婚約者の王子に殺された~時を巻き戻した双子の兄妹は死亡ルートを回避したい!~

椿蛍

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3 殺された相手との再会

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 私たちは国民の前に初めて姿を現し、たくさんの祝福の言葉を贈られた。
 
「王女ということは女王か。それもいいのぉ」
「いやぁ、めでたい。それも二人もいっぺんに!」
「うちの畑のとれたて野菜なんですが、たくさん食べて大きく育ってくださいね」
「これね、産みたて卵。新鮮だからオムレツにするとうまいですよー」

 ルヴェロナ王国は王族と国民の距離が近い。ご近所さんに野菜を届けに来る感覚で、毎日なにかしら王宮に届けられる。
 お祝いということもあって、王宮には遠くの村からもたんまり食材が届いた。一番、すごい贈り物は牛と羊、豚。王宮専属の農夫が厩舎にエサを運んでいる。
 その平和な光景に私もお兄様も目を細めた。

「厩舎に家畜が増えるなぁ」
「そうね。王宮内にいる兵士より動物のほうが多いんじゃないかしら」

 前回の人生と同じ贈り物の品々を眺める。あの時よりも贈り物が嬉しいと感じるのは一度この平和を失ったからこそ。
 国民へのお披露目が終わった後は各国の招待客たちの前で紹介される。
 私の記憶が確かなら、私たちを殺したクラウディオ様と初めて会う日でもあったはず。
 思い出しただけで体が震えた。私を殺した瞬間のあの冷たい目が忘れられない。

「なんて可愛らしい王女様たちでしょう」
「将来が楽しみですなぁ」

 国民からのお祝いが終わると、次は各国から集まった招待客たちとの晩餐会が始まる。 
 場所はルヴェロナ王宮で一番広くて豪奢なホール。そこには大理石の床とクリスタルのシャンデリア、金の燭台がある。
 子供の出入りは禁止されていたから、前回、このホールでお披露目された時、とても誇らしく感じたのをまだ覚えている。
 でも、今の私は――

「レティツィア様。お客様がたくさんいらっしゃるから、緊張されているんですか? 顔色が悪いですよ」

 乳母が心配そうに私の顔を覗き込む。
 私が死の恐怖で緊張しているとは、私たちの好みや生活のすべて把握している乳母でもさすがにわからない。

「へ、平気よ」

 強がって見せたけど、声が震えているのが自分でもわかる。

「レティツィア様。お友達ができるかもしれませんよ。バルレリアの王子たちは同じくらいだと聞いておりますし」
「(私を殺した相手と)お友達になんてなれないわ!」
「まあ、レティツィア様、大国の王子たちに引け目を感じなくてもいいんですよ。まだ七歳なんですからね」

 引け目でも遠慮でもない。
 できたら、関わりたくないのよっと乳母に言いたかった。
 でも、言えるわけない。
 大国バルレリアからの王子を迎えるとあって、いつも以上に王宮内の窓や床、柱までピカピカに磨かれていた。

「晩餐会の料理を楽しみにしていたじゃないですか」

 乳母は明るい声で私を励ました。
 ルヴェロナの料理は素材がいいから、とても美味しいと評判なのだ。コックが厳選に厳選を重ねた素材で作られた料理に招待客の注目が行くはずだったけれど―― 

「バルレリア王国の王子たちがやって来たぞ」
「さすがに国王はこないか」

 招待客たちは料理どころではなく、バルレリア王国の王子たちが登場した瞬間、全員の目が王子たちに向けられたのがわかった。
 あっという間に話題をさらう。
 バルレリアからは国王の代わりに王子二人を寄越した。もちろん護衛をたっぷりつけて。
 私たちを殺した第一王子のクラウディオ様、そして、一緒に来たのは第二王子アルド。
 アルドなんて気安くもう呼べないことに気づいた。
 今はアルド様と呼ばなくちゃいけない。
 前回では友人だったけど、アルドと私たちが会うのはこれが初めて。
 馴れ馴れしい態度をとれば、おかしく思われる。
 クラウディオ様は九歳、アルドは私たちと同じ七歳。バルレリア王国の王子は子供といえど、子供扱いされず、大人と同じ扱いをされる。
 一人前としての能力を要求されるのだから、すでに出会った時のクラウディオ様は堂々たる姿で王子としての振る舞いを身に付けていた。
 彼がどこにいるか一目でわかる。

「クラウディオ様だぞ」
「まだ九歳だといいうのにしっかりされていらっしゃる」
「バルレリア王国は安泰だな」

 ひそひそとした話し声が聞こえてくるけど、私は体の震えが止まらない。
 お兄様は震えたりしなかった。でも、殺された記憶が残っているせいか、笑顔が消え、緊張で顔を強ばらせていた。

「お招きいただきありがとうございます。ルヴェロナ国王陛下」

 九歳とは思えない落ち着いた声音と、隙のない態度。話しかけられたお父様のほうが慌てて見えた。

「いやいや! こんな田舎まで足を運ばせてしまい、申し訳ない」
「いいえ。ルヴェロナ王国の次期王位継承者に興味がありましたから。こちらがルヴェロナの王女たちですか」

 興味なんてなくていいのにと思っていると、私の心の声が聞こえたのか、クラウディオ様がこちらへ視線を寄越した。

「ひっ!」

 思わず、お兄様の腕にしがみついた。
 銀髪に紫色の瞳、温度のない目。殺された時のクラウディオ様を彷彿させ、恐怖で足がすくんでその場から一歩も動けなくなった。
 挨拶しなくてはいけないとわかっているのに声が出ない。
 相手は九歳の子供で、怖いと思うなんておかしいけど、こっちも七歳の子供の体。
 それにクラウディオ様にはバルレリア王国という巨大な後ろ楯があるのだ。

「……はじめまして。クラウディオ様。私はヴィルジニア、内気な妹はレティツィアと申します」

 お兄様が挨拶すると、両親が安堵したのがわかった。内気な妹と紹介してくれたおかげで、私が口もきけない状態だということに気づかれずに済んだ。

「ヴィルジニアとレティツィアというのか」
「はい。クラウディオ様の二つ下です。弟……妹のように思ってくださると嬉しいですわ」
「妹か。そこまで親しくなれればいいが」
「それなら、お友達ではいけませんか?」
「友にならなれるかもな」

 にっこりとお兄様は作り笑いを浮かべた。
 同じような笑みをクラウディオ様も浮かべている。
 うまくいったように見える会話。でも、このやりとりには既視感がある。
 前回、出会った時、お兄様はクラウディオ様と同じように話していなかっただろうか。
 言葉遣いは多少違うけど、そっくりそのままで……
 元々、お兄様とクラウディオ様の仲は悪くなかった。
 親友とまではいかないものの、避暑地での遠駆けや晩餐会など、お兄様はよく誘われ、出かけていた。
 殺されるほど嫌われていなかったはずなのに、それがどうして誤解され、恨まれてしまったのか。

「第二王子のアルド様も来ているのか……」
「母親を亡くしたばかりだというのに社交の場に引きずり出すとは。お可哀想に」

 気がつくと、ホールの隅のカーテンに小さな男の子、第二王子のアルドが隠れていた。
 私も七歳だから、年の頃は変わらないし、体は縮んで七歳。でも、アルドのほうが身長が低い。

「大変! そういえば、この時、アルドったら熱を出していたんだったわ」

 私がアルドへ駆け寄ろうとしたのをお兄様が止めた。

「待て。レティツィア。今のアルドは僕たちの友人じゃないんだぞ」
「でも、お兄様。このままだと、アルドが倒れてしまうわ」
「わかってる。けど、ここで僕たちがアルドと仲良くなるのはまずい」

 小声で誰にも聞こえないような声だった。
 クラウディオ様は他国の招待客たちと話をしていて、こっちに気がついていない。お父様たちはお客様をもてなすのに忙しく、お披露目を終えた私たちのことを気にする人は少なかった。
 二人でこそこそと人のいない場所を選んで話し合う。

「前回の流れを僕なりに整理してみたんだ」
「殺されるまでの流れ?」
「そうだ。原因はアルドとクラウディオの王位継承権争いだったんじゃないかと思う。クラウディオの奴はアルドが王位を狙っていると主張していた」
「そうね。アルドと仲良くしていたのが、気に入らないみたいだったわ」
「つまり、僕たちがアルドと仲良くならず、まったくの他人なら、クラウディオから疑われなかったということだよ」

 さっきまで妹のようになんて言ってたくせに『クラウディオの奴』とは。お兄様のその変わり身の早さよ……
 言われなくてもアルドのことは私だって、薄々感じていたことだ。
 でも――

「王位を狙うだなんて、アルドにそんな気持ちはこれっぽっちもなかったわ」
「それは僕だって気づいてたよ。けど、クラウディオはそう思わなかった」

 知らず知らずのうちに私たちはバルレリア王国の王位継承争いに巻き込まれていたようだ。
 アルドと仲は良かったけど、だからといって、クラウディオ様を殺そうなんて思ったことはない。
 ただ、私たちはのんきすぎたのかもしれない。
 この国では血生臭い話は遠い世界の出来事だったから――

「レティツィア、いいかい。今回、僕たちはアルドと友人になっちゃいけないんだ。生き延びるために!」
「え、ええ……そうね」

 ちらりとアルドのほうを見ると、コホッと小さく咳き込んでいた。アルドは熱があるのか、頬が赤く、カーテンに縋る姿は弱々しい。

「でも、お兄様……。熱があるアルドを放っておけないわ」
「うっ……! まあ、そうだけどさ」

 お兄様も気になっているようで、視線をチラチラとアルドのほうへ何度もやっていたのを私は見逃さなかった。
 今はまだ友人じゃないけれど、私たちにとってアルドは友人のまま。苦しそうにしている姿を見て、見捨てることなんてできない。

「お兄様。熱があるアルドを介抱したからって、仲良くなるとは限らないんじゃないかしら?」
「うん、そうだね。友人になるとは限らないよな」

 お互いの意思を確認すると、ダッとアルドのところへ走っていった。

「アルド……アルド様、お風邪をひいていらっしゃるのではなくて?」
「……君は……だれ?」
「ルヴェロナ王国の第二王女、レティツィアです」

 青紫色の熱で潤んだ瞳は雨に濡れたブルーベリーのようだった。あの冷たい紫色の瞳をしたクラウディオ様とはまったく違う。

「私は第一王女のヴィルジニア。よろしくね」
「う、うん……よろしく……」

 コホコホと咳き込みながら、アルドはうなずいた。自分がどうしてこの国へ連れてこられたのか、なんの目的でここにいるのかさえ、説明を受けていないようだった。
 バルレリアではアルドの味方はほとんどいないのは目に見えてわかる。
 アルドは愛妾だった母親が死んだ後、王子でありながら、空気のように扱われていた。
 前回もそうだった。
 クラウディオ様には多くの護衛がいるのにアルドのそばに護衛はいない。
 それは嫉妬深いバルレリア王妃の怒りを買うことを恐れ、周囲の人間がアルドを避けていたためだ。今も話しかける人は誰一人としていなかった。
 
「熱があるみたい。客室に案内するわ。向こうで休みましょう?」
「いいの……?」
「ここにいても倒れるだけだもの」

 お兄様は前回の記憶を思い出したらしく、苦い表情を浮かべた。
 倒れたアルドをクラウディオ様は冷たく見下ろし、『気を引こうとしたのだろう。まったく母親と同じで小賢しい』と言ったのだ。
 お祝いの席だったにも関わらず、場の空気が悪くなったことは幼かった私たちにも伝わった。

「子供部屋で一緒に遊んでいることにしたらいいわ。私たちと会うのがアルド様の今日のお仕事ですもの」
「うん……」

 アルドが素直にうなずいたのを見て、ホッとした。
 これで、クラウディオ様がアルドを冷たく突き放すところを見ずに済む。
 アルドの手を引いて、子供部屋へ移動した。
 子供である私とお兄様はお披露目だけで、元々晩餐会は参加する予定ではなかったから、咎められなかった。
 お兄様は移動する前に侍女に食事を頼んだ。アルドが痩せていることがきっと気がかりだったのだと思う。
 侍女は私たちがお腹を空かせたのだと思ったらしく、夕食の食事をお部屋に運びますねと返事をしていた。

「今、侍女に温かいミルクを持ってきてもらうように頼んだから、後はゆっくり休んでね」

 ヴィルジニアとして上手にお兄様は振る舞い、アルドに優しい声をかけた。
 人の目がなくなり、アルドはホッとしたのか、子供部屋に着くなり、横になって眠ってしまった。
 暖炉前のクッションに埋もれ、毛布にくるまる体はとても小さく頼りない。

「きっとバルレリア王国じゃアルドの気が休まらないんだろうな」
「そうでしょうね……」

 私とお兄様はお互いの出方を探るようにして、見つめ合う。しばし無言の時間が流れ、同時にアルドのほうへ目をやる。

「アルドを見捨てるなんて無理よ!」

 我慢できなくなって声を張り上げた。最初に負けたのは私のほうだった。

「ルヴェロナ王国は捨て猫や捨て犬がいない国で有名なのよ? それはなんでかお兄様だってわかるでしょ?」
「仮にもバルレリアの第二王子を捨て猫や犬と一緒にするなよ。そりゃ、彷彿とさせるけどさ」

 まだ関わらずにいようとお兄様は思っているようだった。
 そんなお兄様に旅人が読む雑誌、『世界おすすめ観光スポットガイド』をスッと差し出した。
 世界の観光名所や見どころをまとめた雑誌で、有名な一冊だ。その雑誌には――
『お人好しが多いルヴェロナ王国。旅人は一度この国を訪れるといいだろう。飢えた旅人の胃袋を満たす田舎料理。大皿一杯にもてなしてくれるのだ』
『素朴な人柄と料理。そして、親切な人々よ。旅人はここでひとときの安らぎを得る』
 ――と、高評価だ。
 ただ都会的な刺激を求めてきた旅人には酷評される。牛や羊以外なにもない国だと。

「わかってる。アルドを見捨てるなんてこと僕たちには無理だ」
「お兄様っ……!」
「けど、レティツィア。忘れるなよ。僕たちがクラウディオに疑われた原因はアルドだったってことだけは」
「わ、わかったわ。誤解されないように気を付ければいいのよ」
「まあ、そういうことなんだけどさ。少なくともアルドをあの場からここへ連れてきたことで、少しは変化したはずだ」

 私とお兄様は同じことを思った。
 それはどっち側に変化したのだろうかと。 
 生き延びるルートか死亡ルートか……不吉な予感がして、ごくっと唾を飲み込んだ。
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