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いけ!レオン!
しおりを挟む狩りに行くと、ちょこちょこと狩猟ボタンが出るモンスターは見つかっていた。
ハーピー、コカトリス、ミノタウロスなどのお約束のものから、鳩男爵、九尾の狐、ブラックベアー、ワイルドボアなど、ゲームのオリジナルモンスターまで、様々だ。
鳩男爵はタキシードとステッキを持った、二足歩行の鳩だ。
やたらと足が長くスタイルがいいが、鳩胸だ。
「人型は…ちょっとなあ…」
解体前のものをボックスから出すつもりはないが、死体を見たショックはまだ後を引いている。
出来れば、家畜にイメージの近いものを狩りたい。
と、なると。
「ワイルドボア、こいつだな」
ワイルドボアは、イノシシ型のモンスターだ。
感覚的には豚肉に近い。
豚肉は大好物だ。
角煮、トンカツ、生姜焼き…ベーコンにロースハム、トンテキ、豚まん。
美味しいあれやこれやを想像すれば、ミニゲームの難易度にも耐えられる気がする。
「よし!やるぞー!」
いざ狩場に到着して、気合を入れて狩猟ボタンをタップする。
と、そこで更に弓と犬の選択肢が出て、思い出した。
あれっ?そういえば、猟犬との狩りってどうなるんだっけ…
すっかりレオンはうちのかわいこちゃんで、そもそも猟犬だということを忘れてしまっていた。
そういえばサリナから、連れてってやれって言われてたな と思い、犬をタップした。
そして、始まるミニゲームの画面。
「なんだ、変わんないじゃん…」
視界の悪いヤブの中。
川のせせらぎ、鳥の鳴き声。
特に変化はない…かと、思ったが。
わん!わん!わん!
だんだんと犬の鳴き声が近づいてくる。
「えっ、レオンの声じゃん!なになに?獲物を追ってきてるってこと?」
今までは獲物が出てくるタイミングが全然掴めなかったのに、犬の鳴き声の大きさでわかるようになる仕様なのかもしれない。
初回はそのタイミングが分かりづらいだろうが、2回目からはだいぶ楽になりそうだとニマニマする。
お肉の入手難易度が低くなるのは、大歓迎だ。
そして、いざ赤丸の中に姿を現したターゲット。
姿を現してから慌てて押しても、成功はしない…と思っていたが。
わん!わん!わん!
ターゲットを、レオンが背後から右に左に追い込んで、赤丸から外れないようにしてくれていた。
これ、打ってもレオンに当たったりしないの?と不安になりつつも赤丸をタップしたら、狩猟成功!のエフェクト。
退治されて目を回している獲物の上に、ドヤ顔のレオンが立って、尻尾を振っている画面が表示される。
こんなの、狩猟失敗する方が難しいんじゃないだろうか。
「え…ええええ、すごい!めっちゃくちゃ楽じゃん!」
興奮して、もう一匹。
更に、もう一匹…ついでにもう一匹!
すごすぎる。全然失敗しない。
猟犬がいる場合と居ない場合で、狩猟の難易度の違いがエグすぎる。
どんなに難易度が高くても、犬救出クエストは絶対にクリアするべきだったのだと、今更に気がついた。
「サリナ!レオン!ありがとう!」
喜んで、思わず2人に飛びついてしまう。
クエストをクリアしてくれて。
そして、狩猟のパートナーになってくれて。
「今夜は豚肉食べ放題だよー!!!」
ガッツポーズで叫ぶ私に、やはりまだ意味がわかってなさそうなのにサリナが手を叩いて祝ってくれた。
解体スキルで4頭をバラし、大量のお肉を入手する。
4頭目のワイルドボアを解体したところで、解体スキルがレベルアップした。
スキルもレベルアップするらしい。
お肉の量がアップする模様。嬉しい。
お庭に行って、素材のレシピが増えていないか確認したら、ベーコン・ソーセージ・ハムが増えていた。
ベーコンをタップしたら、10個作成でレベルアップ!という吹き出しが出たが、そんなに一気に作っても、普通のお肉料理に使う残りが減ってしまいそうだ。
ひとまず、それぞれ5つずつ作成した。
「サリナ、今夜はベーコンステーキを焼いてちょうだい」
「ベーコンステーキですか」
「そう。さっき作ったベーコンなんだけど…ええええでっかい!!」
実物を見せてやろうと思って、アイテムボックスから取り出した私は思わず叫んでしまった。
でかい!ワイルドボアのベーコン、でっかい!
40cm四方くらいの真四角に成形されたベーコンは、厚みが15cmくらいある。
豚も100Kg以上あるのを、ベーコンにしていたんじゃなかったっけ。
前世で目にしてた豚よりも、明らかにサイズ感が巨大だ。流石モンスター。
残りのお肉を確認したが、この巨大なベーコンを5つも作成したのに、まだまだたっぷり残っていた。
絶対にボックスから死体を出したりしないけど、ワイルドボア、めちゃくちゃでかいんだろうな。こわっ。
それをあの子犬のレオンが追い立てているとは、不思議なものだ。
「調理しやすい大きさに切って…ステーキみたいに焼いて出して欲しいの。
塩胡椒して、黒胡椒をたっぷりひいてね。」
テリテリと琥珀色に燻されているベーコンは、まだ何もしていないのに、手元から燻製のいい匂いが上がってくる。
今すぐ、つまみ食いで齧りつきたくなってしまった。
美味しそうが過ぎる。
これは、ソーセージもハムも、期待が膨らむ。
早く食べたくて、ソワソワする。
「だめ、落ち着かない!
運動室で運動して、気を紛らわせてこよう!」
「では、ご一緒します」
夕飯の時間まで、運動室で身体を動かして。
腹ペコになったところで、早速ご飯の準備だ。
スープとベーコンステーキをサリナに任せて、私はサラダの用意をする。
カトラリーを並べて、お庭のクエストで作成した豆腐サラダを並べた。
ジューッと油が弾ける音がして、バラ肉の甘い油とスモークの匂いが広がる。
た ま ら ん ! ! !
ニヤニヤが止まらない。
テンションが上がった私は、久しぶりに貴族らしく肉をたっぷり食べるということで、ドレスワンピースなどを着用した。
美容のログインボーナスでもらった、シンプル可愛いやつだ。
もちろん、サリナの分もある。
サリナの調理が終わったら、お揃いでステーキタイムだ。
今日のご馳走は、レオンの活躍もある。
レオンはなんでもよく食べるけれど、やはり一番喜ぶのは、クリスタル。
今日はご褒美にクリスタルをあげよう、とボックスから無造作に幾つか掴み出した。
「レオンー!クリスタルだよ。」
レオンに声をかけて振り返って。
「ん?」
ふわっと顔を撫でる風に、思考が停止した。
明るいダイニングキッチンと裏腹に、薄闇が広がっている周囲は、夕焼けで赤く染まっている。
なんだか見覚えのある景色。
私はなぜか生家である公爵家の庭に、ポツンと立っていたのだった。
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