12 / 14
十二 触れられて
しおりを挟む「あの、そろそろ起きようかと……」
『まだ早い』
布団の中。
起きようとしたけれど、あかつき様が私を拘束している腕を離してくれない。
神様も眠い……なんて、いうことはなく。
「あ、あかつき様?」
さわさわと、私の体を撫でまわし始めた。
大きな手がゆっくりと耳から首筋、鎖骨から胸へと動いた。
声を我慢しないと……。アキさんに聞こえてしまう。
あかつき様は私の胸の突起に触った。
「ん!」
なぜ……、ただの飾りを触るのだろう。
キュッ! と親指と人差し指で摘ままれた。
「あっ?」
全身に刺激が走り、顔をのけ反った。
『どうした? 翡翠』
「い、いえ。なんでもありません」
あかつき様は、私の胸の突起を触るのをやめてくれない。
だんだんおかしな感じになってきた。
「くっ……。ふう、ん……!」
くりくりと指の腹で転がしている。
「あかつき、さ、ま……」
お腹の奥がムズムズするような感覚……。
『顔が赤いし、涙目だ……』
「わ、私、おかしくて……」
何だろう。息も荒くなってくる。
『……おかしくない。それは、【気持ちがいい】というものだ』
「あかつき様……」
これが【気持ちがいい】というもの……。
『お互いの【気】の交換には、必要なことだ』
あかつき様は私に教えてくれた。何も知らない私を馬鹿にしないでくれた。
「そうなのですね……あん!」
あかつき様が、私の胸の突起を舌で舐めた!?
思わず声が出てしまったので、手で隠した。
『声を出しても、かまわない。誰も聞いていない』
「でも……」
あかつき様は私の顔を見て微笑んだ。
『声を聞かせろ』
「あ、ああん……!」
長い舌でペロペロと、アメを舐めるみたいに突起を舐め始めた。
声なんて我慢できない。
「あ……ああっ」
のしかかるあかつき様の重みが、お側にいられる実感となって嬉しい。
『細い腰だ……』
スリ……と手のひらでお腹と腰を撫でられると、ぞくぞくと刺激が走った。
これが気持ちいい……というもの。
あかつき様の手は大きく、撫でられるたび気持ちが良くてどうにかなりそうだ。
「ふぁ……、あかつき様ぁ……」
気持ちが良すぎて涙が流れた。
『そのような顔をされると、歯止めが無くなりそうだ……』
カリッ!
「あっ、ああ――!」
突起を噛まれて、何かが体中に突き抜けた。
そのあと、クタリ……と体の力が抜けた。
はぁはぁ……。
息が荒く、体に力が入らない。
『すまぬ。無理をさせる気はなかったが……』
あかつき様はどこからか新しい布を取り出して、私の顔の汗を拭いてくれた。
「いえ……。ありがとう御座います……」
『アキを呼ぶ』
アキさんを呼ぶ?
『もう毒は抜けたな。昨日、体を布で清めただけだから風呂に入りたいだろう』
「はい……」
でもこんな早朝にアキさんは、起きているのだろうか。
「お呼びでしょうか」
数秒でアキさんは呼ばれてやってきた。
『翡翠を風呂に』
「かしこまりました。失礼します」
障子越しに交わされた会話。よけいなことは話さず用件のみ。
それでもアキさんがあかつき様……、天狼人様を慕っているのが感じられた。
障子が開けられて、アキさんが部屋へ入って来た。
はだけた着物を慌てて戻した。
アキさんは顔色を変えず、こちらへ近づいてきた。
『任せる』
「はい」
『翡翠。すまないがこれから用事があって、出かけなければならん』
両肩を掴まれてドキッとする。
『何かあったなら、アキに言え』
あかつき様はアキさんを信用しているのだと思った。
「……わかりました」
寂しいけれど、すぐにあかつき様は戻って来るだろう。我慢しなくてはならない。
「翡翠様、こちらへ」
立つときにあかつき様は私をジッと見ていた。
『すぐに戻る』
私はアキさんに案内されてお風呂をいただくことになった。
1
あなたにおすすめの小説
ヒールオメガは敵騎士の腕の中~平民上がりの癒し手は、王の器に密かに溺愛される
七角@書籍化進行中!
BL
君とどうにかなるつもりはない。わたしはソコロフ家の、君はアナトリエ家の近衛騎士なのだから。
ここは二大貴族が百年にわたり王位争いを繰り広げる国。
平民のオメガにして近衛騎士に登用されたスフェンは、敬愛するアルファの公子レクスに忠誠を誓っている。
しかしレクスから賜った密令により、敵方の騎士でアルファのエリセイと行動を共にする破目になってしまう。
エリセイは腹が立つほど呑気でのらくら。だが密令を果たすため仕方なく一緒に過ごすうち、彼への印象が変わっていく。
さらに、蔑まれるオメガが実は、この百年の戦いに終止符を打てる存在だと判明するも――やはり、剣を向け合う運命だった。
特別な「ヒールオメガ」が鍵を握る、ロミジュリオメガバース。
鳥籠の中の幸福
岩永みやび
BL
フィリは森の中で静かに暮らしていた。
戦争の最中である。外は危険で死がたくさん溢れている。十八歳になるフィリにそう教えてくれたのは、戦争孤児であったフィリを拾ってここまで育ててくれたジェイクであった。
騎士として戦場に赴くジェイクは、いつ死んでもおかしくはない。
平和とは程遠い世の中において、フィリの暮らす森だけは平穏だった。贅沢はできないが、フィリは日々の暮らしに満足していた。のんびり過ごして、たまに訪れるジェイクとの時間を楽しむ。
しかしそんなある日、ジェイクがフィリの前に両膝をついた。
「私は、この命をもってさえ償いきれないほどの罪を犯してしまった」
ジェイクによるこの告白を機に、フィリの人生は一変する。
※全体的に暗い感じのお話です。無理と思ったら引き返してください。明るいハッピーエンドにはなりません。攻めの受けに対する愛がかなり歪んでいます。
年の差。攻め40歳×受け18歳。
不定期更新
転生悪役弟、元恋人の冷然騎士に激重執着されています
柚吉猫
BL
生前の記憶は彼にとって悪夢のようだった。
酷い別れ方を引きずったまま転生した先は悪役令嬢がヒロインの乙女ゲームの世界だった。
性悪聖ヒロインの弟に生まれ変わって、過去の呪縛から逃れようと必死に生きてきた。
そんな彼の前に現れた竜王の化身である騎士団長。
離れたいのに、皆に愛されている騎士様は離してくれない。
姿形が違っても、魂でお互いは繋がっている。
冷然竜王騎士団長×過去の呪縛を背負う悪役弟
今度こそ、本当の恋をしよう。
好きなだけじゃどうにもならないこともある。(譲れないのだからどうにかする)
かんだ
BL
魔法使いが存在する世界。
皇太子の攻めと学生時代から付き合っていた受けは、皇帝からの許しも得て攻めと結婚した。だが、魔法使いとしても次期皇帝としても天才的な攻めに、後継を望む周囲は多い。
好きなだけではどうにもならないと理解している受けは、攻めに後継を作ることを進言するしかなく…。
皇帝に追放された騎士団長の試される忠義
大田ネクロマンサー
BL
若干24歳の若き皇帝が統治するベリニア帝国。『金獅子の双腕』の称号で騎士団長兼、宰相を務める皇帝の側近、レシオン・ド・ミゼル(レジー/ミゼル卿)が突如として国外追放を言い渡される。
帝国中に慕われていた金獅子の双腕に下された理不尽な断罪に、国民は様々な憶測を立てる。ーー金獅子の双腕の叔父に婚約破棄された皇紀リベリオが虎視眈々と復讐の機会を狙っていたのではないか?
国民の憶測に無言で帝国を去るレシオン・ド・ミゼル。船で知り合った少年ミオに懐かれ、なんとか不毛の大地で生きていくレジーだったが……彼には誰にも知られたくない秘密があった。
【完結済み】騎士団長は親友に生き写しの隣国の魔術師を溺愛する
兔世夜美(トヨヤミ)
BL
アイゼンベルク帝国の騎士団長ジュリアスは留学してきた隣国ゼレスティア公国の数十年ぶりのビショップ候補、シタンの後見となる。その理由はシタンが十年前に失った親友であり片恋の相手、ラシードにうり二つだから。だが出会ったシタンのラシードとは違う表情や振る舞いに心が惹かれていき…。過去の恋と現在目の前にいる存在。その両方の間で惑うジュリアスの心の行方は。※最終話まで毎日更新。※大柄な体躯の30代黒髪碧眼の騎士団長×細身の20代長髪魔術師のカップリングです。※完結済みの「テンペストの魔女」と若干繋がっていますがそちらを知らなくても読めます。
【完結】異世界はなんでも美味しい!
鏑木 うりこ
BL
作者疲れてるのよシリーズ
異世界転生したリクトさんがなにやら色々な物をŧ‹”ŧ‹”ŧ‹”ŧ‹”(๑´ㅂ`๑)ŧ‹”ŧ‹”ŧ‹”ŧ‹”うめー!する話。
頭は良くない。
完結しました!ありがとうございますーーーーー!
【完結】スパダリを目指していたらスパダリに食われた話
紫蘇
BL
給湯室で女の子が話していた。
理想の彼氏はスパダリよ!
スパダリ、というやつになったらモテるらしいと分かった俺、安田陽向(ヒナタ)は、スパダリになるべく会社でも有名なスパダリ…長船政景(マサカゲ)課長に弟子入りするのであった。
受:安田陽向
天性の人たらしで、誰からも好かれる人間。
社会人になってからは友人と遊ぶことも減り、独り身の寂しさを噛み締めている。
社内システム開発課という変人どもの集まりの中で唯一まともに一般人と会話できる貴重な存在。
ただ、孤独を脱したいからスパダリになろうという思考はやはり変人のそれである。
攻:長船政景
35歳、大人の雰囲気を漂わせる男前。
いわゆるスパダリ、中身は拗らせ変態。
妹の美咲がモデルをしており、交友関係にキラキラしたものが垣間見える。
サブキャラ
長船美咲:27歳、長船政景の年の離れた妹。
抜群のスタイルを生かし、ランウェイで長らく活躍しているモデル。
兄の恋を応援するつもりがまさかこんなことになるとは。
高田寿也:28歳、美咲の彼氏。
そろそろ美咲と結婚したいなと思っているが、義理の兄がコレになるのかと思うと悩ましい。
義理の兄の恋愛事情に巻き込まれ、事件にだけはならないでくれと祈る日々が始まる…。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる