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ゲーム合成
しおりを挟む「いや、意外と飽きるな…」
あれから一ヶ月程が経過しただろうか。
完結の表示が出ているのに、読めると思った漫画は読めなかった。
前世で課金した事がある漫画は問題なく読めるのだが、課金した事がない話を読もうとすると、
「コインが足りません」
とのポップアップが出てしまうからだ。
当然、私はお金なんて持っていない。
「結局は世の中、お金かあ。世知辛いわ。」
読んだ事がある漫画の読み返しでもしばらくは面白かったが、最後まで読みきれないと思うと、だんだんと気持ちが萎えてくる。
仕方なくゲームに切り替えてみたのだが、一度やりこんだ事があるゲームは先がわかっているし、パズルや脳トレゲームもずっと続けていては楽しくなくなってくる。
「新しいゲームもダウンロード出来ればいいのになあ…」
退屈に任せて、スマホの中をいじり回していると、妙なアイコンが目についた。
「アプリ合成?何だろう、これ」
こんなアプリを落とし込んだ覚えはない。
ウイルスだったら嫌だな、と前世ならタップしないところだが、チート能力で入手したものなのだ。
まあ大丈夫でしょ、と軽いノリでタップした。
「アプリを合成して、新しいアプリを作成する事が出来ます。
最大5つまで選択してください。」
「好きなゲームを合成して、新しいゲームを作れる ってことでいいのかな?」
ちょうど新しいゲームが欲しいと思っていたところだ。
わーい!と喜んで、出てきたウィンドウに並んだアイコンの中から、お気に入りのゲームを選んで放り込んでいく。
お天気アプリやニュースアプリなんかも並んでいるので、合成はかなり自由度が高そうだ。
その内に色々と試してみたい。
大好きだった農業ゲーム。畑を耕して、種を蒔いて動物を飼って。収穫した作物を使って、お料理・工作などのクエストを達成し、衣装やアバター・家具なんかをもらう。それを使って、お庭やおうちの模様替えや着せ替えをするのだ。
細かい小物に至るまでデザインが作り込まれてて、可愛くて美味しそうで、食べるアクションも細かくて、友達にご飯を振る舞ったりするのも凄く楽しかったものだ。
まずはこれを入れる。
お次は弱点を補わせてもらう。このゲーム、お肉がなかったのだ。
動物を飼っている世界観では、取り入れられなかったのだろうか。
そこで、こちら。
可愛い絵柄にも関わらず、様々な野生動物を狩って、捌いて、料理するゲームだ。
空気銃にライフルといった実際に使用されている猟具から、ボウガンやダイナマイトと言った禁止されている猟具までを使って、世界中のジビエを楽しむハントゲームでは、美味しそうなお肉や魚がわんさかだ。
大好きな農業ゲームにこの要素が入ったら、と思うと、ワクワクする。
お次は、MMORPG。
剣と魔法、モンスターに世界を滅ぼす魔王と神の戦い。
職業の選択は多彩で、元祖パソコンゲームからスマホへの移植まで、一通り手をつけたものだ。
古き良き の時代も楽しかったが、新しいバージョンでは、おうちシステムが盛り込まれたりして、ワクワクしたのだ。
が、期待したような、お庭で作物を栽培することも出来ず。料理でバフがかけられるのはいいが、不味そうで残念だった。
モンスターを狩って素材を集めたりはするが、それをもっと生活に役立てる要素にして欲しかったところだ。
前二つと組み合わせれば、きっといいように作用しあってくれるはすだ。
最後に、ファッションゲーム。美容や化粧、教養を高めてライバルに打ち勝ち、素敵な衣装やアクセサリーをもらって、更なる美を追求するのを楽しむもの。
投票システムもあって、課金をいかに抑えてライバルを越えるか、頭を悩ませたものだ。
最後にお天気アプリ。
ゲームと組み合わせる意味がわからなかったので、興味本位だった。
「よしっ、これでOK!」
決定ボタンを押すと、「合成中」の文字。
ワクワクしながら待っていたが、その日は合成が完了してくれなかった。
それどころか、合成中はかなり容量を使うのか、他のゲームを起動して遊ぶこともできない。
退屈を紛らわせようと思ったのに、もっと退屈を持て余す羽目になってしまっただなんて、がっかりである。
寝て起きれば、流石に終わっているだろう。
そう当てこんだ私は、その日は早々に寝ることにした。
暇な時は寝るに限る。
…と思ったのに。
合成を始めて、既に10日以上が経っている。
酷い!こんなことなら、合成アプリなんて使うんじゃなかった。
あれから14回目の、サリナの「おやすみなさいませ」を見送った私は
「あーあ…」
と呟きながら、ベッドに仰向けに寝転んだ。
欲張ってしまっただろうか。
合成してる時は、最高に理想のゲームが出来るぞ!とワクワクしたのだけれど。
「つまんない…」
一度、自分を気にしなくていいと言い渡しておいて、サリナを引き留めまくるのは憚られる。
ご飯に野菜が出るようになって、少しだけバラエティが出たが、黒パン・ジャガイモ・稀に塩漬け肉。
生きるのに不自由はない。
しかし食に楽しみを求めることは難しい。
「ううう…つまんない…」
退屈は猫も殺すんじゃなかったっけ?
ああ、退屈じゃなく好奇心だったか。
まさに好奇心が原因の退屈で、死にそうだ。
衛生的なご飯が食べられるだけで幸せだったのに、人の欲望には限りがないものなのだなあ、と実感せざるを得なかった。
ため息混じりに、スマホの画面を今日も確認する。
充電は切れないのかって?電池の表示が♾️になっているので、切れることはないようです。ありがたい。
あいもかわらず、「合成中」の文字。
この画面も見飽きたなあ…と思いながら、ぼんやりと眺めていると、不意に画面の表示が変わった。
先程まで合成中の表示だった画面が、スマホのトップ画面へ。
そして、合成アプリの横に、新しいアイコンが並んでいた。
「きたー!
…って……囚人クエスト?」
喜びのあまりガバッと起き上がったが、ゲーム名を目にした途端、喜びよりもテンションが下がり、
「名前、ひどっ…」
思わず呟いたのだった。
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