生活のために、バイト(本業)始めました。

桜月(さくる)

文字の大きさ
3 / 14

第3話 出会い

しおりを挟む
「皆さん!昨日の声優アカデミー賞受賞の生中継みましたでしょうか!なんとあの謎の人気声優神楽かぐら湊音みなとさんが地声初披露しました!声だけの出演でしたが、ファンの間では地声だけでも聞けて良かったと言う歓喜の声が上がっています!」
「今まで一切本人についての情報はありませんでしたからね~実は私も娘の影響で『ability』見始めましてハマっちゃいましてね。娘も私も今回の地声公表には万歳して喜びましたね(笑)」

朝ご飯食べながらいつものニュース番組を見る。

「たかが地声だけでよくそんな騒げるなぁ」
(ホントは地声じゃないけど…)

世間では地声地声と騒がれているが、若干違う。演じれば良いと言われたので地声より少し高めで、神楽湊音を演じた。このことを知っているのは事務所の関係者と、共演者と本人くらいだ。授賞式の後、汐梛しなさんや涼太りょうたさんからよくあるSNSアプリでおめでとうの連絡がきた。

「地声が公表されたことにより、ネット上では声からして女性ではないかという線が性別に関しては濃厚なようです。」
「年齢の方もまだまだ若そうな声だった、と言うような声上がっています。」

「さてと、」

机の端に置いてあったメガネを手に取ってから、立ち上がり学校の準備をする。授賞式が終わってから初めての登校でみんなにバレていないか多少心配ではあるが、一応皆勤賞目指しているので休むわけにはいかないので学校へ行く。

「おはよぉ。咲槻さつき~見た見た?声優アカデミー賞!ついに地声が聞けたよー!ヤバイねもうホント何回も聞き直したよぉ」
「おはよ。美里、月曜の朝から元気だね~」

相変わらず美里は、友達のいない私を気遣ってか喋りかけてくれる。ちょっと嬉しい。学校に行く楽しみは、これくらいだ。

「あ、そうだ。今日ね昼ご飯なんだけど、部活の人たちと食べることになったんだけど…咲槻さえ良ければ一緒に食べてもいいって言ってくれてるんだけどどう?」
「んー、いやいいよ私は、楽しんどいで」
「そっかー私がいなかったらあんた一人じゃない?大丈夫?」
「うん、大丈夫だよ。1人は慣れてるから」

そう言って私が笑う。すると、

「そっか…てゆーかさ前から思ってたんだけどあんたメガネ似合ってないと思うんだよねぇ~」
「そう?」
「うん、似合ってないというか地味!もっとオシャレなのかけたらさ~こう、あんたの根暗さがなくなって友達増えると思うんだね~」
「いや、結構言うね美里…でも私はこの地味メガネが気に入ってるんだよね~メガネを掛けるだけで誰も近寄ってこないのがいいんだよ、私には」
「メガネ掛けてるから根暗なのかと思ってたけど違うのね(笑)」

といった感じで美里も諦めて話題を変えた。こう言われることはよくあって、中学時代にも何度かあった。でも、私は誰かといるより1人の方が楽だと思っているから特にボッチであることを気にしてはいない。


~昼休み~

教室で1人で食べると声優アカデミー賞の話題で耐えられそうになっかたので、屋上で食べることにした。屋上に行くと最近暑くなってきたからか、誰もいなかった。

(よっしゃー誰もいないー!)

暑くはなっているものの屋上は風が気持ちいい。

(これからはここで食べてもいいかもな…)

誰もいなかったのでルンルン気分で日陰になっているところに座る。日陰になっているところに座ると、教室にいるより涼しいかもしれない。自分で作ったお弁当をひろげ、お昼ご飯を食べる。

(うん、いつも通りの美味しさ♪)

自分のお弁当に自画自賛しながら食べていると、誰かが屋上に入ってきた。出来ればいることをバレたくないので気配を殺す。

「やっぱり、ここだよなぁ。だーれもいなくて居心地いいや」

独り言をいう人物をよく見ると少し前、担任に頼まれて手伝いをした帰りにぶつかった男の子だった。

「あ…」

びっくりしてつい声を出してしまった。その声に気づいた男の子がこちらへ向かってくる。こちらに来たその人は、挨拶をしてきた。

「あ、誰かと思えばこの前の…よっ!覚えてるか?この前廊下でぶつかったの」
「はい、覚えてますけど…」

少し馴れ馴れしい態度。

(なんなのこの人、…なんかすごい馴れ馴れしい)

そんな態度に少し警戒する。でもまぁ同じ学年だから相手にとっては、普通のことなのかもしれない。

「良かった。覚えててくれたんだ!あ、あん時メガネも吹っ飛んでたけど壊れたりとかしてない?」
「はい大丈夫です。これ結構丈夫なんで。で、どーしてあなたは屋上に?用事がないなら別の場所に行っていただけると嬉しいのですが。」

少しうざったいというように返す。これで帰ってくれるかなと思いながら返事を待つ。

「あー用事?ないけど…あ!今できた!聞きたいことあんだけど聞いてい?」
「気になること?なんでしょうか。」

(ほぼ初対面で気になることってなんだろ…)

不思議そうに聞き返すとその男の子は質問をする前にこう言った。

「えーっと、君と俺ね、同じクラスなんだけど…」
「!?」

私があからさまに驚いていると

「やっぱり、覚えてなかった」
「ごめんなさい。私、人には興味無いので」

(なんか見たことある顔だとは思ってたけど!)

クラスで最初に自己紹介したはずのクラスメイトを覚えていなかったのは失礼かなと思い、一応謝罪する。

「いや~いいのいいの(笑)君いっつも美…じゃなくて、西条さいじょうさんとしかいないし、他の人のこと覚えてないとは思ってたから。」
「はあ…」

(いやいやいや、なんで私が美里みさととしかいないこと知ってんだ…)

私が嫌な顔をしたのがわかったのか、話を変えてきた。

「あ、そーいえば自己紹介もっかいしなきゃだね!覚えてないなら!」
「いや、別に知る必要ないので結構です。」

(そんなの知ってどーするのよ。どーせこの後喋ることなんてないだろうし)

そう思い、屋上での昼ごはんは中途半端だが諦めて教室に帰ることにした。でも去り際に変に目立つといけないので注意しておくことにした。

「あっ!1つ言っておきます。教室では私に喋りかけないでください!」

喋り方とかから陽キャの部類に入るだろうと思い、そう言うとその男が返事をする。

「え?あ、うん!わかったー教室では喋りかけねぇー」

その返事を聞くだけ聞いて屋上から出ていこうとすると後ろからまぁまぁデカい声でこう言った。

「えっちょ、ちょっと待って!まだききたいこといってねぇんだけど!まぁいいや!俺の名前は柏尾かしお 翔奏かなた!よろしく~!覚えとけよー!」

二度と呼ぶことがないであろう名前を聞き流しながら私は屋上を去る。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

旦那様が多すぎて困っています!? 〜逆ハーレム異世界ラブコメ〜

ことりとりとん
恋愛
男女比8:1の逆ハーレム異世界に転移してしまった女子大生・大森泉 転移早々旦那さんが6人もできて、しかも魔力無限チートがあると教えられて!? のんびりまったり暮らしたいのにいつの間にか国を救うハメになりました…… イケメン山盛りの逆ハーレムです 前半はラブラブまったりの予定。後半で主人公が頑張ります 小説家になろう、カクヨムに転載しています

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

甘い匂いの人間は、極上獰猛な獣たちに奪われる 〜居場所を求めた少女の転移譚〜

具なっしー
恋愛
「誰かを、全力で愛してみたい」 居場所のない、17歳の少女・鳴宮 桃(なるみや もも)。 幼い頃に両親を亡くし、叔父の家で家政婦のような日々を送る彼女は、誰にも言えない孤独を抱えていた。そんな桃が、願いをかけた神社の光に包まれ目覚めたのは、獣人たちが支配する異世界。 そこは、男女比50:1という極端な世界。女性は複数の夫に囲われて贅沢を享受するのが常識だった。 しかし、桃は異世界の女性が持つ傲慢さとは無縁で、控えめなまま。 そして彼女の身体から放たれる**"甘いフェロモン"は、野生の獣人たちにとって極上の獲物**でしかない。 盗賊に囚われかけたところを、美形で無口なホワイトタイガー獣人・ベンに救われた桃。孤独だった少女は、その純粋さゆえに、強く、一途で、そして獰猛な獣人たちに囲われていく――。 ※表紙はAIです

無表情な黒豹騎士に懐かれたら、元の世界に戻れなくなった私の話を切実に聞いてほしい!!

カントリー
恋愛
懐かれた時はネコちゃんみたいで可愛いなと思った時期がありました。 でも懐かれたのは、獲物を狙う肉食獣そのものでした。by大空都子。 大空都子(おおぞら みやこ)。食べる事や料理をする事が大好きなぽっちゃりした女子高校生。 今日も施設の仲間に料理を振るうため、買い出しに外を歩いていた所、暴走車両により交通事故に遭い異世界へ転移してしまう。 異世界先は獣人の世界ークモード王国。住民の殆どが美男美女で、おデブは都子だけ。 ダーク 「…美味そうだな…」ジュル… 都子「あっ…ありがとうございます!」 (えっ…作った料理の事だよね…) 元の世界に戻るまで、都子こと「ヨーグル・オオゾラ」はクモード城で料理人として働く事になるが… これは大空都子が黒豹騎士ダーク・スカイに懐かれ、最終的には逃げられなくなるお話。 ★いいね・応援いただけると嬉しいです。創作の励みになります。

男女比バグった世界で美女チート無双〜それでも私は冒険がしたい!〜

具なっしー
恋愛
日本で暮らしていた23歳喪女だった女の子が交通事故で死んで、神様にチートを貰い、獣人の世界に転生させられた!!気づいたらそこは森の中で体は15歳くらいの女の子だった!ステータスを開いてみるとなんと白鳥兎獣人という幻の種族で、白いふわふわのウサ耳と、神秘的な白鳥の羽が生えていた。そしてなんとなんと、そこは男女比が10:1の偏った世界で、一妻多夫が普通の世界!そんな世界で、せっかく転生したんだし、旅をする!と決意した主人公は絶世の美女で…だんだん彼女を囲う男達が増えていく話。 主人公は見た目に反してめちゃくちゃ強いand地球の知識があるのでチートしまくります。 みたいなはなし ※表紙はAIです

異世界転移して冒険者のイケメンとご飯食べるだけの話

ゴルゴンゾーラ三国
恋愛
 社畜系OLの主人公は、ある日終電を逃し、仕方なく徒歩で家に帰ることに。しかし、その際帰路を歩いていたはずが、謎の小道へと出てしまい、そのまま異世界へと迷い込んでしまう。  持ち前の適応力の高さからか、それとも社畜生活で思考能力が低下していたのか、いずれにせよあっという間に異世界生活へと慣れていた。そのうち家に帰れるかも、まあ帰れなかったら帰れなかったで、と楽観視しながらその日暮らしの冒険者生活を楽しむ彼女。  一番の楽しみは、おいしい異世界のご飯とお酒、それからイケメン冒険者仲間の話を聞くことだった。  年下のあざとい系先輩冒険者、頼れる兄貴分なエルフの剣士、口の悪いツンデレ薬師、女好きな元最強冒険者のギルド長、四人と恋愛フラグを立てたり折ったりしながら主人公は今日も異世界でご飯を食べる。 【この作品は『小説家になろう』『カクヨム』『Pixiv』にも掲載しています】 【途中から各ルート・エンドに入ります。特に正解ルートはないので、自分の好みのキャラのルート・エンドを正規だと思ってもらって大丈夫です】

悪役令嬢の心変わり

ナナスケ
恋愛
不慮の事故によって20代で命を落としてしまった雨月 夕は乙女ゲーム[聖女の涙]の悪役令嬢に転生してしまっていた。 7歳の誕生日10日前に前世の記憶を取り戻した夕は悪役令嬢、ダリア・クロウリーとして最悪の結末 処刑エンドを回避すべく手始めに婚約者の第2王子との婚約を破棄。 そして、処刑エンドに繋がりそうなルートを回避すべく奮闘する勘違いラブロマンス! カッコイイ系主人公が男社会と自分に仇なす者たちを斬るっ!

女の子がほとんど産まれない国に転生しました。

さくらもち
恋愛
何番煎じかのお話です。 100人に3~5人しか産まれない女の子は大切にされ一妻多夫制の国に産まれたのは前世の記憶、日本で亭主関白の旦那に嫁いびりと男尊女卑な家に嫁いで挙句栄養失調と過労死と言う令和になってもまだ昭和な家庭!でありえない最後を迎えてしまった清水 理央、享年44歳 そんな彼女を不憫に思った女神が自身の世界の女性至上主義な国に転生させたお話。 当面は2日に1話更新予定!

処理中です...