死配人ー勒死の狂ーCRIMSON CHAIN of DEATHー

不幸中の幸い

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Last_Chain

終焉連鎖 ― From End to Beginning

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Scene1:「裂かれた追跡者」
2026年1月23日(土) 午後2時24分。
南秋大学 女子寮・神谷千咲の部屋
 
宇田川梓の意識が微かに浮上してくる。
まず感じたのは、全身を締めつけるような激しい圧迫感だった。
両手は天井に這う配管パイプへ、足は背後のテーブル脚に繋がれ、
大の字のように強力な拘束バンドで固定されている。
足が床につかない絶妙な高さでスツールに座らされ、
首には赤い紐が食い込んでいる。
もしスツールが倒れれば、首が即座に締まる構造だと一目で理解できた。
 
視界はぼやけ、天井の蛍光灯が滲み、
赤い録画ランプがチカチカと揺れている。
喉は焼けつくように乾き、口の中に鉄の味。
麻酔の後遺症か、指先は痺れ、身体の芯が微かに震えていた。
 
どこからかケラケラケラケラと乾いた笑い声が響いてくる。
 
「目が覚めた?梓」
 
声はすぐ近く。
千咲が椅子に腰掛け、こちらをじっと見ていた。
さっきまでの柔らかい表情は消え、
冷たい無表情と奇妙な好奇心だけが残っている。
 
梓は身をよじろうとしたが、拘束バンドは全く緩まず、
手首と足首の皮膚が裂けるような痛みを生む。
 
(夢じゃない...今度は、私が千咲のオモチャにされて壊されるんだ.........)
 
「——どうして、こんなことを……っ」
 
かすれた声で問う梓。
 
千咲はゆっくりと首を傾け、部屋の天井を見上げた。
 
「理由なんて……あるようで、無いんだよ。たぶん」
 
淡々と独白が始まる。
 
「私は子どもの頃からね、ずっと“面白いもの”を探してた。
 共感とか、普通の人が言う“悲しい”とか、“嬉しい”とか、
 あんまりよく分からないんだ。
 たとえば、家族が死んだ時も。
 お姉ちゃんが首を吊ったときも、
 お父さんが轢かれてバラバラになったときも、
 ただ“工作物”を観察するみたいな気持ちでしかなかった
 お姉ちゃんの首吊った身体でブランコしたら首が伸びちゃって
 詰まんなかったなぁ」
 
(こいつ、真正のサイコパス。
 いや、悪意が人の皮を纏っただけのバケモノだ)
 
梓は目の前にいる神谷千咲というバケモノに畏怖した。
 
千咲は続ける。
「南秋大学に来たのもさ、“紅紐事件”があったこと
……ここなら自分の欲求が満たせるかもって思っただけ。
また紅紐事件に翻弄されていくんだろうなぁって。
都市伝説なんか興味ないよ、ほんとはね。
誰が死んでも、私には全部“他人事”。
いらないと思ったから壊した。それだけ。」
 
「Message_REVERBのおかげでさ、
 誰か親切なヒトが死んだ後の状況まで全部送ってくれる。
 死体も現場も、細部まで見えるから、何度も絶頂しちゃった。
 作品づくりは本当に快感だったよ」
 
「私が“次の対象”に送ったのはMessage from Unknown。意味なんてない。
 あんたたちが勝手に想像して怯えてくれる姿が見たかっただけ。
 野瀬?アイツは鬱陶しいから始末しようと思ったけど、
 勝手に死んでくれた。わらけるよね」
 
「死のルールを話したときの堀川、伊藤、そして……あなたの顔。
 傑作だった。ほんとに信じてるんだもん。私の思い付きの嘘に。
 私が壊した後に神妙な顔したら警察も信じちゃって。みんな面白いね。
 すごく協力的。」
 
「あ、そうそう...松本沙雪って子知らないけど、食われたみたいよ。
 すごく素敵な残骸がMessage_REVERBに送られてきて
 うっとりしてみてた。私が壊してあげたかったなぁ…ケラケラケラケラ」
 
狂ったような悪意と陶酔が入り混じる、
子どものような高い笑い声が響き渡る。
 
梓は、怒りで顔を歪め、吐いた。
そして声が掠れるほどの罵倒を千咲にぶつける。
 
「化け物!...あんたは人じゃない!!!ただのバケモノだ!
 頭の腐った異常者だ!
 沙雪を返せ!今すぐ!茉莉を!真央を!あおいを!歩夢を!
 南雲さんを!!!みんなを返せ!!!!」
 
叫ぶたびに喉が引き裂かれそうな痛み。
絶望、後悔、沙雪への懺悔、何もできなかった無力感、
全ての感情が混じり合い、
涙があふれ頬を伝い、口元から怒りの涎がしたたり落ちる。
 
そんな梓の怒りも空しく、
千咲は小首をかしげて空虚感の漂う双眸で梓を見つめ
ケラケラケラと笑うだけ。
 
「梓もさ、たっぷり味わってから逝こうね」
 
そう言って棚から電動ノコギリを取り出す。
充電残量を見て、にやりと笑う。
 
「今日はじっくり切れるよ。ケラケラケラ」
 
千咲は身動きの取れない梓の足元にしゃがみこみ、
まず右足の小指へと電動ノコギリの刃を当てた。
 
キュイイイイイイイン——
刃先が皮膚を裂き、肉を砕き、骨にぶつかって甲高い悲鳴をあげる。
肉片と血がピシャッ、ピシャッと宙に弾け飛ぶ。
梓の足が震え、スツールの上で全身がのけぞった。
 
「や、やめて!やめてえええええ!!!痛い!痛い!!
 いたい、いたい、いたああああああああああああああい!!!!!」
 
叫びは喉を突き破り、涎と涙と血で顔がぐしゃぐしゃになる。
汗が噴き出し、全身の毛穴から塩辛い液体が滴る。
痛みに耐えきれず、腹筋が痙攣し、股間から尿がじわりと滲み出る。
太ももを伝う生温かい感覚、足先からは血と肉片が絶え間なく滴り落ち、
床の上には赤黒い液体と千切れた肉片が散乱していく。
指先が切り落とされるたび、神経の断面が剥き出しになり、
脳にまで鋭い電流が走る。
 
「やだ……いやだ、痛い!痛い、痛い、いたああああああっ!!」
 
声が裏返り、身体がのけぞる。
呼吸はゼエゼエと途切れ、何度も吐き気がこみあげる。
 
千咲は無邪気な子供のように、時に刃先で梓の皮膚を撫でては、
血を自分の指でなすりつけ、
断面を覗き込んでは嬉しそうに小首をかしげる。
「すごいすごい、梓の中、こんなに赤いんだ……
 ほら、見て?あ、今ここ、まだ動いてるよ」
 
ちぎれた指を摘まみ、くるくると回して遊び、床に放ると、
ぬちゃりと生々しい音が響く。
千咲の指は血と肉でぐちゃぐちゃに染まり、顔にも鮮血が跳ね、
それでも彼女は楽しげにケラケラと、まるで砂場遊びのように笑い続ける。
 
梓の身体は痛みで絶えず痙攣し、体液があらゆる穴からあふれ出していく。
頬を涙が流れ、口からは涎と血と嗚咽がこぼれ、顎がガクガクと震える。
汗が頭皮を伝い、全身が冷たく濡れていく。
腹部の奥から熱いものが込み上げ、
意識が途切れそうになるたび、
千咲の甲高い「ケラケラケラケラ!」という笑い声が耳を突き刺して
現実に引き戻す。
 
「ほら、次は手の番だよ。梓、まだまだいっぱいあるね。
 ねえ、痛い?どこが一番痛い?
 もっと教えて、全部全部、壊してあげるね」
 
千咲はまるで人形のパーツを外すように、
丁寧に、愉しげに、指を一本一本、足も手も順番に切り刻んでいく。
 
血飛沫は絨毯にも、壁にも、千咲の頬にも容赦なく降りかかる。
録画ランプが赤く点滅し、電動ノコの低いうなり音と千咲の歓声、
そして梓の絶叫と嗚咽、すすり泣きが入り乱れ、部屋の空気は生ぬるい血と体液と絶望で満ちていく。
 
——やがて、
梓は指という指をすべて切り落とされ、両手両足はなお本体を残したまま、
自分の身体のどこからどこまでが自分なのか分からなくなるほど、痛みと痙攣と体液の海に沈む。
顔は涙と血と涎にまみれ、視界はどす黒く霞んでいく。
千咲のケラケラケラケラという無邪気な笑い声だけが、
遠く、近く、どこまでも現実感を失ったまま、
耳の奥にこだまし続けていた。
 
 
Scene2:「終わる正義。笑う悪意」
2026年1月23日(土) 午後2時51分。
南秋大学 女子寮・神谷千咲の部屋
 
空気が腐っていた。鉄錆のような血の匂いに、
微かに吐瀉物の臭気が混じる。
天井の蛍光灯は時折チカッと明滅し、
部屋全体が青白く脈動しているかのように見える。
その中心に、宇田川梓がいた。
 
両腕両脚は“まだ”本体に繋がれていたが、指という指はすでに失われ、
骨の芯を晒した肉の柱のように膨張していた。
関節は腫れ上がり、血は乾かぬまま滴り続け、皮膚の裂け目から筋繊維が顔を覗かせていた。
彼女の表情は崩れ、涙と汗と唾液に濡れて、唇は痙攣し、
うわ言のように呼吸の音を吐いていた。
 
「……千咲、あんたも……馬鹿、だね……っ」
 
吐き出す声は掠れ、喉の奥で血泡が弾けた。
「私が……こんなに……悲鳴、あげた……絶対誰かに、聞こえてる……
 あんたも……終わり、だよ……」
 
それを聞いた千咲は、肩をすくめてケラケラケラと笑った。
 
「それは妙案、どうも。
 でも、残念——ここに他の人なんて、もういないよ」
 
椅子から立ち上がった千咲が、
電動ノコギリを持ったままくるりと振り返る。

「ここの寮のみんな奴に食われてるの。
 残ってるのは私だけ。来た時、血なまぐさかったでしょ?
 異様に静かだったでしょ?全部、奴のせい。私の守護神なの」
 
ニタリと笑いながら、千咲が梓の左足首に刃を押し当てる。
 
「だから……存分に叫んで。最高の状態で死んで。私の、最高傑作として」
 
キュイイイイイイン——
 
鈍く、骨の軋む音。
皮膚が裂け、筋肉が跳ね、骨が削られ、足首が切り落とされる。
瞬間、梓の全身が震えた。
「ぎゃあああああああああああああっっ!!!」
 
もう、叫びなのか悲鳴なのか、
声であるかさえも分からない音が口から吐き出された。
骨と肉の断面から血が高く噴き出し、床に赤い雨が落ちる。
千咲はその血を避けもせず、笑いながら次は右足首へ。
 
梓の喉が潰れそうなほどの絶叫、背筋を貫く激痛。
視界がちかちかと明滅し、意識が遠のきかける。
冷や汗が額を伝い、尿意が限界を越え、足元にぬるりとした液体が広がる。
 
「ァァァァァァ……いったいっ……いたいっ、いたい、いたい、いたい
 ……やめ……やめっ……!!」
 
 キュイイイイイイイ——
 
次は両手首。
刃が手首の関節を捉え、骨を砕く。
筋が裂ける音。
皮膚がめくれ、白い骨が一瞬覗き、すぐに赤黒い血が覆い隠す。
 
その時だった。
 
部屋のドアが、ぎぃ……ときしむような音を立てて開いた。
ずる、ずる、と何かが引きずられてくる音。
 
そして——それは現れた。
 
Chisato.C。
 
ケラケラケラケラ……
 
その笑いは機械的で、温度がなく、悪意そのものだった。
彼女が引きずっていたのは、松本沙雪の、遺骸。
 
臍から下が失われ、腹からは腸、肝臓、胃、膵臓が垂れ下がり、
だらだらと床に引きずられている。
乳房は露出し、割れた眼鏡の奥の目は白く濁って虚空を見ていた。
口はだらりと開き、舌が垂れ、唇は血でぬめっていた。
 
梓は正気を失った。
沙雪を巻き込んだ後悔、懺悔、贖罪、全ての業が
全部自分に襲いかかってくる感覚。
彼女自身の身体を支配する激痛みよりも、沙雪への感情が強烈に働いた。

「沙雪……ごめん、ごめん、ごめん、ごめん、ごめん……っ!
 うわあああああああああああああ!!」
 
梓は絶叫した。
その目には涙と血の膜が張り、全身の感覚が爆発したように震えた。
 
千咲は沙雪の遺骸を無表情に一瞥すると、
切り落とした手首と足首を拾い上げ、
まるで人形のパーツのように指を動かして遊び始めた。
それも飽きたのか、電動ノコを手にして再び梓の元へ。
 
「じゃあ——つぎ、いくね」
 
梓の右脚の付け根にノコが当てられる。
 
キュウウウウイイイイイイイイイイ……!!!
 
関節が外れ、骨が裂け、脚が千咲の手に抱えられるように切り離される。
激痛で喉が潰れ、梓は声にならない呻きを漏らした。
 
左脚、右腕、左腕——
ひとつずつ、根元から切断。
全身が血を吹き出し、肉が断裂し、腱が引きちぎれ、体液と汗と涙と涎が混ざり合って床に広がる。
もはや梓の姿は「人間」ではなかった。
四肢をもぎ取られた人形。芋虫。
 
 
絶命にちかい意識に引きずり込まれそうになるその瞬間——
 
千咲は静かに、梓の頭頂部にノコギリの刃を当てた。
「最後はね……ここから」
 
キュウウウウウウン——!!
ギリギリギリギリ!ゴリゴリゴリ!
「グフゥ……」それが梓の最期の声だった。
脳天から鼻梁、口、喉、胸、腹部、女性器まで一直線に切断。
頭蓋が割れ、脳漿と脳みそが飛び散り、口から舌と血液が飛び散り、
腹から臓物が吐き出される。
骨が砕け、内臓が流れ落ち、全身が二つに分かれて床に落ちた。
 
ぶちっ、ばしゃっ、べちゃっ。
 
脳みそと内臓と血と骨が散乱する。
スツールの上には、もはや何も残っていない。
 
「ジグソーパズルにしましょう♪」
 
千咲は切り裂かれた梓の身体をさらに細かく切り刻み、
バラバラになった肉片を床に並べていく。
その指先は嬉々として踊り、顔は赤子のような笑顔だった。
 
Chisato.Cは隣で、沙雪の乳房に喰らいついていた。
内臓を啜り、胃袋を歯で潰し、血を舌で味わっている。
その全身が血で濡れ、口の端から赤黒い肉が垂れていた。
沙雪の遺骸もChisato.Cによって細切れの肉片にされていった。
 
地獄絵図の中で——
宇田川梓の肉体の一部と松本沙雪の肉体の一部が混じり合い
二人の肉体は共に崩壊していった。
宇田川梓の最期の意識は、
沙雪の残骸と自分の肉片が混ざり合って溶けていく血の池。
彼女の精神は、その赤に溶けて、消えた。
ただ、その瞬間宇田川梓の意識は、松本沙雪の意識と一つに融合した。
「ごめんな・・・沙雪」「先輩と一緒ならいいですよ」
そんな声が聞こえてきそうな追跡者たちの最期だった。
 
 
Scene3:「狂人の終焉と新たな悪意の胎動」
2026年1月23日(土) 午後3時03分。
南秋大学 女子寮・神谷千咲の部屋
 
「あーあ……せっかくのジグソーパズルが、めちゃくちゃになっちゃった」
 
神谷千咲は、両手を腰に当てて軽く首を傾げた。
彼女の足元には、宇田川梓と松本沙雪の肉片が、
区別もつかぬほど入り混じって転がっている。
かつて人間だった残骸。
血と脂と臓物の海。
 
「……まあ、いっか。もう充分に、遊んだし」
 
その声は満足気で、どこか晴れやかですらあった。
 
だが——。
 
そのとき、背後から漆黒の気配が這い寄ってきた。
 
ケラケラケラケラケラ……
 
乾いた高笑い。
千咲がゆっくりと振り返ると、そこにいたのは——Chisato.C。
 
全身を血に塗れたその女は、ゆらりとした動きで千咲に近づいてくる。
眼は異様に大きく、瞳孔が潰れて黒一色。
口元には血と肉がこびりつき、微笑のような、
何かを値踏みするような歪みがあった。
 
「やぁ……やっと、会えたね」
 
千咲は一歩、Chisato.Cに歩み寄る。
 
「あなたが……わたしに、REVERBをくれたのよね。
 ずっと、見てた。ずっと、わたしを導いてくれて……」
 
微笑んだ。
まるで初恋の人に再会した少女のような眼差しだった。
 
「わたしね……ずっと、一人だったの。誰にも、わかってもらえなかった。
 ずっと……あなたのことだけが……」
 
その瞬間だった。
 
Chisato.Cの手が、千咲の首元を掴んでいた。
 
ぐしゃ。ミチ……ミチチ……ッ
 
細い喉元に、異様に長い指がめり込む。
爪が皮膚を裂き、喉の奥を抉っていく。
流れ出る血が鎖骨を伝い、胸元へ、腹部へと滴る。
赤い線。
それはまるで、首に巻き付く“紅い紐”のようだった。
 
「え……?何これ…?何で...?」
 
声にならない呻き。
 
「ち……がう……わたしは、あなたの……」
千咲の両足がバタバタと痙攣し、視界がぶれていく。
Chisato.Cは一言も発しない。
眼だけが、冷たく、光を宿さず、千咲を“見て”いた。
 
そして——そのまま千咲の身体は、
 
ぽい、と
ゴミでも投げるように、スツールの横へ放り捨てられた。
 
どしゃっ
 
床に落ちた瞬間、千咲は咳き込むように血を吐いた。
潰され喉から大量の血と空気が漏れ、震える指先で何かを掴もうとする。
 
(ダメだ……これ……わたし……殺されるの?
 ……なんなの?わけわかんない……)
 
その瞬間——
 
脳裏に、“あのメッセージ”が浮かび上がり、
即座にSNSに打ち込んでいく。
 
≪Message_ZERO/From: 神谷千咲≫
《ねえ、誰か、お願い……
もし、これを見てるなら、今すぐ返事して。
わたし、おかしくなりそうなの……誰も信じてくれない。
みんな、死んでいった。次は、わたしなの……!
 
“あれ”がいるの。ずっと見てるの。
何でわたしなの? どうして?
お願い……お願いだから……誰か……助けて……!
 
今、わたしのすぐ近くに“あれ”がいる。
わたしのところに来る……もう、逃げられない。
誰か……誰か、誰かッ!!
 
これを読んでる、あなた。
お願い、まだ間に合うなら——
私の代わりに、“この記録”を止めて。
私が“次”になる前に。》
 
SNSに打ち終わると即座に送信ボタンを押した。
頭を強打している。
——意識が、遠のく。
 
そして、Chisato.Cが笑った。
コッッコッコッツ近づいてくる足音。
 
ケラケラケラケラケラ……
乾いた無機質の笑い声。
 
千咲の目の前に立ち、見下ろす。
血塗れの手が、千咲の脚の間に伸びていく。
 
千咲は震える声で叫んだ。
「……いやっ……やめ……あ゛っ……!!」
 
指が割れ目を裂き、膣口から内部へと潜っていく。
子宮を掴み、捻る。
 
臓腑が引きずり出される。
子宮、膀胱、腸、小腸、膵臓
——次々に、膣を出口として逆流するように引きちぎられていく。
 
千咲の絶叫は声にならず、血の泡を吹きながら、白目を剥いて痙攣した。
口からは血液と唾液と内臓の欠片が垂れ流れ、体はのたうち、
意識は崩壊し、命は消えていく。
 
ゆっくりと、手を膣から抜いていき、
最後に、Chisato.Cは千咲の腹を裂き、心臓を掴み取った。
 
ぐぽっ。
 
千切りとられた心臓が、掌の中で脈打っていた。
それを、笑いながら、口に運ぶ。
 
ヌル、グシャ、シャク……
千咲の意識がこの世から完全に消滅した。
部屋には、3人分の夥しい血と肉片と臓器が残された。
 
Chisato.Cがゆっくりと立ち上がり、
こちらを向いた。
 
無機質で漆黒の双眸が、
じっと、あなたを見つめている。
 
ケラケラケラケラ……
 
ゆっくりと歩み寄ってくる。
 
画面がチカチカと明滅し、やがて静かに切り替わる。
 
≪ Message_REVERB ≫
対象:YOU
照合支点:神谷千咲(完了)
最終確認:接触完了
次回送信予定:……未定
—Please prepare for the sequence—
 
——暗転。
END
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