死配人ー勒死の狂ーCRIMSON CHAIN of DEATHー

不幸中の幸い

文字の大きさ
1 / 19
Chain_0

Message_Zero

しおりを挟む
《ねえ、誰か、お願い……
もし、これを見てるなら、今すぐ返事して。
わたし、おかしくなりそうなの……誰も信じてくれない。
みんな、死んでいった。次は、わたしなの……!
 
“あれ”がいるの。ずっと見てるの。
何でわたしなの? どうして?
お願い……お願いだから……誰か……助けて……!
 
今、わたしのすぐ近くに“あれ”がいる。
わたしのところに来る……もう、逃げられない。
誰か……誰か、誰かッ!!
 
これを読んでる、あなた。
お願い、まだ間に合うなら——
私の代わりに、“この記録”を止めて。
私が“次”になる前に。》
            神谷 千咲
 

≪登場人物≫
■ 神谷千咲(かみや ちさき)
南秋大学・文学部3年生。都市伝説研究会の部長。冷静さと優しさを併せ持ち、仲間からの信頼も厚いが、どこか影のある存在。
 
■ 宇田川梓(うだがわ あずさ)
南秋大学・文学部3年生。都市伝説研究会に所属。
真面目で頭脳明晰な性格。物語を通して調査の中心人物として描かれる。

■ 松本沙雪(まつもと さゆき)
東雲大学の2年生で、宇田川梓の高校時代の後輩。
行動力と柔軟な発想を武器に調査に協力する。
 
■ 伊藤歩夢(いとう あゆむ)
南秋大学・社会学部3年。都市伝説研究会のメンバー。
穏やかで好奇心旺盛な性格。
 
■ 堀川菜月(ほりかわ なつき)
南秋大学・社会学部3年。都市伝説研究会のメンバー。
飄々としたムードメーカー的存在。
  
■ 佐原真央(さはら まお)
南秋大学・教育学部2年。神谷千咲の後輩。
 
■ 芦原茉莉(あしはら まり)
南秋大学・外国語学部2年。都市伝説研究会のメンバー。
佐原真央と仲が良い。明るく活発な性格で、千咲たちと親交がある。

■鷹野 柊真(たかの ひゅうま)
南秋大学・法学部3年 千咲に好意を寄せる。
 
■ 野瀬簾(のせ れん)
南秋大学・理学部4年。
無口で神秘的な雰囲気を持ち、行動の意図が読めない。
 
■ 南雲拓(なぐも たく)
南秋大学・文学部の助手。
論理的で冷静な性格で、学生の研究活動をサポートしている。
 
■ 高田実(たかだ みのる)
東雲日報の記者。
穏やかながら鋭い視点を持ち、学生たちの調査にときおり協力する。
 
■ 神谷麻里子(かみや まりこ)
神谷千咲の姉。
現在は社会人として生活しており、千咲との関係性に謎が残されている。
 
■ 神谷正彦(かみや まさひこ)
神谷千咲の父。
寡黙な人物で、家庭内で強い存在感を持つ。
 
■ 神谷智恵(かみや ちえ)
千咲の母。
穏やかさと不安定さを併せ持ち、精神的に不安定な様子が描かれる。
 
■ 小瀬将人(こせ まさと)
大学構内交番の警察官。
業務に対しては怠慢。些細な異変には鈍感な一面も。
 
■ 町田(まちだ)
南秋大学の守衛。
 
■ 三木正人(みき まさと)
南秋大学・理学部の非常勤講師。
 


***
──《Message_Zero:芦原茉莉》──
2025年12月11日(木) 午後9時17分。
「何これ……マジで気持ち悪い」
 
スマホを持つ指がわずかに震えていた。
芦原茉莉は、唇の内側を軽く噛みながら画面を見下ろした。
そこにはたった一行のメッセージと、
1本の短い動画リンクが添えられていた。
 
次に、誰かを絞めてください。
24時間以内に証拠を提出してください。
 
発信者は不明。返信不可。ブロックもできない。
URLをタップしてみると、
古びた紙封筒のような画像が一瞬だけ表示されて、強制終了した。
 
「悪質系のチェーンメッセージじゃん
……令和にもまだあるんだ、こういうの」
 
呟いた茉莉は、スクリーンショットを撮ってから、
スマホのホームに戻り――そのままメッセージを削除した。
 
翌朝。
大学構内の交番、午前8時18分。
 
「すみません、昨日こんなDMが来て……
一応、通報だけでもしておこうと思って」
 
茉莉は、友人の佐原真央を連れて交番に来ていた。
制服姿の若い警官はちらりと画面を見て、小さく鼻を鳴らした。
 
「……ああ、よくあるやつね。昔で言う“不幸の手紙”ってやつ。
変なリンクとか動画は踏まない方がいいですよー。スパムスパム」
 
「でもこれ、“絞めてください”って……完全に殺害教唆じゃないですか?
 見た目も犯罪的で……」
 
佐原が食ってかかるように言った。
 
「事件が起きたら、また来てください。はい、以上です。お大事に」
 
「……は? 誰かが死んでからじゃないと、警察は動かないんですか?」
 
「ええ、基本的にそうです。警察ですから」
 
茉莉は言葉を失った。
そのやり取りを横で聞いていた真央は、唇の端をかすかに歪めた。
 
「ねぇ茉莉……あんたさ、本当に“絞められる”と思ってるの?」
 
茉莉は戸惑いながらも、小さく頷いた。
真央はスマホを取り出し、カメラを起動すると小声で呟いた。
「じゃあ、“証拠”を作っとこう。——“犯人”は、私ってことで」
 
それが冗談だったのか、本気だったのかはわからない。
 
けれど、あの動画が届いた夜。
“首に紅い紐を巻いた女”の映像に、
千咲はかすかに真央の声を聞いた気がした。
 
 
 
画面の中で、通知が一度だけ震えた。再送信:未読メッセージ(1)
 
その日の午後、14時32分。
 
芦原茉莉は、文学部棟の3階女子トイレの個室内で、
首を吊った状態で発見された。
 
目撃した学生の証言によれば、
個室のドア下から流れ出た赤黒い液体を不審に思い、
上から覗き込んだところ――
 
「笑ってたんです……死んでるのに……目、片方なかった。
 口もなんか、裂けてて……」
「LANケーブルみたいなのが、首に食い込んでて
 ……あんなの、自分でできるわけないって……」
 
その夜。
 
神谷千咲のスマホに、通知が届く。
【Message_REVERB】
未読メッセージ(1)
通知のヘッダーに、わずかな違和感を覚えた。
 
“Unknown”ではなかった。
 
けれど、画面に表示された文字列は、どこか既視感がある。
 
……何かの記憶と、微かに重なるような。
 
それが何だったのか、自分でも思い出せないまま——
 
添付ファイル:《matrimurder_final_send.mp4》
 
タップする指がかすかに震えた。
 
映像は、粗い画質で始まった。
暗い部屋。呻くような声。
そして、若い女性と思われる声で
「ごめんなさい……助けて……」と繰り返される。
 
最後に、画面の端に名前が映った。
 
「To Kamiya Chisaki」
 
――すべては、そこから始まった。
彼女がその”メッセージ”を受け取った瞬間から。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

意味が分かると怖い話(解説付き)

彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです 読みながら話に潜む違和感を探してみてください 最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください 実話も混ざっております

与兵衛長屋つれあい帖 お江戸ふたり暮らし

かずえ
歴史・時代
旧題:ふたり暮らし 長屋シリーズ一作目。 第八回歴史・時代小説大賞で優秀短編賞を頂きました。応援してくださった皆様、ありがとうございます。 十歳のみつは、十日前に一人親の母を亡くしたばかり。幸い、母の蓄えがあり、自分の裁縫の腕の良さもあって、何とか今まで通り長屋で暮らしていけそうだ。 頼まれた繕い物を届けた帰り、くすんだ着物で座り込んでいる男の子を拾う。 一人で寂しかったみつは、拾った男の子と二人で暮らし始めた。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜

来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、 疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。 無愛想で冷静な上司・東條崇雅。 その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、 仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。 けれど―― そこから、彼の態度は変わり始めた。 苦手な仕事から外され、 負担を減らされ、 静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。 「辞めるのは認めない」 そんな言葉すらないのに、 無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。 これは愛? それともただの執着? じれじれと、甘く、不器用に。 二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。 無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

不倫妻への鎮魂歌 ―サレ夫が選んだ、最も残酷で静かな復讐―

MisakiNonagase
大衆娯楽
「サレ夫、再生。不倫妻、転落。──その代償は、あまりに重い。」 「嘘で塗り固めた20年より、真実で歩む明日がいい。」 失って初めて気づく、守られていた日々の輝き。 46歳の美香にとって、誠実な夫と二人の息子に囲まれた生活は、退屈で窮屈な「檻」だった。若い男からの甘い誘惑に、彼女は20年の歳月を投げ打って飛び込んだ。 しかし、彼女が捨てたのは「檻」ではなく「聖域」だったのだ。 不倫、発覚、離婚、そして孤独。 かつての「美しい奥様」が、厚化粧で場末のスナックのカウンターに立つまでの足取りと、傷つきながらも真実の幸福を掴み取っていく夫・徹の再生を描く。 家族とは何か、誠実さとは何か。一通の離婚届が、二人の人生を光と影に分かつ。

処理中です...