出来ないクレアは思案をする・・・
「ん?待てよ・・・」
ここでクレアは気がつく、イリスが嫌っているのは「人間の男」・・・男?
「イリスよ、お主はもしかして「男嫌い」なのか?」
「お父さんやブリックリンは好きですよ?」いきなり何?と首を傾げるイリス。
「そうで無く、知らない男は嫌いか?」
「嫌いですよ?」当然なのでは?と言う顔のイリス。
「あっちゃー」天を仰ぐクレア。
考えて見ればイリスの周囲は、ほぼ女性だ。妙な偏見が生まれても不思議じゃない。
それに同年代の子供との交流が無い。
「つまりイリスは人間が嫌いでは無く「知らぬ男」が嫌いなのじゃ」
クレアは考えた末に、こうなれば人間嫌いでは無く、知らない大人の男嫌いの方がまだマシとイリスの思考を誘導する事にした。
「そう・・・なのかな?」んー?と考え込むイリス。
「同年代の優しく可愛い人間の女の子と友人になりたくは無いか?」
「んー?・・・なりたい・・・かな?」
「ほれ見い、お主は別に人間は嫌いでは無いのだ、「知らない浅はかな大人の男」が嫌いなのじゃ」
何とか限定的な嫌いにしようと必死なクレア。
「そう・・・かな?、そうかも?そうですね!」
「ふう・・・」
何とかイリスの致命的な人間嫌いを回避出来たクレア。
しかしイリスの「知らない人間の大人の男は嫌い」は1000年後も解消される事は無かった。
世の中の親父連中、美しいエルフにめっちゃ嫌われる未来に残念!
まあ、このおかげでイリスは今後訪れるスケベ親父共からの危機を華麗に情け容赦なく回避出来る様になるのでこれも仕方なし!
《クレア様は凄いですねぇ》
「シルフェリア殿がちゃんと教えぬからじゃ!」
能天気なダメ精霊に珍しくキレるクレア。
《ごめんなさーーーーい??!!》クレアにガチで叱られるダメ精霊であった。
さすがに数の暴力に厳しくなったエルフの戦士団が後退を始める。
「ふざけんな!こんだけ好き勝手にやりやがって気持ち良く後退させるかよ!」
猛然と追撃して来るゴルド軍、しかし彼らはエルフの脳筋攻撃で甚大な被害を受けていて頭に血が昇り大事な事を忘れていた。
ここから先は「森の中」エルフの領域だと言う事に・・・
逃げるエルフの戦士達を追う内にゴルドの戦士は後方の魔導士と弓兵との間に距離が生じていた。
「クソ!蔓がウザいぜ・・・」ゴルドの兵士達の足元にどこからとも無く蔓が伸びて来て足に絡まる、当然エルフの魔導士の魔法だ。
それを避ける為に森の中を左右に動く。
もうお分かりかと思うが森でそんな事をしたら迷子確定だ。
知らない森を進むには目印を付けるか直線的な移動が基本なのだ。
結果、4000人以上の兵士がバラバラに森の中で迷子になると言う珍しい現象が起こる。
「森の中ではキルゾーンに気をつけろ!必ず5人以上で行動しろ!」
この常識を充分に考慮していたはずなのに結局はキルゾーンに入り込んでしまう。
ヒュン!グサ!「がっ?!」また1人の迷子がエルフの矢の餌食になる。
索敵や部隊間の連絡を担当している魔導士と逸れたからだ。
森の中を行軍する時は怪しい場所には魔導士が魔法を撃ち込み安全を確保して5人以上の分隊行動をしなければ狙撃手の餌食になるだけなのだ。
ちなみに魔導士はこの時まだ森の入り口で結界破壊に苦戦していた。
彼らが破壊に成功したのは「物理防御結界」だけで「魔法防御結界」の破壊はまだ終わってなかったのだ。
その為に強い魔力を持つ魔導士だけが森の入り口で立ち往生しているのだ。
その為にドンドンと戦士と魔導士の距離は広がって行く。
こうなると今度は狙撃手のヒャッハータイムだ、面白い様に屈強な戦士達が倒されて行った。
やっと「魔法防御結界」を破壊して索敵魔法を使用可能になった魔導士達は唖然とする。
森の中でとんでもない広範囲に戦士と弓兵がバラバラに存在していたのだ。
「お前ら動くなぁーー!!その場で待機しろーー!!」
ようやく通信が可能になって魔導士が怒鳴った時は森に侵入した4500名の三分の一の戦士と弓兵が倒された後だった。
魔導士達が迷子を回収する間にも狙撃手は迷子のゴルド兵を始末し続けた。
その魔導士も苦境に立たされる。護衛してくれるはずの戦士達が居ないのだ。
「うわ?!」「ひいっ!」
逃げたはずの筋骨隆々エルフの戦士がバトルアックスを構えて、前衛が居ないひ弱な魔導士の前に立ち塞がる。
「ぎゃあああああ!!!」森の中に魔導士達の悲鳴が響いた。
この攻撃で迷子の回収作業は更に遅れて狙撃手の始末は続いた・・・
もはや攻撃続行不可能なゴルド軍が撤退完了したのは夕暮れも近い頃だった。
第二次ドライアドの森の戦いもゴルド軍の大惨敗で終わった。
この敗戦でドライアドの森、フィジー方面の戦線は完全な膠着状態になりゴルド王国は全ての戦線での再編成を追われる事になる。
それはエルフ達に時間を与える結果になって現状対応不能な龍騎士イリスの回復を許す事になるのだ。
第三次ドライアドの森の戦い。今度はエルフ側の攻勢が始まる。
「まだ敵は引かないんですか?しつこい!!」
完全回復のイリスが心底鬱陶しそうに言い放つ。
「しつこさだけは驚異的な連中だからのう。連中は女にもモテぬだろうて」
「本当に人間は嫌いです!」イリスの人間嫌いにも拍車がかかる。
「フィジーやピアツェンツェアはエルフの味方じゃ、あまり嫌うもので無い」
「嫌いなモノは嫌いです!」
嗜める師匠クレアにブスーと不貞腐れるイリス。
「さてどうしたモノかのう・・・」
これ以上、イリスの人間嫌いを放置出来ないクレアは思案をする・・・
「ん?待てよ・・・」
ここでクレアは気がつく、イリスが嫌っているのは「人間の男」・・・男?
「イリスよ、お主はもしかして「男嫌い」なのか?」
「お父さんやブリックリンは好きですよ?」いきなり何?と首を傾げるイリス。
「そうで無く、知らない男は嫌いか?」
「嫌いですよ?」当然なのでは?と言う顔のイリス。
「あっちゃー」天を仰ぐクレア。
考えて見ればイリスの周囲は、ほぼ女性だ。妙な偏見が生まれても不思議じゃない。
それに同年代の子供との交流が無い。
「つまりイリスは人間が嫌いでは無く「知らぬ男」が嫌いなのじゃ」
クレアは考えた末に、こうなれば人間嫌いでは無く、知らない大人の男嫌いの方がまだマシとイリスの思考を誘導する事にした。
「そう・・・なのかな?」んー?と考え込むイリス。
「同年代の優しく可愛い人間の女の子と友人になりたくは無いか?」
「んー?・・・なりたい・・・かな?」
「ほれ見い、お主は別に人間は嫌いでは無いのだ、「知らない浅はかな大人の男」が嫌いなのじゃ」
何とか限定的な嫌いにしようと必死なクレア。
「そう・・・かな?、そうかも?そうですね!」
「ふう・・・」
何とかイリスの致命的な人間嫌いを回避出来たクレア。
しかしイリスの「知らない人間の大人の男は嫌い」は1000年後も解消される事は無かった。
世の中の親父連中、美しいエルフにめっちゃ嫌われる未来に残念!
まあ、このおかげでイリスは今後訪れるスケベ親父共からの危機を華麗に情け容赦なく回避出来る様になるのでこれも仕方なし!
《クレア様は凄いですねぇ》
「シルフェリア殿がちゃんと教えぬからじゃ!」
能天気なダメ精霊に珍しくキレるクレア。
《ごめんなさーーーーい??!!》クレアにガチで叱られるダメ精霊であった。
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