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第2章
16 結婚の噂
――家にいるのが辛い。
小椋の家で暮らすのが辛いと思ったのは、両親を亡くして以来のことだった。
両親との思い出が詰まった家で暮らすのが辛かったのだ。
でも、その辛さとは違う。
今まで仲良くしていた光華の態度が冷たく、叔父夫婦にも喧嘩腰なのが気になっていた。
『家出する!』
本気なのかどうかもわからないけれど、叔父夫婦は忙しいのもあって、光華の言葉を軽く受け流していた。
叔父夫婦の一人娘の光華。
光華は私が結婚して、ここから出ていった後、自分が店を継ぎ、五十住さんと結婚するつもりだったようだ。
でも、五十住さんは断り、叔父さんは光華に店は無理だと言った。
それが原因で、私に対してよそよそしい態度になってしまった。
――私がいなかったら、光華の結婚相手は五十住さんで、店の跡取りとして期待されたのは娘の光華だったと思う。
叔父家族の雰囲気を悪くしているのは私――それが辛く申し訳ない。
「気にしなくていいと思いますよ」
「えっ!? 笑茉ちゃん。私、なにか口に出してた?」
「いえ、ため息が何回か」
「そ、そう……ため息……」
ホッと胸を撫で下ろした。
土曜日、笑茉ちゃんは朝からシフトに入っていて、私と一緒にオープニング作業をしていた。
メニューボードに本日のおすすめ『春キャベツを使ったロールキャベツトマト煮込み』と書く。
「光華さんがフラれるだろうなっていうのは、私たちにだってわかってましたよ」
「えっ!? 嘘!」
てっきり私は、いつも光華が口にしていた『イケメンが好き』という憧れのような感情だとばかりに思っていた。
そもそも、どうして私が知らないのに、店のスタッフが光華の気持ちを知っていたのかも謎だ。
「気づいてないのは夕愛さんだけです。五十住さんは夕愛さんをよく目で追ってましたし」
「私を見ていた? 五十住さんが?」
「ええ。そうです。熱い視線を注いでました」
「そんな……」
手に持っていたチョークがぽとんと床に落ちた。
本日のおすすめ『山吹色の春サラ』で止まり、『ダ』を書けなかった。
慌ててチョークを拾って『ダ』を書き足す。
「店をやりたいって光華さんが言ってるそうですね。でも、今までバイトより仕事をしていなかったのに、いきなりすぎます」
「そうよね……」
笑茉ちゃんのほうが仕事を覚えていて、光華より店の事情に詳しい。
だから、反対しているというより『店を継ぐと社長に言うには早すぎる』――そんな雰囲気だった。
「光華はね、両親を尊敬してるの。私も小さい頃、同じように思ったから、光華の気持ちがわかるわ。自分も同じ仕事について店を継ぎたいって気持ちが……」
「五十住さん目当てじゃなかって、スタッフの間では言われてますけど」
「それも店を継ぎたいって思ったきっかけのひとつだったかもしれないわね」
私がいなかったら、光華はもっと店の手伝いをしていたと思うし、叔父さんたちも頼っていたはず。
「経験もない社長に料理人たちはついてきませんよ。だから、社長が怒る気持ちもわかります。私はこの店が好きだから、絶対、潰れてほしくありません」
笑茉ちゃんの言っていることは正しい。
腕のいい料理人の叔父さんがいるから、料理人たちが集まる。
さらに五十住さんがオグラに来てからは、五十住さんの下で学びたいという料理人が入ってきた。
光華が社長になり、本店を取り仕切るなら――
「夕愛さんのように都久山の事情に精通すれば、社長も気持ちが変わると思います」
「そうね。デリカテッセン『オグラ』の売り上げは都久山のお客様に支えられているから……。都久山のお客様への対応ができるようになれば、叔父さんの気持ちも変わると思うわ」
「夕愛さんが有近家の王子様と結婚するって噂が流れてから、本店の売り上げが増えてますもんね」
「それは言わなくていいのよ……」
今まで配達注文だったお客様まで、私を見ようと店へ足を運ばれる方が増えた。
私を見にきたと口には出さないものの、視線が痛い。
常連さんに至っては『結婚なさるの? いつ見初められたのかしら?』と、質問責めだった。
そのたび、『玲我さんにお聞きしてみないとわかりません』と作り笑いを浮かべ、なんとかかわしている。
――はっきり答えられないわ。
四年前、付き合い始めた時だって『私のどこを好きになたんですか?』なんて、怖くて聞けなかった。
「夕愛さんがいなくなったら、寂しくなります」
笑茉ちゃんは肩を落として、しょんぼりしていた。
「笑茉ちゃん……」
学校以外は店の仕事が中心だった私にとって、友達と呼べるのは笑茉ちゃんくらいだったから、寂しくなると言われて嬉しかった。
「結婚しても顔は出してくださいね! はあ……。これから、どうなるか不安です」
「本店には五十住さんがいるから大丈夫よ」
都久山マダムたちのハートをつかんでいる五十住さん。
彼がいる限り、本店の売り上げは守られると思う。
「なに言ってるんですか。夕愛さんにフラれ、光華さんとの結婚を断ったんですよ? 五十住さんは辞めると思います」
「辞める!? 辞めるって、五十住さんが言ってたの?」
「深刻な顔で社長と話していたのを目撃した社員がいるんです」
「辞められると困るわ……」
デリカテッセン『オグラ』は支店が増えた。
叔父さん一人で店を回せるはずもなく、腕のいい料理人は絶対必要なのだ。
五十住さんがまだ出勤してないことに気づいた。
「そういえば、まだ出勤してないわ」
五十住さんはああみえて真面目で、遅刻したことがない。
キッチンを覗くと、白のコックコートに黒のロングエプロン姿の料理人たちが仕込み中で、動揺した様子もなく黙々と働いている。
その中に五十住さんはいない。
「夕愛さん。シフトを確認しました?」
「ごめんなさい。まだなの」
お見合いから一週間、休んでいたため、まだシフトを確認していなかった。
一週間遊んでいたわけではなく、大学で使っていた教科書を片付けたり、両親の墓参りへ行ったりと忙しくしていた。
母方の家にも顔を出すつもりで、電車に乗って一時間かけて行ったものの、中へ入れず帰ってきてしまった。
――苦手なのよね。
母の実家は高級料亭を経営している。
頻繁にやりとりのある親戚じゃないから、一人で行くのは勇気がいるし、なにを話せばいいかわからない。
「結婚が正式に決まったら挨拶に行けばいいわよね……」
シフトを見ようとした私の腕を笑茉ちゃんが引っ張った。
「夕愛さん! 王子様が来ましたよ!」
「ま、待って! 心の準備が……!」
裕福な名家が集まる都久山で、王子と呼ばれる存在は限られている。
――もしかして、玲我さん? だったらどうしよう! どんな顔をしてなにを話せばいい?
『お見合い、ご苦労様でした』
『元気にされていましたか?』
なんて言葉しか思い浮かばなかった。
他人行儀な上に仕事みたいでおかしい。
『会わない間、なにをしてました?』なんて軽く言えないし……
私が慌てていると、笑茉ちゃんが突然、腕をパッと放した。
「あ、間違えました。玲我さんじゃないみたいです。黒塗りの車にスーツ姿だったから、てっきりそうだと思ったんですけど……」
店に入って来たのは、玲我さんじゃなかった。
でも、王子と呼ばれても違和感がない人。
むしろ、玲我さんよりも王子らしい雰囲気を持っているかもしれない。
「鷹沢様、いらっしゃいませ」
お客様と顔を合わせるなり、反射的に口をついて出る『いらっしゃいませ』の言葉。
身に染み付いてしまっている。
「夕愛ちゃん、久しぶり。四年ぶりだね」
有近とは犬猿の仲である鷹沢家の一人息子、鷹沢海寿さん。
彼は堅苦しい挨拶をした私に、親しげに接して優しい目して微笑んだ。
――私が玲我さんとお見合いしたって、きっと知ってるわよね?
自分の家と不仲な家とお見合いしたと知ったら、面白くないはず。
でも、海寿さんは嫌な態度を少しも見せず、いつも通りだった。
「玲我と結婚するんだって? それは本当?」
海寿さんは玲我さんと私の結婚の噂を確かめにここへ来たらしい。
鷹沢家は今後、デリカテッセン『オグラ』を使わないと言われてしまうかもしれない。
緊張で、私の笑顔が強ばった。
小椋の家で暮らすのが辛いと思ったのは、両親を亡くして以来のことだった。
両親との思い出が詰まった家で暮らすのが辛かったのだ。
でも、その辛さとは違う。
今まで仲良くしていた光華の態度が冷たく、叔父夫婦にも喧嘩腰なのが気になっていた。
『家出する!』
本気なのかどうかもわからないけれど、叔父夫婦は忙しいのもあって、光華の言葉を軽く受け流していた。
叔父夫婦の一人娘の光華。
光華は私が結婚して、ここから出ていった後、自分が店を継ぎ、五十住さんと結婚するつもりだったようだ。
でも、五十住さんは断り、叔父さんは光華に店は無理だと言った。
それが原因で、私に対してよそよそしい態度になってしまった。
――私がいなかったら、光華の結婚相手は五十住さんで、店の跡取りとして期待されたのは娘の光華だったと思う。
叔父家族の雰囲気を悪くしているのは私――それが辛く申し訳ない。
「気にしなくていいと思いますよ」
「えっ!? 笑茉ちゃん。私、なにか口に出してた?」
「いえ、ため息が何回か」
「そ、そう……ため息……」
ホッと胸を撫で下ろした。
土曜日、笑茉ちゃんは朝からシフトに入っていて、私と一緒にオープニング作業をしていた。
メニューボードに本日のおすすめ『春キャベツを使ったロールキャベツトマト煮込み』と書く。
「光華さんがフラれるだろうなっていうのは、私たちにだってわかってましたよ」
「えっ!? 嘘!」
てっきり私は、いつも光華が口にしていた『イケメンが好き』という憧れのような感情だとばかりに思っていた。
そもそも、どうして私が知らないのに、店のスタッフが光華の気持ちを知っていたのかも謎だ。
「気づいてないのは夕愛さんだけです。五十住さんは夕愛さんをよく目で追ってましたし」
「私を見ていた? 五十住さんが?」
「ええ。そうです。熱い視線を注いでました」
「そんな……」
手に持っていたチョークがぽとんと床に落ちた。
本日のおすすめ『山吹色の春サラ』で止まり、『ダ』を書けなかった。
慌ててチョークを拾って『ダ』を書き足す。
「店をやりたいって光華さんが言ってるそうですね。でも、今までバイトより仕事をしていなかったのに、いきなりすぎます」
「そうよね……」
笑茉ちゃんのほうが仕事を覚えていて、光華より店の事情に詳しい。
だから、反対しているというより『店を継ぐと社長に言うには早すぎる』――そんな雰囲気だった。
「光華はね、両親を尊敬してるの。私も小さい頃、同じように思ったから、光華の気持ちがわかるわ。自分も同じ仕事について店を継ぎたいって気持ちが……」
「五十住さん目当てじゃなかって、スタッフの間では言われてますけど」
「それも店を継ぎたいって思ったきっかけのひとつだったかもしれないわね」
私がいなかったら、光華はもっと店の手伝いをしていたと思うし、叔父さんたちも頼っていたはず。
「経験もない社長に料理人たちはついてきませんよ。だから、社長が怒る気持ちもわかります。私はこの店が好きだから、絶対、潰れてほしくありません」
笑茉ちゃんの言っていることは正しい。
腕のいい料理人の叔父さんがいるから、料理人たちが集まる。
さらに五十住さんがオグラに来てからは、五十住さんの下で学びたいという料理人が入ってきた。
光華が社長になり、本店を取り仕切るなら――
「夕愛さんのように都久山の事情に精通すれば、社長も気持ちが変わると思います」
「そうね。デリカテッセン『オグラ』の売り上げは都久山のお客様に支えられているから……。都久山のお客様への対応ができるようになれば、叔父さんの気持ちも変わると思うわ」
「夕愛さんが有近家の王子様と結婚するって噂が流れてから、本店の売り上げが増えてますもんね」
「それは言わなくていいのよ……」
今まで配達注文だったお客様まで、私を見ようと店へ足を運ばれる方が増えた。
私を見にきたと口には出さないものの、視線が痛い。
常連さんに至っては『結婚なさるの? いつ見初められたのかしら?』と、質問責めだった。
そのたび、『玲我さんにお聞きしてみないとわかりません』と作り笑いを浮かべ、なんとかかわしている。
――はっきり答えられないわ。
四年前、付き合い始めた時だって『私のどこを好きになたんですか?』なんて、怖くて聞けなかった。
「夕愛さんがいなくなったら、寂しくなります」
笑茉ちゃんは肩を落として、しょんぼりしていた。
「笑茉ちゃん……」
学校以外は店の仕事が中心だった私にとって、友達と呼べるのは笑茉ちゃんくらいだったから、寂しくなると言われて嬉しかった。
「結婚しても顔は出してくださいね! はあ……。これから、どうなるか不安です」
「本店には五十住さんがいるから大丈夫よ」
都久山マダムたちのハートをつかんでいる五十住さん。
彼がいる限り、本店の売り上げは守られると思う。
「なに言ってるんですか。夕愛さんにフラれ、光華さんとの結婚を断ったんですよ? 五十住さんは辞めると思います」
「辞める!? 辞めるって、五十住さんが言ってたの?」
「深刻な顔で社長と話していたのを目撃した社員がいるんです」
「辞められると困るわ……」
デリカテッセン『オグラ』は支店が増えた。
叔父さん一人で店を回せるはずもなく、腕のいい料理人は絶対必要なのだ。
五十住さんがまだ出勤してないことに気づいた。
「そういえば、まだ出勤してないわ」
五十住さんはああみえて真面目で、遅刻したことがない。
キッチンを覗くと、白のコックコートに黒のロングエプロン姿の料理人たちが仕込み中で、動揺した様子もなく黙々と働いている。
その中に五十住さんはいない。
「夕愛さん。シフトを確認しました?」
「ごめんなさい。まだなの」
お見合いから一週間、休んでいたため、まだシフトを確認していなかった。
一週間遊んでいたわけではなく、大学で使っていた教科書を片付けたり、両親の墓参りへ行ったりと忙しくしていた。
母方の家にも顔を出すつもりで、電車に乗って一時間かけて行ったものの、中へ入れず帰ってきてしまった。
――苦手なのよね。
母の実家は高級料亭を経営している。
頻繁にやりとりのある親戚じゃないから、一人で行くのは勇気がいるし、なにを話せばいいかわからない。
「結婚が正式に決まったら挨拶に行けばいいわよね……」
シフトを見ようとした私の腕を笑茉ちゃんが引っ張った。
「夕愛さん! 王子様が来ましたよ!」
「ま、待って! 心の準備が……!」
裕福な名家が集まる都久山で、王子と呼ばれる存在は限られている。
――もしかして、玲我さん? だったらどうしよう! どんな顔をしてなにを話せばいい?
『お見合い、ご苦労様でした』
『元気にされていましたか?』
なんて言葉しか思い浮かばなかった。
他人行儀な上に仕事みたいでおかしい。
『会わない間、なにをしてました?』なんて軽く言えないし……
私が慌てていると、笑茉ちゃんが突然、腕をパッと放した。
「あ、間違えました。玲我さんじゃないみたいです。黒塗りの車にスーツ姿だったから、てっきりそうだと思ったんですけど……」
店に入って来たのは、玲我さんじゃなかった。
でも、王子と呼ばれても違和感がない人。
むしろ、玲我さんよりも王子らしい雰囲気を持っているかもしれない。
「鷹沢様、いらっしゃいませ」
お客様と顔を合わせるなり、反射的に口をついて出る『いらっしゃいませ』の言葉。
身に染み付いてしまっている。
「夕愛ちゃん、久しぶり。四年ぶりだね」
有近とは犬猿の仲である鷹沢家の一人息子、鷹沢海寿さん。
彼は堅苦しい挨拶をした私に、親しげに接して優しい目して微笑んだ。
――私が玲我さんとお見合いしたって、きっと知ってるわよね?
自分の家と不仲な家とお見合いしたと知ったら、面白くないはず。
でも、海寿さんは嫌な態度を少しも見せず、いつも通りだった。
「玲我と結婚するんだって? それは本当?」
海寿さんは玲我さんと私の結婚の噂を確かめにここへ来たらしい。
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緊張で、私の笑顔が強ばった。
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