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第3章
29 婚約者のお披露目①
都久山の人々は仲間意識が強い。
奥様や同じ年頃のお嬢様たちは仲が良く、ちょっとしたイベント事――例えば誕生会をするとなると、ほとんどの方が招待される。
不仲な鷹沢と有近であっても例外ではなく、出席するかどうかは別として、お互い招待だけはするのだ。
なぜそれを知っているかと言うと、たびたび店では注文を受けてきたから、裏事情は嫌でも耳に入る。
――そして、今日は私が話のネタにされるはず。
わかっているけど、これを乗り切らないことには、都久山の輪に馴染めないことも重々承知している。
そして、都久山に関わってきた私としては、今日開かれる集まりは、目新しい集まりではなかった。
いつもの都久山である。
「ねえ、夕愛さん。アップルパイを作ったのですって?」
「はい。焼きたてのお菓子を出すと喜ばれるかと思いまして」
「有名店のものじゃなくても平気かしら?」
「皆さんが慣れ親しんだ『オグラ』の味ですから」
私の言葉に和花子さんは『あぁ、そうね』とうなずいた。
「確かに都久山に生まれ育った人間で、『オグラ』さんのところの料理を食べたことがない人はいないわ」
安心したのか、和花子さんは機嫌良くお客様を出迎えに出た。
和花子さんと食事をして以来、とても親しくなった気がする。
あの後、有近家に配達へ行くと、なぜかいつも和花子さんが待っていて、お茶をごちそうになったり、金曜日の準備について相談されたりした。
玲我さんは『話し相手ができて嬉しいんじゃないかな』と言っていたけど、準備をする和花子さんはとても生き生きしていた。
「皆さん。こちら夕愛さん。デリカテッセン『オグラ』をご存じでしょうから、紹介しなくてもよろしいかと思ったのですけど、有近の嫁になりますからね!」
有近の嫁を強調し、他の奥様たちに有無を言わせないオーラを出した。
他の奥様たちも私を幼い頃から知っていて、嫌な雰囲気にはならなかった。
けれど、一人だけ来ていない奥様がいる。
――鷹沢の奥様がいない。
「今回も鷹沢の奥様もお誘いしたのよ。でも……あの方はちょっとね……」
私の心を見透かしたかのように、和花子さんは言葉を濁しながら言った。
「なにかあるんですか?」
「心を病んでいらっしゃるの。おっとりした方だから、あまりわからないのだけど、調子の悪い時は外に出られないのよ」
「そうですか……」
それは知らなかった。
色々な噂が流れる都久山だけど、醜聞に関しては敏感だ。
都久山の評判が悪くなると思う事に関しては、恐ろしいほど結束し、全員の口が固くなる。
鷹沢の内情を教えてもらえたということは、有近家の嫁として認められた証拠だけど、なんだか心から喜べなかった。
オグラでの決まりで、鷹沢には専属の担当がいて、今まで私が鷹沢に関わることはなく、人づてにしか内情を知らない。
海寿さんの笑顔の裏にそんな事情があったなんて、全然知らなかった。
――鷹沢の奥様が心を病んでいるって、どうして?
いくつもの『どうして』が重なっていく。
私の結婚が許されたことや鷹沢の奥様の心の病気。
どれも真相は語られない。
でも、それを聞いてはいけないような気がしていた。
私が都久山の『人様の家の事情に深く踏み込まない』暗黙のルールを知っているという前提で、和花子さんは鷹沢家の内情を教えてくれたのだ。
鷹沢の奥様に私が嫌われているわけではないと誤解させないためで、あくまで情報の一つ。
それを踏まえて、皆さんと会話しなさいという意味だった。
都久山のルールだと知っているけど、なぜか胸がざわつく。
――気になるのは鷹沢のことだから?
そんなことを考えながら、お客様を迎えていると――
「あらっ! 妃莉さん……!?」
玄関から続々と入ってくるお客様の中から、和花子さんが妃莉さんを見つけた。
和花子さんが驚いているところを見ると、妃莉さんを招待していなかったようで、動揺して自分の着物の袖をきゅっと握った。
「おば様。私を招待するのを忘れてません?」
「そ、そうね。ごめんなさい……。うっかりしていたわ」
周囲の人たちは妃莉さんがやってきてから、気まずそうにしていた。
都久山に生まれ育った妃莉さんのことを知らない人はいない。
彼女が玲我さんに幼い頃から好意を持っていると、全員知っている。
和花子さんは妃莉さんの気持ちを考えて招待しなかったのだろうけど、当人は堂々としたものだった。
案内する前に慣れた様子で妃莉さんはサンルームへ入っていく。
「やだ。お茶の準備もまだなの? 気が利かないわね」
じろりと私をにらむ。
全員の前で私に恥をかかせて、玲我さんの妻にはふさわしくないと言うつもりらしい。
――あっさり引き下がる人じゃないって、前々からわかっていたけど、みんなが集まったところで嫌がらせをするなんて。
「夕愛さん。早く持ってきて」
私を使用人扱いして、絶対対等に扱わない。
「焼き立てのアップルパイと一緒に、紅茶をお出しする予定ですので、もうしばらくお待ちください」
「ふーん。家政婦に仕事を押しつけてるのね。結婚してないくせに、もう有近の奥様気取り?」
妃莉さんの態度の悪さに周囲の人たちが顔をしかめた。
「妃莉さん、やめてちょうだい……。雰囲気が悪くなるわ」
和花子さんはどうしていいかわからず、おろおろしていた。
自分が主催した会で、こんな悪い雰囲気になったのは初めてのようだ。
ちょうどそこへ家政婦さんたちが数人入ってきた。
「おまたせしました。このアップルパイは夕愛さんの手作りですよ!」
お茶とお菓子が並べられ、あっという間に座席にセッティングされる。
招待されたお客様たちはホッとした様子で席に着いた。
「アップルパイが美味しいわ」
「レシピは『オグラ』さんのもの? 同じ味ね」
「ええ。そうです。店のレシピで焼きました」
アップルパイは好評で、和気あいあいとした空気になってお菓子作りの話題になった。
都久山にはシェフやパティシエを呼んで、料理教室が開かれることが多く、お菓子作りが趣味という方も少なくない。
「私はね、以前から、夕愛さんが都久山に嫁いできてくれないかと思っていたんですよ」
そう言ったのは、デリカテッセン『オグラ』の常連である八重木様の奥様だった。
「以前、オードブルに薔薇の花のサーモンを入れてくださったでしょ。ちょっとした気遣いが嬉しいのよ」
「喜んでいただけて嬉しいです」
「今度、宅に薔薇の花を見にいらしてちょうだい」
「はい。八重木の奥様の薔薇の花はとても見事だとうかがっております」
八重木の奥様は昔から都久山に住んでいて、政治家や学者、音楽家など、血縁者は有名な方たちばかりだ。
「こちらの焼き菓子は米粉ですから、安心してお召し上がりください」
「まぁ。夕愛さん。アレルギーがあるって覚えていてくれたのね」
「はい。それから、豆乳も用意させていただきました。ソイラテもできます」
「そうなの? じゃあ、そうしていただこうかしら」
デリカテッセン『オグラ』のお客様である都久山の人々の注文内容はすべて覚えている。
アレルギーや嫌いなもの、こだわりなどを把握しているため、準備するのは難しいことではなかった。
「和花子さん、素敵な気配りをありがとう。夕愛さんを奥様に迎えるなんて、さすが有近家ですこと」
「いいえ。そんな……」
「最近は年で、人の集まるところが苦手だったけれど、有近の家はやっぱり懐かしいわ」
「嫁いできて驚いたのは、ハイカラなお食事やお茶が出てきたことですよ」
「そうそう。物のない時代でも、有近さんと鷹沢さんはね、私たちに分けてくださって」
昔話に花が咲き、とても楽しそうだった。
そんな中で、妃莉さんだけがイライラしていて、若い方たちは気まずそうにしている。
――困ったわ。せっかく楽しんでいただこうと思ったのに……
そう思っていると、明るい声が響いた、
「デリカテッセン『オグラ』からお届けものでーす」
「光華!?」
いつ戻ったのか、光華はフランス旅行をしっかり楽しんだのか、ツヤツヤした顔をして登場した。
「光華さん。遅いわよ」
光華が来るとわかっていたのか、妃莉さんは席から立ち上がり、嬉しそうに出迎える。
一瞬、私のほうを見て、にやりと笑ったのを見逃さなかった。
奥様や同じ年頃のお嬢様たちは仲が良く、ちょっとしたイベント事――例えば誕生会をするとなると、ほとんどの方が招待される。
不仲な鷹沢と有近であっても例外ではなく、出席するかどうかは別として、お互い招待だけはするのだ。
なぜそれを知っているかと言うと、たびたび店では注文を受けてきたから、裏事情は嫌でも耳に入る。
――そして、今日は私が話のネタにされるはず。
わかっているけど、これを乗り切らないことには、都久山の輪に馴染めないことも重々承知している。
そして、都久山に関わってきた私としては、今日開かれる集まりは、目新しい集まりではなかった。
いつもの都久山である。
「ねえ、夕愛さん。アップルパイを作ったのですって?」
「はい。焼きたてのお菓子を出すと喜ばれるかと思いまして」
「有名店のものじゃなくても平気かしら?」
「皆さんが慣れ親しんだ『オグラ』の味ですから」
私の言葉に和花子さんは『あぁ、そうね』とうなずいた。
「確かに都久山に生まれ育った人間で、『オグラ』さんのところの料理を食べたことがない人はいないわ」
安心したのか、和花子さんは機嫌良くお客様を出迎えに出た。
和花子さんと食事をして以来、とても親しくなった気がする。
あの後、有近家に配達へ行くと、なぜかいつも和花子さんが待っていて、お茶をごちそうになったり、金曜日の準備について相談されたりした。
玲我さんは『話し相手ができて嬉しいんじゃないかな』と言っていたけど、準備をする和花子さんはとても生き生きしていた。
「皆さん。こちら夕愛さん。デリカテッセン『オグラ』をご存じでしょうから、紹介しなくてもよろしいかと思ったのですけど、有近の嫁になりますからね!」
有近の嫁を強調し、他の奥様たちに有無を言わせないオーラを出した。
他の奥様たちも私を幼い頃から知っていて、嫌な雰囲気にはならなかった。
けれど、一人だけ来ていない奥様がいる。
――鷹沢の奥様がいない。
「今回も鷹沢の奥様もお誘いしたのよ。でも……あの方はちょっとね……」
私の心を見透かしたかのように、和花子さんは言葉を濁しながら言った。
「なにかあるんですか?」
「心を病んでいらっしゃるの。おっとりした方だから、あまりわからないのだけど、調子の悪い時は外に出られないのよ」
「そうですか……」
それは知らなかった。
色々な噂が流れる都久山だけど、醜聞に関しては敏感だ。
都久山の評判が悪くなると思う事に関しては、恐ろしいほど結束し、全員の口が固くなる。
鷹沢の内情を教えてもらえたということは、有近家の嫁として認められた証拠だけど、なんだか心から喜べなかった。
オグラでの決まりで、鷹沢には専属の担当がいて、今まで私が鷹沢に関わることはなく、人づてにしか内情を知らない。
海寿さんの笑顔の裏にそんな事情があったなんて、全然知らなかった。
――鷹沢の奥様が心を病んでいるって、どうして?
いくつもの『どうして』が重なっていく。
私の結婚が許されたことや鷹沢の奥様の心の病気。
どれも真相は語られない。
でも、それを聞いてはいけないような気がしていた。
私が都久山の『人様の家の事情に深く踏み込まない』暗黙のルールを知っているという前提で、和花子さんは鷹沢家の内情を教えてくれたのだ。
鷹沢の奥様に私が嫌われているわけではないと誤解させないためで、あくまで情報の一つ。
それを踏まえて、皆さんと会話しなさいという意味だった。
都久山のルールだと知っているけど、なぜか胸がざわつく。
――気になるのは鷹沢のことだから?
そんなことを考えながら、お客様を迎えていると――
「あらっ! 妃莉さん……!?」
玄関から続々と入ってくるお客様の中から、和花子さんが妃莉さんを見つけた。
和花子さんが驚いているところを見ると、妃莉さんを招待していなかったようで、動揺して自分の着物の袖をきゅっと握った。
「おば様。私を招待するのを忘れてません?」
「そ、そうね。ごめんなさい……。うっかりしていたわ」
周囲の人たちは妃莉さんがやってきてから、気まずそうにしていた。
都久山に生まれ育った妃莉さんのことを知らない人はいない。
彼女が玲我さんに幼い頃から好意を持っていると、全員知っている。
和花子さんは妃莉さんの気持ちを考えて招待しなかったのだろうけど、当人は堂々としたものだった。
案内する前に慣れた様子で妃莉さんはサンルームへ入っていく。
「やだ。お茶の準備もまだなの? 気が利かないわね」
じろりと私をにらむ。
全員の前で私に恥をかかせて、玲我さんの妻にはふさわしくないと言うつもりらしい。
――あっさり引き下がる人じゃないって、前々からわかっていたけど、みんなが集まったところで嫌がらせをするなんて。
「夕愛さん。早く持ってきて」
私を使用人扱いして、絶対対等に扱わない。
「焼き立てのアップルパイと一緒に、紅茶をお出しする予定ですので、もうしばらくお待ちください」
「ふーん。家政婦に仕事を押しつけてるのね。結婚してないくせに、もう有近の奥様気取り?」
妃莉さんの態度の悪さに周囲の人たちが顔をしかめた。
「妃莉さん、やめてちょうだい……。雰囲気が悪くなるわ」
和花子さんはどうしていいかわからず、おろおろしていた。
自分が主催した会で、こんな悪い雰囲気になったのは初めてのようだ。
ちょうどそこへ家政婦さんたちが数人入ってきた。
「おまたせしました。このアップルパイは夕愛さんの手作りですよ!」
お茶とお菓子が並べられ、あっという間に座席にセッティングされる。
招待されたお客様たちはホッとした様子で席に着いた。
「アップルパイが美味しいわ」
「レシピは『オグラ』さんのもの? 同じ味ね」
「ええ。そうです。店のレシピで焼きました」
アップルパイは好評で、和気あいあいとした空気になってお菓子作りの話題になった。
都久山にはシェフやパティシエを呼んで、料理教室が開かれることが多く、お菓子作りが趣味という方も少なくない。
「私はね、以前から、夕愛さんが都久山に嫁いできてくれないかと思っていたんですよ」
そう言ったのは、デリカテッセン『オグラ』の常連である八重木様の奥様だった。
「以前、オードブルに薔薇の花のサーモンを入れてくださったでしょ。ちょっとした気遣いが嬉しいのよ」
「喜んでいただけて嬉しいです」
「今度、宅に薔薇の花を見にいらしてちょうだい」
「はい。八重木の奥様の薔薇の花はとても見事だとうかがっております」
八重木の奥様は昔から都久山に住んでいて、政治家や学者、音楽家など、血縁者は有名な方たちばかりだ。
「こちらの焼き菓子は米粉ですから、安心してお召し上がりください」
「まぁ。夕愛さん。アレルギーがあるって覚えていてくれたのね」
「はい。それから、豆乳も用意させていただきました。ソイラテもできます」
「そうなの? じゃあ、そうしていただこうかしら」
デリカテッセン『オグラ』のお客様である都久山の人々の注文内容はすべて覚えている。
アレルギーや嫌いなもの、こだわりなどを把握しているため、準備するのは難しいことではなかった。
「和花子さん、素敵な気配りをありがとう。夕愛さんを奥様に迎えるなんて、さすが有近家ですこと」
「いいえ。そんな……」
「最近は年で、人の集まるところが苦手だったけれど、有近の家はやっぱり懐かしいわ」
「嫁いできて驚いたのは、ハイカラなお食事やお茶が出てきたことですよ」
「そうそう。物のない時代でも、有近さんと鷹沢さんはね、私たちに分けてくださって」
昔話に花が咲き、とても楽しそうだった。
そんな中で、妃莉さんだけがイライラしていて、若い方たちは気まずそうにしている。
――困ったわ。せっかく楽しんでいただこうと思ったのに……
そう思っていると、明るい声が響いた、
「デリカテッセン『オグラ』からお届けものでーす」
「光華!?」
いつ戻ったのか、光華はフランス旅行をしっかり楽しんだのか、ツヤツヤした顔をして登場した。
「光華さん。遅いわよ」
光華が来るとわかっていたのか、妃莉さんは席から立ち上がり、嬉しそうに出迎える。
一瞬、私のほうを見て、にやりと笑ったのを見逃さなかった。
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*こちらは元の小説の途中に、エピソードを追加したものです。
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