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番外編 (麗奈のその後)
3 嫁と姑
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「麗奈さん!」
次の週はお義母様がやってきた。
来ることは予想出来ていたから、朝から出掛けて、帰ったのは夕方。
それなのにしつこく、わざわざ夕方にまたやってきて、嫌になっちゃう。
ドアを開けたなり、閻魔様みたいな顔をしたお義母様がいるとか、ホラーでしかないわよ。
「どちらにいってらしたの?」
「ちょっとお買い物に行ってきました」
夕飯の材料を買ったのは本当だから、レジ袋を見せた。
「まあ、感心だこと。それにしては随分と時間がかかったのね」
「こういう生活にまだ慣れてなくて」
目を潤ませ、お義母様に言うと、お義母様の背後にいた聡さんは呆れた顔でこっちを見ていた。
なによ!なにか文句でもあるの?
ちなみに今日は高級肉ですき焼きをするから、材料を買うだけ。
そんな時間がかかるわけがない。
午前中はエステ、ランチをしてネイルをしてきたのを聡さんは知っている。
「明日は空いているわね?車を寄越しますから、絶対に露原家にいらっしゃい!こないなら、聡と別れてもらいますからね!」
はあ?
なんの権利があって、そんなこと言われなくちゃいけないのよっ!
お義母様は蛇みたいな目で私を睨んでいた。
あーあ。
これは行かないと許してくれそうにはないみたい。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
日曜日、ひらひらしたピンクのスカートに白のブラウス、ピンクのジャケット、パールのネックレスにイヤリング、白のバッグと靴、髪をカールし、メイクをばっちりして、露原家に乗り込んだ。
久しぶりにこんな服装をしたわ。
いわゆる戦闘服。
案の定、お義母様にはウケが悪かった。
「麗奈さん!なんなのかしら。やる気はあるの!?そんな服でなにができるのかしら」
ハタキと箒、白の割烹着、白の頭巾をして、お義母様は言ったけど、こっちはなにもするつもりがないから、わざわざこんな服装なのよ。
察しなさいよ。
「お義母様。私の服でよければ、麗奈さんにお貸ししましょうか?」
余計なこと言うんじゃないわよ。
だれが、そんな婆臭い服を着るもんですか!
しかも、今時、箒とハタキ?
いつの時代よ。
「仕方ないわね。まずは和室の作法から教えてあげましょうね」
「わあ、ありがとうございまーす」
「語尾は伸ばさないで結構よ」
来客用の和室にお茶を持っていくように言われた。
お客様役は長男の嫁の睦子さん。
なんなの、暇なの?
漆塗りのお盆に急須と湯呑みを置き、障子戸を開けた。
睦子さんが鋭く睨み付ける。
「やりなおし。両手でね」
こ、このっ!!!
私の本気を見せてやるわ―――と思ったのに二人からは厳しい声しか飛んでこない。
「敷居を踏まない!」
「畳のへりをふまない!」
二人ははぁっとため息をついた。
「お義母様、これではお客様の元にいつまでたっても辿りつけませんね」
「本当ね。聡さんも大変な嫁を選んでくれたわ」
二人が見ていない間に急須に大量のお茶の葉をいれてやった。
「お茶をどうぞ」
お茶出しだけは会社でしてるから、完璧なのよ?
二人はお茶を飲んだ。
もちろん。
ものすごーく渋かったみたいで、二人は涙目になってむせていた。
吹き出さなかっただけ、偉いわよね。
「ごめんなさーい。ちょっと葉っぱが多かったですかー?何もできないから、大目に見て下さいね?」
わかっていたけどね?
二人が水を飲みに行っている間に私はお茶をいれなおし、美味しいお茶と二人のお茶菓子を頂いたのだった。
次の週はお義母様がやってきた。
来ることは予想出来ていたから、朝から出掛けて、帰ったのは夕方。
それなのにしつこく、わざわざ夕方にまたやってきて、嫌になっちゃう。
ドアを開けたなり、閻魔様みたいな顔をしたお義母様がいるとか、ホラーでしかないわよ。
「どちらにいってらしたの?」
「ちょっとお買い物に行ってきました」
夕飯の材料を買ったのは本当だから、レジ袋を見せた。
「まあ、感心だこと。それにしては随分と時間がかかったのね」
「こういう生活にまだ慣れてなくて」
目を潤ませ、お義母様に言うと、お義母様の背後にいた聡さんは呆れた顔でこっちを見ていた。
なによ!なにか文句でもあるの?
ちなみに今日は高級肉ですき焼きをするから、材料を買うだけ。
そんな時間がかかるわけがない。
午前中はエステ、ランチをしてネイルをしてきたのを聡さんは知っている。
「明日は空いているわね?車を寄越しますから、絶対に露原家にいらっしゃい!こないなら、聡と別れてもらいますからね!」
はあ?
なんの権利があって、そんなこと言われなくちゃいけないのよっ!
お義母様は蛇みたいな目で私を睨んでいた。
あーあ。
これは行かないと許してくれそうにはないみたい。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
日曜日、ひらひらしたピンクのスカートに白のブラウス、ピンクのジャケット、パールのネックレスにイヤリング、白のバッグと靴、髪をカールし、メイクをばっちりして、露原家に乗り込んだ。
久しぶりにこんな服装をしたわ。
いわゆる戦闘服。
案の定、お義母様にはウケが悪かった。
「麗奈さん!なんなのかしら。やる気はあるの!?そんな服でなにができるのかしら」
ハタキと箒、白の割烹着、白の頭巾をして、お義母様は言ったけど、こっちはなにもするつもりがないから、わざわざこんな服装なのよ。
察しなさいよ。
「お義母様。私の服でよければ、麗奈さんにお貸ししましょうか?」
余計なこと言うんじゃないわよ。
だれが、そんな婆臭い服を着るもんですか!
しかも、今時、箒とハタキ?
いつの時代よ。
「仕方ないわね。まずは和室の作法から教えてあげましょうね」
「わあ、ありがとうございまーす」
「語尾は伸ばさないで結構よ」
来客用の和室にお茶を持っていくように言われた。
お客様役は長男の嫁の睦子さん。
なんなの、暇なの?
漆塗りのお盆に急須と湯呑みを置き、障子戸を開けた。
睦子さんが鋭く睨み付ける。
「やりなおし。両手でね」
こ、このっ!!!
私の本気を見せてやるわ―――と思ったのに二人からは厳しい声しか飛んでこない。
「敷居を踏まない!」
「畳のへりをふまない!」
二人ははぁっとため息をついた。
「お義母様、これではお客様の元にいつまでたっても辿りつけませんね」
「本当ね。聡さんも大変な嫁を選んでくれたわ」
二人が見ていない間に急須に大量のお茶の葉をいれてやった。
「お茶をどうぞ」
お茶出しだけは会社でしてるから、完璧なのよ?
二人はお茶を飲んだ。
もちろん。
ものすごーく渋かったみたいで、二人は涙目になってむせていた。
吹き出さなかっただけ、偉いわよね。
「ごめんなさーい。ちょっと葉っぱが多かったですかー?何もできないから、大目に見て下さいね?」
わかっていたけどね?
二人が水を飲みに行っている間に私はお茶をいれなおし、美味しいお茶と二人のお茶菓子を頂いたのだった。
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