転生覚醒が遅すぎたので全力ヒキニートします!

カカオ70

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立場に気づく

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結局、動けるようになったのは、1週間程が経過してからだった。
自分の身体の弱さに辟易するが、仕方がない。
改めて、ゲームと現実がリンクしていることを考えると、キャラの能力値の低さが理解出来てしまう。

「早くお庭で稼いで、清潔な環境を整えていこう」

決意も新たに、ゲームを立ち上げる。
ファッションモードからのスタートだったので、見た目の悪さが心臓に悪い、自キャラの姿から始まる。
心なしか、前回より少し痩せている。
もしかすると、現実での変化でもゲームに影響を与えることが、出来るのかもしれない。

健康:15/100 
清潔:5/100 
魅:3 
美:2 
知:80

先日、ようやく6に上げた清潔度は、あえなく5に落ちている。
悔しいが、今は仕方がない。
庭に移動して、先日植えておいたイチゴが枯れているのを確認し、しょんぼりとむしった。
新たにイチゴを植えなおし、手空きが出来ても他のジャンルには移動せず、収穫を待つ。
リスクは最小限にしたかった。
お庭レベルの部分に見慣れない赤丸がついていたのでタップしたら、「来訪履歴」を確認出来ることに気づいた。
当然、履歴にはサリナしか残っていないが。
ずらりと並んだアイコンは、私が石牢に入ってからアップスタイルになった髪型で、ツンとすましたような表情がサリナらしい。
くすっと笑いを誘われて、アイコンのサリナの頭を指の先で撫でてやったら「フレンド登録」「来訪拒否」「メッセージを送る」の選択肢が表示される。
フレンド登録したら、どうなるのだろう。
興味はあったけれど、安易な行動はとれないので、グッと堪える。
そういえば、画面の左上の自分のアイコンをタップしたら、お庭の設定も色々と弄れるようだった。
来訪の欄では「誰でも可」「フレンドのみ可」「来訪拒否」を選べるようだったが、サリナが通えなくなったら困る。
初期設定の「誰でも可」のままにしておいた。

イチゴの収穫→イチゴジャムを作成する、でレベルアップを果たす。
イチゴジャムを作成してクリアしたクエスト報酬は、チャノキが3本だった。
樹木系は放置していても枯れない・水やり不要・お庭のインテリア的要素もある・何度でも繰り返し収穫出来る、お得な作物だ。
その代わりに樹木は種と違って、苗木が高い。
その上、収穫までの時間が長い。
成熟まで3日。
一度収穫したら、以降は23時間半ごとに収穫可能になる。うまく収穫出来ても1日に1回のみの収穫だ。
チャノキを設置でクエストクリア。
次のクエスト達成は、チャノキを収穫3回なので、3日後まではクリアできないということになる。

仕方がないので、その間は畑を増やして食糧のストックを増やす事に専念することにした。
一応、スタミナを使用するたびに経験値は1ずつ増える。僅かすぎて、なかなかレベルアップには至らないが。
レベルが上がらないと、植えられる作物の種類も増えてくれないので、ひたすらニンジン、トマト、小麦、イチゴをせっせと育て、料理を頑張った。
パンは、こねる→パン生地ゲット→パン生地をオーブンで焼成→パンゲット とスタミナを2も使うので、気分的には抵抗は強い。
しかし、主食の確保は大切だ。
勿体無い精神を抑えて、スタミナの回復を待ちながら作り続けた。

「ん…もうこんな時間か。」

ゲームをしているうちに、お腹はぺこぺこだ。
スマホの時計は16時過ぎ。
すっかり夕方である。
お昼ご飯は来ない日だったようだが、お昼がなかったとしても、サリナが次に食事を持ってくるのは大体20時くらいである。
待ち時間はアラームをセットして、現実世界で収穫をいただくとする。
頑張った甲斐があって、

SP最大量は18、所持金は50,480G。
アイテムとして、料理も野菜類もなかなかの量をストック出来ていた。
地道な作業で1つレベルが上がって、次は栽培可能になったキャベツの収穫待ちだ。

「さてさて、ただのニンジンジュースが、あれだけ美味しかったんだもんね。
楽しみだわ!」

すぐに食べられるものだけでも、トマトジュース、ニンジンジュース、イチゴジャム、パン、トマト丸かじり!
これだけ揃っていれば、立派なご飯が食べられる。
結局、私が寝込んでいる間はサリナがつきっきりで看病してくれていたので、ニンジンジュース以外のお庭のご飯を食べるのは、初めてだ。ワクワクが止まらない。
しかしアイテムボックスからご飯を引っ張りだそうとしたところで、あるアイテムに気がついて、手を止めた。

「サリナの朝食(2/3)の食べ残し」

なに、これ?と思ってアイテムボックスから取り出してみれば、風邪をひく前に食べきれず、アイテムボックスにしまっておいたご飯だった。
その名称に、ひやりと嫌な予感を感じる。

「サリナの朝食?サリナにもらった朝食ってこと?それとも…」

まさか、サリナに支給されている朝食?

サリナは我がスーランド公爵家に代々仕えてくれている貴族家の令嬢だ。
だからこそ、平民でもなれるメイドではなく、私の侍女をしていたのだ。
潰したジャガイモや煮ただけのニンジンなんて、食べさせられる立場じゃない。
まさか、まさか と思うけれど、嫌な予感が止まらなかった。
サリナは、ずっと私を守ってくれている。
公爵家としては、存在を消してしまいたい私を だ。
公爵家で働く身としては、かなり苦しい立場なのではないだろうか。
そしてその貧相な食事を、更に2/3も私に譲ってくれていたということか。
なんで今の今まで気づかなかったんだろう。
自分の察しの悪さに、猛烈に腹が立った。

コンコン…

「マーガレット様、サリナです。失礼します。」

そんな中、いつもより随分と早くサリナが訪れてきた。
入室を許可すると、重たい金属の扉がギイっと開き、サリナが入ってくる。

「サリナ!?どうしたの、その顔は!」
「…みっともない姿で、申し訳ありません。」

サリナの左頬が真っ赤に腫れている。
涙の跡こそなかったが、目の縁は真っ赤。
明らかに泣いた後だ。
サリナの立場が悪くなっていただろうことは、推測できた。
けど、貴族家のレディーの顔に手を挙げるなんて、考えられないことだ。

「一体、誰がこんなことを!」
「お嬢様…マーガレット様、大切なお話があります。
 どうか、落ち着いてお聞きください。」

いつもは冷静沈着なサリナの手が震えている。
口を開こうとして、何度か瞬きを繰り返すサリナは、いまだ泣くのを必死で堪えているようだった。
私はサリナの手を握り、落ち着かせるようにしっかりとした声で肯いた。

「ちゃんと聞くわ。
 何かあったのか、教えてちょうだい。」





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