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「ザクベル、ここにいたんだね」
野菜の収穫をしていたザクベルは近づいてくるセルカの気配に振り返った。
ベージュの繋ぎに麦わら帽をかぶったセルカがいた。日差しを防いでも暑いのか、白い額にはうっすらと汗が浮かび、髪がくっついている。手には蓋付きの紙カップがあった。
「どうしました?」
「今日は特に暑いから私特製の飲み物を持ってきたんだ」
一般の人間ならそうかもしれないが、ザクベルの体は異能の影響でどんな環境下でもすぐに順応する。そのためセルカの暑いという意味がピンとこなかった。それでもせっかくセルカが持ってきた飲み物だ。カップを受け取ると、セルカに微笑んだ。
「セルカ様、ありがとうございます」
「どういたしまして。早く飲んでごらん」
急かすセルカに促されるまま一口飲めば、バランスのとれた酸味と甘みの後、爽やかな香りが鼻を抜ける。
「結構スースーしますね。でも、さっぱりしてておいしいです」
「炎天下で作業しているザクベルのために作ったんだよ。おっと、これも渡さないとね」
セルカは腰に下げていた麦わら帽を外すと、ザクベルの頭へかぶせた。きょとんとするザクベルにセルカは目を細めた。
「これから日差しが強くなっていくからこれをかぶるといいよ」
同じ麦わら帽子の端を持ち上げていたずらが成功した子供のように笑った。よく見れば麦わら帽子の影がセルカの目元へ落ち、いつもより暗い萌黄色の瞳の中に小さな金色の光の粒が散っている。
「セルカ様の目、キラキラして綺麗ですね」
思わず呟けば、セルカの白い顔が一気に紅潮した。先ほどよりも汗を滲ませ、顎を伝う汗を拭いながら目を伏せた。眉を下げつつもチラッとザクベルを見てくる。
「そんなにはっきり見えた?」
「はい、麦わら帽子の影のおかげではっきり見えます」
恥ずかしがる理由がわからないザクベルは素直に答えた。たいしてセルカは唇を小さく尖らせ「そんなにか」と悔しそうに言った。セルカの瞳に散る金の粒子は先ほどより落ちついたが明確にわかる。
深呼吸をしたセルカは背伸びをするとザクベルの顎に唇を当ててきた。いきなりの行為に思考が停止しかける。なんとか踏ん張って、先ほどセルカの唇が当たった顎に手を当てながらセルカを見た。
「せ、セルカ様、なにして」
「うーん、これじゃまだダメか。ザクベル、ちょっと屈んでくれるかな」
「こうですか?」
冷静なセルカに困惑しつつ、セルカの視線へあわせるよう身をかがめた。そうすれば、セルカの腕が首に回り、唇が重なった。火照ったセルカの唇はしっとりと柔らかく、口の中に潜り込んできた舌は思わずセルカと一つになった感触を思い出す。
「セルカ様、まっ」
セルカの肩を掴んで顔を離そうとするが、それ以上の力でセルカの腕がぐっとザクベルの首を引き寄せる。冷めたい唇や舌にセルカの熱が浸透してくる心地よさに眩暈を覚える。
ぴったりと密着した際、セルカの麦わら帽子が落ちそうになった。それを視界の隅で捉えると空いている手で掴む。角度を変えて何度もキスを繰り返されれば、困惑よりも心地よさが上回ってきた。
今はそういう時間ではないとわかっていながら、ぎこちなくセルカにキスを返す。セルカがうっとりと目を細め、キスの合間に小さく笑った。
「ザクベルは興奮すると、いろんな色が出るんだね」
「いろんな色?」
「多くの魔物は感情が高ぶると魔力反応が目に出るんだ。反応や色は魔物によって違うけど、ザクベルは私と同じで、粒子が散るみたいだね」
ちゅっと舌先を吸われて唇が離れる。首に回っていた手がほどかれ、代わりにザクベルの頬を撫でた。
「セックスの時は余裕がないから見られなかったけど、こんなに綺麗なのを見逃していたなんてもったいなかったな。あ、色が濃くなった」
羞恥や興奮が高ぶったのだろう。セルカの指摘が正しければ、瞳の状態でザクベルの心情がバレるという意味だ。慌てて目をぎゅっと閉じて姿勢を正すと、セルカが不満そうに声を上げた。
「目を閉じるのは禁止! ほら、私に見せて!」
「ダメです」
「ザクベルだって、私の目をまじまじ見てたじゃないか」
ぺちぺちとセルカの手が優しく頬を叩く。そんな仕草すら胸が甘く疼き、思いっきり抱きしめて肩に顔を埋めたくなるが、ぐっとこらえた。
目を閉じたままザクベルは手にしていた麦わら帽子をセルカにかぶせると姿勢を正した。
「俺は仕事に戻ります。セルカ様も仕事に戻ってください」
「じゃあ、キスをしてくれたら戻るよ」
目を開けなければわからないだろうと言わんばかりに勝ち誇ったような笑みを浮かべるセルカを感覚で一瞥した後、スッと身をかがめて触れるだけのキスをした。
まさかのスマートなキスに呆然としたセルカへ目を閉じたまま返した。
「キスしましたからセルカ様を書斎までお連れしますね」
「え、え? 待った、今のなし!」
「ダメです。俺は約束通りキスしました」
慌てるセルカを抱き寄せるとセルカの執務室へと空間移動する。
一瞬の歪みとついで全身で感じるセルカの香りにセルカの執務室へ無事着いたようだ。腕の中で不満そうにしているセルカの耳元へ囁いた。
「夜になったら好きなだけ見ていいので、それまで仕事頑張ってください」
我ながら恥ずかしいセリフだ。けれど、こうでも言わないとセルカは仕事に取りかからないだろう。案の定、セルカはパッと目を輝かせると、色香を滲ませて微笑んだ。
「そうだね、今日はしっかり見られる体位でやろうか」
「……はい。じゃあ、俺は戻ります」
フッと先ほどの場所へ空間移動する。一人になったザクベルは手に握っていたカップを一気に飲み干した。カラになった紙カップをゴミ箱の中へ転送する。
ようやく目蓋を持ち上げると、ぐっと体を伸ばして小さく息を吐いた。
「夜、頑張るか」
ここに来てから不健全気味だが、その歪さが今は心地がいい。それは相手がセルカだからだろう。中央にいた時は夜になると憂鬱だったが、今は夜が怖くない。反面、どんどん成長していくセルカへの恋慕にどう対処すべきか考えあぐねていた。
これが一般人なら思いを告げて両思いになれるだろうが、ザクベルは違う。自我はあれど、意思決定権はザクベルにはない。特定の誰かを愛するなど論外だ。
「ずっと今が続けばいいのにな」
天災同等の魔人ではなく、従業員としてセルカといられたらどれほど幸せだろう。時間を巻き戻すなど朝飯前だが、世界の法則を壊す強大な魔法は必ず歪みを生む。その影響が自分にだけならかまわないが、歪みは無辜の人々へ影響する。
であれば、苦しくとも現状を粛々と受け入れるのみだ。
「大丈夫、この期間が終わっても、今の幸せが生きる糧になると思えばいい」
希望を見いだすなと自分に言い聞かせて、野菜の収穫作業を再開した。
野菜の収穫をしていたザクベルは近づいてくるセルカの気配に振り返った。
ベージュの繋ぎに麦わら帽をかぶったセルカがいた。日差しを防いでも暑いのか、白い額にはうっすらと汗が浮かび、髪がくっついている。手には蓋付きの紙カップがあった。
「どうしました?」
「今日は特に暑いから私特製の飲み物を持ってきたんだ」
一般の人間ならそうかもしれないが、ザクベルの体は異能の影響でどんな環境下でもすぐに順応する。そのためセルカの暑いという意味がピンとこなかった。それでもせっかくセルカが持ってきた飲み物だ。カップを受け取ると、セルカに微笑んだ。
「セルカ様、ありがとうございます」
「どういたしまして。早く飲んでごらん」
急かすセルカに促されるまま一口飲めば、バランスのとれた酸味と甘みの後、爽やかな香りが鼻を抜ける。
「結構スースーしますね。でも、さっぱりしてておいしいです」
「炎天下で作業しているザクベルのために作ったんだよ。おっと、これも渡さないとね」
セルカは腰に下げていた麦わら帽を外すと、ザクベルの頭へかぶせた。きょとんとするザクベルにセルカは目を細めた。
「これから日差しが強くなっていくからこれをかぶるといいよ」
同じ麦わら帽子の端を持ち上げていたずらが成功した子供のように笑った。よく見れば麦わら帽子の影がセルカの目元へ落ち、いつもより暗い萌黄色の瞳の中に小さな金色の光の粒が散っている。
「セルカ様の目、キラキラして綺麗ですね」
思わず呟けば、セルカの白い顔が一気に紅潮した。先ほどよりも汗を滲ませ、顎を伝う汗を拭いながら目を伏せた。眉を下げつつもチラッとザクベルを見てくる。
「そんなにはっきり見えた?」
「はい、麦わら帽子の影のおかげではっきり見えます」
恥ずかしがる理由がわからないザクベルは素直に答えた。たいしてセルカは唇を小さく尖らせ「そんなにか」と悔しそうに言った。セルカの瞳に散る金の粒子は先ほどより落ちついたが明確にわかる。
深呼吸をしたセルカは背伸びをするとザクベルの顎に唇を当ててきた。いきなりの行為に思考が停止しかける。なんとか踏ん張って、先ほどセルカの唇が当たった顎に手を当てながらセルカを見た。
「せ、セルカ様、なにして」
「うーん、これじゃまだダメか。ザクベル、ちょっと屈んでくれるかな」
「こうですか?」
冷静なセルカに困惑しつつ、セルカの視線へあわせるよう身をかがめた。そうすれば、セルカの腕が首に回り、唇が重なった。火照ったセルカの唇はしっとりと柔らかく、口の中に潜り込んできた舌は思わずセルカと一つになった感触を思い出す。
「セルカ様、まっ」
セルカの肩を掴んで顔を離そうとするが、それ以上の力でセルカの腕がぐっとザクベルの首を引き寄せる。冷めたい唇や舌にセルカの熱が浸透してくる心地よさに眩暈を覚える。
ぴったりと密着した際、セルカの麦わら帽子が落ちそうになった。それを視界の隅で捉えると空いている手で掴む。角度を変えて何度もキスを繰り返されれば、困惑よりも心地よさが上回ってきた。
今はそういう時間ではないとわかっていながら、ぎこちなくセルカにキスを返す。セルカがうっとりと目を細め、キスの合間に小さく笑った。
「ザクベルは興奮すると、いろんな色が出るんだね」
「いろんな色?」
「多くの魔物は感情が高ぶると魔力反応が目に出るんだ。反応や色は魔物によって違うけど、ザクベルは私と同じで、粒子が散るみたいだね」
ちゅっと舌先を吸われて唇が離れる。首に回っていた手がほどかれ、代わりにザクベルの頬を撫でた。
「セックスの時は余裕がないから見られなかったけど、こんなに綺麗なのを見逃していたなんてもったいなかったな。あ、色が濃くなった」
羞恥や興奮が高ぶったのだろう。セルカの指摘が正しければ、瞳の状態でザクベルの心情がバレるという意味だ。慌てて目をぎゅっと閉じて姿勢を正すと、セルカが不満そうに声を上げた。
「目を閉じるのは禁止! ほら、私に見せて!」
「ダメです」
「ザクベルだって、私の目をまじまじ見てたじゃないか」
ぺちぺちとセルカの手が優しく頬を叩く。そんな仕草すら胸が甘く疼き、思いっきり抱きしめて肩に顔を埋めたくなるが、ぐっとこらえた。
目を閉じたままザクベルは手にしていた麦わら帽子をセルカにかぶせると姿勢を正した。
「俺は仕事に戻ります。セルカ様も仕事に戻ってください」
「じゃあ、キスをしてくれたら戻るよ」
目を開けなければわからないだろうと言わんばかりに勝ち誇ったような笑みを浮かべるセルカを感覚で一瞥した後、スッと身をかがめて触れるだけのキスをした。
まさかのスマートなキスに呆然としたセルカへ目を閉じたまま返した。
「キスしましたからセルカ様を書斎までお連れしますね」
「え、え? 待った、今のなし!」
「ダメです。俺は約束通りキスしました」
慌てるセルカを抱き寄せるとセルカの執務室へと空間移動する。
一瞬の歪みとついで全身で感じるセルカの香りにセルカの執務室へ無事着いたようだ。腕の中で不満そうにしているセルカの耳元へ囁いた。
「夜になったら好きなだけ見ていいので、それまで仕事頑張ってください」
我ながら恥ずかしいセリフだ。けれど、こうでも言わないとセルカは仕事に取りかからないだろう。案の定、セルカはパッと目を輝かせると、色香を滲ませて微笑んだ。
「そうだね、今日はしっかり見られる体位でやろうか」
「……はい。じゃあ、俺は戻ります」
フッと先ほどの場所へ空間移動する。一人になったザクベルは手に握っていたカップを一気に飲み干した。カラになった紙カップをゴミ箱の中へ転送する。
ようやく目蓋を持ち上げると、ぐっと体を伸ばして小さく息を吐いた。
「夜、頑張るか」
ここに来てから不健全気味だが、その歪さが今は心地がいい。それは相手がセルカだからだろう。中央にいた時は夜になると憂鬱だったが、今は夜が怖くない。反面、どんどん成長していくセルカへの恋慕にどう対処すべきか考えあぐねていた。
これが一般人なら思いを告げて両思いになれるだろうが、ザクベルは違う。自我はあれど、意思決定権はザクベルにはない。特定の誰かを愛するなど論外だ。
「ずっと今が続けばいいのにな」
天災同等の魔人ではなく、従業員としてセルカといられたらどれほど幸せだろう。時間を巻き戻すなど朝飯前だが、世界の法則を壊す強大な魔法は必ず歪みを生む。その影響が自分にだけならかまわないが、歪みは無辜の人々へ影響する。
であれば、苦しくとも現状を粛々と受け入れるのみだ。
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