転生覚醒が遅すぎたので全力ヒキニートします!

カカオ70

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現実とのリンク

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全身を包む悪寒、ガンガン痛む頭、身体の節々が痛い。

「しまった、徹夜が祟ったかな…マーガレットはあんまり体力がないんだから、気をつけないと」

前世と違って、栄養状態も悪く運動もせず、不健康を極めたような身体である。
石牢生活でだいぶ痩せてきたけれど、健康的に痩せたわけでもない。
些細なことで体調を崩してしまうのは、当然だった。
食べかけのご飯も、もう食べ進めることが出来そうにない。

「勿体ないし…アイテムボックスに収納出来ないかな」

異世界転生では、アイテムボックスの中に入れておけば時間停止機能がついているのが、お約束だ。
そう思いついて、アイテムボックスを開いた私は、お皿を片手にポカンと口を開けてしまった。

「ニンジンジュース…これ、お庭の?」

思わず呟いてしまったら、ポンと手の中にガラスのコップに入ったニンジンジュースが現れる。
ゲームの中で入手したキッチンセットが石牢に現れたことで、ゲームと現実がリンクしているようだとは思っていたけれど、入手したアイテムも現実に反映されるとは思っていなかった。
まさかと思ってアイテムボックスをよく確認すると、所持金の欄も5000Gとの表示に変わっている。
お金もちゃんと反映されていた。
と、いうことは…だ。

「もしかして、この体調不良も?」

そしてゲームのグラフィックは、現実の私の姿を反映してるってことか。
石牢の中には鏡がないので気づかなかったけれど、今の状態ってそんなに酷いんだなあと現実をつきつけられる。

「え、じゃあ…」

頭が痒いのは、お風呂に入れないからだけでは…なくて…


脳裏に、頭を虫がピンピン飛び回っていたグラフィックが、再生される。

いやああああああ!!!
今すぐ丸刈りにしてしまいたい!!!!

しかし、清潔度を上げようとした結果が今の状態なのだ。
もう今更、なんともしようがない。

とにかく早く体力を回復して、清潔度を上げる!

そう心に決めて、手の中のニンジンジュースを握りしめる。
ニンジンといえば、なんか身体にいい栄養がいっぱい入っている野菜だったはずだ。
早く元気になるためだ。飲もう!
前世でもあまり好きではなかったニンジンだけれど、石牢に入ってからは嫌いになった。
癖のあるにおい。変な甘み、泥臭さ。そらがずっと舌に残るしつこさ。
そういうのが前世とは比べ物にならないくらい強いから。
覚悟を決めて息を止め、ぐっと煽った。

「あれ?美味しい…」

しかし予想に反した味に、思わず呟いた。
さっぱりした甘み。
フルーツのような爽やかさ。
サラサラっと身体に吸収されるような喉越し。
ニンジンって美味しいのだと、はじめて知る。
生まれて初めて…2度目の人生にして初めて、ケーキにニンジンを入れる人の気持ちがわかった。
これなら何杯でも飲めそうである。
アイテムボックスには、まだトマトジュースやパンも残っている。
この体調不良は、風邪だろう。
ゲームの中で自分自身に水を浴びせかけたのだから、仕方ない。
この状態で、潰したジャガイモや黒パンは辛い。
美味しく栄養が摂れるジュースがあるのは、心強かった。

「よかった。やっぱり元気になったら、お庭のジャンルを頑張ろうっと」

こんなに美味しいジュースが手に入るなら、ますますやり甲斐があるというものだ。
身体によいことをした実感を噛み締めて、サリナにもらったご飯の皿をアイテムボックスに押し込む。
そして、風邪を治すべく、急いでベッドに潜り込んで眠ったのだった。

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