167 / 241
第二章 シルフェリアとの別れとイリスの覚悟
40話 「エルフと真魔族の会合」その2
しおりを挟む
ギュウウウウ!!!イリスのお尻を捻りを入れつつ、つねるクレア。
「シクシクシク・・・」遂に泣き出したイリスだが師匠のお仕置きは終わらない。
しかし機密漏洩罪なんかをやらかして、お尻をつねられるだけで済んでるだけマシなのは言うまでも無いのだが。
瞳をウルウルさせて儂を見るイリス・・・うっ!あざといなぁ・・・可愛いじゃねえか。
仕方ない・・・助け船を出してやるか・・・一応友達だしな。
「そちらからの複数の技術供与に対して真魔族はエルフ族に上級魔石を供与致します」
「!!!!え?!上級魔石ですか?!」
儂の助け船の効果は抜群!パッとイリスのお尻から手を離すクレア。
痛みから解放されてパァと表情が明るくなるイリス・・・貸し一つじゃぞ?
クレアの反応も当然だ、この何でも有り有りの世界でも上級魔石に関して言えば真魔族領でしか産出されないからだ。
理由は色々と長くなるので割愛していずれ今度語るとしよう。
いや!1話で済まない話しなんで今は無理っす!話し進まないっす!
かなりヤベェブツで悪用を避ける為に古来より上級魔石を無許可での領外への持ち出しは「如何なる理由であろうとも死刑」に処す、と真魔族の法律で決まっている程に貴重で危険な品物だ。
それと言うのも真魔族が世界の守護者の位置に留まれるのも上級魔石のお陰と言っても過言では無い。
上級魔石のカケラですら超絶高性能のゴーレムの動力源として充分な魔力パワーを秘めている。
儂が何であんなに大量のゴーレム軍団をホイホイと作れるかと言うと上級魔石を使っているからだ。
何せ上級魔石1個でAランクゴーレム約5000体を動かす事が出来るのだ。
魔法陣に個体の設定の術式を書いて「ソイヤー!」で5000体の魔王軍部隊の完成じゃ。
そりゃ魔王軍強いよね~。
とは言え、ゴーレム作製には、かなり強力な鍵が掛かっていて地龍王、天龍王、海龍王の三龍王の同意が必要だったりする。
だって肝になる魔法陣の術式は龍種からの提供で儂は内容を知らんのだから。
人知れず裏では、魔王と三龍王のかなり細かい協議が毎日の様に行われておるのだよ。
そんな上級魔石の今回のエルフ族への供与は、三龍王と共にかなり真剣な議論の末に決定した。
自分達の手が回らんから、もう一勢力くらい「世界の守護者」が欲しいよね~と。
それくらい世界情勢が不安定なので、どこかで抑止の楔を強力に打ち込む必要有りとの結論が出た。
それで今回エルフ族が選ばれた訳だ。
本当は今回の会合で交渉との形でクレアに伝えるつもりだったのだが、イリスが可哀想だったので先出ししたのだ。
すると、お尻の痛みから解放されたイリスがハキハキと、
「やりましたね!これで研究が捗りますね!ここのジェットコースターも・・・」
最近イリスダンジョンに登場した魔石動力のジェットコースターに組み込まれている魔石も真魔族領産の中級魔石だ。
言わなければ良いのにその事をクレアに告げてしまうイリス。
え~?何でその事を言っちゃうのかなぁ?絶対にお仕置きされるぞ?
ギュウウウウ!!!案の定クレアのお仕置きが再開したのは言うまでも無い。
ウルウルウルウルウルウルウルウルウルウルウルウル
・・・・・・・・イリスよ・・・そんな目をしても、もう助けんぞ?
「本当に・・・本当に貴女達は・・・」
自分が想像していた以上に龍騎士隊イリスと真魔族が深い関係にあったと知り大きく溜め息を付くクレアだった。
そう言えば他のメンバーがおらんな?と思ったら、この様な色々なやらかしがクレアにバレると絶対に怒られる事が分かっていたのでクレアに挨拶を済ませてスタコラサッサとトンズラしたらしい。
「も~逃げなくても大丈夫だって、そんなに大事じゃないっての、みんな心配性だなぁ」
と暢気な性格のイリスだけが1人逃げ遅れたのだ。
切れ者のエリカに至っては、自分で軍の演習視察の仕事を作って1週間以上も前からトンズラしているらしい。
しかしそれだけの危機管理が出来てるのに、何で欅の木窃盗事件なんて起こすのかなぁ?
そんな中で同盟の交渉は進む。
「ラーデンブルクとしては海上封鎖を行おうと思ってます。
「それが妥当でしょうね」
海上封鎖・・・鎖国政策である。
現状で海賊行為が横行している中央大陸と南の大陸の海路を大事にするメリットは少ない。
中央大陸沿岸の国々は間違い無く干上がるが知った事では無い。
その沿岸国家が商船を狙う海賊達の黒幕なのだから。
ラーデンブルク公国の海上封鎖に呼応して真魔族領でも海上封鎖をして南の大陸は完全に中央大陸と絶縁する事が決まった。
これに伴い、中央大陸のから派遣されている各国の使節団や大使達は国外追放になる。
まさかエルフ達、亜人がここまでの強行手段に出ると思っていない沿岸の国々は、おそらく慌てて再交渉を求めて来るだろうが一切応じない事も決まる。
何で強行手段に出ないと思えるのかな?不思議ちゃんな他責思考の連中である。
この南の大陸の海上封鎖により、有史以来、世界の貿易の中心として栄えた中央大陸沿岸国家は500年の栄華が崩壊して終焉を迎える。
海路より鉄や穀物などの物資が入って来なくなった沿岸国家は、内陸国家の重装備の陸軍に蹂躙されて次々と滅亡していく事になる。
中央大陸は莫大な穀倉地帯と重工業力を持つ内陸国家覇権の時代が来るのだ。
長年に渡る沿岸国家群からの苛烈な搾取支配を受け続けた内陸国家群の沿岸国家群への怨みつらみは凄まじく、当初こそ善戦した物の今後100年の間に約60万人を超える沿岸国家群の王侯貴族達の首が飛ぶ。
「向こうの沿岸国家達が船を使ってラーデンブルクに攻めて来たらどうするのです?」
イリスの心配も当然じゃが・・・
「そんなモノ、敵の艦隊を陸上からの砲撃で蹴散らせば良かろうて、鋼鉄や炸薬火薬は真魔族が提供しよう」
港を要塞化して大口径の要塞砲でドカン!じゃ、既に要塞化は始まっている。
何せ連中は、まだ艦載砲を持っておらん、砲の技術提供もするつもりも無い、楽勝楽勝。
「なるほどね、素材は真魔族が提供するからエルフは砲台を作って、完成品を真魔族にも寄越せって訳ね」
「分かっておるでないかイリスよ」実際には違うがニヤリと笑う儂。
「んー?素材だけじゃダメだよ?鉄の円柱加工の鍛治が得意な技術者もくれないと砲身の口径を広げられないからね?」
エルフは設計とかは得意だが物を作るのは苦手だ、特に円形の加工が下手なのだ。
何せ真円形は自然界には無い物体なのでな。
前に製粉用の水車を作るだけでも上へ下への大騒ぎで、一緒に作業をしていたエリカが呆れながらサクッと原型を作ってしまった。
流石は円形大好き日本人だった事はある。
「こんなの起点に杭を打ってロープを使えば簡単じゃんか・・・」
材木を前にあーでもない、こーでもないと大騒ぎのエルフ達を尻目にロープを使い直径8mの綺麗な円形を板の上にスルスルスルと1分ほどで書いてしまったエリカに驚愕したイリス。
「エリカ大博士・・・」
「だから大した事でも無いのに、そう言う事言わないで?恥ずかしいから」
エリカはそう言うが、エリカの言う大した事ない知識は、古代より資源が乏しい日本の先祖達が、いかに効率良く、資材を無駄にしないで物を作るかを考えて長い時間を掛けて試行錯誤を繰り返しながら子孫代々積み上げて来た傑物だ。
豊かな自然に愛され続けていたエルフ達にして見れば真円形を作るのにロープを使う発想すら考えが浮かばないのだ。
そんなエルフ族なので真魔族から技術者を派遣して貰わないと大型円形の鉄製品は作れないだろう。
いや・・・エリカならワンチャン作れるか?
「イリス・・・」
「あっ・・・ごめんなさい」
いつもの調子で儂と話しをしてクレアに嗜められるイリス。
「はははは、イリス殿がこれから交渉しようとしていた項目を終わらせてしまいましたね」
四天王筆頭に揶揄われて顔を赤くするイリス。こうして見てる分には可愛いのだがな・・・
「シクシクシク・・・」遂に泣き出したイリスだが師匠のお仕置きは終わらない。
しかし機密漏洩罪なんかをやらかして、お尻をつねられるだけで済んでるだけマシなのは言うまでも無いのだが。
瞳をウルウルさせて儂を見るイリス・・・うっ!あざといなぁ・・・可愛いじゃねえか。
仕方ない・・・助け船を出してやるか・・・一応友達だしな。
「そちらからの複数の技術供与に対して真魔族はエルフ族に上級魔石を供与致します」
「!!!!え?!上級魔石ですか?!」
儂の助け船の効果は抜群!パッとイリスのお尻から手を離すクレア。
痛みから解放されてパァと表情が明るくなるイリス・・・貸し一つじゃぞ?
クレアの反応も当然だ、この何でも有り有りの世界でも上級魔石に関して言えば真魔族領でしか産出されないからだ。
理由は色々と長くなるので割愛していずれ今度語るとしよう。
いや!1話で済まない話しなんで今は無理っす!話し進まないっす!
かなりヤベェブツで悪用を避ける為に古来より上級魔石を無許可での領外への持ち出しは「如何なる理由であろうとも死刑」に処す、と真魔族の法律で決まっている程に貴重で危険な品物だ。
それと言うのも真魔族が世界の守護者の位置に留まれるのも上級魔石のお陰と言っても過言では無い。
上級魔石のカケラですら超絶高性能のゴーレムの動力源として充分な魔力パワーを秘めている。
儂が何であんなに大量のゴーレム軍団をホイホイと作れるかと言うと上級魔石を使っているからだ。
何せ上級魔石1個でAランクゴーレム約5000体を動かす事が出来るのだ。
魔法陣に個体の設定の術式を書いて「ソイヤー!」で5000体の魔王軍部隊の完成じゃ。
そりゃ魔王軍強いよね~。
とは言え、ゴーレム作製には、かなり強力な鍵が掛かっていて地龍王、天龍王、海龍王の三龍王の同意が必要だったりする。
だって肝になる魔法陣の術式は龍種からの提供で儂は内容を知らんのだから。
人知れず裏では、魔王と三龍王のかなり細かい協議が毎日の様に行われておるのだよ。
そんな上級魔石の今回のエルフ族への供与は、三龍王と共にかなり真剣な議論の末に決定した。
自分達の手が回らんから、もう一勢力くらい「世界の守護者」が欲しいよね~と。
それくらい世界情勢が不安定なので、どこかで抑止の楔を強力に打ち込む必要有りとの結論が出た。
それで今回エルフ族が選ばれた訳だ。
本当は今回の会合で交渉との形でクレアに伝えるつもりだったのだが、イリスが可哀想だったので先出ししたのだ。
すると、お尻の痛みから解放されたイリスがハキハキと、
「やりましたね!これで研究が捗りますね!ここのジェットコースターも・・・」
最近イリスダンジョンに登場した魔石動力のジェットコースターに組み込まれている魔石も真魔族領産の中級魔石だ。
言わなければ良いのにその事をクレアに告げてしまうイリス。
え~?何でその事を言っちゃうのかなぁ?絶対にお仕置きされるぞ?
ギュウウウウ!!!案の定クレアのお仕置きが再開したのは言うまでも無い。
ウルウルウルウルウルウルウルウルウルウルウルウル
・・・・・・・・イリスよ・・・そんな目をしても、もう助けんぞ?
「本当に・・・本当に貴女達は・・・」
自分が想像していた以上に龍騎士隊イリスと真魔族が深い関係にあったと知り大きく溜め息を付くクレアだった。
そう言えば他のメンバーがおらんな?と思ったら、この様な色々なやらかしがクレアにバレると絶対に怒られる事が分かっていたのでクレアに挨拶を済ませてスタコラサッサとトンズラしたらしい。
「も~逃げなくても大丈夫だって、そんなに大事じゃないっての、みんな心配性だなぁ」
と暢気な性格のイリスだけが1人逃げ遅れたのだ。
切れ者のエリカに至っては、自分で軍の演習視察の仕事を作って1週間以上も前からトンズラしているらしい。
しかしそれだけの危機管理が出来てるのに、何で欅の木窃盗事件なんて起こすのかなぁ?
そんな中で同盟の交渉は進む。
「ラーデンブルクとしては海上封鎖を行おうと思ってます。
「それが妥当でしょうね」
海上封鎖・・・鎖国政策である。
現状で海賊行為が横行している中央大陸と南の大陸の海路を大事にするメリットは少ない。
中央大陸沿岸の国々は間違い無く干上がるが知った事では無い。
その沿岸国家が商船を狙う海賊達の黒幕なのだから。
ラーデンブルク公国の海上封鎖に呼応して真魔族領でも海上封鎖をして南の大陸は完全に中央大陸と絶縁する事が決まった。
これに伴い、中央大陸のから派遣されている各国の使節団や大使達は国外追放になる。
まさかエルフ達、亜人がここまでの強行手段に出ると思っていない沿岸の国々は、おそらく慌てて再交渉を求めて来るだろうが一切応じない事も決まる。
何で強行手段に出ないと思えるのかな?不思議ちゃんな他責思考の連中である。
この南の大陸の海上封鎖により、有史以来、世界の貿易の中心として栄えた中央大陸沿岸国家は500年の栄華が崩壊して終焉を迎える。
海路より鉄や穀物などの物資が入って来なくなった沿岸国家は、内陸国家の重装備の陸軍に蹂躙されて次々と滅亡していく事になる。
中央大陸は莫大な穀倉地帯と重工業力を持つ内陸国家覇権の時代が来るのだ。
長年に渡る沿岸国家群からの苛烈な搾取支配を受け続けた内陸国家群の沿岸国家群への怨みつらみは凄まじく、当初こそ善戦した物の今後100年の間に約60万人を超える沿岸国家群の王侯貴族達の首が飛ぶ。
「向こうの沿岸国家達が船を使ってラーデンブルクに攻めて来たらどうするのです?」
イリスの心配も当然じゃが・・・
「そんなモノ、敵の艦隊を陸上からの砲撃で蹴散らせば良かろうて、鋼鉄や炸薬火薬は真魔族が提供しよう」
港を要塞化して大口径の要塞砲でドカン!じゃ、既に要塞化は始まっている。
何せ連中は、まだ艦載砲を持っておらん、砲の技術提供もするつもりも無い、楽勝楽勝。
「なるほどね、素材は真魔族が提供するからエルフは砲台を作って、完成品を真魔族にも寄越せって訳ね」
「分かっておるでないかイリスよ」実際には違うがニヤリと笑う儂。
「んー?素材だけじゃダメだよ?鉄の円柱加工の鍛治が得意な技術者もくれないと砲身の口径を広げられないからね?」
エルフは設計とかは得意だが物を作るのは苦手だ、特に円形の加工が下手なのだ。
何せ真円形は自然界には無い物体なのでな。
前に製粉用の水車を作るだけでも上へ下への大騒ぎで、一緒に作業をしていたエリカが呆れながらサクッと原型を作ってしまった。
流石は円形大好き日本人だった事はある。
「こんなの起点に杭を打ってロープを使えば簡単じゃんか・・・」
材木を前にあーでもない、こーでもないと大騒ぎのエルフ達を尻目にロープを使い直径8mの綺麗な円形を板の上にスルスルスルと1分ほどで書いてしまったエリカに驚愕したイリス。
「エリカ大博士・・・」
「だから大した事でも無いのに、そう言う事言わないで?恥ずかしいから」
エリカはそう言うが、エリカの言う大した事ない知識は、古代より資源が乏しい日本の先祖達が、いかに効率良く、資材を無駄にしないで物を作るかを考えて長い時間を掛けて試行錯誤を繰り返しながら子孫代々積み上げて来た傑物だ。
豊かな自然に愛され続けていたエルフ達にして見れば真円形を作るのにロープを使う発想すら考えが浮かばないのだ。
そんなエルフ族なので真魔族から技術者を派遣して貰わないと大型円形の鉄製品は作れないだろう。
いや・・・エリカならワンチャン作れるか?
「イリス・・・」
「あっ・・・ごめんなさい」
いつもの調子で儂と話しをしてクレアに嗜められるイリス。
「はははは、イリス殿がこれから交渉しようとしていた項目を終わらせてしまいましたね」
四天王筆頭に揶揄われて顔を赤くするイリス。こうして見てる分には可愛いのだがな・・・
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
20
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる