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第2章
8 結婚相手
「夕愛さんの結婚相手か」
「社長がわざわざフランスまで行って、五十住さんをスカウトしてきた理由がわかりましたよ。料理の腕もいいし、安心だ」
――店を継ぐ。
私にとって、デリカテッセン『オグラ』は大切で守りたい場所。
だから、叔父さんが私に継がせたいと言っているなら、嬉しく思うはずだった。
それなのに、結婚と聞いて、思い浮かんだ顔は五十住さんではなく、玲我さん――私は忘れてなかった。
四年間、玲我さんのことを考えないようにして生きてきただけ。
私は彼を忘れたフリだけうまくなった。
「夕愛さんの結婚話は秘密にしておかなきゃいけませんね」
「まったくだ。都久山のお客様に一人でも知られたら、あっという間に結婚の噂が広まるぞ」
料理人たちは茶化すように言って笑っていた。
「困るわ。叔父さんからまだ話を聞いてないし、それが本当のことかもわからないのに……」
都久山の奥様は噂好きで、特に結婚や恋愛話が大好きだ。
「この店を継ぐ前提で、社長が五十住さんを連れてきたって話は、前々から聞いてましたよ」
そういえば、ちょうど私が大学に入学した頃、五十住さんが店にやってきた気がする。
連れてきたのは叔父さんで、フランスの店で働いていた有名なシェフだと紹介された。
叔父さんが忙しくなり、本店を空けることが増えたから、自分の代わりに店の厨房を仕切れる料理人を雇ったのだと思っていた。
――まさか私の結婚相手に考えていたなんて。
あまりのことにフラッと目眩が起きて、壁に手をついた。
「社長はよく見つけてきたもんだ」
「顔も俳優並みにいいし、話上手で都久山の奥様からもウケがいいですからね」
私の意思はどうでもいいのか、了承済みであるかのように話が進んでいく。
――みんな、知っていたんだわ。
知らなかったのは私だけ。
五十住さんは大人で、自分の気持ちをはっきり言葉にするタイプだ。
それでいて嫌みがなく、敵を作らないから、本店だけでなく支店のスタッフたちともうまくやれている。
癖毛の黒い髪、目鼻立ちがくっきりとした日本人離れした顔は人目を引く。
イケメン好きの光華が五十住さんを初めて見た時、『かっこいい』と騒いでいたのを思い出す。
――申し分ない相手だってわかるけど、結婚なんて無理。いくら店のためだからって、そんなの……まだ割り切れない。
「夕愛さん、どうするんですか?」
「どうするって……」
私が大学を卒業して、本格的に本店で働き出したからか、さらにその先を期待しているようだった。
就職した後の未来。
それは――私の背後から、ふわりと煙草の匂いがした。
「こんなところで、内緒話?」
「い、五十住さん!」
「夕愛ちゃん。おはよ。おい、仕込みの後の片付けはどうした?」
「すみません!」
遅番の五十住さんは今から出勤で、白のコックコートを着れば、とても爽やかな料理人に見えるけど、今はグレーのチェスターコートに白のパーカーと黒のパンツをおしゃれに着こなしていて、メンズモデルみたいだった。
すっきりした形のチェスターコートのおかげで、カジュアルすぎないコーディネート。
自然な大人の私服という雰囲気が漂う。
厨房スタッフは五十住さんに注意されると、おしゃべりを止め、慌てて奥へ引っ込んでいった。
振り返った私が、どんな顔をしていたかわからないけど、五十住さんは煙草をくわえたまま笑った。
「あの……」
今の話を聞いてましたよねと言うべきか、ここは五十住さんが知らないということにして、いつもどおり振舞うべきか迷っていた。
私の迷いを見透かしているであろう五十住さんは、あっさり迷いを断ち切った。
「正式に結婚の話を出される前から、警戒されるのは困るな」
「すみません。そのお話ですけど、私はまだ叔父さんから聞いてなくて……」
「知ってる」
吸っていた煙草をレザー製の携帯灰皿に入れ、煙草の火を消した。
「夕愛ちゃんに好きな奴がいることも」
――どうして?
五十住さんは玲我さんのことを知らないはずだし、付き合っていたのを知っていたのは、ほんの数人くらいだと思う。
叔父夫婦だって知らないことだ。
「誰にも言ってないのにって思った?」
「はい……」
「夕愛ちゃんは大学に入ってから、一度も店に彼氏を連れてこなかった」
「それだけでわかるんですか?」
五十住さんは厨房に入る前にネックレスやピアスをすべて外す。
手のひらサイズのジュエリーケースをポケットから取り出した。
携帯できるジュエリーケースはイタリアブランドの黒のレザーのもの。
いつも使っているジュエリーケースで、それを上へ放り投げてキャッチする。
「俺との結婚の話をされたら、君は断れないってのもわかってたよ」
私が店を継ぐ場合、腕のいい料理人がいれば安心だ。
叔父さんの考えは間違っていない。
間違ってないってわかるのに――
「俺じゃ不満?」
「まだ結婚を考えていなかったので……あ、あの……」
いつもより五十住さんの距離が近いような気がする。
警戒して、距離を取ろうとした私を見て五十住さんが笑う。
「俺もそうだった。四年前、頼まれてここへ来た時はまったく考えてなかった」
五十住さんの年齢は二十九歳。
フランスから日本へ戻り、デリカテッセン『オグラ』で働き始めたのは二十五歳の時だった。
五十住さんはそのうち自分の店を持つのが夢だと言っていたのを思い出す。
「五十住さんはいずれ独立されるのかと思ってました」
「まあ、最初は一年か二年、ここで働いて、都久山マダムたちに顔を売ってから、独立するつもりでいた」
「それなら、どうして……」
「気が変わった」
五十住さんの目は私を見つめ、ここから逃がさない。
「君を支えたい」
――叔父さんが選んだ五十住さんと結婚する?
それとも、ずっと過去の恋に囚われて生きていく?
今、私は岐路に立たされていた。
『海外から戻ったら結婚する』
玲我さんには妃莉さんや他の結婚相手がいるかもしれない。
四年の間に環境も立場も大きく変わって、私のことなんて、もう忘れてしまったと思う。
私と玲我さんが結婚する可能性はゼロに等しい。
それこそ、奇跡が起きない限り、付き合うことさえ不可能なのに――
「ごめんなさい。五十住さん。私、本当にまだ結婚を考えられないんです」
「いつか、その気持ちに踏ん切りつく?」
「……わかりません」
少なくとも四年という時間があっても無理だった。
「俺は四年間、君が頑張ってきたのを知っている。その姿をそばで見ていて支えたいと思った」
私が黙っているのを見て、五十住さんは髪をかき上げ、ため息を吐いた。
「夕愛ちゃん。しっかり考えたほうがいい。自分の幸せがなんなのか」
店のことを考えたら、五十住さんと結婚するのが正解なのはわかっている。
四年前、玲我さんではなく、この店を守ることを選んだくせに、私は覚悟が足りてない。
自分が大人になりきれなくて、情けなくて泣きそうになった。
涙がこぼれかけた時、バックヤードの扉がバンッと開いた。
「夕愛さん。お客様です!」
笑茉ちゃんだった。
大学生になった笑茉ちゃんだけど、今もバイトを続けてくれている。
「は、はい。今、行きます!」
慌てて笑茉ちゃんのほうへ走っていくと、笑茉ちゃんはじろりと五十住さんをにらんでいた。
私が通り過ぎた後、笑茉ちゃんは五十住さんに厳しい口調で言った。
「五十住さん。大人げないですよ。それとも王子様が登場すると思って、焦ってるんですか?」
笑茉ちゃんはフッと笑って、扉を閉めた。
五十住さんがどんな顔をしていたのかわからないけど、笑茉ちゃんの勝ち誇った顔がすべてを物語っているような気がした。
「笑茉ちゃん、ありがとう」
「いえいえ。本当にお客様なんです。それも王子様です」
「王子様?」
四年前と同じ三月の雪が、窓ガラスの向こうに降っていて、あの日の続きのようだと思った。
「夕愛」
ずっと会いたかった人から名前を呼ばれても私は笑えなかった。
たとえ、再会しても私たちが結ばれることはない。
『海外支店から戻ったら、本社に入って重役になる。その後は結婚』
ここにはいない海寿さんの声が聞こえたような気がした。
「社長がわざわざフランスまで行って、五十住さんをスカウトしてきた理由がわかりましたよ。料理の腕もいいし、安心だ」
――店を継ぐ。
私にとって、デリカテッセン『オグラ』は大切で守りたい場所。
だから、叔父さんが私に継がせたいと言っているなら、嬉しく思うはずだった。
それなのに、結婚と聞いて、思い浮かんだ顔は五十住さんではなく、玲我さん――私は忘れてなかった。
四年間、玲我さんのことを考えないようにして生きてきただけ。
私は彼を忘れたフリだけうまくなった。
「夕愛さんの結婚話は秘密にしておかなきゃいけませんね」
「まったくだ。都久山のお客様に一人でも知られたら、あっという間に結婚の噂が広まるぞ」
料理人たちは茶化すように言って笑っていた。
「困るわ。叔父さんからまだ話を聞いてないし、それが本当のことかもわからないのに……」
都久山の奥様は噂好きで、特に結婚や恋愛話が大好きだ。
「この店を継ぐ前提で、社長が五十住さんを連れてきたって話は、前々から聞いてましたよ」
そういえば、ちょうど私が大学に入学した頃、五十住さんが店にやってきた気がする。
連れてきたのは叔父さんで、フランスの店で働いていた有名なシェフだと紹介された。
叔父さんが忙しくなり、本店を空けることが増えたから、自分の代わりに店の厨房を仕切れる料理人を雇ったのだと思っていた。
――まさか私の結婚相手に考えていたなんて。
あまりのことにフラッと目眩が起きて、壁に手をついた。
「社長はよく見つけてきたもんだ」
「顔も俳優並みにいいし、話上手で都久山の奥様からもウケがいいですからね」
私の意思はどうでもいいのか、了承済みであるかのように話が進んでいく。
――みんな、知っていたんだわ。
知らなかったのは私だけ。
五十住さんは大人で、自分の気持ちをはっきり言葉にするタイプだ。
それでいて嫌みがなく、敵を作らないから、本店だけでなく支店のスタッフたちともうまくやれている。
癖毛の黒い髪、目鼻立ちがくっきりとした日本人離れした顔は人目を引く。
イケメン好きの光華が五十住さんを初めて見た時、『かっこいい』と騒いでいたのを思い出す。
――申し分ない相手だってわかるけど、結婚なんて無理。いくら店のためだからって、そんなの……まだ割り切れない。
「夕愛さん、どうするんですか?」
「どうするって……」
私が大学を卒業して、本格的に本店で働き出したからか、さらにその先を期待しているようだった。
就職した後の未来。
それは――私の背後から、ふわりと煙草の匂いがした。
「こんなところで、内緒話?」
「い、五十住さん!」
「夕愛ちゃん。おはよ。おい、仕込みの後の片付けはどうした?」
「すみません!」
遅番の五十住さんは今から出勤で、白のコックコートを着れば、とても爽やかな料理人に見えるけど、今はグレーのチェスターコートに白のパーカーと黒のパンツをおしゃれに着こなしていて、メンズモデルみたいだった。
すっきりした形のチェスターコートのおかげで、カジュアルすぎないコーディネート。
自然な大人の私服という雰囲気が漂う。
厨房スタッフは五十住さんに注意されると、おしゃべりを止め、慌てて奥へ引っ込んでいった。
振り返った私が、どんな顔をしていたかわからないけど、五十住さんは煙草をくわえたまま笑った。
「あの……」
今の話を聞いてましたよねと言うべきか、ここは五十住さんが知らないということにして、いつもどおり振舞うべきか迷っていた。
私の迷いを見透かしているであろう五十住さんは、あっさり迷いを断ち切った。
「正式に結婚の話を出される前から、警戒されるのは困るな」
「すみません。そのお話ですけど、私はまだ叔父さんから聞いてなくて……」
「知ってる」
吸っていた煙草をレザー製の携帯灰皿に入れ、煙草の火を消した。
「夕愛ちゃんに好きな奴がいることも」
――どうして?
五十住さんは玲我さんのことを知らないはずだし、付き合っていたのを知っていたのは、ほんの数人くらいだと思う。
叔父夫婦だって知らないことだ。
「誰にも言ってないのにって思った?」
「はい……」
「夕愛ちゃんは大学に入ってから、一度も店に彼氏を連れてこなかった」
「それだけでわかるんですか?」
五十住さんは厨房に入る前にネックレスやピアスをすべて外す。
手のひらサイズのジュエリーケースをポケットから取り出した。
携帯できるジュエリーケースはイタリアブランドの黒のレザーのもの。
いつも使っているジュエリーケースで、それを上へ放り投げてキャッチする。
「俺との結婚の話をされたら、君は断れないってのもわかってたよ」
私が店を継ぐ場合、腕のいい料理人がいれば安心だ。
叔父さんの考えは間違っていない。
間違ってないってわかるのに――
「俺じゃ不満?」
「まだ結婚を考えていなかったので……あ、あの……」
いつもより五十住さんの距離が近いような気がする。
警戒して、距離を取ろうとした私を見て五十住さんが笑う。
「俺もそうだった。四年前、頼まれてここへ来た時はまったく考えてなかった」
五十住さんの年齢は二十九歳。
フランスから日本へ戻り、デリカテッセン『オグラ』で働き始めたのは二十五歳の時だった。
五十住さんはそのうち自分の店を持つのが夢だと言っていたのを思い出す。
「五十住さんはいずれ独立されるのかと思ってました」
「まあ、最初は一年か二年、ここで働いて、都久山マダムたちに顔を売ってから、独立するつもりでいた」
「それなら、どうして……」
「気が変わった」
五十住さんの目は私を見つめ、ここから逃がさない。
「君を支えたい」
――叔父さんが選んだ五十住さんと結婚する?
それとも、ずっと過去の恋に囚われて生きていく?
今、私は岐路に立たされていた。
『海外から戻ったら結婚する』
玲我さんには妃莉さんや他の結婚相手がいるかもしれない。
四年の間に環境も立場も大きく変わって、私のことなんて、もう忘れてしまったと思う。
私と玲我さんが結婚する可能性はゼロに等しい。
それこそ、奇跡が起きない限り、付き合うことさえ不可能なのに――
「ごめんなさい。五十住さん。私、本当にまだ結婚を考えられないんです」
「いつか、その気持ちに踏ん切りつく?」
「……わかりません」
少なくとも四年という時間があっても無理だった。
「俺は四年間、君が頑張ってきたのを知っている。その姿をそばで見ていて支えたいと思った」
私が黙っているのを見て、五十住さんは髪をかき上げ、ため息を吐いた。
「夕愛ちゃん。しっかり考えたほうがいい。自分の幸せがなんなのか」
店のことを考えたら、五十住さんと結婚するのが正解なのはわかっている。
四年前、玲我さんではなく、この店を守ることを選んだくせに、私は覚悟が足りてない。
自分が大人になりきれなくて、情けなくて泣きそうになった。
涙がこぼれかけた時、バックヤードの扉がバンッと開いた。
「夕愛さん。お客様です!」
笑茉ちゃんだった。
大学生になった笑茉ちゃんだけど、今もバイトを続けてくれている。
「は、はい。今、行きます!」
慌てて笑茉ちゃんのほうへ走っていくと、笑茉ちゃんはじろりと五十住さんをにらんでいた。
私が通り過ぎた後、笑茉ちゃんは五十住さんに厳しい口調で言った。
「五十住さん。大人げないですよ。それとも王子様が登場すると思って、焦ってるんですか?」
笑茉ちゃんはフッと笑って、扉を閉めた。
五十住さんがどんな顔をしていたのかわからないけど、笑茉ちゃんの勝ち誇った顔がすべてを物語っているような気がした。
「笑茉ちゃん、ありがとう」
「いえいえ。本当にお客様なんです。それも王子様です」
「王子様?」
四年前と同じ三月の雪が、窓ガラスの向こうに降っていて、あの日の続きのようだと思った。
「夕愛」
ずっと会いたかった人から名前を呼ばれても私は笑えなかった。
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*こちらは元の小説の途中に、エピソードを追加したものです。
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