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22 エウェン視点2*
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仕事にもすっかりに慣れ、穏やかな日々がいくつか過ぎた。
昼の調査を無事終えた後、エウェンはアランを含め、元調査ギルドの面々と酒場に来ていた。カウンターに座って隣でビールを水のように飲むアランがへラッと笑った。
「で、いつになったらあの人間と種作りすんだ?」
不意の発言もあり、ハーブ酒を飲んでいたエウェンは盛大にむせた。アランの発言に調査ギルドの面々も食いついた。
「あの目つきが鋭い強面の兄ちゃんか」
「いかにもやりたい盛りって感じの雄なのに、種作りしてないのか?」
「で、どうなんだ? 順調なのか?」
興味津々で好き勝手に聞いてくる面々へエウェンは蔓草の髪で全員の頭を一斉に叩いた。そして、元凶のアランに対しては首を締め上げた。
「リヴくんは最近仕事をさらに任せてもらえるようになって忙しいんだ。そんなリヴくんにねだるなんてはしたないことするわけないだろう。僕の言っている意味わかるか?」
声を低くして、アランの頭を前後に揺らす。アランは眉を上げ、鋭い桃色瞳を瞬かせた。
「別にはしたなくねーだろ? 俺がいいたいのは、種作りする予定があるなら事前に言っとけって話! お前ら、種できるのに日数かかるじゃん!」
「うまくやれば一発で子供がたくさんできる爬虫人のお前らと違って、僕らは繊細なんだ」
アランを床に投げ捨て、鼻を鳴らす。アランは気にしてないようだ。エウェンの隣へ腰をかけ直すと、ドンッとエウェンの肩に腕をぶつけてきた。
「へー、ふーん? なんだ、あいつやるじゃん」
「なんだよ、そのニタニタ笑い。気持ち悪いな」
口の端をつりあげるアランを思いっきり睨む。アランは桃色の瞳に笑みを乗せ「別にぃ?」とますます口角を上げた。そして、アランは背後のテーブル席へ振り返り、大きなジョッキを掲げて叫んだ。
「今日は俺のおごりだから、好きに飲んでいいぞ!」
「やりぃ!」
「ドケチなアランにしては大盤振る舞いじゃねえか!」
「そーいう気分なわけ!」
豪快に笑ったアランをいぶかしんでいると、アランが肘で腕をついてきた。
「ユアンはさっさと愛しのダーリンのところに帰らねえの~?」
「ほんとお前は腹立つな」
腕をついてくる肘を思いっきり突き返した後、エウェンは残っていたハーブ酒をあおって、酒場を後にした。
宿に戻ったエウェンは先にリヴンと夕食を取り、温泉に浸かった。温泉に浸かっている間、アランの発言がずっと頭の中をグルグルと駆け巡る。
本音を言えば、エウェンだってしたい。だが、任された仕事が増えたリヴンはただでさえ忙しそうだ。慣れないこともあり、疲れを滲ませる時だってある。そんなリヴンにどうしてねだれるだろう。
だからか、自分の過去を吐露するのをリヴンが待ってくれたように、今度は自分がリヴンの状況が落ち着くまで待っていたい。
そんなことをツラツラ考えている間に、リヴンが顔をのぞき込んできた。
「エウェン、大丈夫か?」
「え、あぁ……大丈夫だよ」
「本当か? 眉間にしわが寄ってるぞ」
「リヴくんだって、よくよってるよ」
小さく笑って言い返せば「昔の話だろ」と言いつつ、眉を寄せた。だが、すぐに緩めて立ち上がった。
「俺は先に上がるけど、お前はどうする?」
「んー、もうちょっと浸かってるよ」
「わかった。湯あたりしないように気をつけろよ」
そういってリヴンが風呂場からでていく。
一人になったエウェンは岩に頭を預けると、息を短く吐く。
「今の僕は、もうセックス依存症だった僕じゃないんだ。いいか、エウェン。今こそ、元一級冒険者の忍耐力を見せる時だぞ」
リヴンの裸体を見た影響で、湧き上がる性欲へ言い聞かせる。熱い湯気を吸い込んだ影響で、盛大に咳き込んでしまった。目尻に浮かんだ涙を乱暴に拭ったエウェンはため息と共に風呂場を後にした。
部屋に戻れば、ベッドの上に寝間着姿のリヴンがいた。寝間着姿のリヴンを見ると、体が疼き、核が熱くなる。
あえてそんな自分の状況を無視して、リヴンの隣へ腰を下ろした。リヴンにバレないようさりげなく深呼吸をし、ぎゅっと体に抱きついた。ついで、まだ蔓草の髪でリヴンの頭や背中をさすった。
「リヴくん、今日もがんばってえらい、えらい」
頬を赤くしているリヴンの頬にキスをし、笑いかける。
この方法は最近エウェンが思いついた励まし方だ。いつもこの励ましをすると、リヴンは思いっきり抱きしめてくる。予想通り、今日も思いっきり抱きしめてきた。エウェンもしっかりリヴン抱きしめ返した。
無言でエウェンのこめかみや頬に顔をすり寄せて甘えてくる姿に核が震える。
ささやかなやりとり終え、無事今日も励ましを終えたエウェンが離れようとすると、抱きしめる腕に力がこもった。
「リヴくん?」
「エウェン、そろそろあの日の続きがしたい」
耳元に熱のこもったかすれた声が囁かれた。抱きしめてる手がそっと寝間着越しに尻を掴んでくる。それだけで、すでにやる気に満ちていたエウェンの体の奥はじわっと蜜をにじみ出した。
リヴンからの種作りをねだられ、興奮で荒れそうになる呼吸をなんとか抑える。一度離した手をもう一度背へ回し、ぎゅっとリヴンの寝間着を握りしめた。
リヴンの胸からそっと顔を上げた。
「僕だって、ずっと続きをしたかったよ」
髪をリヴンの体へ巻き付け、目尻を下げて笑いかける。さきほど決意したばかりなのに、リヴンからねだられればあっという間に溶けてしまった。
決意と一緒に核も溶けてしまうのではと思うほど、熱をもって魔力を生み出す。体を駆け巡る魔力にほんのり緑がかった白い肌が濃い蜂蜜色に移っていく。
エウェンの様子に、リヴンの鋭い茶褐色の瞳が大きく見開かれ、優しく細められた。
「今度は絶対孕ませるから」
「うん……」
音が漏れないのと勝手に部屋へ入ってこられないよう魔法をかけると、どちらとともなくキスをした。
セックスをし始めてすぐ、エウェンの花が咲き、室内は絡みつくような甘い匂いで満たされた。
最初こそ、久しぶりのセックスでエウェンも恥じらっていたが、じっくり前戯をして限界まで焦らされれば、すすり泣きながらリヴンを求めた。
リヴンは宣言通り、絶対にエウェンを孕ませるつもりなのだろう。互いの体液が混じり合った蜜が秘部から溢れ、シーツに大きなシミを作っても、容赦なく出し続けた。
それは五日間続き、さながらセックス依存症に戻ったかのようにリヴンを求めた。だが、あの時と違い、熱や張った高ぶりを感じ取る度、体だけでなく心も多幸感に満たされた。
何にも縛られず、欲望のまま互いを求める五日間は、まるで世界に二人しかいないような錯覚だ。
乱れきった甘い幸福な五日を終え、蔓草の髪に咲く花がすべて枯れた。それをとろけきった意識の中、見届けたエウェンは体の奥で種ができたのを感じた。
「りう゛くん、種……できてる」
「本当か?!」
目を輝かせるリヴンが愛おしい。エウェンは髪を揺らしながら、覆い被さっているリヴンへそっと髪を巻き付けると、力なく引き寄せた。
「奥、押してみて?」
「わかった」
エウェンがとろけた声で教えれば、エウェンの足の間に腰を押しつけているリヴンが高ぶりをぐっと押し込んでくる。そうすれば、張った先端が種を包んでいる奥を優しく押しあげる。
感覚でわかっていた種の存在感をはっきりと感じ取ると、エウェンはつま先をぎゅうっと丸めた。
「ぁ、ああっ!」
「確かに、奥に硬いなにかがあるな。これが俺たちの子供……」
奥を捏ねるように腰を動かされれば、繊細な中を種で刺激される度、意識が飛びそうになる。種がすでにできているにもかかわらず、五日間かけて誰の雌か教え込まれた奥はリヴンの高ぶりを優しく包み込み、先端に甘えたように吸い付いてしまう。
リヴンの体がブルッと震え、くっついている先端がビクビクと痙攣した。
「エウェン…刺激されるとだしたく、なるだろっ」
「だしていいからっ、りう゛くん…、りう゛くん、すきっ」
核が溶けてしまう錯覚を覚えるほど満ち足りた気持ちとそれを失う怖さでエウェンはリヴンを呼んだ。
リヴンはつりあがっている茶褐色の目尻を下げ、優しく抱きしめてきた。
「じゃあ、これで今回は最後だからな」
核と違い、リヴンの心臓は力強く鼓動を打つ。しがみつくように背へ手を回したエウェンは心音を聞きながら、奥に注がれる熱と共に意識が溶けていった。
翌晩、エウェンは体の疼きで目を覚ました。リヴンと目が合えば、頬を緩めた。
「起きたんだな。丸々一日、目を覚まさなかったから心配したんだぞ」
「僕は……、ぁ」
意識の覚醒と共に、種をだそうと蜜を滲ませる。困惑するよりも早く、体をこわばらせて息を詰める。
「リヴくん、種が、でる……っ」
「え? と、とりあえず楽な姿勢をだな」
リヴンが慌てて起きあがると、片足分広げた膝へ抱き上げた。リヴンに抱きつきながら、蔓草の髪が震える。
「あ、ぁあっ!」
奥からでてきた種が外へ向かって行く。エウェンは何度か体をこわばらせた。やがてそれは秘部を押し広げて、差し出されたリヴンの手へと落ちた。
「本当に種なんだな」
リヴンが粘液をまとった胡桃ほどの種をまじまじ見つめる。エウェンも荒い呼吸を整えた後、リヴンの手の平にある種をぼんやりと確認した。
艶々とした青緑と焦げ茶のマーブル模様の種はとても子供が中に入っているとは思えない。
エウェンはリヴンに抱きついたまま、産み落としたばかりの種を優しく指先でなでた。
「この子を、どこに埋めよっか?」
「そうだなあ」
リヴンが真剣に悩んでいる横顔を飽きずに見つめる。
おそらく二人の秘密の隠れ家となった木の洞の近くあたりを見当しているのだろう。だが、場所的に毎日通うには怪しすぎるとも考えているのかもしれない。
ふと水質調査を終えた後に確認した宿の裏庭を思いだす。日当たりがよく、水はけもいい。なによりオーラティス山脈の霊脈が通っている影響で、土壌の質もいい。
まだ悩んでいる手に髪を絡ませながら、頭をリヴンの首にすり寄せた。
「家の裏手はだめ?」
「家の裏手か。俺はいいけど、種は大丈夫か?」
リヴンは男らしい眉をこれでもかと下げ、手の平の種を見下ろす。エウェンは細い眉をあげて小さく笑った。
「リヴくんが思うよりも僕らが産む種は丈夫だよ。言ったでしょ、僕ら植物種は親の遺伝子に関係なく、生まれ落ちた環境でどんな植物かが決まるって」
「だとしても、俺たちの大事な子供だろ。それにエウェンがはじめて産んでくれた種なんだぞ。心配するなっていうのが無理な話だ」
そういってリヴンが手の中にある種へ優しくキスする。
核が一気に熱くなり、魔力が体を駆け巡る。エウェンは顔が蜂蜜色に染まるのを感じながら、リヴンの首に顔を押しつけた。そんなエウェンの様子にリヴンはくすぐったそうに笑った。
そして、リヴンがこめかみへキスをしてくる。
「とりあえず、母さんや父さん。あとはケリックにも、埋めていいか明日聞こう」
「そうだね……」
昼の調査を無事終えた後、エウェンはアランを含め、元調査ギルドの面々と酒場に来ていた。カウンターに座って隣でビールを水のように飲むアランがへラッと笑った。
「で、いつになったらあの人間と種作りすんだ?」
不意の発言もあり、ハーブ酒を飲んでいたエウェンは盛大にむせた。アランの発言に調査ギルドの面々も食いついた。
「あの目つきが鋭い強面の兄ちゃんか」
「いかにもやりたい盛りって感じの雄なのに、種作りしてないのか?」
「で、どうなんだ? 順調なのか?」
興味津々で好き勝手に聞いてくる面々へエウェンは蔓草の髪で全員の頭を一斉に叩いた。そして、元凶のアランに対しては首を締め上げた。
「リヴくんは最近仕事をさらに任せてもらえるようになって忙しいんだ。そんなリヴくんにねだるなんてはしたないことするわけないだろう。僕の言っている意味わかるか?」
声を低くして、アランの頭を前後に揺らす。アランは眉を上げ、鋭い桃色瞳を瞬かせた。
「別にはしたなくねーだろ? 俺がいいたいのは、種作りする予定があるなら事前に言っとけって話! お前ら、種できるのに日数かかるじゃん!」
「うまくやれば一発で子供がたくさんできる爬虫人のお前らと違って、僕らは繊細なんだ」
アランを床に投げ捨て、鼻を鳴らす。アランは気にしてないようだ。エウェンの隣へ腰をかけ直すと、ドンッとエウェンの肩に腕をぶつけてきた。
「へー、ふーん? なんだ、あいつやるじゃん」
「なんだよ、そのニタニタ笑い。気持ち悪いな」
口の端をつりあげるアランを思いっきり睨む。アランは桃色の瞳に笑みを乗せ「別にぃ?」とますます口角を上げた。そして、アランは背後のテーブル席へ振り返り、大きなジョッキを掲げて叫んだ。
「今日は俺のおごりだから、好きに飲んでいいぞ!」
「やりぃ!」
「ドケチなアランにしては大盤振る舞いじゃねえか!」
「そーいう気分なわけ!」
豪快に笑ったアランをいぶかしんでいると、アランが肘で腕をついてきた。
「ユアンはさっさと愛しのダーリンのところに帰らねえの~?」
「ほんとお前は腹立つな」
腕をついてくる肘を思いっきり突き返した後、エウェンは残っていたハーブ酒をあおって、酒場を後にした。
宿に戻ったエウェンは先にリヴンと夕食を取り、温泉に浸かった。温泉に浸かっている間、アランの発言がずっと頭の中をグルグルと駆け巡る。
本音を言えば、エウェンだってしたい。だが、任された仕事が増えたリヴンはただでさえ忙しそうだ。慣れないこともあり、疲れを滲ませる時だってある。そんなリヴンにどうしてねだれるだろう。
だからか、自分の過去を吐露するのをリヴンが待ってくれたように、今度は自分がリヴンの状況が落ち着くまで待っていたい。
そんなことをツラツラ考えている間に、リヴンが顔をのぞき込んできた。
「エウェン、大丈夫か?」
「え、あぁ……大丈夫だよ」
「本当か? 眉間にしわが寄ってるぞ」
「リヴくんだって、よくよってるよ」
小さく笑って言い返せば「昔の話だろ」と言いつつ、眉を寄せた。だが、すぐに緩めて立ち上がった。
「俺は先に上がるけど、お前はどうする?」
「んー、もうちょっと浸かってるよ」
「わかった。湯あたりしないように気をつけろよ」
そういってリヴンが風呂場からでていく。
一人になったエウェンは岩に頭を預けると、息を短く吐く。
「今の僕は、もうセックス依存症だった僕じゃないんだ。いいか、エウェン。今こそ、元一級冒険者の忍耐力を見せる時だぞ」
リヴンの裸体を見た影響で、湧き上がる性欲へ言い聞かせる。熱い湯気を吸い込んだ影響で、盛大に咳き込んでしまった。目尻に浮かんだ涙を乱暴に拭ったエウェンはため息と共に風呂場を後にした。
部屋に戻れば、ベッドの上に寝間着姿のリヴンがいた。寝間着姿のリヴンを見ると、体が疼き、核が熱くなる。
あえてそんな自分の状況を無視して、リヴンの隣へ腰を下ろした。リヴンにバレないようさりげなく深呼吸をし、ぎゅっと体に抱きついた。ついで、まだ蔓草の髪でリヴンの頭や背中をさすった。
「リヴくん、今日もがんばってえらい、えらい」
頬を赤くしているリヴンの頬にキスをし、笑いかける。
この方法は最近エウェンが思いついた励まし方だ。いつもこの励ましをすると、リヴンは思いっきり抱きしめてくる。予想通り、今日も思いっきり抱きしめてきた。エウェンもしっかりリヴン抱きしめ返した。
無言でエウェンのこめかみや頬に顔をすり寄せて甘えてくる姿に核が震える。
ささやかなやりとり終え、無事今日も励ましを終えたエウェンが離れようとすると、抱きしめる腕に力がこもった。
「リヴくん?」
「エウェン、そろそろあの日の続きがしたい」
耳元に熱のこもったかすれた声が囁かれた。抱きしめてる手がそっと寝間着越しに尻を掴んでくる。それだけで、すでにやる気に満ちていたエウェンの体の奥はじわっと蜜をにじみ出した。
リヴンからの種作りをねだられ、興奮で荒れそうになる呼吸をなんとか抑える。一度離した手をもう一度背へ回し、ぎゅっとリヴンの寝間着を握りしめた。
リヴンの胸からそっと顔を上げた。
「僕だって、ずっと続きをしたかったよ」
髪をリヴンの体へ巻き付け、目尻を下げて笑いかける。さきほど決意したばかりなのに、リヴンからねだられればあっという間に溶けてしまった。
決意と一緒に核も溶けてしまうのではと思うほど、熱をもって魔力を生み出す。体を駆け巡る魔力にほんのり緑がかった白い肌が濃い蜂蜜色に移っていく。
エウェンの様子に、リヴンの鋭い茶褐色の瞳が大きく見開かれ、優しく細められた。
「今度は絶対孕ませるから」
「うん……」
音が漏れないのと勝手に部屋へ入ってこられないよう魔法をかけると、どちらとともなくキスをした。
セックスをし始めてすぐ、エウェンの花が咲き、室内は絡みつくような甘い匂いで満たされた。
最初こそ、久しぶりのセックスでエウェンも恥じらっていたが、じっくり前戯をして限界まで焦らされれば、すすり泣きながらリヴンを求めた。
リヴンは宣言通り、絶対にエウェンを孕ませるつもりなのだろう。互いの体液が混じり合った蜜が秘部から溢れ、シーツに大きなシミを作っても、容赦なく出し続けた。
それは五日間続き、さながらセックス依存症に戻ったかのようにリヴンを求めた。だが、あの時と違い、熱や張った高ぶりを感じ取る度、体だけでなく心も多幸感に満たされた。
何にも縛られず、欲望のまま互いを求める五日間は、まるで世界に二人しかいないような錯覚だ。
乱れきった甘い幸福な五日を終え、蔓草の髪に咲く花がすべて枯れた。それをとろけきった意識の中、見届けたエウェンは体の奥で種ができたのを感じた。
「りう゛くん、種……できてる」
「本当か?!」
目を輝かせるリヴンが愛おしい。エウェンは髪を揺らしながら、覆い被さっているリヴンへそっと髪を巻き付けると、力なく引き寄せた。
「奥、押してみて?」
「わかった」
エウェンがとろけた声で教えれば、エウェンの足の間に腰を押しつけているリヴンが高ぶりをぐっと押し込んでくる。そうすれば、張った先端が種を包んでいる奥を優しく押しあげる。
感覚でわかっていた種の存在感をはっきりと感じ取ると、エウェンはつま先をぎゅうっと丸めた。
「ぁ、ああっ!」
「確かに、奥に硬いなにかがあるな。これが俺たちの子供……」
奥を捏ねるように腰を動かされれば、繊細な中を種で刺激される度、意識が飛びそうになる。種がすでにできているにもかかわらず、五日間かけて誰の雌か教え込まれた奥はリヴンの高ぶりを優しく包み込み、先端に甘えたように吸い付いてしまう。
リヴンの体がブルッと震え、くっついている先端がビクビクと痙攣した。
「エウェン…刺激されるとだしたく、なるだろっ」
「だしていいからっ、りう゛くん…、りう゛くん、すきっ」
核が溶けてしまう錯覚を覚えるほど満ち足りた気持ちとそれを失う怖さでエウェンはリヴンを呼んだ。
リヴンはつりあがっている茶褐色の目尻を下げ、優しく抱きしめてきた。
「じゃあ、これで今回は最後だからな」
核と違い、リヴンの心臓は力強く鼓動を打つ。しがみつくように背へ手を回したエウェンは心音を聞きながら、奥に注がれる熱と共に意識が溶けていった。
翌晩、エウェンは体の疼きで目を覚ました。リヴンと目が合えば、頬を緩めた。
「起きたんだな。丸々一日、目を覚まさなかったから心配したんだぞ」
「僕は……、ぁ」
意識の覚醒と共に、種をだそうと蜜を滲ませる。困惑するよりも早く、体をこわばらせて息を詰める。
「リヴくん、種が、でる……っ」
「え? と、とりあえず楽な姿勢をだな」
リヴンが慌てて起きあがると、片足分広げた膝へ抱き上げた。リヴンに抱きつきながら、蔓草の髪が震える。
「あ、ぁあっ!」
奥からでてきた種が外へ向かって行く。エウェンは何度か体をこわばらせた。やがてそれは秘部を押し広げて、差し出されたリヴンの手へと落ちた。
「本当に種なんだな」
リヴンが粘液をまとった胡桃ほどの種をまじまじ見つめる。エウェンも荒い呼吸を整えた後、リヴンの手の平にある種をぼんやりと確認した。
艶々とした青緑と焦げ茶のマーブル模様の種はとても子供が中に入っているとは思えない。
エウェンはリヴンに抱きついたまま、産み落としたばかりの種を優しく指先でなでた。
「この子を、どこに埋めよっか?」
「そうだなあ」
リヴンが真剣に悩んでいる横顔を飽きずに見つめる。
おそらく二人の秘密の隠れ家となった木の洞の近くあたりを見当しているのだろう。だが、場所的に毎日通うには怪しすぎるとも考えているのかもしれない。
ふと水質調査を終えた後に確認した宿の裏庭を思いだす。日当たりがよく、水はけもいい。なによりオーラティス山脈の霊脈が通っている影響で、土壌の質もいい。
まだ悩んでいる手に髪を絡ませながら、頭をリヴンの首にすり寄せた。
「家の裏手はだめ?」
「家の裏手か。俺はいいけど、種は大丈夫か?」
リヴンは男らしい眉をこれでもかと下げ、手の平の種を見下ろす。エウェンは細い眉をあげて小さく笑った。
「リヴくんが思うよりも僕らが産む種は丈夫だよ。言ったでしょ、僕ら植物種は親の遺伝子に関係なく、生まれ落ちた環境でどんな植物かが決まるって」
「だとしても、俺たちの大事な子供だろ。それにエウェンがはじめて産んでくれた種なんだぞ。心配するなっていうのが無理な話だ」
そういってリヴンが手の中にある種へ優しくキスする。
核が一気に熱くなり、魔力が体を駆け巡る。エウェンは顔が蜂蜜色に染まるのを感じながら、リヴンの首に顔を押しつけた。そんなエウェンの様子にリヴンはくすぐったそうに笑った。
そして、リヴンがこめかみへキスをしてくる。
「とりあえず、母さんや父さん。あとはケリックにも、埋めていいか明日聞こう」
「そうだね……」
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