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13.戦争の行方Ⅱ
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俺達は陣を片付けて帝都へ戻る準備を済ませると撤退を始めた。
俺は次の目的地も決まったからそちらへ向かわなければならないしな。
帝都へ向けて陣形を組み進み出す。
俺とアリスは馬車での移動だ。
馬に乗れないからな。
「陛下っ!王国の方へ偵察に出ていた部隊が消息を絶ちました!」
「何っ!?」
「それはいつ頃だ。」
声が聞こえて馬車から顔を出す。
「つい1時間前の話でそれをついさっき伝令が伝えてくれました。」
1時間前か。
王国兵に殺されたか?
だが、そんな事をすれば戦争になりかねない。
折角戦争を回避したと言うのに何をして・・・
いや、違う。
戦争をするからどうなっても関係ないんだ。
嵌められた。
奴らは最初から撤退なんてするつもりもなかった。
奴隷制度の撤廃なんて嘘なんだ。
全てはこの状況を作り出す為。
だとしたら、王国軍は俺達を包囲しているだろう。
流石に包囲されれば不利だ。
逃げ道がないと言うのが特にな。
「アリス、影から皇帝陛下の護衛を頼む。」
俺が言うとアリスは何も言わずに頷くと姿を消した。
暗殺者のスキル《隠蔽回避》だ。
「ルーギス、囲まれた。気付かないふりしてこのまま撤退を続けてくれ。
向こうから仕掛けてくるはずだ。
そこでルーギスの力を使え。
皇帝の力を。」
俺が言うとルーギスは頷いてポケットからクラスタルを取り出すと強く握りしめる。
「陛下っ!後ろから王国軍が追ってきました!!」
「陛下っ!右翼からもです!」
「さ、左翼も来ました!」
「囲まれたか。」
ルーギスが静かに呟く。
「残念であったな。皇帝ルーギスよ。」
目の前に現れたのは白馬に乗った国王陛下とそれに続く数万の兵だ。
「それはどうでしょう。
《覇道は我にあり》!」
大剣を取り出して剣を天に掲げて言った。
覇道スキルの効果を高めるスキルだ。
「ふむ、クラスタルの力・・・か?」
「えぇ、オズ様から頂きましてね。皇帝のクラスタル。
世界に1つの物です。」
ルーギスはそう言って今度は敵に剣を向ける。
「《我を恐れよ》!」
そうルーギスが言うと数万の兵の半分ほどが腰を抜かしてその場に座り込んだ。
恐怖の状態異常だ。
「形勢逆転です!《我が勇敢なる兵達よ、我に続け》!」
ルーギスがそう言って馬を走らせる。
これに続いた兵達のステータスを高めるスキルだ。
「皇帝を討ち取れ!!」
国王の命令で皆が皇帝を目掛けて襲ってくる。
半数は恐怖になっても半数は動けるのだ。
「させないっ!《世界を闇に包め!闇の中は我が領域。闇夜の帳》!」
アリスがそう叫んで短剣を地面に突き刺すと辺りが暗くなる。
王国兵も光を灯すが暗さは変わらない。
この闇の帳は暗殺者のみが動ける特殊な空間を作り出すスキルだ。
アリスは闇神龍の加護により効果が高まっている。
「《死の恐怖に打ち勝ち真なる力を解き放て!我が死中に活あり!!》」
アリスが叫ぶ。
自身を10分後に即死させる代わりにその力を数倍に強める暗殺者の魔法だ。
回復魔術師のいないこの状況では危険な魔法になりうるが暗殺者のアリスなら大丈夫だろう。
「《ヒューマン・キラー》!!」
アリスがそう言って駆け回る。
俺はこっそりセカンドクラスを暗殺者にした為アリスと同じ様に見えている。
闇の中的確に王国兵を殺していく。
キラースキルと呼ばれる暗殺者のスキルで対象となる種族へのダメージを数倍に引き上げるスキルだがそれ以外の種族へは0ダメージになってしまう特殊なスキルだ。
「《死活逆転》」
アリスが呟く。
自身の状態を死の宣告からリジェネへと変える魔法だ。
もちろん、《我が死中に活あり》の効果は消えてしまう。
が、そろそろ闇の帳の効果も切れるから丁度良いだろう。
戦場に光が差し全てが見える様になったとき、ルーギスの周りには王国兵の死体が転がっており、国王陛下の首筋に短剣を突きつけたアリスが国王陛下の乗る白馬の馬上に立っていた。
「なっ!?」
「これで、終わりですね。」
アリスが呟く。
「良くやりました。アリス。流石は暗殺者セナの娘。」
ルーギスが言うと国王陛下が眼を見開く。
「死神の娘・・・だとっ!?」
死神。
アリスの母親であるセナの2つ名だ。
セナに出会えば生きて帰れない。
そこからセナは死神と呼ばれていた。
帝国の死神と言えば知らぬ人はいないだろう。
「剣を捨て、退くのならこちらも退きましょう。」
ルーギスが言った。
「その必要はありません。
アリス、国王の首をはねるんだ。今日、ここに創世龍オズが宣言する。
ヒューゼル王国の歴史は幕を閉じた!
ヒューゼル王国はアーヴァス帝国に負け、王を失った。
これよりヒューゼル王国はアーヴァス帝国下に置かれる!!」
俺が叫ぶ。
「ルーギス、君は少し甘すぎる。
戦争とは、命を掛けた取引だ。
ここで王を逃がせば不利になるのは帝国だよ。
多少強引だがこうしなければ、帝国は王国と敵対する。
時には力でねじ伏せる必要もあるんだ。
出過ぎた杭は打たねばならないんだ。
もちろん、ルーギスが俺との約束を守り、皇帝のクラスタルを持つものとして振る舞ってくれた事には感謝するしその意思を無下にした事は謝罪する。
だが、ここで王を殺さねば帝国は堕ちる。
どうする?ルーギス皇帝陛下。」
俺が言う。
アリスは首に短剣を当てたままルーギスを見た。
「アリス、王の首をはねて下さい。
首は、こちらに。」
ルーギスがそう言って手を差しのべる。
アリスは頷いて国王の首をはねてそれをルーギスに渡した。
「王はこのアーヴァス帝国が討ち取った!これよりヒューゼル王国は我が支配下とする!!」
ルーギスの言葉と共に戦争は終わった。
その場にいた王国兵は捕虜として捕えられ帝都へと連れていかれる。
そして、俺とアリスはここでルーギスと別れる事にした。
俺は次の目的地も決まったからそちらへ向かわなければならないしな。
帝都へ向けて陣形を組み進み出す。
俺とアリスは馬車での移動だ。
馬に乗れないからな。
「陛下っ!王国の方へ偵察に出ていた部隊が消息を絶ちました!」
「何っ!?」
「それはいつ頃だ。」
声が聞こえて馬車から顔を出す。
「つい1時間前の話でそれをついさっき伝令が伝えてくれました。」
1時間前か。
王国兵に殺されたか?
だが、そんな事をすれば戦争になりかねない。
折角戦争を回避したと言うのに何をして・・・
いや、違う。
戦争をするからどうなっても関係ないんだ。
嵌められた。
奴らは最初から撤退なんてするつもりもなかった。
奴隷制度の撤廃なんて嘘なんだ。
全てはこの状況を作り出す為。
だとしたら、王国軍は俺達を包囲しているだろう。
流石に包囲されれば不利だ。
逃げ道がないと言うのが特にな。
「アリス、影から皇帝陛下の護衛を頼む。」
俺が言うとアリスは何も言わずに頷くと姿を消した。
暗殺者のスキル《隠蔽回避》だ。
「ルーギス、囲まれた。気付かないふりしてこのまま撤退を続けてくれ。
向こうから仕掛けてくるはずだ。
そこでルーギスの力を使え。
皇帝の力を。」
俺が言うとルーギスは頷いてポケットからクラスタルを取り出すと強く握りしめる。
「陛下っ!後ろから王国軍が追ってきました!!」
「陛下っ!右翼からもです!」
「さ、左翼も来ました!」
「囲まれたか。」
ルーギスが静かに呟く。
「残念であったな。皇帝ルーギスよ。」
目の前に現れたのは白馬に乗った国王陛下とそれに続く数万の兵だ。
「それはどうでしょう。
《覇道は我にあり》!」
大剣を取り出して剣を天に掲げて言った。
覇道スキルの効果を高めるスキルだ。
「ふむ、クラスタルの力・・・か?」
「えぇ、オズ様から頂きましてね。皇帝のクラスタル。
世界に1つの物です。」
ルーギスはそう言って今度は敵に剣を向ける。
「《我を恐れよ》!」
そうルーギスが言うと数万の兵の半分ほどが腰を抜かしてその場に座り込んだ。
恐怖の状態異常だ。
「形勢逆転です!《我が勇敢なる兵達よ、我に続け》!」
ルーギスがそう言って馬を走らせる。
これに続いた兵達のステータスを高めるスキルだ。
「皇帝を討ち取れ!!」
国王の命令で皆が皇帝を目掛けて襲ってくる。
半数は恐怖になっても半数は動けるのだ。
「させないっ!《世界を闇に包め!闇の中は我が領域。闇夜の帳》!」
アリスがそう叫んで短剣を地面に突き刺すと辺りが暗くなる。
王国兵も光を灯すが暗さは変わらない。
この闇の帳は暗殺者のみが動ける特殊な空間を作り出すスキルだ。
アリスは闇神龍の加護により効果が高まっている。
「《死の恐怖に打ち勝ち真なる力を解き放て!我が死中に活あり!!》」
アリスが叫ぶ。
自身を10分後に即死させる代わりにその力を数倍に強める暗殺者の魔法だ。
回復魔術師のいないこの状況では危険な魔法になりうるが暗殺者のアリスなら大丈夫だろう。
「《ヒューマン・キラー》!!」
アリスがそう言って駆け回る。
俺はこっそりセカンドクラスを暗殺者にした為アリスと同じ様に見えている。
闇の中的確に王国兵を殺していく。
キラースキルと呼ばれる暗殺者のスキルで対象となる種族へのダメージを数倍に引き上げるスキルだがそれ以外の種族へは0ダメージになってしまう特殊なスキルだ。
「《死活逆転》」
アリスが呟く。
自身の状態を死の宣告からリジェネへと変える魔法だ。
もちろん、《我が死中に活あり》の効果は消えてしまう。
が、そろそろ闇の帳の効果も切れるから丁度良いだろう。
戦場に光が差し全てが見える様になったとき、ルーギスの周りには王国兵の死体が転がっており、国王陛下の首筋に短剣を突きつけたアリスが国王陛下の乗る白馬の馬上に立っていた。
「なっ!?」
「これで、終わりですね。」
アリスが呟く。
「良くやりました。アリス。流石は暗殺者セナの娘。」
ルーギスが言うと国王陛下が眼を見開く。
「死神の娘・・・だとっ!?」
死神。
アリスの母親であるセナの2つ名だ。
セナに出会えば生きて帰れない。
そこからセナは死神と呼ばれていた。
帝国の死神と言えば知らぬ人はいないだろう。
「剣を捨て、退くのならこちらも退きましょう。」
ルーギスが言った。
「その必要はありません。
アリス、国王の首をはねるんだ。今日、ここに創世龍オズが宣言する。
ヒューゼル王国の歴史は幕を閉じた!
ヒューゼル王国はアーヴァス帝国に負け、王を失った。
これよりヒューゼル王国はアーヴァス帝国下に置かれる!!」
俺が叫ぶ。
「ルーギス、君は少し甘すぎる。
戦争とは、命を掛けた取引だ。
ここで王を逃がせば不利になるのは帝国だよ。
多少強引だがこうしなければ、帝国は王国と敵対する。
時には力でねじ伏せる必要もあるんだ。
出過ぎた杭は打たねばならないんだ。
もちろん、ルーギスが俺との約束を守り、皇帝のクラスタルを持つものとして振る舞ってくれた事には感謝するしその意思を無下にした事は謝罪する。
だが、ここで王を殺さねば帝国は堕ちる。
どうする?ルーギス皇帝陛下。」
俺が言う。
アリスは首に短剣を当てたままルーギスを見た。
「アリス、王の首をはねて下さい。
首は、こちらに。」
ルーギスがそう言って手を差しのべる。
アリスは頷いて国王の首をはねてそれをルーギスに渡した。
「王はこのアーヴァス帝国が討ち取った!これよりヒューゼル王国は我が支配下とする!!」
ルーギスの言葉と共に戦争は終わった。
その場にいた王国兵は捕虜として捕えられ帝都へと連れていかれる。
そして、俺とアリスはここでルーギスと別れる事にした。
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