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第二章 シルフェリアとの別れとイリスの覚悟
外伝! 新春特別企画「お姫様の日常」(最初から最後まで全てギャグです)
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☆
「皆様、あけましておめでとう御座います。
「龍騎士イリス」の主人公イリスです。
本年度も「龍騎士イリス」をよろしくお願いします。
新年の始めと言う訳で特別企画で読切外伝をお送りしたいと思います。
☆
「さて・・・新年の挨拶も済んだ事だし・・・作者さん?ちょっと出てこい」
へい!お呼びですか?エレンの姐さん!・・・って何だ?イリスか・・・
イリスがここで(幻想空間)我を呼び出すとは珍しいな?何の用事じゃい?
「アンタ、人に挨拶させて何してんのよ?うっ!お酒臭い?年始とは言えダメな大人ねぇ。
それに「我」って何よ?そろそろキャラ固定しなさいよ?」
ふ・・・お酒臭い・・・か。
「あれ?その割には全然酔ってないのね?」
うむ、この匂いはウイスキーをハンカチに湿らせて懐に仕込んでおるからじゃ。
「何で??」
我はイリスの様にザルでは無いからな、と言うか酒はほぼ飲まん。
こうしておけば「いやー前の所で飲み過ぎちゃいましてー」とか言い訳出来るからな。
そうして得意先での忘年会の2時間をウーロンハイ一杯で最後まで粘るのだよ。
もう毎年の恒例行事なのだよ。
「さ・・・サラリーマンも大変なのね?」
まぁ、参加費は払っているから、その分の飯はしこたま食うからな。
「そうなのね?新年会も頑張ってね?・・・いや、そんなしょうもない自分語りは、もう良いわ。
私の用事ってのは、作中での私の扱いについての問題よ」
イリスの扱い?はて?何か問題でも?
「だーかーらー、話しの中で私の扱いに問題有り過ぎなのよ!!欅の木窃盗や変形の時の大怪我は・・・まあ・・・良いわ」
あっ、そこは良いんだ・・・
「問題なのは、「引きこもり」とか「お風呂に入らない」とかよ!
そして1番の問題は「○☆○☆○☆○☆○」よ!!!
これじゃ私は「引きこもりの不潔な○☆女」じゃないの!!
何なのよ!「○☆○☆○☆○☆○」なんて伏せ字にもなって無いじゃないの!モロバレよ!
そうよ!気持ち悪くなってブリックリンの背中に○☆○☆○☆○☆○しちゃったわよ!」
え?!イリスって確か普段は「この子って過度な潔癖症?」ってくらいにメチャクチャ綺麗好きだよね?
部屋の窓枠の埃も許せない!撲滅しちゃる!ってお姑さんの様な女が何で不潔だなんて?!一体誰が?
「その綺麗好きが全然!読者さんに全然伝わって無いのよ!全部アンタのせいよ!
是正を求めます!ちゃんとヒロインとして扱って下さい!
「不潔女」とか言う誤解点をすぐに是正して下さい!」
いや、イリスはヒロインじゃ無くてヒーローだから潔癖は必要ないと・・・
「ヒ・ロ・イ・ン・として扱って下さい!流血や不潔とかは無しで!」
えー?面倒くさ・・・分かった!分かったから睨むなよぉ。
じゃあ、イリスがオフの日はどうしてるか?を正確に書けば良いのだな?
「そうです!お願いします!」
そうっすか・・・じゃあスタートします・・・
イリスの普段って普通にお姫様してて別に面白くないんだよなぁ・・・
☆
「えっ?!イリスの日常を覗くの?!すまんが儂は断る。
プライベートに干渉しないが儂のポリシーなのでな、つか、女の子の日常を覗いた話しがバレたら嫁に捨てられるわい、離婚待った無しじゃ!・・・なのでお主がやれ」
え?我も妻子持ちなんだが?!この話しを書くと我も妻と子供達に捨てられるのか?!
「もう行くぞ?レストランの予約時間があるからな。まぁ、上手くやるが良い」
え?あのちょっとーーー?!
・・・・・・魔王バルドルに逃げられたので今回は作者がナレーションをします。
突然このアカウントが消えたら「作者!正月早々に家族に捨てらたぞ!おい」と思って下さい。
ではスタートします。
AM 5:30 健康優良児イリスの朝は早い、PM9:30には寝てバッチリ8時間睡眠を心掛けているのだ。
起きてスパーンと寝巻き(パジャマ)を脱いで全裸になり、セイヤァ!と運動着に着替えて先ずは部屋の掃除と装備の点検をする。
☆
「ちょっと待てアホー!!スパーンとか全裸とかセイヤァ!は要らん!!」
おまっ?全部本当の事なのに・・・まぁ良い・・・
夜にも掃除をやるが母親の手伝いで毎朝掃除していたのでやらないと気持ちが悪いのだ、そしてメイドさんも追い掃除を始めるのだ。
なので西洋風バリバリ家具が揃う、ピンク色がやたらと多いイリスの部屋はいつでも綺麗でペッカペカなのだ。
前にも書いたがイリスは別にピンクが好きな訳で無い。
イリスの母親と女王クレアと専属侍女の趣味でイリスも「まぁ良いか」と受け入れているに過ぎない。
ちなみにエリカの部屋は「武家屋敷?」と思うほどの和式で、こちらも凄え綺麗なのだ、と言うより不必要な物は何も置かれていない。
案外、部屋が片付いて無いのはシルフィーナとガストンの部屋だ。
汚なくは無いのだが、なんかゴチャゴチャしているのだ。
☆
「夫婦共々仕事が忙しいので仕方ありませんわ!!」
えー?本当かなぁ?夫婦共々ズボラなんじゃないの?
AM6:00 主人が起きて部屋の掃除をしているのに侍女は何処に?
と、思ったらイリスより早起きして朝食を作っていた。いつもご苦労様です。
「いただきまーす」
エリカにモロに感化されて「頂きます」と「ご馳走様でした」を言う様になった龍騎士隊イリスの面々。
戦術の講義でエリカが話した、日本においての「頂きます」「ご馳走様」の意味と心根を知り全員がメチャクチャ感動したからだ。
「エリカ教授・・・」
「だから大した事で無いのに変に持ち上げるのは止めて下さい!」
AM6:30 朝食を済ましたイリスはジョギング?に向かう。
師匠クレアと共にジョギングと言う名の全力疾走だ!
ハイエルフが必ず行う恒例行事で参加可能な老若男女全員が参加している。
これをやらないと(ドオオンン!!)するので全員目が本気だ。
「うおおおおおおお!!!!」
「ほれほれ、どうしたイリス?遅れておるぞ?」
こうして約1時間ほど掛けて、100人ほどのハイエルフが街の周囲20kmを爆走するのだ!
と言う事は平均速度20km?!
ハイエルフ!マジで速ええ?!オリンピックの世界記録並みじゃん!
ちなみに、ハイエルフの男性がガチで走ると45分ほどらしい。
そっすか・・・もう人じゃないっすね?
AM7:45 今日も周回遅れで少し時間が掛かったイリスはお待ちかねのお風呂に入る。
「うおおおお!!」している間に侍女が沸かしてくれているのだ。
さて、全部見せろとの事なので遠慮なく銀髪少女の柔肌を覗かせて貰おうか!!
さあ!ボロンとしておくれ!
☆
「そこは遠慮せんかーーーー!!!いくら何でもそこまでは見せん!!」
ちぇ!なんでぇ、つまらん!
と言う訳でここは割愛、一言言えばイリスの入浴は異常に長い!とだけ。
☆
「別に長くないわよ?侍女達がエステとか色々やるからマグロになっているだけ。
多分、入浴合わせて1時間くらいのエステは長くないと思う」
マジすか?女って大変なんすね?
気になって調べたら1時間はめっちゃ普通でした・・・長くて2時間らしいっす。
「イリス様の、お若いピッチピチお肌を変に触ると角質層が失われるだけなので、ほぼ全身をモミモミするだけなんですよね」
へー?・・・・イリスは細身だからあんまし揉み応えなさそうっすね?
☆
「そんな事も無いよ?結構出る所は出て来てるよ?」
「そうですわねぇ、エステシャンからの視点からマジレスすると、近いうちにイリス様は多分、ボン!とされますわ」
へー?ボン!するんだ?良かったじゃん?
☆
「えー?邪魔だから要らないよ?」
おまっ?!今のその発言で100万人の女性は敵に回したぞ?!
PM9:00 イリス、着せ替え人形になる。
ここで普段ならピシッと軍服に着替えて、イリスは軍人として活動開始するのだが今日はオフ、完全休養日との事なので侍女達の着せ替え人形になるのだ。
何故かイリスの着せ替えには母親と女王クレアも参加している。
イリスは・・・無の境地だな。
やっぱり薄いピンクのドレスにピンクの髪飾りをつけて、絵本に出て来るお姫様に変身!
みんなピンク好きなんだね!
ドレスに着替えてクレアや教師によるマナーの授業開始、イリスの軍務が休みの日の恒例らしい。
なるほど、だからクレアが来てたんっすね・・・
「イリス様!素晴らしいです!」
「そうですか?本気出せば百科事典50冊はいけますよ?」
頭の上に本を乗せて歩く練習中のイリス、教師から褒められて鼻高々だ。
「本当にそれをやったら指で脇をつつくからな?やめい」
速攻でクレアからツッコミが入る。
確かに50冊の辞典を頭に乗せて歩くのはマナーでは無く「曲芸師」だな。
AM 10:00 イリス、ダンスの練習をする。
「わたくしでは、イリス様に太刀打ち出来ませんので夫を連れて来ましたの・・・」
メチャクチャ暗い表情のダンスの先生・・・え?先生どしたん?
「う・・・うむ、しかしイリスにこれは必要か?もう授業は要らんのでは?」
「何言っているんです?まだまだ教えて下さい師匠!
さあ!お手をどうぞ!」
「いや!妾は遠慮しておこう!」
ヒイィィーー!!と仰け反るクレア。
ガチのダンス勢のイリスの相手をすると女性では授業が終わる頃には足腰ガクガクになるのだ。
クレアが前にイリスの相手をしたら股関節の筋肉痛にされて3日寝込んだ。
そしてダンススタート!!
「きゃーーーーー?!あなたーーーーー?!」
「ぐお・・・おおおおおお?!」
「こはぁーーーーーー・・・こはぁーーーーーー・・・」
「な・・・なんと恐ろしい!」
「イリス・・・あなた?・・・どうしてこんな酷い事を人様に?」
戦慄するクレアに、初めて娘のイリスのダンスを見てドン引きしている母親。
イリスのガチのダンスにやられて股関節を押さえて疼くまる先生の旦那さん・・・
明日は股関節の筋肉痛確定だね!
そして付いたあだ名が「戦慄の股関節破壊の舞踏姫」・・・・・・・
あれ?なんかちょっとカッケェぞ!
PM0:00 この世界のお昼はPM1:00からなので昼飯前にお風呂に入る。
そして午後のお色直しをするのだ!お姫様なので。
建前上は一度袖を通した服は着ない!お姫様なので。
「いや!服代が勿体ないって!」
元バリバリの森の庶民だったイリスには分からない感覚だが裁縫屋さんが干上がるので絶対に必要との事。
実際には10着のドレスの生地に足したり引いたりしてリメイクして回しているらしい。
「イリス様の場合は小柄ですのでリメイクは3時間くらいで終わりますね」
型紙を取りに来た裁縫屋さんの言葉だ。
「ほー?それで見習いの人達が練習を?」
どうやら王侯貴族の昼のお色気直しは裁縫職人見習いの職業訓練なんだそうな。
ここで気に入られると貴族のお抱え裁縫師と取り立てられる場合も多く皆んな真剣に取り組んでいるのだそうな。
そう言う事なら遠慮無く!と、イリスも毎日変わる服を楽しんでいる。
何よりも裁縫屋さんのリメイクドレスはピンクだけの色で無いのが嬉しいのだ。
ちなみにイリスが好きな色はグレーやシルバーなのだが、絶対に皆んなに泣かれそうなので誰にも話した事は無い。
当然アクセサリーも同様の仕組みらしく10日間隔で全国から大勢の見習い細工技師が真剣な眼差しでベテランが行う宝石の色合わせに同行して来るのだ。
最初は大勢の見物人にガン見されて恥ずかしかったイリスも60回目ほどで慣れた。
こうやって王侯貴族の子供が大人数の人に見られる事に慣れる為の訓練でもあるらしい。
へぇええ?王侯貴族も色々と考えてんだねぇ。
PM1:00 イリス昼飯を食らう。
基本的にPM3:00までお昼休みなので自室で軽食を食べながら読書している。
さて、イリスが何を読んでいるか見て見ましょう。
「お花の国のお姫様」・・・・・・・・・・・うん、見なかった事にしましょう。
つーかコイツも可憐なお姫様に憧れてたんだな・・・自分もお姫様なのに。
☆
「違うよ?「お花の国のお姫様」ってシリーズ物のバイオレンス推理小説だよ?
「なにこれ?題名と全然違うじゃん?!」って所がウケてるんだよ?」
バイオレンス推理小説?!・・・ちなみにその本の内容は?
☆
「お花の国のお姫様が何者かに棍棒で○☆されて、復讐に燃える護衛騎士が犯人を追い詰める話しよ?護衛騎士が様々な謎を解きながら進み、遂に犯人を追い詰める!
そして犯人は何と!お姫様が可愛がっていた妹で、実は、お姫様の恋人だった護衛騎士に横恋慕していて、それから・・・」
あっ・・・もうその辺で結構ですよ?
思っていた以上にバイオレンスで怖いです。
てか!お姫様を棍棒で○☆って・・・書いたヤツ何考えてんの?馬鹿なの?
今回の話しの趣旨に合って無いので本当に結構ですよ?
☆
「馬鹿な話しを書く点じゃアンタも大差無いじゃない?
もー何よ?せっかく盛り上がって来たのに?最後まで説明させてよ」
いえ・・・イリスは、やっぱりイリスだったって事が分かりましたので大丈夫です。
PM 3:00 イリス、お茶会に突撃する。
イリスはラーデンブルクの貴族達から決して蔑ろにされてはいない、イリスの休みを見計らいお茶会やら舞踏会のお誘いは山ほど来ているのだ。
いや・・・舞踏会のお誘いは激減しているらしい。
「何でわたくしも参加するのです?」
馬車の中でイリスの前に座っている水色のドレスを着たシルフィーナがキョトンとしている
たまたま休みでクレアの所へ遊びに公爵邸を訪れていて、イリスの前を横切っただけのシルフィーナが拉致されていた。
「うーん?何となく?
だってシルフィーナちゃん、ドレス着てるじゃん?」
「なんですの?それ?
まぁ一応、わたくしも爵位は持ってますからね、公共の場ではドレスを着用してますわよ」
バリバリの女子爵位の爵位を持つシルフィーナ。
ちなみに軍人のイリスは宮中騎士爵位(男爵位相当)を持っている。
ラーデンブルク公国は女王制の国なので女性でも高位の爵位を持つ事や家門の当主が女性なのも特段珍しくない。
同じく軍人のエリカは準将爵位(準子爵位相当)これはイリスより爵位が一つ高い。
この爵位は貴族社会の中での話しで軍隊での階級とは関係は無い。
何で爵位までエリカの高いの?かと言うと女王候補には指南役が就くからだ。
エリカの立場がイリスの指南役(師匠)の位置になっているので必ずイリスより位が高くなる。
こうして女王候補は上下関係を幼い時から指南役に叩き込まれるのだ。
友達関係全開のイリスとエリカの場合は余り機能して無い様に見えるが公式の場では、ちゃんとイリスはエリカに対して目上の者に対する礼儀を持って接している。
「それで?どこのお茶会に連れて行かれますの?」
慣れた手つきでお化粧を直しながら聞いて来るシルフィーナ。
「ふわー、シルフィーナちゃん貴族夫人っぽいね!」
「ぽい、じゃなくて本当に女子爵ですわよ?」
夫のガストンも子爵位なので子爵夫婦になる、これはかなり珍しい組み合わせだ。
ロイは安定の男爵位でオーガロードのホワイトは侯爵位でぶっちぎりで仲間内で最高爵位だ。
何せ、ホワイト侯爵の上は、首相のクレア公爵しかいないのだから。
「今日のお茶会はルナさんからのお誘いです!
他に参加者はいません、私の気分転換にと、お誘いしてくれてます」
「まあ?!それは楽しみですわ」
クレアを引き継ぎ次期の女王が確定しているルナの主催のお茶会らしい。
エルフの長老の1人で物静かな淑女だ、そしてシルフィーナの憧れの人物である。
ルナさんはエルフには珍しくボン!キュ!ボン!のナイスバディである。
「ようこそ、イリスにシルフィーナ」
簡素な古きエルフらしい木造作りの自宅の前で二人を出迎えてくれたルナ。
プラチナブロンドの長い髪に青い目が美しいハイエルフ。
恥ずかしいのか胸が目立たないベージュ色のドレスを着ている。
・・・・・・・あれ?なんかこの人クレアより威厳が・・・・・いや、何でも無い。
漂う風格はルナが過去に何度かエルフの女王を務めたからだな
そして幼い頃のクレアを育てた人物でもある。
「お誘いありがとうございます!ルナさん」
「突然押し掛けてしまい申し訳ありません」
頭を下げるイリスとシルフィーナの尻尾がブンブンしているのが見える。
エルフの貴族の礼は普通に頭を下げるだけで良い。
するとルナが「はい、イリス」ルナが手を広げると速攻でスポッと手の中に収まるイリス・・・幼児かな?
そしてルナに頭を撫でられてご満悦でルナの胸にスリスリスリしているイリス、
それを羨ましそうに見ているシルフィーナ。
ウズウズしているシルフィーナを見て、
「はい、シルフィーナもいらっしゃい」と手を広げるルナ。
「そそそそそんな不敬な・・・・・・・はい!是非お願いします!」
シルフィーナもルナに手の中にスポッと収まり頭を撫でて貰う。
嬉しそうに目を閉じてるシルフィーナは母の温もりに飢えているのだ。
いや、母親のシルバニアが娘のシルフィーナを蔑ろにしている訳では無い、むしろシルフィーナの事を溺愛している。
しかし如何せんにもシルバニアは霊峰つまり「山」なのでシルフィーナを抱きしめる事が出来ないのだ!悲しい事に。
抽象的は意味で無く、シルバニアは「リアル、デケェ山」なのだ。
昔、試しにシルバニアに抱きついて見たシルフィーナ。
「やっぱり「山」ですわ!」
母はゴツゴツしてて痛かったのだ!
《そうね?ごめんなさい?シルフィーナ》
「仕方ありませんわ、お母様は「山」なんですから」
と母娘で意味不明を会話をしたとか何とか・・・
《母の温もり・・・》
少しでも娘に温もりを与えようとシルバニアが頑張って見た結果・・・
そうシルバニアは頑張ってしまったのだ!
ズドオオオオンン!!!と、火山大爆発を起こして、あっちこっちから盛大に溶岩が噴き上げたのだ!
「熱っ!あちち!!きゃああああ?!?!
おおおおお母様!!温もりは結構ですわ!わたくし我慢します!」
母の思いで温もりどころか、降り注ぐ溶岩の雨で焼死しそうになったシルフィーナだった。
《ホントに色々とごめんなさい・・・》
「気にしないで下さいまし!お母様は「山」なのですから!」
そんなエピソードがあったので母の気配ビンビンのルナの事が大好きなシルフィーナなのだ。
そしてその後は、ルナと楽しくお茶会を満喫したイリスとシルフィーナ。
充分にルナ成分を補給出来た2人のテンションは爆上がりしてしまう。
「ねえ?イリス・・・」何かをイリスに確認するシルフィーナ。
「分かってるよシルフィーナちゃん」阿吽の呼吸で理解するイリス。
「わたくし達もお茶会しましょう」
「了解」
そして二人は街中へと消えて行ったのだ。
PM 6:00 イリス&シルフィーナ主催の「お茶会??」が始まる。
「マスター!「お茶」を下さい!」
「・・・素直に酒くれって言えよ・・・そして来るのが早えよ」
まだ開店準備をしている最中の酒場のマスターが呆れた目で酒場にドレス姿で直行して来たイリスとシルフィーナを見ている。
「たく、ほらよ」
ドスンとエールの入った酒樽とグラスを二つテーブルに置くマスター。
この2人にいちいちグラスで酒を出していたらグラスが幾らあっても足りないのだ。
酒樽置いとくから好きにやってくれ状態なのだ。
その酒樽を見たイリスはすぐに念話で「本日、大衆酒場『おう!お疲れ!』でお茶会を開始します」と片っ端から仲間に話し掛ける。
つーか、『おう!お疲れ!』って店名、何とかならんかったのかね?
「皆んなで飲み会をするのは久しぶりですね」
「ロイ?「お茶会」よ?名目上はね」
貴族が大衆居酒屋で宴会はさすがに外聞が悪いので「お茶会」と称しているのだ。
丁度良く勤務を終えたエリカとロイがテフテフと『おう!お疲れ!』へ向かって歩いている。
ホワイトとガストンとブリックリンは夜間勤務なので来れないとの返答が来た。
勤務を終え、疲れた者が憩いを求めて『おう!お疲れ!』へ向かう・・・
あれ?これってメッチャ良い店名じゃね?マスターやるじゃねえか。
エリカとロイが『おう!お疲れ!』に到着すると見知らぬ人物・・・兎人族の女性がイリスとシルフィーナと一緒にお酒を飲んでいた。
店内は本格的に開店しているのでほぼ満席状態だ。
「イリスお待たせー・・・あれ?えーと?そちらの女性は?」
「エリカお疲れ様~、この人は兎人族の薬剤師トトちゃんだよ」
「あっ、はじめまして、トトと申します」
超久しぶりの登場のトトがペコリとエリカに頭を下げる。
「これはこれは、ご丁寧に、エリカと申します。よろしくお願いします、トトさん」
「私はロイと言います、よろしくトトさん」
初対面のトトに応えてエリカとロイも笑顔で頭を下げる。
「昔、めちゃくちゃお世話になった人だよ。
今日はたまたまラーデンブルクに薬を卸したついでに酒場に来たら私に捕まったって訳よ」
「まさかイリスとシルフィーナが大衆居酒屋に居るなんて思わなかったからビックリしたわよ」
イリス遭難事件の時に出会った時は幼い印象もあったが、それから40年近く経ち、すっかり大人の女性になったトト。
兎人族の平均寿命は300歳程度と言われているから人間の歳に換算すると大体18~20歳くらいかな?
「へー、トトさんって薬剤師さんなんだ」
エリカもトトに興味があるのか、トトの隣に座るエリカ。
そしてもう1人の呑兵衛のシルフィーナは・・・
イリスの隣に座り、トト印の林檎のブランデーを夢中で堪能していてエリカとロイが来た事にも気付いていない。
林檎ブランデーは血行促進の薬膳酒でもあるので、薬剤師トトが作っている逸品なのだ。
シルフィーナよ、それは一応は薬だぞ?一気に飲むなよ?
シルフィーナが酒に没頭して周囲に気が付かないのはいつもの事なのでエリカとロイは気にしてもいない。
この無類の酒好きめ!
「話しを聞いて見たら結構頻繁にラーデンブルクに薬を卸しに来ていたらしいのにトトちゃんってば全然私に会いに来てくれないんだもん」
早い時間から飲み始めて既に酔っ払ってるイリスが赤い顔で頬を膨らます。
「いやだってイリスって王族なんでしょう?兎人族でもかなりの有名人だよ?
さすがに王城(公爵邸)に遊びに行く訳には・・・ちょっとね」
「そんな事、気にしなくても良いのに」
「いや無理無理無理、薬剤師の端くれが畏れ多いわ」
グラスを手に持ち「てへへへ」と笑うトト、確かに気軽に行ける所では無いな。
「ふわー!やっぱりトトの林檎ブランデーは最高ですわー。
あら?エリカとロイ、お疲れ様でしたわ」
やっとエリカとロイに気が付いたシルフィーナ。
「と言うか、何で二人はドレス姿なのよ?」
いかにも貴族ですよ?的なドレスを着て大衆居酒屋で飲んだくれてるイリスとシルフィーナに呆れるエリカ。
周囲の他の客は・・・これもいつもの事なのか誰も気にしていない。
「だって公爵邸に帰ったらココに来れないモン」
そう、これは「お茶会」で淑女の嗜みの一つなのだ!と言う体裁だ。
もしクレアに宴会がバレたら二人共普通にクレアに怒られる。
「お近づきの印に一本どうですか?」
早速、自分が作った製品のセールストークをロイに始めるトト。
「おお!よろしいので?実はシルフィーナ殿から漂う香りが気になってまして」
速攻でトト印の林檎ブランデーを受け取るロイ。
こらこらシルフィーナ、それはロイの酒だぞ?奪おうとすんな!
「おいおい、俺の前で持ち込み酒を飲むなよ。
しかしトトさんよ?これ凄く良いな、是非ウチに置かせてくれ」
酒場のマスターも林檎ブランデーのセールスを受ける為に同じテーブルで試飲しているのだ。
「ありがとうございます!」セールス大成功のトト。
PM 11:00 イリス、侍女達に強制送還される。
時間も忘れて楽しく「お茶会」をしていたら、イリスの侍女達が『おう!お疲れ!』に迎えに来て公爵邸に連れ戻されるイリス。
「ああーん!皆んなぁー、助けてー」すっげえ名残惜しそうなイリス。
「イリスまた明日ねー」完全酔っ払いシルフィーナが手を振る。
「イリス、バイバーイ、トトさんは私の部屋に泊めるから大丈夫だよ。
私達も後少ししたら帰るからね」
「ええ?!良いんですか?!」
「良いよー、私、一人暮らしだからねー」
飲み会の後に友達を自分の部屋に泊める事くらい、どうって事もないエリカ。
完全にトトを友達認定したエリカがトトの泊まる先の面倒を見る様だ。
「ああーん」イリスは仲間に見捨てられて侍女3人に抱えられてズリズリと引き摺られ『おう!お疲れ!』から退場していった。
AM 0:00 イリス、本日3度目の風呂にぶち込まれる。
「イリス様!このまま寝れる訳がないじゃないですか!
お酒の匂いが身体に染み込んでしまいます!洗いますよ!」
「いやーん!」
お酒の匂いをプンプンさせている主をスッキリさせるべく侍女達はイリスのドレスを剥ぎ取る。
そして全裸イリスはお風呂にドボーン、ゴシゴシされる。
その後のマッサージで気持ち良くなり寝落ちして今日のイリスの1日は終わった。
これが、お姫様の日常なのだ。
終わり。
☆
終わったぞー、全部正直に正確に書いたぞ?これで文句ないだろ?
「確かに全部、身に覚えがあり過ぎる話しなんだけど・・・私って「お姫様」として、かなりヤバくね?!」
ふむ!やっと自分がヒーローだと気が付いたか?そして我は悪くないと?
「こっ・・・今年こそ、ヒロインらしく振る舞うよ!」
だからヒロインになるのは無理だと思うな。
「やって見ないと分からないじゃん!」
そしてイリスの今年の書き初めは「清楚可憐」だったとさ。
・・・・・・・・・・・・・・日本の文化を広げ過ぎだろ?!エリカ!
「皆様、あけましておめでとう御座います。
「龍騎士イリス」の主人公イリスです。
本年度も「龍騎士イリス」をよろしくお願いします。
新年の始めと言う訳で特別企画で読切外伝をお送りしたいと思います。
☆
「さて・・・新年の挨拶も済んだ事だし・・・作者さん?ちょっと出てこい」
へい!お呼びですか?エレンの姐さん!・・・って何だ?イリスか・・・
イリスがここで(幻想空間)我を呼び出すとは珍しいな?何の用事じゃい?
「アンタ、人に挨拶させて何してんのよ?うっ!お酒臭い?年始とは言えダメな大人ねぇ。
それに「我」って何よ?そろそろキャラ固定しなさいよ?」
ふ・・・お酒臭い・・・か。
「あれ?その割には全然酔ってないのね?」
うむ、この匂いはウイスキーをハンカチに湿らせて懐に仕込んでおるからじゃ。
「何で??」
我はイリスの様にザルでは無いからな、と言うか酒はほぼ飲まん。
こうしておけば「いやー前の所で飲み過ぎちゃいましてー」とか言い訳出来るからな。
そうして得意先での忘年会の2時間をウーロンハイ一杯で最後まで粘るのだよ。
もう毎年の恒例行事なのだよ。
「さ・・・サラリーマンも大変なのね?」
まぁ、参加費は払っているから、その分の飯はしこたま食うからな。
「そうなのね?新年会も頑張ってね?・・・いや、そんなしょうもない自分語りは、もう良いわ。
私の用事ってのは、作中での私の扱いについての問題よ」
イリスの扱い?はて?何か問題でも?
「だーかーらー、話しの中で私の扱いに問題有り過ぎなのよ!!欅の木窃盗や変形の時の大怪我は・・・まあ・・・良いわ」
あっ、そこは良いんだ・・・
「問題なのは、「引きこもり」とか「お風呂に入らない」とかよ!
そして1番の問題は「○☆○☆○☆○☆○」よ!!!
これじゃ私は「引きこもりの不潔な○☆女」じゃないの!!
何なのよ!「○☆○☆○☆○☆○」なんて伏せ字にもなって無いじゃないの!モロバレよ!
そうよ!気持ち悪くなってブリックリンの背中に○☆○☆○☆○☆○しちゃったわよ!」
え?!イリスって確か普段は「この子って過度な潔癖症?」ってくらいにメチャクチャ綺麗好きだよね?
部屋の窓枠の埃も許せない!撲滅しちゃる!ってお姑さんの様な女が何で不潔だなんて?!一体誰が?
「その綺麗好きが全然!読者さんに全然伝わって無いのよ!全部アンタのせいよ!
是正を求めます!ちゃんとヒロインとして扱って下さい!
「不潔女」とか言う誤解点をすぐに是正して下さい!」
いや、イリスはヒロインじゃ無くてヒーローだから潔癖は必要ないと・・・
「ヒ・ロ・イ・ン・として扱って下さい!流血や不潔とかは無しで!」
えー?面倒くさ・・・分かった!分かったから睨むなよぉ。
じゃあ、イリスがオフの日はどうしてるか?を正確に書けば良いのだな?
「そうです!お願いします!」
そうっすか・・・じゃあスタートします・・・
イリスの普段って普通にお姫様してて別に面白くないんだよなぁ・・・
☆
「えっ?!イリスの日常を覗くの?!すまんが儂は断る。
プライベートに干渉しないが儂のポリシーなのでな、つか、女の子の日常を覗いた話しがバレたら嫁に捨てられるわい、離婚待った無しじゃ!・・・なのでお主がやれ」
え?我も妻子持ちなんだが?!この話しを書くと我も妻と子供達に捨てられるのか?!
「もう行くぞ?レストランの予約時間があるからな。まぁ、上手くやるが良い」
え?あのちょっとーーー?!
・・・・・・魔王バルドルに逃げられたので今回は作者がナレーションをします。
突然このアカウントが消えたら「作者!正月早々に家族に捨てらたぞ!おい」と思って下さい。
ではスタートします。
AM 5:30 健康優良児イリスの朝は早い、PM9:30には寝てバッチリ8時間睡眠を心掛けているのだ。
起きてスパーンと寝巻き(パジャマ)を脱いで全裸になり、セイヤァ!と運動着に着替えて先ずは部屋の掃除と装備の点検をする。
☆
「ちょっと待てアホー!!スパーンとか全裸とかセイヤァ!は要らん!!」
おまっ?全部本当の事なのに・・・まぁ良い・・・
夜にも掃除をやるが母親の手伝いで毎朝掃除していたのでやらないと気持ちが悪いのだ、そしてメイドさんも追い掃除を始めるのだ。
なので西洋風バリバリ家具が揃う、ピンク色がやたらと多いイリスの部屋はいつでも綺麗でペッカペカなのだ。
前にも書いたがイリスは別にピンクが好きな訳で無い。
イリスの母親と女王クレアと専属侍女の趣味でイリスも「まぁ良いか」と受け入れているに過ぎない。
ちなみにエリカの部屋は「武家屋敷?」と思うほどの和式で、こちらも凄え綺麗なのだ、と言うより不必要な物は何も置かれていない。
案外、部屋が片付いて無いのはシルフィーナとガストンの部屋だ。
汚なくは無いのだが、なんかゴチャゴチャしているのだ。
☆
「夫婦共々仕事が忙しいので仕方ありませんわ!!」
えー?本当かなぁ?夫婦共々ズボラなんじゃないの?
AM6:00 主人が起きて部屋の掃除をしているのに侍女は何処に?
と、思ったらイリスより早起きして朝食を作っていた。いつもご苦労様です。
「いただきまーす」
エリカにモロに感化されて「頂きます」と「ご馳走様でした」を言う様になった龍騎士隊イリスの面々。
戦術の講義でエリカが話した、日本においての「頂きます」「ご馳走様」の意味と心根を知り全員がメチャクチャ感動したからだ。
「エリカ教授・・・」
「だから大した事で無いのに変に持ち上げるのは止めて下さい!」
AM6:30 朝食を済ましたイリスはジョギング?に向かう。
師匠クレアと共にジョギングと言う名の全力疾走だ!
ハイエルフが必ず行う恒例行事で参加可能な老若男女全員が参加している。
これをやらないと(ドオオンン!!)するので全員目が本気だ。
「うおおおおおおお!!!!」
「ほれほれ、どうしたイリス?遅れておるぞ?」
こうして約1時間ほど掛けて、100人ほどのハイエルフが街の周囲20kmを爆走するのだ!
と言う事は平均速度20km?!
ハイエルフ!マジで速ええ?!オリンピックの世界記録並みじゃん!
ちなみに、ハイエルフの男性がガチで走ると45分ほどらしい。
そっすか・・・もう人じゃないっすね?
AM7:45 今日も周回遅れで少し時間が掛かったイリスはお待ちかねのお風呂に入る。
「うおおおお!!」している間に侍女が沸かしてくれているのだ。
さて、全部見せろとの事なので遠慮なく銀髪少女の柔肌を覗かせて貰おうか!!
さあ!ボロンとしておくれ!
☆
「そこは遠慮せんかーーーー!!!いくら何でもそこまでは見せん!!」
ちぇ!なんでぇ、つまらん!
と言う訳でここは割愛、一言言えばイリスの入浴は異常に長い!とだけ。
☆
「別に長くないわよ?侍女達がエステとか色々やるからマグロになっているだけ。
多分、入浴合わせて1時間くらいのエステは長くないと思う」
マジすか?女って大変なんすね?
気になって調べたら1時間はめっちゃ普通でした・・・長くて2時間らしいっす。
「イリス様の、お若いピッチピチお肌を変に触ると角質層が失われるだけなので、ほぼ全身をモミモミするだけなんですよね」
へー?・・・・イリスは細身だからあんまし揉み応えなさそうっすね?
☆
「そんな事も無いよ?結構出る所は出て来てるよ?」
「そうですわねぇ、エステシャンからの視点からマジレスすると、近いうちにイリス様は多分、ボン!とされますわ」
へー?ボン!するんだ?良かったじゃん?
☆
「えー?邪魔だから要らないよ?」
おまっ?!今のその発言で100万人の女性は敵に回したぞ?!
PM9:00 イリス、着せ替え人形になる。
ここで普段ならピシッと軍服に着替えて、イリスは軍人として活動開始するのだが今日はオフ、完全休養日との事なので侍女達の着せ替え人形になるのだ。
何故かイリスの着せ替えには母親と女王クレアも参加している。
イリスは・・・無の境地だな。
やっぱり薄いピンクのドレスにピンクの髪飾りをつけて、絵本に出て来るお姫様に変身!
みんなピンク好きなんだね!
ドレスに着替えてクレアや教師によるマナーの授業開始、イリスの軍務が休みの日の恒例らしい。
なるほど、だからクレアが来てたんっすね・・・
「イリス様!素晴らしいです!」
「そうですか?本気出せば百科事典50冊はいけますよ?」
頭の上に本を乗せて歩く練習中のイリス、教師から褒められて鼻高々だ。
「本当にそれをやったら指で脇をつつくからな?やめい」
速攻でクレアからツッコミが入る。
確かに50冊の辞典を頭に乗せて歩くのはマナーでは無く「曲芸師」だな。
AM 10:00 イリス、ダンスの練習をする。
「わたくしでは、イリス様に太刀打ち出来ませんので夫を連れて来ましたの・・・」
メチャクチャ暗い表情のダンスの先生・・・え?先生どしたん?
「う・・・うむ、しかしイリスにこれは必要か?もう授業は要らんのでは?」
「何言っているんです?まだまだ教えて下さい師匠!
さあ!お手をどうぞ!」
「いや!妾は遠慮しておこう!」
ヒイィィーー!!と仰け反るクレア。
ガチのダンス勢のイリスの相手をすると女性では授業が終わる頃には足腰ガクガクになるのだ。
クレアが前にイリスの相手をしたら股関節の筋肉痛にされて3日寝込んだ。
そしてダンススタート!!
「きゃーーーーー?!あなたーーーーー?!」
「ぐお・・・おおおおおお?!」
「こはぁーーーーーー・・・こはぁーーーーーー・・・」
「な・・・なんと恐ろしい!」
「イリス・・・あなた?・・・どうしてこんな酷い事を人様に?」
戦慄するクレアに、初めて娘のイリスのダンスを見てドン引きしている母親。
イリスのガチのダンスにやられて股関節を押さえて疼くまる先生の旦那さん・・・
明日は股関節の筋肉痛確定だね!
そして付いたあだ名が「戦慄の股関節破壊の舞踏姫」・・・・・・・
あれ?なんかちょっとカッケェぞ!
PM0:00 この世界のお昼はPM1:00からなので昼飯前にお風呂に入る。
そして午後のお色直しをするのだ!お姫様なので。
建前上は一度袖を通した服は着ない!お姫様なので。
「いや!服代が勿体ないって!」
元バリバリの森の庶民だったイリスには分からない感覚だが裁縫屋さんが干上がるので絶対に必要との事。
実際には10着のドレスの生地に足したり引いたりしてリメイクして回しているらしい。
「イリス様の場合は小柄ですのでリメイクは3時間くらいで終わりますね」
型紙を取りに来た裁縫屋さんの言葉だ。
「ほー?それで見習いの人達が練習を?」
どうやら王侯貴族の昼のお色気直しは裁縫職人見習いの職業訓練なんだそうな。
ここで気に入られると貴族のお抱え裁縫師と取り立てられる場合も多く皆んな真剣に取り組んでいるのだそうな。
そう言う事なら遠慮無く!と、イリスも毎日変わる服を楽しんでいる。
何よりも裁縫屋さんのリメイクドレスはピンクだけの色で無いのが嬉しいのだ。
ちなみにイリスが好きな色はグレーやシルバーなのだが、絶対に皆んなに泣かれそうなので誰にも話した事は無い。
当然アクセサリーも同様の仕組みらしく10日間隔で全国から大勢の見習い細工技師が真剣な眼差しでベテランが行う宝石の色合わせに同行して来るのだ。
最初は大勢の見物人にガン見されて恥ずかしかったイリスも60回目ほどで慣れた。
こうやって王侯貴族の子供が大人数の人に見られる事に慣れる為の訓練でもあるらしい。
へぇええ?王侯貴族も色々と考えてんだねぇ。
PM1:00 イリス昼飯を食らう。
基本的にPM3:00までお昼休みなので自室で軽食を食べながら読書している。
さて、イリスが何を読んでいるか見て見ましょう。
「お花の国のお姫様」・・・・・・・・・・・うん、見なかった事にしましょう。
つーかコイツも可憐なお姫様に憧れてたんだな・・・自分もお姫様なのに。
☆
「違うよ?「お花の国のお姫様」ってシリーズ物のバイオレンス推理小説だよ?
「なにこれ?題名と全然違うじゃん?!」って所がウケてるんだよ?」
バイオレンス推理小説?!・・・ちなみにその本の内容は?
☆
「お花の国のお姫様が何者かに棍棒で○☆されて、復讐に燃える護衛騎士が犯人を追い詰める話しよ?護衛騎士が様々な謎を解きながら進み、遂に犯人を追い詰める!
そして犯人は何と!お姫様が可愛がっていた妹で、実は、お姫様の恋人だった護衛騎士に横恋慕していて、それから・・・」
あっ・・・もうその辺で結構ですよ?
思っていた以上にバイオレンスで怖いです。
てか!お姫様を棍棒で○☆って・・・書いたヤツ何考えてんの?馬鹿なの?
今回の話しの趣旨に合って無いので本当に結構ですよ?
☆
「馬鹿な話しを書く点じゃアンタも大差無いじゃない?
もー何よ?せっかく盛り上がって来たのに?最後まで説明させてよ」
いえ・・・イリスは、やっぱりイリスだったって事が分かりましたので大丈夫です。
PM 3:00 イリス、お茶会に突撃する。
イリスはラーデンブルクの貴族達から決して蔑ろにされてはいない、イリスの休みを見計らいお茶会やら舞踏会のお誘いは山ほど来ているのだ。
いや・・・舞踏会のお誘いは激減しているらしい。
「何でわたくしも参加するのです?」
馬車の中でイリスの前に座っている水色のドレスを着たシルフィーナがキョトンとしている
たまたま休みでクレアの所へ遊びに公爵邸を訪れていて、イリスの前を横切っただけのシルフィーナが拉致されていた。
「うーん?何となく?
だってシルフィーナちゃん、ドレス着てるじゃん?」
「なんですの?それ?
まぁ一応、わたくしも爵位は持ってますからね、公共の場ではドレスを着用してますわよ」
バリバリの女子爵位の爵位を持つシルフィーナ。
ちなみに軍人のイリスは宮中騎士爵位(男爵位相当)を持っている。
ラーデンブルク公国は女王制の国なので女性でも高位の爵位を持つ事や家門の当主が女性なのも特段珍しくない。
同じく軍人のエリカは準将爵位(準子爵位相当)これはイリスより爵位が一つ高い。
この爵位は貴族社会の中での話しで軍隊での階級とは関係は無い。
何で爵位までエリカの高いの?かと言うと女王候補には指南役が就くからだ。
エリカの立場がイリスの指南役(師匠)の位置になっているので必ずイリスより位が高くなる。
こうして女王候補は上下関係を幼い時から指南役に叩き込まれるのだ。
友達関係全開のイリスとエリカの場合は余り機能して無い様に見えるが公式の場では、ちゃんとイリスはエリカに対して目上の者に対する礼儀を持って接している。
「それで?どこのお茶会に連れて行かれますの?」
慣れた手つきでお化粧を直しながら聞いて来るシルフィーナ。
「ふわー、シルフィーナちゃん貴族夫人っぽいね!」
「ぽい、じゃなくて本当に女子爵ですわよ?」
夫のガストンも子爵位なので子爵夫婦になる、これはかなり珍しい組み合わせだ。
ロイは安定の男爵位でオーガロードのホワイトは侯爵位でぶっちぎりで仲間内で最高爵位だ。
何せ、ホワイト侯爵の上は、首相のクレア公爵しかいないのだから。
「今日のお茶会はルナさんからのお誘いです!
他に参加者はいません、私の気分転換にと、お誘いしてくれてます」
「まあ?!それは楽しみですわ」
クレアを引き継ぎ次期の女王が確定しているルナの主催のお茶会らしい。
エルフの長老の1人で物静かな淑女だ、そしてシルフィーナの憧れの人物である。
ルナさんはエルフには珍しくボン!キュ!ボン!のナイスバディである。
「ようこそ、イリスにシルフィーナ」
簡素な古きエルフらしい木造作りの自宅の前で二人を出迎えてくれたルナ。
プラチナブロンドの長い髪に青い目が美しいハイエルフ。
恥ずかしいのか胸が目立たないベージュ色のドレスを着ている。
・・・・・・・あれ?なんかこの人クレアより威厳が・・・・・いや、何でも無い。
漂う風格はルナが過去に何度かエルフの女王を務めたからだな
そして幼い頃のクレアを育てた人物でもある。
「お誘いありがとうございます!ルナさん」
「突然押し掛けてしまい申し訳ありません」
頭を下げるイリスとシルフィーナの尻尾がブンブンしているのが見える。
エルフの貴族の礼は普通に頭を下げるだけで良い。
するとルナが「はい、イリス」ルナが手を広げると速攻でスポッと手の中に収まるイリス・・・幼児かな?
そしてルナに頭を撫でられてご満悦でルナの胸にスリスリスリしているイリス、
それを羨ましそうに見ているシルフィーナ。
ウズウズしているシルフィーナを見て、
「はい、シルフィーナもいらっしゃい」と手を広げるルナ。
「そそそそそんな不敬な・・・・・・・はい!是非お願いします!」
シルフィーナもルナに手の中にスポッと収まり頭を撫でて貰う。
嬉しそうに目を閉じてるシルフィーナは母の温もりに飢えているのだ。
いや、母親のシルバニアが娘のシルフィーナを蔑ろにしている訳では無い、むしろシルフィーナの事を溺愛している。
しかし如何せんにもシルバニアは霊峰つまり「山」なのでシルフィーナを抱きしめる事が出来ないのだ!悲しい事に。
抽象的は意味で無く、シルバニアは「リアル、デケェ山」なのだ。
昔、試しにシルバニアに抱きついて見たシルフィーナ。
「やっぱり「山」ですわ!」
母はゴツゴツしてて痛かったのだ!
《そうね?ごめんなさい?シルフィーナ》
「仕方ありませんわ、お母様は「山」なんですから」
と母娘で意味不明を会話をしたとか何とか・・・
《母の温もり・・・》
少しでも娘に温もりを与えようとシルバニアが頑張って見た結果・・・
そうシルバニアは頑張ってしまったのだ!
ズドオオオオンン!!!と、火山大爆発を起こして、あっちこっちから盛大に溶岩が噴き上げたのだ!
「熱っ!あちち!!きゃああああ?!?!
おおおおお母様!!温もりは結構ですわ!わたくし我慢します!」
母の思いで温もりどころか、降り注ぐ溶岩の雨で焼死しそうになったシルフィーナだった。
《ホントに色々とごめんなさい・・・》
「気にしないで下さいまし!お母様は「山」なのですから!」
そんなエピソードがあったので母の気配ビンビンのルナの事が大好きなシルフィーナなのだ。
そしてその後は、ルナと楽しくお茶会を満喫したイリスとシルフィーナ。
充分にルナ成分を補給出来た2人のテンションは爆上がりしてしまう。
「ねえ?イリス・・・」何かをイリスに確認するシルフィーナ。
「分かってるよシルフィーナちゃん」阿吽の呼吸で理解するイリス。
「わたくし達もお茶会しましょう」
「了解」
そして二人は街中へと消えて行ったのだ。
PM 6:00 イリス&シルフィーナ主催の「お茶会??」が始まる。
「マスター!「お茶」を下さい!」
「・・・素直に酒くれって言えよ・・・そして来るのが早えよ」
まだ開店準備をしている最中の酒場のマスターが呆れた目で酒場にドレス姿で直行して来たイリスとシルフィーナを見ている。
「たく、ほらよ」
ドスンとエールの入った酒樽とグラスを二つテーブルに置くマスター。
この2人にいちいちグラスで酒を出していたらグラスが幾らあっても足りないのだ。
酒樽置いとくから好きにやってくれ状態なのだ。
その酒樽を見たイリスはすぐに念話で「本日、大衆酒場『おう!お疲れ!』でお茶会を開始します」と片っ端から仲間に話し掛ける。
つーか、『おう!お疲れ!』って店名、何とかならんかったのかね?
「皆んなで飲み会をするのは久しぶりですね」
「ロイ?「お茶会」よ?名目上はね」
貴族が大衆居酒屋で宴会はさすがに外聞が悪いので「お茶会」と称しているのだ。
丁度良く勤務を終えたエリカとロイがテフテフと『おう!お疲れ!』へ向かって歩いている。
ホワイトとガストンとブリックリンは夜間勤務なので来れないとの返答が来た。
勤務を終え、疲れた者が憩いを求めて『おう!お疲れ!』へ向かう・・・
あれ?これってメッチャ良い店名じゃね?マスターやるじゃねえか。
エリカとロイが『おう!お疲れ!』に到着すると見知らぬ人物・・・兎人族の女性がイリスとシルフィーナと一緒にお酒を飲んでいた。
店内は本格的に開店しているのでほぼ満席状態だ。
「イリスお待たせー・・・あれ?えーと?そちらの女性は?」
「エリカお疲れ様~、この人は兎人族の薬剤師トトちゃんだよ」
「あっ、はじめまして、トトと申します」
超久しぶりの登場のトトがペコリとエリカに頭を下げる。
「これはこれは、ご丁寧に、エリカと申します。よろしくお願いします、トトさん」
「私はロイと言います、よろしくトトさん」
初対面のトトに応えてエリカとロイも笑顔で頭を下げる。
「昔、めちゃくちゃお世話になった人だよ。
今日はたまたまラーデンブルクに薬を卸したついでに酒場に来たら私に捕まったって訳よ」
「まさかイリスとシルフィーナが大衆居酒屋に居るなんて思わなかったからビックリしたわよ」
イリス遭難事件の時に出会った時は幼い印象もあったが、それから40年近く経ち、すっかり大人の女性になったトト。
兎人族の平均寿命は300歳程度と言われているから人間の歳に換算すると大体18~20歳くらいかな?
「へー、トトさんって薬剤師さんなんだ」
エリカもトトに興味があるのか、トトの隣に座るエリカ。
そしてもう1人の呑兵衛のシルフィーナは・・・
イリスの隣に座り、トト印の林檎のブランデーを夢中で堪能していてエリカとロイが来た事にも気付いていない。
林檎ブランデーは血行促進の薬膳酒でもあるので、薬剤師トトが作っている逸品なのだ。
シルフィーナよ、それは一応は薬だぞ?一気に飲むなよ?
シルフィーナが酒に没頭して周囲に気が付かないのはいつもの事なのでエリカとロイは気にしてもいない。
この無類の酒好きめ!
「話しを聞いて見たら結構頻繁にラーデンブルクに薬を卸しに来ていたらしいのにトトちゃんってば全然私に会いに来てくれないんだもん」
早い時間から飲み始めて既に酔っ払ってるイリスが赤い顔で頬を膨らます。
「いやだってイリスって王族なんでしょう?兎人族でもかなりの有名人だよ?
さすがに王城(公爵邸)に遊びに行く訳には・・・ちょっとね」
「そんな事、気にしなくても良いのに」
「いや無理無理無理、薬剤師の端くれが畏れ多いわ」
グラスを手に持ち「てへへへ」と笑うトト、確かに気軽に行ける所では無いな。
「ふわー!やっぱりトトの林檎ブランデーは最高ですわー。
あら?エリカとロイ、お疲れ様でしたわ」
やっとエリカとロイに気が付いたシルフィーナ。
「と言うか、何で二人はドレス姿なのよ?」
いかにも貴族ですよ?的なドレスを着て大衆居酒屋で飲んだくれてるイリスとシルフィーナに呆れるエリカ。
周囲の他の客は・・・これもいつもの事なのか誰も気にしていない。
「だって公爵邸に帰ったらココに来れないモン」
そう、これは「お茶会」で淑女の嗜みの一つなのだ!と言う体裁だ。
もしクレアに宴会がバレたら二人共普通にクレアに怒られる。
「お近づきの印に一本どうですか?」
早速、自分が作った製品のセールストークをロイに始めるトト。
「おお!よろしいので?実はシルフィーナ殿から漂う香りが気になってまして」
速攻でトト印の林檎ブランデーを受け取るロイ。
こらこらシルフィーナ、それはロイの酒だぞ?奪おうとすんな!
「おいおい、俺の前で持ち込み酒を飲むなよ。
しかしトトさんよ?これ凄く良いな、是非ウチに置かせてくれ」
酒場のマスターも林檎ブランデーのセールスを受ける為に同じテーブルで試飲しているのだ。
「ありがとうございます!」セールス大成功のトト。
PM 11:00 イリス、侍女達に強制送還される。
時間も忘れて楽しく「お茶会」をしていたら、イリスの侍女達が『おう!お疲れ!』に迎えに来て公爵邸に連れ戻されるイリス。
「ああーん!皆んなぁー、助けてー」すっげえ名残惜しそうなイリス。
「イリスまた明日ねー」完全酔っ払いシルフィーナが手を振る。
「イリス、バイバーイ、トトさんは私の部屋に泊めるから大丈夫だよ。
私達も後少ししたら帰るからね」
「ええ?!良いんですか?!」
「良いよー、私、一人暮らしだからねー」
飲み会の後に友達を自分の部屋に泊める事くらい、どうって事もないエリカ。
完全にトトを友達認定したエリカがトトの泊まる先の面倒を見る様だ。
「ああーん」イリスは仲間に見捨てられて侍女3人に抱えられてズリズリと引き摺られ『おう!お疲れ!』から退場していった。
AM 0:00 イリス、本日3度目の風呂にぶち込まれる。
「イリス様!このまま寝れる訳がないじゃないですか!
お酒の匂いが身体に染み込んでしまいます!洗いますよ!」
「いやーん!」
お酒の匂いをプンプンさせている主をスッキリさせるべく侍女達はイリスのドレスを剥ぎ取る。
そして全裸イリスはお風呂にドボーン、ゴシゴシされる。
その後のマッサージで気持ち良くなり寝落ちして今日のイリスの1日は終わった。
これが、お姫様の日常なのだ。
終わり。
☆
終わったぞー、全部正直に正確に書いたぞ?これで文句ないだろ?
「確かに全部、身に覚えがあり過ぎる話しなんだけど・・・私って「お姫様」として、かなりヤバくね?!」
ふむ!やっと自分がヒーローだと気が付いたか?そして我は悪くないと?
「こっ・・・今年こそ、ヒロインらしく振る舞うよ!」
だからヒロインになるのは無理だと思うな。
「やって見ないと分からないじゃん!」
そしてイリスの今年の書き初めは「清楚可憐」だったとさ。
・・・・・・・・・・・・・・日本の文化を広げ過ぎだろ?!エリカ!
応援ありがとうございます!
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