無能と追放された大賢者様は少女と共に悠々自適な旅をする。

Coco@

文字の大きさ
9 / 22

9.布陣は完璧

しおりを挟む
国境付近の平原に陣を張る。
そう指示したのは俺だ。
ここなら相手側の様子も見やすいし、宣戦布告の時点で相手は必ず戦争するつもりでやってくる。
まさか奴隷制度を撤廃して戦争を回避なんてしないはずだ。
例え国王がそうしたくても臣下や貴族が止めるだろう。
あの国はそれだけ奴隷制度にどっぷりと浸かっているからな。

「陛下、国境を挟んだ向こうの平原に王国軍が陣を敷きました。
先頭には国王自ら立っている様子です。」

「そうですか、報告ありがとうございます。
オズ様の言う通りになりましたね。」

「こちらの皇帝が先頭に出れば向こうもそうしてきます。
国王陛下はそう言うお方です。」

俺がそう言ってアリスの頭に手を乗せる。
アリスにとっては初戦闘になる可能性もある。
アリスには皇帝陛下の護衛をお願いした。
アリスの両親と同じ仕事だ。

「報告しますっ!王国軍早速動いてきました!」

「先手を打たれましたか。」

「作戦通りです。こちらは後手で構いませんから。」

俺が不敵に笑う。
全ては俺の手の平の上だ。

「と言うと?」

「陛下、馬の準備を。我々も出ましょう。もちろん、俺も同行しますよ。」

俺が言うとアリスが少しだけ不思議そうな顔をした。

「あれ、でもオズって馬に乗れないってこの前言ってたよね?
ここにも馬車で来たし。」

「あぁ、馬には乗れないよ。けど俺はあらゆるクラスタルを作り出す力を持っている。
そして・・・」

俺がそう言って黄色いクラスタルを手に握ると魔力を込める。
クラスタルが光輝いて力が発揮される。

「アリスにセカンドクラスを授けたのは俺だろ?
アリスが出来ることが俺に出来ないと思うかい?」

俺が言うとアリスが納得した。

「セカンドクラスだね。なんのクラスなの?」

「テイマーさ。動物や魔獣を使役するクラスだね。
これで使役している魔獣を使って移動すれば良い。」

俺がそう言って指笛を吹く。
すると何処からともなく体躯3m程の紺色の毛並みでシベリアンハスキーの様な感じの模様をした狼が現れた。

「これってフェンリル!?」

アリスが驚くように言った。
無理もない。
フェンリルは幻獣に分類されかなりレアでかつかなり強い魔獣だ。
それを指笛1つで呼び出せば驚くだろう。

「びっくり隠し芸大会があれば優勝間違いなしだろう?」

「まぁ、オズって存在そのものがびっくり隠し芸だもんね。」

俺が言うともはや驚くのも無駄だと言った感じで呆れたアリスが言った。

「ひどい言い方だなぁ。
俺は普通に生きているだけさ。
ただ、あくまでも創世龍基準ではあるけどね。」

「創世龍基準は随分と非常識ですね。」

アリスがそう言って微笑む。
少し緊張していた様だが良い感じにそれもほぐれた様だ。

「待たせたな。」

ルーギスが黒馬に乗って戻ってきた。

「いえいえ。」

俺は微笑んでフェンリルに跨がるとアリスに手を差しのべる。
アリスを後ろに乗せてルーギスの隣を歩む。
こうして俺達も戦場へと赴いた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします。

樋口紗夕
恋愛
公爵令嬢ヘレーネは王立魔法学園の卒業パーティーで第三王子ジークベルトから婚約破棄を宣言される。 ジークベルトの真実の愛の相手、男爵令嬢ルーシアへの嫌がらせが原因だ。 国外追放を言い渡したジークベルトに、ヘレーネは眉一つ動かさずに答えた。 「国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします」

【完結】奇跡のおくすり~追放された薬師、実は王家の隠し子でした~

いっぺいちゃん
ファンタジー
薬草と静かな生活をこよなく愛する少女、レイナ=リーフィア。 地味で目立たぬ薬師だった彼女は、ある日貴族の陰謀で“冤罪”を着せられ、王都の冒険者ギルドを追放されてしまう。 「――もう、草とだけ暮らせればいい」 絶望の果てにたどり着いた辺境の村で、レイナはひっそりと薬を作り始める。だが、彼女の薬はどんな難病さえ癒す“奇跡の薬”だった。 やがて重病の王子を治したことで、彼女の正体が王家の“隠し子”だと判明し、王都からの使者が訪れる―― 「あなたの薬に、国を救ってほしい」 導かれるように再び王都へと向かうレイナ。 医療改革を志し、“薬師局”を創設して仲間たちと共に奔走する日々が始まる。 薬草にしか心を開けなかった少女が、やがて王国の未来を変える―― これは、一人の“草オタク”薬師が紡ぐ、やさしくてまっすぐな奇跡の物語。 ※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。

【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました

いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。 子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。 「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」 冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。 しかし、マリエールには秘密があった。 ――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。 未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。 「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。 物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立! 数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。 さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。 一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて―― 「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」 これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、 ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー! ※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。

悪役令嬢の身代わりで追放された侍女、北の地で才能を開花させ「氷の公爵」を溶かす

黒崎隼人
ファンタジー
「お前の罪は、万死に値する!」 公爵令嬢アリアンヌの罪をすべて被せられ、侍女リリアは婚約破棄の茶番劇のスケープゴートにされた。 忠誠を尽くした主人に裏切られ、誰にも信じてもらえず王都を追放される彼女に手を差し伸べたのは、彼女を最も蔑んでいたはずの「氷の公爵」クロードだった。 「君が犯人でないことは、最初から分かっていた」 冷徹な仮面の裏に隠された真実と、予想外の庇護。 彼の領地で、リリアは内に秘めた驚くべき才能を開花させていく。 一方、有能な「影」を失った王太子と悪役令嬢は、自滅の道を転がり落ちていく。 これは、地味な侍女が全てを覆し、世界一の愛を手に入れる、痛快な逆転シンデレラストーリー。

悪役令息の継母に転生したからには、息子を悪役になんてさせません!

水都(みなと)
ファンタジー
伯爵夫人であるロゼッタ・シルヴァリーは夫の死後、ここが前世で読んでいたラノベの世界だと気づく。 ロゼッタはラノベで悪役令息だったリゼルの継母だ。金と地位が目当てで結婚したロゼッタは、夫の連れ子であるリゼルに無関心だった。 しかし、前世ではリゼルは推しキャラ。リゼルが断罪されると思い出したロゼッタは、リゼルが悪役令息にならないよう母として奮闘していく。 ★ファンタジー小説大賞エントリー中です。 ※完結しました!

「お前の戦い方は地味すぎる」とギルドをクビになったおっさん、その正体は大陸を震撼させた伝説の暗殺者。

夏見ナイ
ファンタジー
「地味すぎる」とギルドをクビになったおっさん冒険者アラン(40)。彼はこれを機に、血塗られた過去を捨てて辺境の村で静かに暮らすことを決意する。その正体は、10年前に姿を消した伝説の暗殺者“神の影”。 もう戦いはこりごりなのだが、体に染みついた暗殺術が無意識に発動。気配だけでチンピラを黙らせ、小石で魔物を一撃で仕留める姿が「神業」だと勘違いされ、噂が噂を呼ぶ。 純粋な少女には師匠と慕われ、元騎士には神と崇められ、挙句の果てには王女や諸国の密偵まで押しかけてくる始末。本人は畑仕事に精を出したいだけなのに、彼の周りでは勝手に伝説が更新されていく! 最強の元暗殺者による、勘違いスローライフファンタジー、開幕!

処理中です...